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経済白書のポイント 平成11年度版(平成11年7月16日)

平成11年度年次経済報告~経済再生への挑戦~

平成11年7月
経済企画庁調査局

第1章 政策効果に下支えされる

  • 97年10-12月期以降5四半期マイナス成長が続いたが、各種の政策効果に支えられて景気は下げ止まり、おおむね横ばいに(99年6月現在)。
  • アジア経済は底入れしつつあり、日本経済との関係も貿易面では好循環が戻りつつある。
  • 公共投資は景気を下支えしているが、財政赤字は深刻化している。
  • 不況長期化の背景には、企業の体質改善の遅れ(第2章)や、リスクへの挑戦の弱まり(第3章)といった構造的な問題が存在している。
第1-1-1図 設備投資主導の景気後退のグラフ

第2章 リストラの背景と実態

(リストラの背景)

  • 株式の持ち合いや含み益を背景に資本市場の経営監視機能が弱く、企業は効率よりシェアを重視。バブルによる見せかけの繁栄の後、問題が表面化。
  • 含み益の取り崩しと需要喚起策で対応してきたが、1)長引く不況、2)含み益の払底、3)資本市場からの圧力の高まり、4)人口構造要因、などから、企業の体質改善が不可避に。

(雇用面のリストラ)

  • 「会社が潰れたり、解雇されても、真面目に働く限り能力相応の収入が期待できる」ような労働市場の構築が重要。企業特殊的でなく普遍性のある能力の蓄積や、能力を活用しやすい環境整備を。
  • 企業が提供してきた雇用安定機能の変化に応じて、公的なセーフティネットを整備。

(企業面のリストラ)

  • 雇用・設備・債務の過剰は相互に関係。特に設備過剰感は雇用過剰感と密接に関係。雇用対策が設備の有効利用を促進したり、企業再編の円滑化が雇用の有効活用を促進。
  • 前向きの企業再編のための環境整備が重要。

第2‐2‐2図 企業の土地及び株式の含み益

2)株式

第2-2-2図 企業の土地及び株式の含み益のグラフ
(備考)資産のうち、固定資産の株式、土地につき、時価評価した。

第2-3-4図 いわゆる過剰雇用の推移のグラフ

第2-4-1図 過剰設備の推計のグラフ

第3章 新しいリスク秩序の構築に向けて

  • 経済活動に伴うリスクはこれまで、成長期待、地価上昇期待、含み益、いわゆる護送船団方式などを背景に関係者が長期的な信頼関係の中で全体として負担してきた。いわば、「リスクの社会化」。
  • メインバンク、母体行主義、安定株主などといった各種の慣行は明示的なものでなかったため、一度破られると信頼の回復は困難。
    インフラとしての新しいリスク秩序の構築が必要
  • ベンチャー企業が育つような環境整備(ストックオプション、労働市場整備、実業界と大学の連携など)が必要。
  • 様々な新しい知恵を試み、育つものを育てることが重要になっているが、銀行融資は、必ずしもこうしたことに向いていない。
  • 家計がもう少し高いリターンと引き換えにもう少し高いリスクをとるような資金の流れと、そのため条件整備が必要。
  • リスクへの挑戦を活性化するためには、事業環境面の整備(規制緩和)が重要。教育や企業をとりまく風土も、リスクへの挑戦を促すように変化する必要。

第3-1-2図 銀行の課倒引当金等と含み益のグラフ

第3-4-7図 公開直後の平均的な企業と市場の平均的な企業の比較のグラフ

第3-6-2図 金融自由化に対する評価のグラフ

おわりに

  • 土地本位制が急速に崩壊し大きな痛みが生じているが、この困難を乗り越えれば、以下のようなメリットを持つ新しい成長の可能性が開けてくる。
    1. 土地の効率的な利用
    2. バブルに頼らない持続的成長
    3. 国際的システムとの調和
    4. 勤労やリスク負担に見合った所得
    5. 景気変動の安定化
  • 現在国や公的金融が相当のリスクの肩代わりをしているが、いつまでも続けていくことはできない。個人の不安を高めることなく、経済全体として前向きの挑戦を増やしていくような体制のを整える必要。
  • 改革先送りの篭城型の対応では含み益という兵糧が底をつく。総需要拡大政策に続けて、副作用(雇用不安とモラルハザード)の少ない形で供給面の改革を進め、企業部門の元気を回復させていくことがより本質的な課題。
  • 縮み志向型・資源切り捨て型のリストラではなく、資源と創造力を活用する前向きのリストラが重要。
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