15 輸出デフレーターが名目の実効為替レートの変化によってどの程度変動するかという弾性値(為替転嫁率)を計測すると、我が国は0.52程度であるのに対し、スイスは0.85程度である(95~2012年の四半期データ)。つまり、我が国では為替変化の52%しか輸出価格に転嫁できず、スイスは85%も転嫁できるということになる。第2-2-9図に輸出財別の為替転嫁率を示しているが、電気・電子機器の為替転嫁率に顕著な下落傾向がある。電気・電子機器は、我が国の輸出の18%弱を占めるものの、スイスの輸出では6%程度にとどまる(2011年実績)。また、スイスの輸出は医薬品(30%程度)や精密機器類(21%程度)に特化しているが、これらの財には特許やブランドといった非価格競争力が伴っており、価格転嫁を行いやすいと考えられる。こうした輸出品目の違いが転嫁率の大きさに影響していると考えられる。