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大田大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

第11回会議(平成19年5月8日)

大田大臣

(1) 歳出・歳入一体改革(公務員人件費改革)について

(2) 公共投資改革について

(3) 政府の資産・債務改革について

(4) マクロ経済運営について

 大田弘子です。本日、今年第11回目の経済財政諮問会議が開催され、公務員人件費改革、公共投資改革、政府の資産・債務改革、マクロ経済運営について議論しました。今日から、歳出・歳入一体改革の個別項目をしっかりと議論していきたいと思います。

 公務員人件費改革については、前回4月25日の諮問会議での民間議員ペーパー「歳出・歳入一体改革について」の中で、さらなる人件費削減を目指すということが書かれています。「骨太2006」の中では、公務員人件費を5年間で2.6兆円の削減効果を目指すと書かれていますが、前回の民間議員意見は、これをさらに上回る削減を目指すべきだという提言です。これについて議論しました。

 菅議員からは、技能労務職員等の給与について民間類似職種と比較した大変興味深いデータが示されました。例えば清掃職員と民間の廃棄物処理業従業員を比べると都道府県では平均給与月額で1.66倍、学校給食員と調理士を比べると都道府県では平均給与月額は1.52倍、バスの運転手は1.54倍と、公務員の方が高いということです。年収ベースでみると、清掃職員は1.6倍程度、学校給食の職員も1.6倍から1.7倍というデータが出ています。菅議員から、こういうデータをしっかりと国民に示して、国民の視線にさらされる形で、さらなる削減に努めていきたいという発言がありました。

 尾身議員からは、国家公務員も厳しく削減するが、役職をそろえて比較すると地方の方がやや高いので、地方の方はしっかり改革すべきとの発言がありました。

 民間議員からは、公立病院や保育所の職員についても、今日の菅大臣の例には出ていませんが、やはり高いのでしっかりと改革すべきという発言がありました。

 これらを受けて、菅議員からは、国と歩調を合わせてしっかりと改革をやりたいとの発言がありました。

 この他、菅議員のデータは月額とか年収ベースだが、例えば保育所でいうと延長保育の比率は公立の方が低いので、時間単位で比較するともっと高くなるのではないかという発言がありました。

 このような議論がなされ、公務員人件費については、国・地方ともに改革をさらに進め、「骨太2006」で決定された水準を上回る削減を目指すことで、コンセンサスが得られました。

 公共投資改革については、民間議員から、21世紀の日本にふさわしい公共投資の7つの原則が示されています。そして、歳出改革をしっかりと進めることで、平成20年度予算においても名目対前年度比3%の削減を行うべきであると提言されています。

 冬柴臨時議員からは、以下の発言がありました。

  • プライマリーバランスを回復していくことは国民への約束なのでしっかりとやっていかなくてはいけないが、公共事業費をさらに削減していくのは限界がある。
  • 民間議員から20年度予算は3%削減との意見が出ているが、これはショックな話。
  • その第1の根拠として、過去の入札談合事件における不当利得が2割程度あったということが示されているが、これは公取の懲罰金も含んだ金額であるし、公共事業以外のものも含まれている。
  • 第2の根拠である一般競争入札を拡大すれば落札価格はさらに低下するはずとの指摘については、落札率が85%を切ると品質が急に悪くなるという経験則がある。落札率85%をさらに切っていいのかということも考えなくてはいけない。
  • 第3の根拠である官民のコスト比較をするとまだ削減余地があるとの指摘については、コストの中で建築工事費は10%で、残りは土木工事費。建設工事費の比較を全体に敷衍するわけにはいかないし、公共工事については災害対策とかバリアフリーといったことも考えなくてはいけないので、簡単に比較はできない。
  • これからはデフレ脱却をしていくので、物価、資材費ともに上がる。このまま3%削減を続けると、事業量を確保できない。従って、マイナス1%からマイナス3%という閣議決定がなされたので、今の時点でマイナス3%というような決め打ちはとてもできない。
  • 歳出削減の努力は当然するが、国際競争力や安全のため、また地方の道路整備を考えれば、公共事業をこれ以上削減していくというのは厳しい。
  • 民間議員からの談合防止策として、国の事業で平成20年度から6,000万円以上の工事については一般競争入札になるが、これをできるだけ早期に例えば3年以内にすべての工事を一般競争入札にするという提言がなされている。しかし6,000万円以下の工事は工事件数で言うと50%ぐらいあり、これを一般競争入札にしていくと行政経費が膨大な金額になり、6,000万円以下の工事まですべて広げていくのは難しい。

 これに対し、民間議員からは、以下の発言がありました。

  • 安倍内閣は改革を断固として行うという決意で国民に納得してもらっている。費用の縮減には限界はない、民間は乾いたタオルを絞るようにして努力しているのだから、公共工事についても合理化、効率化を進めるべき。
  • できないという理屈はいろいろあるだろうが、4つの反論をしたい。第1に、選択と集中を発揮してめり張りをきかせるべき。第2に、指名競争入札の状況、談合などを見るとまだまだ甘い。一般競争入札にした場合の費用と効果はよく考えなくてはいけないが、一般競争入札をさらに広げる余地はあるのではないか。第3に、冬柴臨時議員の資料の中にアメリカでもドイツでも最近公共事業費を拡大させているというグラフがあるが、国際的に見て対GDP比は日本はまだ高い。日本は3.8%で、アメリカは2.5%。第4に、資材費がアップしているという話があったが、人件費や建設機械費は上がっていない。3%削減を続けていけるのではないか。知恵を一生懸命絞って、民間と同じような努力をしていくべきではないか。
  • 民間議員提言の原則6に「実績が事前の想定を下回る公共投資の事例等について、経済財政諮問会議においても審議を行い、分野別の予算などに反映する」というのがあるが、実績が事前の想定を下回る例がこれまで余りに多かった。この点を考えるべき。
  • 冬柴臨時議員のペーパーに中部地方が活性化しているという話があったが、中部の公共投資は中部空港を含め計画段階から民間が入ってなされた。民間の知恵まで入れればコスト削減はもっとできるのではないか。

 この他、以下の発言がありました。

  • 全体の重点化、効率化が必要。
  • 港湾や空港の24時間化などソフト面、サービス面の充実が必要。同じ規模の社会資本でも使い方によって、その利便性は拡大するはず。
  • 一人の人が反対して滑走路ができないというような例がある。これは本当の意味の民主主義とは言えない。個人の権限と公民の利益、国民全体の利益のバランスが壊れている。ここを改善してコストアップにならないような改善の余地があるのではないか。
  • 地方の仕事は地方でもっとやるべきではないか。一般競争入札を拡大しても、地方の事業は地方でやれるような枠組みをつくるべきではないか。

 民間議員からは、さらに6,000万円以下の工事まで一般競争入札を拡大すると行政コストが高いというが、その根拠を示してほしいという発言がありました。

 冬柴臨時議員からは、民間議員からの対GDP比で比べればまだ日本は高いではないかとの指摘に対し、アメリカやイギリスはGDP自体が上がっているが、日本は分母であるGDPが横ばいで、なおかつ公共事業費は下がっているという点も考えなければいけない。削減に一生懸命努力はするが、そういう点も考えてほしいという発言がありました。

 これに対し民間議員から、国民の負担との関係では、対GDP比で水準を考えるべきではないかという発言がありました。

 私の取りまとめは、以下のとおりです。

  • 入札や契約制度をさらに改革していかなくてはいけない、事業評価を厳格化して効率化・重点化を図るという点については、意見は一致していた。
  • 今日示された入札契約制度、事業評価の厳格化などについては、さらに「骨太2007」に向けて調整していきたい。
  • 民間議員提案にあった7原則についても、今後調整を行っていきたい。
  • 予算については、総理からも歳出改革を強力に推進していかなくてはならないという指示がなされているので、今後引き続き検討していきたい。

 総理からは、以下の発言がありました。

  • 真に必要な社会資本は、国際競争力や安全・安心の観点からも必要だが、そういう中でめり張りをつけることが重要。
  • 安倍内閣は「骨太2006」をしっかりと引き継いで、歳出改革を行っていきたい。
  • 冬柴臨時議員におかれても、引き続き歳出削減の努力を続けていただきたい。

 資産・債務改革については、専門調査会の会長でもある八代議員から、民間議員ペーパーに沿って報告がありました。

 これに対して、尾身議員から、工程表に沿ってしっかりとやっている、民間議員ペーパーに「さらに加速する」という文言があるが工程を加速することはできない。まずは、しっかりと工程表に沿ってやっているというのを見守ってほしい、という発言がありました。

 民間議員からは、有識者会議でしっかりチェック、フォローしていくので、工程表の中でもさらに改良の余地があれば、それをやっていくということが大事であるという発言がありました。

 この他、以下の発言がありました。

  • 資産・債務改革は国民の負担増にならないようにすることなので、持っている資産の利回りを高めるという発想も必要。
  • 国立大学法人の資産についても書かれているが、文科省が資産運用のルールを比較的保守的にしているのを、国立大学法人がやりたいように資産運用できるようなルールが必要ではないか。

 これについては、今日の議論を踏まえて専門調査会でさらに議論し、諮問会議に報告いただきたいということを私の方から発言しました。

 マクロ経済運営については、内閣府と日銀から説明がありました。これに対して、民間議員から日銀へ以下の質問が出されました。

  • CPIにやや上方バイアスがあると言われていることや、物価下落と景気が悪循環を起こすリスクである「のりしろ」を考えると、日銀の「物価安定の理解」の下限の0%というのは低過ぎるのではないか。
  • 「物価安定の理解」という発表の仕方について、政策委員個人の見解の集約としてではなく、日本銀行全体として出せないのか。例えばイングランド銀行では、金融政策委員が議論をして共通の見通しを示している。日本銀行もこういうことができないか。
  • 現在の資産価格についてどう思っているのか。
  • 労働市場の需給は改善しているが、なかなか賃金が上がっていかない。需給ギャップと賃金の感応度は低下しているのではないか。そうだとすると、労働需給が逼迫しているから、賃金の上昇を経ていずれ物価が上がっていくという見通しは、本当にそう見ていいのか。

 これについて、日銀(福井総裁は海外出張のため、武藤副総裁が出席)から次のような回答がありました。

  • 下限の0%については、計測誤差であるバイアスはあるが、大きくないと見ている。「のりしろ」についても、物価下落と景気の悪循環のリスクは小さくなってきている。また、国民の物価観も考えなくてはいけない。過去20年間の日本のCPIの上昇率は低くなっており、コアCPIで0.6%。これに比べて諸外国は3%から4%で、日本は比較的安定している。物価は安定していると国民は見て経済活動を行っているので、こういうことも考えると、0から2%の0%が低過ぎるとは考えていない。さらにまた1年たって点検していきたい。
  • イギリスはインフレーション・ターゲティングという仕組みをとっているが、日本は採用していない。日本独特の考え方で、合議制のもとで集約する形で提示している。この物価安定の枠組みへの理解も徐々に深まってきていて、有効に機能し始めていると考えている。
  • 資産価格の中で、特に地価に関しては、全国的に見るとようやく下げどまったかというような状態。一部の大都市ではかなり高い上昇もあるが、バブルが起こるという認識は持っていない。
  • 労働市場に関しては、確かに所定内給与は上がらないが、この理由としては団塊世代がリタイアしているということも理由として考えられるのではないか。所定内給与は上がっていないが雇用者報酬全体は増えており、マクロとしての雇用者所得は増えている。つまり、雇用者数は増えている。生産年齢人口が徐々に減少していくので人手不足感は強く、いずれ回復に伴って物価上昇につながっていくと見ている。ただ、景気回復しても物価が上昇していかない点は、景気回復と物価の関連性が少し弱くなっているのは事実。しかし、これは逆に言うと、一たん上がり始めると、なかなか物価が下がらないという両面のリスクも考えられるのではないか。

 マクロ経済運営については、透明性と説明責任の観点から、政府、日銀ともに今後も議論を展開していきたいと思います。

(以 上)

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