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産業動向

平成10年3月


業種別動向の推移


〇概況

 我が国産業の最近の動向について次のような特徴がみられる。


 鉄鋼(普通鋼鋼材)の国内受注は、総じて弱い動きとなっている。また、普通鋼の国内在庫は高水準が続いており、内需の低迷などから在庫調整ペースは鈍っている。粗鋼生産量は、12月2.3%減、1月4.2%減となり、このところ弱い動きとなっている。

 化学(石油化学)の基礎原料であるエチレンの生産は、高水準の生産が続いているが、足もと減産の動きもみられる。汎用樹脂の国内出荷は需要減を映じてこのところ弱い動きとなっており、海外出荷は東南アジア市況が低迷のなか、全体的にやや弱い動きとなっている。

 紙・板紙の生産は、紙で総じて堅調ながらも一部にやや弱い動きがみられるほか、板紙で弱含みとなっている。一方、在庫は、新設備の稼働や出荷の伸び悩みなどから、高い水準が続いている。このようななか、市況は需給緩和を映じて弱含みとなっている。

 繊維の生産は、内需の低迷などから、12月4.5%減、1月5.7%減と低調な動きとなっている。在庫は増加している。輸入は総じて減少傾向、輸出は横ばい傾向となっている。糸の市況は、綿は弱含み、羊毛は低下傾向、合繊は横ばいで推移している。

 一般機械の生産は、12月0.9%減の後、1月6.0%増(速報)となった。産業機械の受注は、内外需の落ち込みにより弱い動きとなった。工作機械の受注は、増加幅はやや縮小しているものの、内外需とも好調に推移している。建設機械の出荷については、内需の落ち込み等により弱い動きが続いている。

 産業用電気機械・電子部品では、半導体集積回路の出荷額は、12月0.1%減、1月1.5%減(速報)と前年割れとなり、足もとでは一部で生産調整の動きがみられる。コンピュータ関連機器の生産額は、11月1.4%減、12月5.6%減とやや弱い動きとなっている。通信機器については、前年水準が高いこともあり、11月18.9%減、12月17.3%減となった。

 家電の国内出荷(台数ベース)は、前年の高水準の反動も大きく、足もと総じて低調な荷動きとなっている。輸出は、総じて堅調に推移している。家電の生産額は、国内需要の不振により、足もとも白物家電を中心に弱い動きとなっている。

 自動車の国内販売は、1月20.9%減、2月21.2%減と低調な動きが続いている。輸入車販売も前年割れが続いている。完成車の輸出は堅調な動きとなっているものの、伸びは鈍化している。以上から、生産は、12月0.1%減、1月は9.0%減と弱含んでいる。

 建設業大手50社の受注額は、1月再び減少となった。民間建築着工は、大宗を占める居住用建築の減少幅が大きく、全体的に弱い動きとなっている。公共工事着工は4~1月累計で3.8%減となった。

住宅着工戸数は、分譲でマンションが増加となっているものの、持家、貸家の減少により引き続き弱い動きが続いている。

 運輸・サービスは、国内貨物輸送は、弱い動きが続いている。旅行関連は、海外旅行が前年割れするなど、やや弱い動きとなっている。

 リース契約額は、主力の情報関連機器が底固く推移していることに加え、12月は前年水準が低かったことなどにより3.2%増、1月は輸送機械の大幅な伸びなどにより5.4%増と前年水準を上回った。

 電力需要は、気温が高めに推移した影響もあり、12月0.6%減の後、1月は気温が低めに推移したが、生産活動の停滞を映じて1.3%増と低い伸びとなった。用途別では、電灯、業務用電力が堅調に推移したものの、小口電力、大口電力は生産活動の停滞状況を映じて前年実績を下回った。

 広告の売上高は、12月2.6%増、1月3.2%増と伸び率は鈍化しているものの引き続き堅調に推移し、44か月連続の増加となっている。広告量でみると、昨年の牽引業種のうち情報・通信は高い伸びが続いているが、自動車・関連品で弱い動きが出てきている。


1.鉄鋼

普通鋼鋼材の国内受注は、総じて弱い動きとなっている。また、普通鋼の国内在庫は高水準が続いており、内需の低迷などから在庫調整ペースは鈍っている。粗鋼生産量は、12月2.3%減、1月4.2%減となり、このところ弱い動きとなっている。

○ 普通鋼鋼材の国内出荷(前年同月比)は、12月11.9%減、1月10.6%減となり、弱い動きが続いている。

 これを受注面からみると、普通鋼鋼材の国内受注は、11月4.9%減、12月11.6%減と弱い動きが続いている。

 用途別にみると、建設向けは、土木用、建築用ともに弱い動きが続いた結果、11月7.7%減、12月7.8%減となった。

 製造業向けは、11月1.2%減、12月7.9%減となり、弱い動きが続いている。内訳別では、ウェイトの高い自動車用は、乗用車生産台数の減少を背景に弱含みとなっている。また、造船用は引き続き堅調な動きとなっているものの、電気機械用や産業機械用など殆どの用途では前年を下回る動きとなっている。

 こうした状況のなか、国内在庫は、12月567万トン(前年同月比10.1%増)、1月587万トン(同12.0%増)と高水準が続いており、国内需要の低迷などから在庫調整ペースは鈍っている。

○ 鉄鋼の輸出入(全鉄鋼ベース、前年同月比)をみると、輸出数量は堅調な需要に支えられ、12月22.2%増、1月11.1%増となったものの、足もとでは弱含みとなっている。

 これを仕向け先別にみると、米国、EU向けは総じて堅調な動きとなったものの、主要仕向先であるアセアン、韓国向けは経済不安などの影響から減少に転じており、足もとも大幅減の動きとなっている。

 輸出船積平均単価は、低付加価値製品のウェイトが高まっていることなどからドルベースでは低下傾向となっているものの、円ベースでは、為替レートの円安傾向が進んだことからこのところ横ばい傾向となっている。

 輸入数量は、国内の需給緩和を映じた岸壁在庫の積み上がり等から12月0.4%減、1月15.5%減となった。

○ 粗鋼の生産は、12月823万トン(前年同月比2.3%減)、1月836万トン(同4.2%減)となり、このところ弱い動きとなっている。また、今後も減産は継続されることから、生産は減少基調で推移するものとみられる。

○ 鋼材の市況をみると、需要の低迷に加えて流通在庫が適正水準を上回って推移していることから、鋼板類、条鋼類ともに弱い動きとなっている。


2.化学(石油化学)

 基礎原料であるエチレンの生産は、高水準の生産が続いているが、足もと減産の動きもみられる。汎用樹脂の国内出荷は需要減を映じてこのところ弱い動きとなっており、海外出荷は東南アジア市況が低迷のなか、全体的にやや弱い動きとなっている。

○ 石油化学製品の基礎原料であるエチレンの生産は、1月659万トン(前年同月比0.2%増)、2月579万トン(速報、前年同月比1.1%減)と、定修を前に高水準の生産が続いているが、足もと減産の動きもみられる。汎用樹脂の生産については、内外の需要減を映じて減産の動きもみられ、全体的にやや弱い動きとなっている。

 在庫水準については、各樹脂共にこのところやや過剰感がみられる。

○ 汎用樹脂の国内出荷をみると、需要減を映じてこのところ弱い動きとなっている。主要樹脂別にみると、低密度ポリエチレンは主力のフィルム向けをはじめ、全ての用途で減少となった。高密度ポリエチレンは主力の射出向けで増加となったものの、全体では減少となった。塩化ビニルについては、弱い動きを続けている住宅着工等の動きを映じて弱い動きが続いている。汎用樹脂最大の需要を有するポリプロピレンは、自動車向け等の需要減少を映じてやや弱い動きがみられる。ポリスチレンは包装用向け等が増加となったが、電気工業向け等は減少となり、全体でも減少となった。

○ 汎用樹脂の輸出は、旧正月による需要の冷え込みとアジアの通貨危機により全体的にやや弱い動きとなっているが、塩化ビニルについては、旺盛な中国需要を背景に引き続き増加傾向となっている。

 汎用樹脂の東南アジア市況については、一部に下げ止まりの兆しもみられるものの、通貨危機等を背景に全体的に低迷している。


3.紙・パルプ 

 紙・板紙の生産は、紙で総じて堅調ながらも一部にやや弱い動きがみられるほか、板紙で弱含みとなっている。一方、在庫は、新設備の稼働や出荷の伸び悩みなどから、高い水準が続いている。このようななか、市況は需給緩和を映じて弱含みとなっている。

○ 紙の生産(前年同月比)は、輸出の増加傾向が続いたことなどを背景に12月2.1%増、1月2.6%増と総じて堅調な動きとなったものの、一部にやや弱い動きがみられる。出荷は、12月2.4%増となった後、1月0.6%増と伸び悩みがみられる。一方、増加傾向にある在庫は、新設備の稼働や出荷の伸び悩み等から、依然高い水準が続いている。

 紙の生産を品目別にみると、新聞巻取紙は、伸びに鈍化がみられるものの総じて底固い動きとなっている。

 印刷・情報用紙では、非塗工類は、上級紙で大幅増が続いているほか、微塗工紙でチラシ向け等が底固い動きとなっていることから、総じて堅調な動きとなっている。塗工紙は、販促用のチラシ、カタログ等の商業印刷向けで、軽量コート紙、コート紙を中心に底固く推移している。情報用紙は、コピー用等のPPC用紙を中心に堅調な動きとなっている。

 衛生用紙は、市況対策などから生産調整の動きとなっている。

○ 板紙の生産(前年同月比)は、段ボール需要の伸び悩みなどを背景に12月0.5%増の後、1月1.4%減となり、足もとも弱含みとなっている。出荷は、段ボール原紙でパソコンなど電気関連向けに減少が続き、12月0.2%減、1月1.6%減と弱い動きとなった。こうした状況のなか、在庫は、12月18.3%増、1月18.0%増と大幅増が続いた。

 板紙の生産を品目別にみると、段ボール原紙は、需給緩和を映じた在庫の積み上がり等からやや弱い動きとなっている。

○ パルプの生産(前年同月比)は、抄紙機増設に伴う需要の伸びなどを背景に12月4.0%増、1月3.4%増となった。

○ 紙、板紙の輸出入(数量ベース、前年同月比)をみると、輸出は、主要仕向先であるアジア向けでコート紙を主体とした増加が続いたものの、12月22.9%増の後、1月7.7%増と伸びに鈍化がみられる。

 一方、輸入は、12月9.9%減、1月0.9%増と総じて落ち着いた動きとなった。

○ 紙の市況をみると、需給緩和の傾向が続いていることなどから、紙、板紙ともに弱含みとなっている。


4.繊維

繊維の生産は、内需の低迷などから、12月4.5%減、1月5.7%減と低調な動きとなっている。在庫は増加している。輸入は総じて減少傾向、輸出は横ばい傾向となっている。糸の市況は、綿は弱含み、羊毛は低下傾向、合繊は横ばいで推移している。

○繊維の輸出入の動向(通関、円ベース、前年同月比)をみると、輸入は、合繊糸や毛糸などでは前年を上回っているものの、内需の低迷から綿織物や合繊織物では主力の中国製品を中心に大幅な前年割れとなっており、総じて減少傾向となっている。輸出は総じて横ばい傾向となっている。糸や二次製品では前年を上回っているほか、合繊織物では欧米向けは底固いものの、主力のアジア地域向けはこのところ減少傾向となっている。

○繊維の生産(繊維工業総合指数、前年同月比)は、ポリエステル長繊維織物など一部品目では前年を上回っているものの、ニット製外衣や下着類等の二次製品や糸類など多くの品目で生産を低下させており、12月4.5%減、1月5.7%減と、低調な動きとなっている。また、衣料消費の低迷が続いていることから出荷も減少傾向となっており、在庫は増加している。

○天然繊維の動向をみると、綿では、糸は末端需要が伸び悩んでいることや輸入糸との競合などから、在庫が急増しており、生産調整の動きがみられる。織物は、製品輸入が減少していることや在庫調整が進んでいることから、前年並の生産となっている。糸の市況は弱含んでいる。

羊毛では、糸は輸入糸が大幅に増加していることなどから在庫が増加しており、生産調整の動きがみられる。また、織物も内需の伸び悩みなどから、生産は減少傾向となっている。糸の市況は低下傾向にある。

○合繊の動向をみると、産業用が伸び悩んでいることに加え、衣料向けも消費の不振が続いていることから、このところ需給は緩和しており、4大合繊のうち、アクリル短繊維を除いて生産は前年をやや下回る動きとなっている。また、在庫はいずれも増加傾向にある。合繊織物も、在庫の増加から、生産調整の動きがみられる。糸の市況は、引き続き横ばいで推移している。


5.一般機械                                 

一般機械の生産は、12月0.9%減の後、1月6.0%増(速報)となった。産業機械の受注は、内外需の落ち込みにより弱い動きとなった。工作機械の受注は、増加幅はやや縮小しているものの、内外需とも好調に推移している。建設機械の出荷については、内需の落ち込み等により弱い動きが続いている。

○ 一般機械の生産(季調済前月比)は、12月0.9%減となった後、ボイラ・原動機や化学機械などの動きにより1月6.0%増(速報)となった。増加した機種は、16機種中、12月、1月(速報)とも9機種となった。

 機械受注(原動機・産業機械・工作機械のみ、金額ベース、前年同期比)をみると、12月12.3%減、1月23.6%減となっている。

 輸出入の動向(事務用機器を除く・円ベース、前年同期比)をみると、輸出は12月4.6%増、1月2.7%増となった。輸入は12月32.1%増、1月21.0%増と増加した。

○ 産業機械の受注(日本産業機械工業会調べ、金額ベース、前年同期比)は、12月17.4%減、1月33.5%減と弱い動きとなった。需要者別にみると、製造業において鉄鋼業向け等が減少したことに加え、1月は官公需が好調だったものの電力業向け等が減少したことなどにより、内需全体としては低調に推移した。外需は、アジア向けが低迷していることなどから落ち込んでおり、特に1月は昨年水準が高かったことに加え、プラントの受注が見られなかったことなどから、前年を大きく下回った。

○ 工作機械の受注(日本工作機械工業会調べ、金額ベース、前年同期比)は、12月7.0%増、1月7.3%増と前年水準が高かったことなどから増加幅はやや縮小しているものの、好調に推移している。需要者別にみると、内需は、環境対策や効率化のための自動車関連の投資や金型関連の更新需要を背景に、自動車工業、一般機械工業向けを中心に増加傾向が続いている。外需は、12月は特殊要因により昨年水準が高かったため前年を下回ったが、北米向けを中心に好調に推移している。

○ 建設機械の出荷(日本建設機械工業会調べ、本体・金額ベース、前年同期比)は、12月17.8%減、1月15.8%減と弱い動きが続いている。需要者別にみると、内需は、公共工事需要の減少等により、弱い動きとなっている。外需については、アジア向けが低迷しており、12月は前年を若干下回ったものの、北米・欧州向け等の増加により1月は前年水準を上回った。


6.産業用電気機械・電子部品

 半導体集積回路の出荷額は、12月0.1%減、1月1.5%減(速報)と前年割れとなり足もとでは一部で生産調整の動きがみられる。コンピュータ関連機器の生産額は、11月1.4%減、12月5.6%減とやや弱い動きとなっている。通信機器については、前年水準が高いこともあり、11月18.9%減、12月17.3%減となった。

○ 半導体集積回路の出荷額(前年同月比)は、12月0.1%減、1月1.5%減(速報)とDRAMの市況が回復しないことから、前年割れとなっている。足もとでは一部で生産調整の動きがみられる。在庫率はメモリーの在庫が増加していることから、11月0.75、12月0.80と上昇傾向にある。

○ コンピュータ関連機器の生産額(前年同月比)は、11月1.4%減、12月5.6%減とやや弱い動きとなっている。内訳をみると、パソコンは、国内需要が一段と低迷したことから、12月7.1%減、1月21.2%減(速報)となり、足もとでも弱い動きとなっている。また、周辺機器は、パソコンの販売が不振なことから、12月0.4%増、1月は96%減(速報)と前年割れとなった。

○ 通信機器の生産額(前年同月比)は、前年水準が高いこともあり、11月18.9%減、12月17.3%減となった。これは、移動体通信端末用基地局の敷設が一段落したことや携帯電話、PHSの新規加入が一巡したこと等による。また、電子交換機は1月12.7%減(速報)と前年を下回り、ISDN、デジタル専用線に関連する搬送装置も11月19.8%減、12月15.8%減と大幅な前年割れとなった。


7.家庭電器

家電の国内出荷(台数ベース)は、前年の高水準の反動も大きく、足もと総じて低調な荷動きとなっている。輸出は、総じて堅調に推移している。家電の生産額は、国内需要の不振により、足もとも白物家電を中心に弱い動きとなっている。

○家電の国内出荷(台数ベース)は、前年の高水準の反動も大きく、足もと総じて低調な荷動きとなっている。

AV家電は、前年の高水準の反動の影響が大きく、各品目とも足もと弱い荷動きとなっている。品目別では、カラーテレビは、長野五輪効果も手伝い大型、BSチューナ内蔵型に明るい兆しがみられるものの、総じて弱い荷動きとなっている。VTRは、BSチューナ内蔵型は底固いものの、総じて弱い荷動きとなっている。ビデオカメラは、新製品への切替え前ということもあり、大幅な減少となっている。ただし、どの品目も実勢の水準としては低いわけではない。

一方、白物家電は、低水準の住宅建設の影響と前年の高水準の反動もあり、荷動きが大幅に減少している。品目別には、冷蔵庫、洗濯機はともに大型小型等にかかわらず全てで大幅な減少がみられている。電子レンジは、オーブンレンジに回復の兆しがみられるものの、総じて減少が続いている。エアコンは、引き続き低迷している。

○家電の輸出(台数ベース)は、総じて堅調に推移している。特に、CDプレーヤは、米国に加えこのところドイツ向けが車載用で数量を伸ばしており、引き続き大幅な増加を示している。一方、一時伸び率に鈍化のみられたカラーテレビも、香港向けを中心に増加幅が拡大した。

○家電の輸入(台数ベース)は、カラーテレビは、ワイド型は激減しているもののシェアの大きい従来型が増加していることから、このところ増加が続いている。

○家電の生産額(前年同月比)は、国内需要の不振から、11月12.8%減、12月7.6%減となった。2月にはエアコンにより一層の生産調整が行われるなど、足もとも白物家電を中心に弱い動きとなっている。


8.自動車

自動車の国内販売は、1月20.9%減、2月21.2%減と低調な動きが続いている。輸入車販売も前年割れが続いている。完成車の輸出は堅調な動きとなっているものの、伸びは鈍化している。以上から、生産は、12月0.1%減、1月は9.0%減と弱含んでいる。

○自動車全体の国内販売(新車新規登録・届出台数、前年同月比)は、一部の新型車には動きが見られるものの、既存車種の落ち込みが大きいことから、低調な動きが続いており、1月20.9%減、2月21.2%減と11か月連続で前年実績を下回った。車種別にみると、1、2月とも全車種で2ケタの減少となっており、中でも法人需要の低迷から大型トラックや軽トラックなどの貨物車は大幅な落ち込みが続いている。

 輸入車販売では、一部欧州車に動きがみられたものの、国内市場の低調さを映じて、1月36.1%減、2月39.8%減と国内販売全体を下回る動きが続いている。

○ 自動車の輸出(完成車台数ベース、前年同月比)は、円安傾向に下支えされて受注が好調であったことなどから、12月19.2%増、1月7.0%増と堅調な動きとなっているものの、伸びは鈍化している。仕向地別にみると、中南米向けが大幅に前年を上回っているほか、多くの地域で増加傾向となっているが、アジア地域向けはこのところ大幅減が続いている。

自動車部品の輸出(日本自動車工業会々員11社分、ドルベース)は、部品の現地調達が進展していることから、海外生産用、OEM用とも減少傾向が続いており、12月25.8%減、1月24.2%減となった。

○以上から、自動車の生産(完成車台数ベース、前年同月比)は、国内販売の長期低迷を映じて、生産は弱含んでおり、12月0.1%減、1月9.0%減と4か月連続の前年割れとなった。車種別にみると、輸出が好調な普通乗用車では前年を上回っているが、輸出比率の低い小型トラックや軽自動車では大幅な減少となっている。また、これまで輸出向けに好調だった普通トラックは主力のアジア向けの輸出が大幅減となっていることから、1月は前年割れとなった。


9.建設・住宅  

建設業大手50社の受注額は、1月再び減少となった。民間建築着工は、大宗を占める居住用建築の減少幅が大きく、全体的に弱い動きとなっている。公共工事着工は4~1月累計で3.8%減となった。

住宅着工戸数は、分譲でマンションが増加となっているものの、持家、貸家の減少により引き続き弱い動きが続いている。

[建設]

○ 建設業大手50社の受注額(対前年同期比)は、12月5.7%増となった後、1月14.8%減と再び減少となった。受注の約6割を占める民間工事をみると、1月2.7%減と4か月振りに減少となった。製造業向けは、業種によりばらつきがみられるものの、輸送機械を中心に、全体では底固い動きとなっている。ウェイトのより大きい非製造業向けは、不動産業、サービス業でこのところ堅調に推移しているものの、電気・ガス業等については前年高水準の反動で弱い動きとなっている。受注の約3割を占める官公庁工事は、引き続き減少傾向が続いている。海外工事は主力の東南アジアにおいて、通貨危機の影響により受注元に慎重な動きがみられ、弱い動きが続いている。

 施工高は、11月3.3%減、12月7.6%減となった。また、未消化工事高は、13か月連続で減少となった。

 また、地方大手建設業者470社の受注は、全体的に弱い動きが続いている。

○ 建築の着工状況(床面積)をみると、着工床面積の約9割を占める民間建築の減少が大きく響いており、全体的に減少傾向となっている。内訳をみると、民間建築の大宗を占める居住用建築では引き続き減少傾向となっている。また、非居住用建築についても全体的にやや弱い動きがみられる。

○ 公共工事着工(総工事費評価額)は、12月4.8%増、1月19.0%減となった結果、4~1月累計で3.8%減となった。

 民間土木工事着工は、12月19.9%減、1月18.5%減となっている。

[住宅]

○ 住宅着工(戸数)は、低金利が続くなか、12月18.6%減、1月16.3%減と引き 続き弱い動きとなっている。また、1月の年率換算値では131万戸となっている。利用関係別では、持家、貸家の減少幅が大きく、持家は11か月連続、貸家も14か月連続の減少となっているが、分譲についてはマンションが増加となっているため、全体で再び増加となった。

○ 戸建住宅産業の最近の動きについては、構造別の着工戸数は木造、非木造ともに弱い動きが続いている。建築単価については、1平方m当たりの工事費予定額で木造、鉄骨ともにほぼ横ばいで推移しているが、1戸あたりの面積については全体で緩やかに縮小している。

○ マンション産業の最近の動きについては、着工は増加傾向で推移してきた首都圏において減少となったものの、中部、近畿等の地域が寄与し、全体では12月6.3%増、1月10.6%増と引き続き増加傾向で推移している。しかし、一方で新規契約率(首都圏)は、12月73.2%、1月62.0%と低い水準で推移しており、在庫戸数も上昇してきている。


10.運輸・サービス

 国内貨物輸送は、弱い動きが続いている。旅行関連は、海外旅行が前年割れするなど、やや弱い動きとなっている。

○ 国内貨物輸送(前年同月比:トンベース)は、宅配貨物以外は弱い動きが続いている。

 内訳をみると、一般トラックは11月6.4%減、12月3.7%減、特別積合せトラックは、11月6.8%減、12月2.3%減(速報)、足もとでも弱い動きが続いている。なお、宅配貨物取扱個数は11月2.9%増、12月4.2%増(速報)と引き続き増加傾向にある。内航海運(貨物船)は11月6.7%減、12月4.8%減と弱い動きが続いている。JR貨物は、車扱いの減少が続いており、コンテナの伸びも鈍化していることから、12月2.6%減、1月5.6%減(速報)と弱い動きが続いている。航空貨物はトラック輸送へのシフトが進展したため、12月0.3%増、1月2.1%増(速報)と伸びが鈍化している。

○ 国際貨物輸送は、航空貨物の輸出は、貨物トン数(全国ベース)でみると、12月15.7%増、1月6.8%増と堅調なものの、伸びが鈍化している。内訳をみると、欧米向けの半導体関連、コンピュータ関連等が堅調なものの、タイ、韓国を始めとするアジア向けの荷動きが弱くなっている。輸入は国内需要が弱いことから、12月3.3%減、1月2.3%減と弱い動きとなっている。外航海運の貨物トン数は、輸出は12月0.8%減、1月6.6%減となった。輸入は12月0.8%増、1月3.2%減となった。      

○ 大手旅行会社(鉄道旅客協会加盟13社)の取扱額(前年同月比)をみると12月は一部旅行会社が会計方法を変更したことから0.8%増となったが、1月は5.4%減となり、やや弱い動きとなっている。内訳をみると、国内旅行は、12月5.1%増、1月0.8%、減、海外旅行は、12月4.3%減、1月12.0%減と前年割れとなっている。主要旅客輸送機関の実績(人数ベース、前年同月比)をみると、JR旅客は、定期外は11月0.8%減、12月0.6%減となった。航空(3社)は国内線は12月3.7%増、1月は3.7%増(速報)とやや伸びが鈍化しており、国際線は12月2.5%減、1月0.5%減(速報)とやや弱い動きとなっている。


11.リース

リース契約額は、主力の情報関連機器が底固く推移していることに加え、12月は前年水準が低かったことなどにより3.2%増、1月は輸送機械の大幅な伸びなどにより5.4%増と前年水準を上回った。

○ リース契約額(リース事業協会調べ、前年同期比)は、主力の情報関連機器が底固く推移したことに加え、12月は前年水準が低かったことなどにより3.2%増、1月は輸送機械の大幅な伸びなどにより5.4%増となった。

○ 物件別の最近の動向をみると、

○ リース料率は、低い水準で推移している。なお、1月の推定年平均リース料率は、特殊要因によりさらに下落した。


12.電力

電力需要は、気温が高めに推移した影響もあり、12月0.6%減の後、1月は気温が低めに推移したが、生産活動の停滞を映じて1.3%増と低い伸びとなった。用途別では、電灯、業務用電力が堅調に推移したものの、小口電力、大口電力は生産活動の停滞状況を映じて前年実績を下回った。

○ 電力需要(9社計、前年同期(月)比)は、気温が高めに推移した影響や大口電力の伸び率低下の影響もあり、12月0.6%減の後、1月は気温が低めに推移して暖房需要が増加したが、大口電力が生産活動の停滞状況を映じて前年実績を下回ったため、1.3%増と低い伸び率となった。

 用途別にみると、家庭用電灯需要は、契約口数が安定した伸びとなっているほか、1月は東日本の気温が低めに推移したことなどにより前年実績を上回った。業務用電力は、契約電力がビル需要の回復や郊外型大型店の増加などにより安定した伸びとなっているのを映じて1月も堅調な伸びとなっている。小口電力のうち、低圧電力は、検針期間や生産活動の停滞状況の影響もあり1月は前年実績を下回った。高圧電力Aは、生産活動の停滞状況を映じて3カ月連続前年実績を下回った。大口電力は、生産活動の停滞状況を映じて1月は11か月振りに前年実績を下回った。

 地域別にみると、東北が堅調であるほかは全般的に低めの伸びとなっている。

○ 大口電力需要を自家発電を含め業種別にみると、鉄鋼は、粗鋼生産の減産などから1月も前年実績を下回った。化学は、水準の高いエチレン生産を映じて堅調な伸びとなっている。パルプ・紙は、カタログ等の塗工紙を中心に生産が堅調なことから安定した伸びで推移している。電気機械は、半導体や電子通信機器の生産が堅調に推移しているのを映じて安定した伸び率となっている。輸送用機械は、自動車の国内販売の不振などによる生産減により1月は前年実績を下回った。非鉄は、半導体関連需要や電線ケーブルなどの生産が堅調なことから高めの伸びとなっている。セメントは、公共工事向けの需要減少などから前年実績を大きく下回っている。

 地域別にみると、東北を除き全般的に低調であり、特に東海、近畿の1月は前年実績を下回っている。


13.広告

広告の売上高は、12月2.6%増、1月3.2%増と伸び率は鈍化しているものの引き続き堅調に推移し、44か月連続の増加となっている。広告量でみると、昨年の牽引業種のうち情報・通信は高い伸びが続いているが、自動車・関連品で弱い動きが出てきている。

○ 主要10社の売上高(前年同月比)をみると、12月2.6%増、1月3.2%増と伸び率は鈍化しているものの引き続き堅調に推移し、44か月連続の増加となっている。

媒体別では、ウエイトの大きいテレビは、機動的に運用できるスポットで完売状況が続いているが、このところやや伸び悩みの傾向にある。雑誌は、女性誌や地域情報誌で堅調な伸びが続いている。新聞は、1月は長野五輪関連で増加している。4媒体以外では、企業の展示会やダイレクトメールが好調であり増加を続けている。

○ 広告量(前年同月比)の動向をみると、テレビ番組は概ね前年割れが続いており、テレビスポットはこのところ横ばい傾向にある。新聞は、カラー広告が好調な伸びを続けており、全頁広告も堅調となっているが、案内広告は弱い動きとなっている。

 出稿業種別にみると、情報・通信は、パソコン関連や電話、衛星放送が好調で、テレビ、新聞で高い伸びが続いている。飲料・嗜好品は、ウイスキー、健康飲料などが好調でテレビスポット、新聞で堅調な動きとなっている。食品は、菓子類やレトルト食品、健康・美容食品などが好調でテレビスポットで高い伸びとなっている。一方、自動車・関連品は、テレビ番組で高い伸びとなっているものの、テレビスポット、新聞で弱い動きが続いている。流通・小売業は新聞、テレビ番組でやや弱い動きとなっている。