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平成14年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(平成14年1月25日閣議決定)

平成14年1月25日

閣議決定

1.平成13年度の経済財政運営と我が国経済

 我が国経済は、平成11年初から緩やかな景気回復過程をたどったものの、その足取りは弱く、平成12年末までには後退に転じ、景気回復局面は短期間にとどまった。

 この背景には、不良債権・過剰債務問題、厳しい雇用情勢、財政や社会保障制度の持続可能性への不安などが民間需要を低迷させる一方、時代や環境の変化に対応できていない制度・規制など現在の経済社会システムの在り方が民間活力の発揮の機会を制約してきたものと考えられる。

 このため政府は、平成13年4月以降、構造改革への取組みを抜本的に強化し、「改革なくして成長なし」との基本的考え方の下、6月に「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」を決定した後、9月には「改革工程表」により構造改革の道筋を提示し、さらに10月には構造改革を加速するために「改革先行プログラム」を決定し、これを受け、第一次補正予算を編成するなど、経済・財政、行政、社会など各般にわたる構造改革を推進している。

 その一方、世界経済は同時的に減速しており、我が国においても景気は悪化を続けている。個人消費が弱含んでいるほか、生産が大幅に減少し、設備投資も減少している。失業率はこれまでにない高さにまで上昇している。さらに、デフレ(持続的な物価下落)が進行している。

 こうした結果、平成13年度の我が国経済は、年度を通じて厳しい状況が続き、国内総生産の実質成長率はマイナス1.0%程度になると見込まれる。

 政府としては、「緊急対応プログラム」を決定するとともに、第二次補正予算を編成し、これらの着実な実施により、構造改革を更に加速しつつ、我が国経済が物価下落と生産活動の縮小とが相互作用して景気が加速度的に悪化していく、いわゆるデフレスパイラルに陥ることを阻止することとしている。

2.平成14年度の経済財政運営の基本的態度

 以上のような情勢を踏まえ、政府は平成14年1月に「構造改革と経済財政の中期展望」を決定し、我が国の目指す経済社会の姿とそれを実現するための構造改革を中心とした中期的な経済財政運営についての明確な将来展望を示した。本「改革と展望」を踏まえて、平成14年度においては、聖域なき構造改革を更に推進することを基本に経済財政運営を行い、世界経済の持続的発展への貢献を目指す。

(1)聖域なき構造改革の更なる推進

 日本経済の再生を図るため、不良債権の迅速な処理と過剰債務の解消、規制改革や特殊法人等改革による民間活力が発揮できる環境の整備、財政構造改革による財政の対応力の確保など、経済社会の構造を根本的に改革し、我が国の持つ潜在力を発揮できる新しい経済社会の仕組みを作り上げていく。

 不良債権処理及び過剰債務解消については、特別検査も活用しつつ適正な債務者区分と十分な償却・引当の確保を金融機関に促すとともに、整理回収機構(RCC)等を通じ企業再建に積極的に取り組む。

 規制改革については、総合規制改革会議の答申を最大限尊重し「規制改革推進3か年計画」を改定するとともに、その着実な実施を図り、生活の質の向上とサービス分野等成長分野の拡大を進める。また、競争政策の強化により競争的な経済システムを構築する。

 特殊法人等については、「特殊法人等整理合理化計画」に従い、改革を実施に移すとともに、特殊法人等向け財政支出について、1兆円を超える削減を実施する。また、国家公務員については、メリハリのある定員配置を実現するとともに、全体としての国家公務員数の一層の純減を実現する。

 財政構造改革については、平成14年度予算を「改革断行予算」と位置付け、歳出のムダを省きつつ予算配分を大胆にシフトすることによって経済構造の転換を促進する。

 税制改正については、租税特別措置について聖域なく徹底した見直しを行うとともに、国際的に遜色のない、21世紀の我が国法人税制としてふさわしい連結納税制度を創設する。

 この他、地方の自主性を重んじて、地方の個性ある活性化を進めるとともに、都市の魅力と国際競争力を高めるため都市再生を推進する。ITについては、「e-Japan重点計画」、「e-Japan2002プログラム」に従い、世界最先端のIT国家の実現に向け、電子政府・電子自治体の推進等を図る。また、科学技術創造立国の実現のため、ライフサイエンス等重点4分野への資源の集中や産学官連携の推進等により科学技術の振興を図る。さらに、世界最高水準の大学を実現することなどを通じ人材育成・教育・文化の振興を推進する。少子高齢化対策については、公共空間等のバリアフリー化、高齢者雇用の促進や仕事と子育ての両立のための就労環境整備等を図る。環境問題への対応については、COP7の決定を受け京都議定書の平成14年締結に向けた準備を進めるなど地球温暖化防止対策を推進するほか、ダイオキシン問題への対応、各種リサイクルの推進等を図る。

 また、経済情勢を踏まえ、雇用の受け皿整備及びミスマッチ解消に努めるとともに中小企業への資金供給の円滑化を図るほか、セーフティーネットにより、構造改革の進展に伴って生じる痛みを極力、緩和すべく努める。

(2)世界経済の持続的発展への貢献

 世界貿易機関(WTO)第4回閣僚会議で立ち上げが合意された新ラウンドに積極的に参加し、多角的貿易体制の維持・強化に貢献するほか、アジア太平洋経済協力(APEC)、ASEAN+3(日中韓)、日・シンガポール新時代経済連携協定等のアジア太平洋地域における重層的な地域協力の枠組みの構築、国際金融システムの強化、同時多発テロがもたらす経済的悪影響を受けている国々を始め途上国への支援等に努めることにより世界経済の持続的発展に貢献する。

 なお、以上のような政策運営を行うに当たっては、平成13年度第一次及び第二次補正予算と平成14年度予算を一体として切れ目なく運用するほか、構造改革を推進していく中で考えられる様々なリスクに十分留意することとし、経済情勢によっては大胆かつ柔軟な政策運営を行うこととする。

 今後2年程度の集中調整期間において最も重要なことは、デフレを克服することと位置づけられる。政府・日本銀行一体となったデフレ問題への取組みに向け、日本銀行においても、政府の進める構造改革を踏まえ、デフレ阻止に向けて、適切かつ機動的に金融政策を運営するよう期待する。

3.平成14年度の経済見通し

 平成14年度は集中調整期間にあり、引き続き厳しい経済状況を甘受せざるを得ないことに変わりはない。これに恐れることなく、構造改革の断行によって経済の脆弱性を克服し、日本経済の再生を図ることが必要である。

 平成14年度は、「改革なくして成長なし」との考え方の下、構造改革を更に加速させることで潜在力を開花させ、民需主導型成長の実現を図る。年度を通した姿としては、平成13年度第二次補正予算を始め、デフレ問題への取組みなど政策展開の効果が着実に発現し、加えて米国経済の改善が見込まれることなどから、我が国経済は、引き続き厳しいながらも低迷を脱し、年度後半には、民需中心の回復に向けて緩やかに動き出すことが期待される。

 その結果、我が国経済は、国内総生産の実質成長率が0.0%程度となるなど、別添の主要経済指標のとおりと見通される。

(1)実質国内総支出

1個人消費

 個人消費は、構造改革の過程で短期的には避けられない雇用・所得環境の厳しさが続く中で低い伸びとなる(対前年度比0.2%程度の増)。

2民間住宅投資

 住宅投資は、住宅取得マインドの弱さを背景に前年度を下回る(対前年度比1.9%程度の減)。

3民間設備投資

 設備投資は、年度としては減少するものの、生産の持ち直しや企業の収益環境の改善により、年度後半には回復の動きがみられる(対前年度比3.5%程度の減)。

4政府支出

 政府支出は、「改革断行予算」の下で公的固定資本形成は減少するものの、介護保険給付の増加等により、前年度をやや上回る(対前年度比1.4%程度の増)。

5外需

 外需は、世界経済の緩やかな回復を受け、増加に転じる(実質成長率に対する外需の寄与度0.2%程度)。

(2)労働・雇用

 雇用創出型の構造改革を進める中で、完全失業率は、景気の動きに遅行することから、前年度に比べて上昇する(5.6%程度)。

(3)鉱工業生産

 鉱工業生産は、輸出等の回復を受けて、年度後半から持ち直しに転じるが、年度としては前年度を下回る(対前年度比2.4%程度の減)。

(4)物価

 物価は下落が続くが、需給要因の改善等から下落幅はやや縮小する(国内卸売物価:対前年度比0.8%程度の下落、消費者物価:対前年度比0.6%程度の下落)。

(5)国際収支

 世界経済の緩やかな回復等から、貿易・サービス収支及び経常収支の黒字はやや増加する(経常収支対GDP比2.3%程度)。

(注)我が国経済は民間活動がその主体をなすものであること、また、特に国際環境の変化には予見し難い要素が多いことにかんがみ、主要経済指標の諸計数はある程度幅を持って考えられるべきものである。

主要経済指標

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