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大田大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

第18回会議(平成20年7月22日)

大田大臣

(1) 経済の現況と今後のマクロ経済運営について

(2) 「平成21年度予算の全体像」について

(3) 「構造変化と日本経済」専門調査会報告について

 大田弘子です。本日、今年第18回目の経済財政諮問会議が開催され、経済の現況と今後のマクロ経済運営、「平成21年度予算の全体像」「構造変化と日本経済」専門調査会報告について議論しました。

 経済の現況と今後のマクロ経済運営については、まずマクロ経済について、内閣府からの説明及び日銀の白川議員からご説明があり、以下のような議論がありました。

  • 民間議員から、今建設資材など足元が冷え、中小の資金繰りが厳しくなっているので、日銀においても柔軟な政策運営をお願いしたい。また、目下の資源、食料高というのは一過性ではない。生産者も消費者もやはり痛み分けをしていかなければいけない面がある。そして、日本が圧倒的優位を持っている省エネ技術を生かしていくチャンスである。
  • 民間議員から、原油高、食料高は、相対価格の変化であり、新しい価格体系に移っているのであって、これを受け入れなくてはいけない。日本全体が輸入と輸出の対比では、貧しくなるということであるけれども、全員が少しずつ痛み分けをしなくてはいけない。原油高の分を補てんしてほしいという要求もあるけれども、直接補てんをそのまま行うことは残念ながらできない。間接的にこれをチャンスとして、日本の技術力を生かしていくことが必要。また、政策対応の方向としては、食料の増産を本格的に考え、食料増産を妨げている仕組みをなくすべきである。
  • 中野経済産業副大臣から、省エネ、新エネに取り組んでいくとともに、原油高に対してもセーフティネット金融保証の延長を拡大してきた。ただ、地域経済そのものが非常に厳しい状態になっていて、民間の中小企業は体力が弱っている。原油高の直接補てんは難しいことはよくわかるけれども、やはり何らかの対応が必要ではないか。
  • これに対して民間議員から、例えば漁業の場合にとれた魚が消費地に行くまでに値段の乖離があって、流通コストがかなりかかっている。この部分の効率化が必要である。また、別の民間議員から、第一次石油ショックのときも日本経済はこれを乗り越えて、経済構造を強くしてきた。何らかの手だてを講じるにしても、非効率な部分をそのまま温存するのではなくて、やはり転換促進を進めるような手だてが必要である。

 総理から最後に次のような発言がありました。

  • アメリカを初めとする海外の経済情勢というのは大変流動化している。関係閣僚は、こうした海外の経済動向と日本経済への影響について、緊張感を持って注視していくようにと。時には機敏に対応してほしいという発言がありました。

 続いて「平成21年度予算の全体像」について、民間議員から、予算の全体像のペーパーの報告があった後、内閣府から「進路と戦略」の参考試算の改定について説明が行われました。これについて、次のような意見がありました。

  • 谷口総務副大臣から、プライマリーバランスを2011年度に達成するのは最重要課題であり、国、地方ともに歳出・歳入一体改革をしっかりと進めなくてはいけない。地方も歳出改革努力を今やっており、諮問会議でも指摘された、技能労務職の給与が高いという点についても、この見直しを今一生懸命やっている。ただ、地方の歳出は国の施策と密接に関連しているので、地方にツケ回しをしないようなことが重要だと。これについてはシーリングの閣議了解の際に幾つか申し上げたいということで、具体的に御発言がありました。

 また、額賀議員からは、以下のような発言がありました。

  • 参考試算の改定で、2011年度、成長ケースであってもGDPの0.7%のプライマリー赤字が生ずるという試算が示されている。今後の財政健全化への道筋は厳しいが、将来世代に負担を先送りすることなく、また国債市場の信任を得られるように、プライマリーバランス黒字化は確実に実現しなければならない。歳出・歳入一体改革をしっかり進めていく。
  • 平成21年度予算について、ポイントは財政健全化と重点課題への対応を両立させること。財政健全化については、今回がこの5年間のプログラムの3年目になるが、「骨太2008」にのっとって公共投資は3%の削減、社会保障は2,200億円の伸びの抑制をするということをやっていく。それから、重点課題への対応も総理の指示に従って政策の棚卸しを行い、メリハリをつけていく。その方向で今後シーリングを調整していく。
  • それから、民間議員ペーパーに、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げるということを確実に実施すると書かれている。これに関連して、法律には安定的財源を確保するための税制の抜本改革を行うということが書かれており、これはきちんとその方向でやるべきである。予算の全体像の取りまとめにも、そのことをきちんと明記すべきである。それから、消費税を含む税体系の抜本改革に真正面から取り組まねばならない。

 民間議員から、次のような発言がありました。

  • 来年度予算の一番大きい点は、道路特定財源の一般財源化である。これは、戦後財政改革の特筆すべきことであるので、きちんとやっていく必要がある。もう一つ重要な点は、公益法人問題などの「ムダ・ゼロ」に向けた取り組みである。そこで財源を捻出して重要課題に充てるということで、これが形ばかりの取り組みになってしまうと、財政改革は不十分となり、放漫財政に戻りかねない。諮問会議としても特会の改革などをしっかりと議論していく必要がある。
  • 各分野で歳出増の圧力があるが、軸がぶれてはいけない。原則を揺るがせにすると際限なく緩んでいく。成長力強化と財政健全化を両立させる正念場である。2011年のプライマリーバランス黒字化の旗を決しておろしてはいけない。これまでの努力を水泡に帰すことなく、ペイ・アズ・ユー・ゴーの原則に立って改革を続けるべきである。
  • 参考試算の改定はやはりショッキングな数字である。今後についても、やはり不確実性は高く、アメリカのエコノミストの中には、米国経済は持ち直しは来年春からになるという声もある。今の試算では来年にかけて持ち直していくということになっているが、それがさらに遅れる可能性もあり、成長シナリオは下振れの可能性もある。これから12カ月というのは日本にとって大変重要な時期である。
  • 日本の成長力が、今は鈍化しているけれども、この危機をチャンスに変えなくてはいけない。その最善の道として避けて通れないのは、抜本的税制改革を行うこと。歳出削減、「ムダ・ゼロ」は当然重要であるけれども、医療、介護の水準を維持していくには、これだけでは不十分で消費税に頼らざるを得ない。また、法人税も、日本のこの法人税負担の重さというのが、国際的にも実感されていて、このままでは対日投資が減少するし、日本の法人も海外に逃れることが考えられる。企業活動の活性化は、やはり国民生活全体の向上につながる。それから、少子化、子育てへの所得減税も行うべきである。日本が海外から取り残されないためにも、税制改革をしっかりやるべきだ。

 中野経済産業副大臣からは、以下のような発言がありました。

  • 一般会計、特会の「ムダ・ゼロ」をしっかりとやる。時間を区切って、いつまでに実施するということを徹底してやらないと、国民の理解は得られない。政策の棚卸しも国民にわかりやすい形でやっていく必要がある。

 町村議員から、以下のような発言がありました。

  • 予算の全体像は、歳出削減というメッセージはよく出ているけれども、もう少し前向きのメッセージが必要ではないか。全体を通して、やはり厳しいトーンだけではなく、前向きの話が必要である。

 これに対して、民間議員から

  • 成長力の強化というのをあわせてやっていくことが必要だと。

 との発言がありました。

 また、私からも、この点は「骨太」にも書かれているわけですから、それを踏まえて、「予算の全体像」にも書いていきたいと思っていますということを申し上げました。

 さらに、額賀議員からも、

  • 基本は経済力の強化ということが重要なので、どこが伸びる分野なのか、各省にしっかりと選択と集中をしてもらって、成長力強化への予算にしたい

 という発言がありました。

 最後に総理から、次のような発言がありました。

  • 成長力の強化と財政健全化の両立は、容易なことではないが、日本はこの道を追求していくしかない。狭い道だけれども、この狭い道を追求していくしかない。そのためにも、内外の経済情勢にきめ細かく注意を払ってほしい。そして、注意を払いながら、21年度予算については、これまでの歳出改革努力をしっかりと継続していく必要がある。同時に、国民のニーズの高い政策課題に適切に取り組むことが重要だ。メリハリのきいた歳出の見直しを行い、財政健全化と重要課題への対応を両立させなければならない。こうした方針に沿って、早急に21年度予算の全体像を取りまとめ、財務大臣は概算要求基準を策定されたい。

 次回、諮問会議としての「予算の全体像」を取りまとめます。

 最後の議題、植田先生においでいただいて、専門調査会の報告をしていただきました。これについて、民間議員から、次のような発言がありました。

  • この報告の重要な点は、大事だけれども現実の政治ではなかなか議論されないようなことがしっかりと書かれていることだ。例えば若者に負担をしわ寄せしてはいけないとか、あるいはグローバル化の中で雇用制度の抜本改革の遅れが、実は非正規雇用の増加につながっているといった点である。こういった改革をしっかりと進めていく必要がある。この報告を通して、日本には改革の意思があるということを海外にアピールしていく必要がある。
  • 先ほど予算の全体像の議論のときに、前向きの話、明るい話も必要だという意見があったわけですが、このビジョンに書かれているようなことを実現していけば、明るい展望が開ける。例えば出生率1.8を実現させるために何が必要で、そのために予算はどうあればいいのかということを考えていくと明るい話になっていく。それから日本にとってはやはり外需というのは重要で、農業についても輸出を伸ばすような環境整備が必要だ。
  • 10年後にこのビジョンを実現させるための具体的な道筋をどうつくっていくかが重要で、この報告をベースにして今後この道筋をつくっていく必要がある。

 最後、私から、グローバル化の中で、日本が10年後に目指す経済社会の姿というのを、道筋を示していただいているので、この提言を指針として諮問会議でも引き続き改革を進めていきたいということを申し上げました。

(以 上)

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