地域経済動向(平成10年8月)

平成10年8月18日

経済企画庁調査局


1.地域経済の概況

最近の地域経済の動向を地域別にみると、以下のとおりである。

北海道地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなるなど、景気は低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状況にある。

東北地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数は低調に推移している。雇用情勢は一段と厳しくなっており、倒産は高水準で推移している。このように、景気は低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状況にある。

関東地域では、鉱工業生産は減少傾向に一服感が見られる。需要面では、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなっている。このように景気は低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状況にある。

東海地域では、鉱工業生産は減少傾向に一服感が見られる。需要面では、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなるなど、引き続き景気は低迷している。

北陸地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなるなど、景気は低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状況にある。

近畿地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数は低調に推移している。雇用情勢は一段と厳しくなるなど、景気は低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状況にある。

中国地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなっている。このように景気は低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状況にある。

四国地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、乗用車新規登録・届出台数にはやや持ち直しの兆しも見られたが、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなるなど、引き続き景気は低迷している。

九州地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなるなど、景気は低迷状態にあり、はなはだ厳しい状況にある。

沖縄地域では、主力の観光は引き続き堅調となっている。需要面では、スーパーの売上高は堅調であり、乗用車新規登録・届出台数は底固いものの、百貨店の売上高、新設住宅着工戸数は低調である。雇用情勢は、非常に厳しい状態にある。このように、景気は悪化することなく持ちこたえているものの、回復に弾みがつくような状態ではない。

各地域の最近の経済動向を総合すると、以下のとおりである。

日本経済ははなはだ厳しい状況にあるが、5、6月においては、ほぼ全国的に景気が低迷、一段と不況感が強まっている。消費動向や乗用車販売では5月に関東や中国で、鉱工業生産では6月に関東、東海、近畿で、下げ止まりが期待される動きもあったが、天候不順などにより期待外れに終わった。最近の状況をひと言でいえば、「日本列島総不況」といっても過言ではないだろう。

地域別にいえば、東北と九州が、これまで「景気は低迷している」と表現して来たが、今回は主力の電気機械の生産が一段と悪化したこと、雇用情勢が一段と厳しくなったことなどから、より不況感の強い「景気の低迷が長引き、はなはだ厳しい状況にある」とした。

東海は、主力の自動車生産が下げ止まったことにより、四国では個人消費で一部に回復の兆しもみられたことから、景況評価は変えず、「景気は低迷している」とした。

そんな中で、沖縄だけは観光が好調なので景況評価は前回同様「景気は横ばい状態にある」とした。回復の弾みはつかないものの、悪化することなく持ちこたえている、といった感じである。

なお、消費者の財布のひもが依然として固く、選択的消費は低迷している。その代表的なものと考えられる観光動向について、全地域で十分に注視していきたい。

また、バブル崩壊後の大都市を中心とした地価崩落を背景として、関東、近畿などの大都市圏での、消費需要や住宅着工戸数の落ち込みが大きく、容易に回復の兆しが見られないのが現在の状況の厳しさの特色といえる。したがって、今後の景気動向については、大都市圏の動向にも十分注目していきたい。


2.地域経済の動向

(1)北海道

北海道地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなるなど、景気は低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状況にある。

  • 第一次産業の動きをみると、農作物の生育状況(8月1日現在)は、全体として「並」の状況となっている。生乳生産は、5月3.0%増、6月3.4%増と増加傾向が続いている。水産業(主要10港、前年同月比)では、6月の水揚量は18.7%減、金額では36.9%減となった。
  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、5月1.8%減の後、6月も1.3%減となり、減少傾向にある。
    主要業種の生産動向をみると、食料品・たばこは、ビール、清涼飲料水で堅調な動きとなっているが、冷凍水産物等で生産水準が低下している。パルプ・紙は、印刷用紙や情報用紙で生産調整が行われており減少傾向で推移している。窯業・土石は、ファインセラミックスや護岸用コンクリートブロックで回復の動きもみられるが、全体としての生産水準は低い状況が続いている。電気機械は、無線通信装置などの減少から低下が続いている。
  • 観光では、来道客数(前年同月比)は、5月3.7%増の後、6月4.9%減となり、20か月振りに前年比減となった。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、5月0.6%減の後、6月も天候不順の影響もあって4.3%減となり、足もとも低調に推移している。業態別にみると、百貨店では5月3.1%減の後、6月も主力の衣料品で夏物が不振だったこと等により6.1%減となった。スーパーでは5月1.6%増の後、6月は衣料品の他、主力の飲食料品も前年比減となったことから2.6%減となった。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、5月2.1%増の後、6月は5.4%減となり基調として低調に推移している。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、5月47.0%減の後、6月は4.5%増となった結果、4~6月累計では18.5%減となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、5月13.9%減の後、6月も14.1%減となり、低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、建設業での新規求人の抑制等から5月0.46の後、6月0.40となり一段と厳しくなっている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、5月8.9%減、6月6.1%減となったものの引き続き高水準で推移している。

(2)東北

東北地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数は低調に推移している。雇用情勢は一段と厳しくなっており、倒産は高水準で推移している。このように、景気は低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状況にある。

  • 第1次産業の動きをみると、水稲の生育状況(7月15日)は、「平年並み」となった。
  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、5月1.4%減、6月1.5%減と減少傾向にある。
    主要業種の生産動向をみると、電気機械は、北米向け音響機器等堅調な業種が一部あるものの、国内需要の低迷により、通信機器、モス型半導体集積回路等、幅広い品目で生産水準を引き下げる傾向にあることから、5月2.8%減、6月4.8%減と減少傾向にある。食料品・たばこは、5月4.0%増、6月2.9%減となった。一般機械は、企業の投資意欲減退により、5月9.5%減、6月11.6%減と減少傾向にある。繊維は低水準で推移している。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、5月4.2%減、6月8.6%減となり、足もとでも低調に推移している。
    業態別にみると、百貨店は、5月0.1%増、6月5.8%減となり、7月は低温により夏物衣料が不振であったことや、中元商戦が個人需要は底固いものの、ウエイトの高い法人需要が減少したことにより、低調に推移している。スーパーは、夏物商品の不振や客単価が落ちていること等から、5月6.6%減、6月10.2%減となり、低調に推移している。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、5月1.3%増の後、6月4.3%減となり、基調としては低調に推移している。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、都道府県、国の発注が減少していることから、5月24.9%減、6月12.6%減となった結果、4~6月累計では18.8%減となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、5月24.0%減、6月10.9%減と低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、求人数が減少し、求職者数が増加していることから、有効求人倍率(季調値)は、5月0.60、6月0.55と一段と厳しくなっている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、5月75.6%増、6月36.8%増と高水準で推移している。

(3)関東

関東地域では、鉱工業生産は減少傾向に一服感が見られる。需要面では、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなっている。このように景気は低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状況にある。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、5月前月並み、6月0.9%増と減少傾向に一服感が見られるが、在庫は依然高い水準となっている。
    主要業種の生産動向をみると、最もウェイトの高い電気機械は、エアコン、パソコンが寄与し増加となった。一般機械は設備投資意欲の減退を反映し、基調として弱い動きとなっている。輸送機械については、国内販売は不振が続いているが新型車効果により増加となった。化学については、汎用樹脂等の需要減により、弱い動きとなっている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は5月前年並みの後、6月4.7%減となり、引き続き低調に推移している。業態別にみると、百貨店では主力の衣料品関連に動きがみられず、全品目で減少となった。また中元商戦も振るわなかった。スーパーについても主力の食料品、衣料品関連を中心に全品目で減少となった。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、5月2.3%減の後、6月4.3%減となり、引き続き低調に推移している。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、5月50.3%減、6月11.3%減となり、4~6月累計で22.7%減となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)については、5月7.3%減、6月8.9%減と引き続き低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、5月、6月0.52となり、一段と厳しくなっている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、5月32.9%増、6月35.7%増と高水準で推移している。

(4)東海

東海地域では、鉱工業生産は減少傾向に一服感が見られる。需要面では、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなるなど、引き続き景気は低迷している。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、5月0.2%減の後、6月2.2%増と減少傾向に一服感が見られる。
    主要業種の生産動向をみると、自動車では、北米向け輸出の好調に支えられ、輸出は総じて底固いものの、国内販売の不振が続いていることから生産は低調となっている。一般機械では、金属工作機械は前年を上回る受注残を背景に堅調に推移しているものの、電動工具、建設機械が国内販売、アジア向け輸出の不振により低調であることから、全体としては減少傾向となっている。電気機械は、パソコン関連が回復してきているものの、家電が堅調なビデオカメラのほかは総じて低調となっていることから、全体で横ばいとなっている。窯業・土石は、ファインセラミックスが堅調となっているものの、陶磁器が低調なため、全体で低調となっている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、5月0.8%減、6月1.9%減の後、7月も中元商戦、夏物バーゲンが振るわず、低調に推移している。業態別にみると、百貨店は身の回り品で動きが見られたものの、紳士服、婦人服、子供服等は総じて低調なため5月1.8%増、6月は2.2%減となっている。スーパーは衣料品、家庭用品が低調なため、5月2.6%減、6月1.7%減となっている。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、5月1.0%減、6月3.8%減と低調に推移している。
  • 建設活動をみると公共工事着工総工事費(前年同期比)は、5月12.1%減6月4.7%増となった結果、4~6月累計では7.7%減となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、マンション販売の低迷から分譲が低調なため、5月22.7%減、6月5.9%減と低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、製造業、建設業を中心に新規求人が減少していることから、有効求人倍率(季調値)は5月0.69、6月0.68と一段と厳しくなっている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、5月34.9%増、6月38.2%増と高水準で推移している。

(5)北陸

北陸地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなるなど、景気は低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状況にある。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、5月3.8%減の後、6月2.1%増となったものの、基調として減少傾向にある。
    主要業種の生産動向をみると、金属製品では、アルミ建材は、ビル用がオフィスビル建設の減少により、住宅用が住宅建設の低迷により、減少傾向となっている。繊維では、主力の合繊織物は衣料、非衣料向けとも内需が低迷していることや、アジア向けの輸出が減少していること、在庫の高止まりから、減産を強化している。また、染色加工も減産を強化している。電気機械では、携帯電話やパソコン関連の電子部品を中心に、生産水準を引き下げている。一般機械では、工作機械はアメリカ、ヨーロッパ向け輸出が好調なため堅調に推移しているが、繊維機械、建設機械は内需及び東南アジア向け輸出の減少により低調に推移していることから、全体では減少傾向となっている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、5月2.4%減、6月5.1%減の後、7月も中元商戦、夏物バーゲンが振るわず、低調に推移している。業態別にみると、百貨店は衣料品が総じて低調なことから、5月4.1%減、6月6.0%減となっている。スーパーは衣料品、身の回り品が低調なことから5月1.2%減、6月4.5%減となっている。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、5月1.0%増、6月4.6%減と低調に推移している。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、5月に県の大型工事があったことにより、108.1%増となった後、6月4.6%減となった結果、4~6月累計では、18.6%増となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、貸家、分譲の減少により、5月17.9%減、6月16.1%減と低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、製造業を中心に新規求人が減少していることから、有効求人倍率(季調値)は、5月0.68、6月0.64と一段と厳しくなっている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、5月12.9%増、6月68.0%増と高水準で推移している。

(6)近畿

近畿地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数は低調に推移している。雇用情勢は一段と厳しくなるなど、景気は低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状況にある。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、5月3.9%減の後、6月は2.7%増となったものの、基調としては減少傾向にある。
    主要業種の生産動向をみると、電気機械は、民生用電気機械の冷蔵庫等や通信機器の携帯電話が堅調なことから、5月0.4%増、6月3.1%増となった。一般機械は、5月12.8%減の後、6月9.1%増となったものの、基調としては減少傾向となっている。また化学は、総じて底固い推移となっている。金属製品は、減少傾向が続いている。繊維は、低水準が続いている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、5月1.8%減、6月5.4%減となった。7月は、中元商戦が法人、個人ともに振るわず、また、梅雨が長いたことからバーゲンセールも盛り上がりを欠くなど、足もとも含め引き続き低調に推移している。業態別にみると、百貨店では、5月1.3%減、6月5.1%減となっており、全商品的に低調である。スーパーでも、5月2.3%減、6月5.7%減と、全商品的に低調である。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、普通車は底固いものの、小型車、軽自動車が減少となっていることから、5月1.1%減、6月3.2%減となるなど、引き続き低調に推移している。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、5月32.0%減、6月15.1%減となった結果、4~6月累計で19.8%減となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、5月24.4%減、6月20.8%減と低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、求職者数の増加が続いていることから、5、6月0.42となるなど、一段と厳しくなっている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、建設業、製造業など多くの業種で増加しており、5月46.9%増、6月21.7%増と高水準で推移している。この5月は、単月の件数としては過去最高を記録した。

(7)中国

中国地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなっている。このように景気は低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状況にある。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は5月0.1%減、6月3.2%減と引き続き減少傾向にある。
    主要業種の生産動向をみると、化学は、内外需の低迷を映じ、一部品種で生産調整の動きがあるなど、低い水準が続いている。自動車は、新型車生産により、やや持ち直しの気配がみられるものの、依然として前年割れの水準が続いている。一般機械は、アジア向けを中心に輸出が低迷し、内需も減少していることから、このところ減少傾向にある。鉄鋼は、需要の低迷や在庫の積み上がりを映じ、生産調整が続いている。また、電気機械は、総じて高い水準で推移している。繊維は引き続き低調である。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、5月0.2%減、6月4.5%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店は、5月0.8%増の後、6月は衣料品をはじめすべての商品で前年を下回り、5.4%減となった。スーパーは、衣料品や家庭用品などで前年を下回る動きが続いたことから、5月0.8%減、6月3.9%減となった。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、5月1.1%増の後、6月3.0%減となり、基調としては低調に推移している。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、県や市町村などの発注増により、5月4.5%増、6月9.3%増となった。また、4~6月累計では3.4%増となり、このところ下げ止まりの兆しが窺われる。
    新設住宅着工戸数は、持家、貸家の落ち込みが続いていることから、5月16.0%減、6月19.4%減と低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、5月0.75、6月0.72と一段と厳しくなっている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、5月32.4%増、6月19.3%増と高水準で推移している。

(8)四国

四国地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、乗用車新規登録・届出台数にはやや持ち直しの兆しも見られたが、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなるなど、引き続き景気は低迷している。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、5月0.6%減の後、6月は1.1%増となったものの、基調として減少傾向にある。
    主要業種の生産動向をみると、電気機械は、磁気ディスクやVTRが北米向けで堅調であることなどから、ほぼ横ばいで推移している。パルプ・紙は、印刷用紙などでは底固い動きがみられるものの、一部品目で生産調整の動きがみられる。化学は、品目間にバラつきがみられ、繊維原料などでは、需要が落ち込んでいるため生産調整を実施している。一般機械は、建設用クレーン、農業用機械で内需の不振などによる在庫の上昇を映じて生産調整の動きがみられることから、低下傾向が続いている。繊維は、引き続き低調に推移している。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、5月1.5%減、6月3.3%減と、低調に推移している。業態別にみると、百貨店は、天候不順やギフトの不振等により衣料品の動きが鈍かったことから、5月3.7%減、6月3.9%減となった。スーパーは、5月0.1%増の後、6月は家電製品に動きが見られたものの衣料品、身の回り品が低調で、2.9%減となった。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、5月5.4%増、6月1.2%増と3か月連続で前年を上回り、低水準ながらやや持ち直しの兆しも見られた。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、5月5.9%減、6月22.0%減となった結果、4~6月累計では11.8%減となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、分譲を中心に5月33.3%減、6月2.5%減と低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、求人数が減少し求職者数が増加していることから、有効求人倍率(季調値)は、5月0.69、6月0.67と一段と厳しくなっている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、建設業、製造業を中心に5月14.3%増、6月25.6%増と高水準で推移している。

(9)九州

九州地域では、鉱工業生産は減少傾向にある。需要面では、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数は低調に推移している。また、雇用情勢は一段と厳しくなるなど、景気は低迷状態にあり、はなはだ厳しい状況にある。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、5月2.8%減の後、6月1.5%増となったものの、基調として減少傾向にある。
    主要業種の生産動向をみると、電気機械は、主力の半導体集積回路では市況の低迷により数量でもマイナスとなるなど弱い動きが続いており、5月3.7%減、6月3.2%増となった。化学は、一部品目で在庫の積み上がりがあり、生産調整の動きが続いている。一般機械は、設備投資意欲の減退を映じて減少傾向が続いている。輸送機械は、自動車では内需は低迷しているものの、欧州・北米向け輸出で堅調なことから、ほぼ前年並の生産水準となっている。造船は、豊富な受注残に支えられ、高操業を維持している。窯業・土石では、セメントが国内外の需要の低迷により減少が続いている。鉄鋼は、内需の低迷、東南アジア・中国向け輸出の減少により、足もとも生産水準を引き下げる動きが続いている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、5月2.0%減、6月4.7%減となり、足もとも低調に推移している。業態別にみると、百貨店は、5月0.9%減、6月は天候不順により夏物衣料が低調だったほか、すべての品目でマイナスとなり、4.8%減となった。スーパーは、衣料品などが低調だったほか、主力の食料品も振るわず、5月2.9%減、6月4.7%減と15か月連続で前年を下回った。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、5月0.2%増、6月1.7%減と、基調としては低調に推移している。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、5月25.2%減、6月17.1%減となった結果、4~6月累計では10.7%減となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、5月23.4%減、6月6.4%減と引き続き低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、5月0.46、6月0.45と一段と厳しくなっている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、建設業などを中心に5月51.2%増、6月49.2%増と高水準で推移している。

(10)沖縄

沖縄地域では、主力の観光は引き続き堅調となっている。需要面では、スーパーの売上高は堅調であり、乗用車新規登録・届出台数は底固いものの、百貨店の売上高、新設住宅着工戸数は低調である。雇用情勢は、非常に厳しい状態にある。このように、景気は悪化することなく持ちこたえているものの、回復に弾みがつくような状態ではない。

  • 観光では、入域客数(前年同月比)は、東京や福岡など国内大都市圏からの入り込みが増加したことから、5月9.0%増、6月5.9%増と堅調な動きとなった。この5、6月とも、同月としては過去最高の入域客数を記録した。足もとも、引き続き堅調となっている。客室稼働率は、5月はシティホテルで前年を下回ったものの、6月はシティ、リゾートホテルともに前年を上回り、足もとも総じて堅調となっている。
  • 個人消費をみると、百貨店(那覇市内3百貨店)の売上高(前年同月比)は、5月1.1%減、6月6.2%減(沖縄銀行調べ)となるなど、低調である。一方、スーパーの売上高(前年同月比、既存店ベース)は、深夜までの営業時間延長化の動きが広まり、また、観光客の来店も増加していることから、5月5.1%増、6月3.2%増(日本銀行那覇支店調べ)となるなど、堅調な動きとなっている。また、家電製品の販売額は、エアコン等が堅調なことから、6月以降増加に転じている。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、軽自動車が好調なことから、5月5.4%増、6月2.7%増と底固い推移となっている。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、5月45.5%減、6月52.7%増となった結果、4~6月累計で39.1%増となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、5月は、分譲住宅が大幅に増加したため14.3%増となったものの、6月は17.7%減となるなど、低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、求職者数が依然として増加傾向にあることから、5月0.18の後、6月は0.17と低下した。完全失業率は、5月は8.2%と過去最悪を記録した後、6月は7.1%と依然として高水準であるなど、非常に厳しい状態にある。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、5月は大幅増加、6月は微減となった。