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大田大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

第23回会議(平成19年10月17日)

大田大臣

(1) 社会保障制度と財源のあり方(社会保障と税)について

  1. 給付と負担の選択肢
  2. 医療

(2) 地域経済の建て直しについて

 大田弘子です。本日、今年第23回目の経済財政諮問会議が開催され、社会保障制度と財源のあり方(社会保障と税)について、1回目の議論をしました。
なお、地域経済の建て直しについては、私から地域力再生機構(仮称)の経過報告をする予定でしたが、時間の関係で次回に送らせていただきました。

 まず、給付と負担の選択肢について、民間議員から3つの試算が出されましたが、ポイントは2つあります。

 1つ目のポイントは、給付と負担がセットであるということです。歳出・歳入一体改革のポイントは、給付と負担を常にセットで議論することですので、3つの試算とも給付と負担はセットであるということです。
2つ目のポイントは、成長力をつけることが重要であるということです。成長力をつけることで将来の負担は大きく変わってきます。逆に言うと、成長力をつけていかないと日本の高齢化は乗り切れないという含意があります。

 試算 I は、2011年度に向けての歳出の異なる姿です。これは1月に参考試算を示して、8月に改定を行った「進路と戦略」の参考試算と基本的に同じです。違う点は、概算要求基準を加えてあります。「進路と戦略」と同じく、歳出削減が11.4兆円のケース、14.3兆円のケース、それぞれについて成長力のための取組が行われて望ましい成長が達成されたケースと、何らかの要因で成長が制約されたケース、この4つのパターンを示してあります。
それに加えて、これから例えば少子化対策など、新たな歳出の必要性という議論も出てくるかと思います。これについては、新たに選択が必要ですので、14.3兆円の歳出削減ケースに、毎年1兆円ずつの歳出が加わった場合という3つ目のケースも付け加えてあります。

  試算結果ですが、名目成長率3.0%が達成されたケースでは、一番上のラインが目指すべき歳出削減14.3兆円のケースで、この場合は増税がなくてもプライマリーバランスは均衡します。なお、この中には基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げるということも含まれており、それも含めてプライマリー収支は均衡します。
  他方、歳出削減が11.4兆円のケース、あるいは14.3兆円の削減に比べ毎年度1兆円ずつ歳出が増えていったケースについては、それぞれ、プライマリー赤字1.9兆円、赤字2.6兆円となります。この足りない分は増税で埋めなくてはいけません。この増税を2011年度に行うという前提になっています。そのとき2011年度1年間ですが、増税によって若干経済に影響が及ぼされますので、プライマリー赤字の金額と増税の必要額は若干異なってくるということになり、わかりやすいように増税必要額という形で示してあります。
  また、成長が制約されたケースでは、歳出削減を14.3兆円やっても、プライマリー赤字が残ることになります。

 試算 II は、中長期、2025年度までを展望しています。給付を今のとおり維持したら、負担は一体どこまで増える必要があるのか。逆に負担を一切増やさないとしたら、給付はどこまで削減しなくてはならないのかという極端な2つのケースで示しています。
経済前提として、2011年度までは試算 I と同じように成長シナリオ、制約シナリオで示してありますが、2012年度以降は、成長ケースが名目3.2%、実質1.7%成長、制約ケースが名目2.1%、実質0.9%成長の2つのケースとしています。
また、「基本方針2006」の中に債務残高の発散を止めることが書かれていますので、債務残高の対GDP比を2011年度以降上昇させないという縛りをかけて、必要な負担増を計算してあります。
試算結果ですが、2007年度からスタートして、破線が成長が制約されたケース、点線が望ましい成長が達成されたケースであり、右側の赤い箱が給付を維持した場合、青い箱が負担を維持した場合です。
箱の一番左端の括弧の中の数字、9.1%や8.7%が社会保障の負担の対GDP比%になります。また、右端にある増税必要額は、債務残高GDP比を上昇させない前提のもとで必要になる増収額です。
一番上の28.7兆円とその下の14.4兆円、つまり実質成長率が1.7%と0.9%とで0.8%違い、名目成長率で1.1%違うことによって、2025年度においては14.3兆円の違いが出てきます。負担を維持するケースでもそれだけの成長率の違いによって、16兆円ぐらいの違いが出てきます。成長力を高める努力をしないと高齢化を乗り切るのは極めて厳しくなるということが、ここに如実に表れています。

 試算 III は、試算 II をわかりやすくするために、1人当たりで見たものです。これについては、医療、介護、年金それぞれの給付を見ていかなくてはいけませんので、厚生労働省のデータを使っています。したがって、成長率前提などは試算 I 、 II とは若干異なります。前提については、最後のページに賃金上昇率や物価上昇率が書かれています。
試算結果ですが、現状の2008年度では、1人当たりの負担が121万円、給付が238万円です。
給付維持・負担上昇のケースでは、保険料負担は2015年で121万円から141万円に上がります。給付維持と言いながら、238万円だった給付が247万円に上がっていますが、これは高齢者が増えることによって、1人当たりの平均の給付が増えることを意味しています。
次は、2015年度の給付削減・負担維持ケースです。負担維持と言いながら、121万円より増えていますが、これは所得に対する負担の比率を一定にしているからです。この場合、医療で1割程度、介護で2割程度の給付削減が必要になります。
更に、2025年度、団塊の世代が75歳以上になると、医療費などが急速に増えてきます。2015年と2025年を比べても、この上昇がおわかりいただけると思います。

 以上の3種類の選択肢、また、民間議員ペーパーで「安心・持続のための5原則」というものが示されました。

 この後、舛添臨時議員から資料にあわせて説明があり、以下のような発言がありました。

  • 歳出抑制にはそろそろ限界が来ているように思われる。1兆円の削減というのは並大抵ではない。一生懸命努力しているが、今の財源では限界が来ているような感じがある。
  • 地域の負担を解消していくことも大事。
  • 本格的な少子化対策で働く人の労働参加を高めていかなくてはいけない。
  • 今問題になっている医師不足、こういうものに対応していかないと、地域の不安も解消されない。

 この後、以下のような発言がありました。

  • 甘利議員から、負担を考えると、企業負担を考えても、負担全体を見ても、質を確保しながらコスト構造を是正していくことが必要。
  • 額賀議員から、社会保障の負担に対して、中長期的に安定的な財源を確保する必要がある。早期に消費税を含む税制の抜本改革を議論する必要がある。これは国民生活に直結するので真剣に取り組んでいきたい。政治状況も変わってきているので、政府・与党として協議の場をつくって議論にとりかかりたい。その上で、国会で野党とも共通の認識を持てるようにしていきたい。
  • 民間議員から、社会保障の財源が天から降ってくるわけではない。給付を増やせば国民の負担は増えるので、将来世代への先送りは避けるという意味で5つの原則をしっかり守らねばならない。
  • 民間議員から、今回のようにマクロフレームを踏まえることは重要だが、この議論だけで終わってしまうと非常に無機質な数値だけの議論になってしまい、諮問会議は国民の立場に立っていないと言われかねない。社会保障はセーフティネット、安全・安心の基盤として大事であり、高齢者は非常に格差の大きいライフステージ。就労形態も変わっているので、制度の具体的内容についても、細かいところに気配りして諮問会議で議論する必要がある。必要な給付はどれぐらいなのかという議論をして、それをマクロでチェックしつつ、またフィードバックするということが大事ではないか。
  • 民間議員から、試算には2つの大きいポイントがある。1つ目は、2011年度にプライマリーバランスを黒字化させることは不可欠。この前提が崩れると増税幅も大きくなってしまうことを改めて確認したい。2つ目は、増税がどうこうという議論以上に、実質成長率が0.8%違うだけで増税の必要性が大きく違う。成長が重要であり、成長しないと財政の健全化も安定した社会保障制度も提供できない。
  • 増田議員から、社会保障においては地方の役割が大きい。今、都道府県ごとに医療費適正化計画をつくっている。社会保障給付だけではなく、マンパワーの配置など、給付以外の面でも地方の役割が大事になってくる。地方の安定的な財源を確保する必要がある。
  • 舛添臨時議員から、財源もしっかりと考える必要があるが、社会保障というのは不安を醸成されると、逆にGDPにマイナスになるというようなこともあるのではないか。GDP比の6割が個人消費なので、社会保障に不安が起こると高齢者の消費が減少し、それが成長の限界になりかねない。
  • 甘利議員から企業負担についてのペーパーが出ているが、税方式でやると数値が小さくなる等の点も考えなければいけない。企業の社会的責任についても議論する必要がある。
  • 民間議員から、舛添臨時議員に対して、医療水準を下げろという提案をしているのではなく、質を下げずに無駄を省いていくという提案である。
  • これに対し、舛添臨時議員から、それはよくわかっている。しかし、相当の努力をしているということは理解してほしい。
  • 給付を下げるという議論が医療水準を下げるという議論に直結してイメージでとられるのは注意しなくてはならない。
  • 町村議員から、成長ケース、制約ケースと出されていて、成長が大事だというのはわかるけれども、成長のために何をするのかというのがよく知られていない。成長力加速プログラムなど、そういうものがよく知られていない。中身について、しっかりと伝える必要がある。
  • 甘利議員から、同じ予算であっても、予算の質を変えて成長に役立つような試算にしていく必要がある。

 次に、医療について、高齢者医療制度を中心に民間議員からペーパーが出され、説明がありました。

 これに対して、舛添臨時議員から、以下の発言がありました。

  • 高齢者医療制度については、世代間の公平や制度の持続可能性から見て、改革の方向は間違っていない。間違っていないが、高齢者というのはきめ細かな対応が必要。今、与党のプロジェクトチームで検討しているので、それを踏まえて対応していきたい。
  • 高コスト構造是正については、着実に手を打っている。安心を与える方向でしっかりとやっていきたい。例えば、社会的入院も、療養病床をさっと削ると言ってしまうと大変な反応が起こるので、きめ細かく懇切丁寧に説明しながらやっていくことが必要である。丁寧に実行していくことが必要。

 これに対して、民間議員から、以下の発言がありました。

  • 高齢者の医療費が増えていくと、それは若年者の負担になる。特に日本の場合は、社会保障給付費が若年者には少なく、高齢者にはかなりの給付があるという点で不均衡であり、更なる改革が必要。また、高齢者内で所得格差が大きい。貧しい人には十分に配慮しなくてはならないが、豊かな高齢者には応分の負担を求める必要があるのではないか。
  • 今の高齢者医療制度でも、激変緩和措置というのは色々考えられているのだろうが、どうもややこしい。国民にわかりやすい説明が必要。
  • 医師不足に関しては、医師と看護師の役割分担で、専門知識のあるナースについて、より役割を広げるような工夫が必要。なお、舛添臨時議員からも、医師の補助員を入れるというような改革をやっていきたいという話がありました。
  • 医師不足を解消するため、医学生をもっと増やしていかなくてはいけない。各県2名ということになっているようだが、これでは到底不足する。医師の養成は10年くらいかかるので、文科省と厚労省でよく話し合って対応してほしい。

 額賀議員からは、世代間のバランス、世代内のバランス、両方考える必要があるが、若い世代に希望を与えるという意味で、医療だけでなくて、教育であるとか、職業訓練とか総合的に力を入れる必要があるという発言がありました。

 私からは、以下のとおり、取りまとめました。

  • 民間議員から提案のあった「安心・持続のための5原則」については、格別の反論はなく、大筋において認めていただいた。
  • 民間議員から提案のあったチェックポイントについて、内閣府としてどんなデータを指標として使うのか、これは民間議員にも相談しながら決めていきたい。5つの原則を何らかの指標でチェックしていこうという話なので、指標のあり方が非常に大事。
  • 試算と選択肢については、今後の議論に活用していきたい。
  • 「基本方針2007」の「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」について、今後また、舛添臨時議員に折りを見てフォローアップを報告いただきたい。

 総理からの締めくくりの発言は、以下のとおりです。

  • 社会保障と税は、国家という視点に立っても、一人一人の国民の生活にとっても、極めて重要な問題。中長期な視点から、安心・持続を確保をしていかなければならない。
  • 今日の議論では、民間議員から、「安心・持続のための5原則」という国民の立場に立った議論のポイントを示していただいた。
  • 人口減少、高齢化が進む我が国において、これから社会保障の給付を維持していくには、国民の皆様に今まで以上の負担をお願いしなければならず、逆に負担を維持していくならば、社会保障給付のカットをお願いしていかなければならないという非常に厳しい選択をしていかざるを得ないことが示された。
  • 高齢化は確実に進行するので、問題の先送りをすれば、選択肢は更に厳しいものになる。
  • 日本の将来をしっかりと見据え、国民の立場に立ったわかりやすい議論を今後早急に積み重ねていく必要がある。
  • 民間議員から発言があったように、わかりやすい議論が必要なので、国民一人一人にとってわかる説明、現在と将来で給付と負担がどうなるかということをわかりやすく説明していく必要がある。
  • また、社会保障給付の中身、医療や介護や年金の中身を具体的にブレークダウンして、国民生活の姿が浮かび上がるようにしてほしい。
  • その上で国民的な議論が行われることが望ましい。

 私からも、今日は1回目の試算を示しましたが、これを土台にして、これから色々な形でわかりやすい選択肢を示して議論をしていきたいと発言しました。

(以 上)

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