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平成12年度経済見通しと経済運営の基本的態度

平成12年1月28日

閣議決定

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1.平成11年度の我が国経済と国際経済情勢

(1)これまでの経済運営

 我が国経済は、平成10年秋頃には、金融システムに対する信頼の低下や雇用不安などを背景として、いわば「不況の環」とも呼ぶべき厳しい経済状況の中にあった。こうした状況から脱却するため、政府は、平成10年11月に緊急経済対策を決定するなど、財政、税制、金融、法制のあらゆる分野の施策を総動員して、金融危機、経済不況の克服に取り組んできた。同時に、金融システムの改革、産業競争力の強化、雇用創出・労働市場の改革、中小企業政策の抜本的見直し・拡充等様々な構造改革に努めてきた。

 この結果、我が国経済は、民需の回復力が未だ弱く、厳しい状況をなお脱していないものの緩やかな改善を続けている。平成11年11月には、景気回復の一段の推進に努めるとともに経済社会構造の改革を実現することを目指して経済新生対策を決定し、全力を挙げて推進している。

(2)国際経済情勢

 世界経済は、総じて回復してきた。アメリカ経済は、先行きに不透明感もみられるものの、景気は拡大し、知恵重視の構造転換も続いている。ヨーロッパ経済も概して改善の動きが強まっている。アジア諸国の経済は、平成10年は厳しい状況にあったが、平成11年に入り急速に回復してきている。

(3)平成11年度の我が国経済

 最近の我が国経済は、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響で、緩やかな改善が続いている。しかし、現在までのところ、民間需要に支えられた自律的回復には至っていない。

 こうした状況の下で、平成11年度の我が国経済は、国内総生産の実質成長率が0.6%程度になるなど、別添の主要経済指標のとおりと見込まれる。

2.平成12年度の経済運営の目標

 以上のような情勢認識に立って、平成12年度の経済運営においては、次の3点を目標とする。すなわち、

  1. (1)民需主導の本格的景気回復の実現
  2. (2)知恵の時代にふさわしい経済社会の構築を目指す構造改革の定着
  3. (3)多角的貿易体制の維持・強化とアジア地域との経済連携の促進

 を目指す。

3.平成12年度の経済運営の基本的態度

 上記の目標を達成するため、平成12年度においては、次の4項目を重点として、適切かつ機動的な経済運営を行う。

(1)本格的な景気回復の実現  ―公需から民需へのバトンタッチ―

 雇用不安の払拭、新規事業の活性化、消費需要の拡大などを実現することによって、公需から民需への円滑なバトンタッチを図り、年度後半には民需中心の本格的な回復軌道に乗せることを目指す。

 こうした観点から、経済新生対策の着実かつ円滑な実施を図るとともに、平成12年度予算においては、公共事業は前年度当初予算と同程度の規模を確保し、地方財政にも配慮して、その適切な執行を図る。また、税制面においては、住宅ローン税額控除制度、特定情報通信機器の即時償却制度について適用期限の延長を行う等、民間投資の促進に資する措置を講ずる。

(2)揺るぎない構造改革の推進

 日本経済を新生させる発展基盤を築くため、以下のような施策をはじめ、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」に則り、従来の概念を転換したハード・ソフト両面からの構造改革を推進する。このため、

1中小企業・ベンチャー企業の振興

 中小企業を日本経済のダイナミズムの源泉として、また、地域経済の基盤的存在として振興する。また、多様な起業の支援、ベンチャー企業の育成を図るため、ストックオプション制度の特例等による人材確保の円滑化を図るとともに、資金調達の困難な企業に対する政策金融面での支援や、いわゆるエンジェル税制の対象となる特定中小会社の株式の譲渡益に対する課税の特例の創設等の諸施策による資金供給の円滑化・多様化を推進する。

2情報化の飛躍的推進

 情報通信ネットワークの高速・大容量化、教育の情報化、電子政府の実現、電子商取引の法整備、情報コンテンツの開発等を早急に推進する。

3新たな発展基盤となる社会資本の重点的整備

 高速交通体系の整備、都市・地域基盤の再構築、総合的な渋滞対策など新たな発展基盤となる社会資本の重点的整備を図る。

4新千年紀における経済フロンティア拡大

 新千年紀における経済フロンティア拡大の礎を築くため、ミレニアム・プロジェクトとして決定された情報化・高齢化・環境対応の3つの重点分野の技術開発プロジェクト等の推進を図る。

(3)安全・安心で楽しみのある国民生活の実現

 民間経済主体がダイナミズムを発揮する前提となる安全・安心で楽しみのある国民生活を実現する。このため、

  1. 1雇用保険制度の改革、高齢者雇用対策の充実、新規雇用の創出、人材移動の円滑化など雇用不安を払拭するとともに、安心して働けるための施策
  2. 2少子・高齢化に対応し将来にわたり安定的な社会保障制度の構築
  3. 3安全・安心で楽しみのある生活環境の実現
  4. 4環境への負荷の少ない経済社会の構築
  5. 5預金者保護を図るための交付国債の増額など金融システムの安定化
  6. 6消費者と事業者の間の市場ルールなど規制緩和の時代にふさわしいシステムの構築

等を推進する。

(4)世界経済の持続的発展への貢献

 多角的貿易体制の維持強化は、世界経済システムにとって重要な課題であり、世界貿易機関(WTO)新ラウンドの早期立ち上げに努める。また、アジア太平洋経済協力(APEC) の場等も活用し、アジア地域の経済連携の促進に積極的な役割を果たす。さらに、国際的な金融の安定・強化に努める。

 これらにより世界経済の持続的発展に貢献するとともに、アジア諸国に対する政府開発援助その他公的資金を通じて、これら諸国の経済回復や経済構造改革の努力を支援する。

4.平成12年度の経済見通し

 平成12年度には、雇用・設備の調整の進展度合い、海外経済の動向など、不確定要因が多いが、経済新生対策をはじめ必要な諸施策を推進することにより、年度後半には、民需中心の本格的回復軌道に乗る。

 平成12年度の我が国経済は、国内総生産の実質成長率が1.0%程度となるなど、別添の主要経済指標のとおりと見通される。

(1)実質国内総支出

1個人消費

 個人消費は、雇用情勢が転換途上にあるものの、雇用者所得が増加に転じることなどから、緩やかに増加する(対前年度比1.0%程度の増)。

2民間設備投資

 設備投資は、企業の景況感の改善や企業収益の回復などから、特に後半において増加する(対前年度比1.4%程度の増)。

3民間住宅投資

 住宅投資は、住宅建設促進施策の効果等が期待されるものの、前年度をやや下回る(対前年度比1.6%程度の減)。

4政府支出

 政府支出は、平成11年度第2次補正予算の効果もあり、前年度をやや上回る(対前年度比0.5%程度の増)。

5外需

 外需は、円高が進んだものの、世界経済の回復の進展などにより、財貨・サービスの輸出(実質)が増加し、前年度をやや上回る(実質成長率に対する外需の寄与度0.1%程度)。

(2)労働・雇用

 雇用情勢については、雇用調整圧力がなお強いものの、経済の回復にともない、完全失業率は前年度に比べやや低下する(4.5%程度)。

(3)鉱工業生産

 鉱工業生産は、増加が持続する(対前年度比2.2%程度の増)。

(4)物価

 原油高や経済の回復により、国内卸売物価は下落幅を縮小し(対前年度比0.1%程度の下落)、消費者物価はやや上昇する(対前年度比0.3%程度の上昇)。

(5)国際収支

 原油高等により輸出額の伸びに比べ輸入額の伸びが高いこと等から、貿易・サービス収支及び経常収支の黒字はやや縮小する(経常収支対GDP比2.3%程度)。

(注)我が国経済は民間活動がその主体をなすものであること、また、特に国際環境の変化には予見し難い要素が多いことにかんがみ、主要経済指標の諸計数はある程度幅を持って考えられるべきものである。

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