第3章 物価動向と財政金融政策

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今回の景気持ち直し局面の特徴の一つは、大幅な需給ギャップの残存であり、それが雇用情勢や設備投資にとって重石となっている点は第1章で分析した。だが、重石はそれだけにとどまらない。大幅な需給ギャップの存在は、継続的な物価の下落圧力となっている。また、名目GDPを押し下げることで、裁量的な経済対策の実施と相まって、財政赤字の拡大をもたらしている。こうした状況は、金融資本市場の動向にも大きな影響を及ぼしていると考えられる。そこで、本章では、物価や財政・金融を巡って、「デフレ状況に入ったと見られる中、2001年頃の前回のデフレ期と比べた最近の物価動向をどう評価すべきか」「景気と財政収支の関係をどう考えるべきか」「長期金利の低位安定は財政状況の悪化にもかかわらず続くと考えてよいか」などの論点について検討する。

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