記者会見要旨

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨(今後の経済財政動向等についての点検会合について)

  • 日時:平成26年11月13日(木曜日)13時43分~13時59分
  • 場所:合同庁舎8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

 第2回「今後の経済財政動向等についての点検会合」の概要について申し上げます。
 出席者からの主な御意見を紹介申し上げます。
 まず、足下の景気の現状と見通しについてでありますが、懸念材料として、木暮さんより、「有期雇用労働者の賃金が十分に上がっていないということ」、山屋さんからは、「資材価格の高騰等により復興が遅れており、増税が復興への足止めとなるおそれがあること」、吉川さんからは、「消費者は景気回復を実感できていないこと」が挙げられました。
 続いて、消費税率引上げについて、来年10月に予定されている8%から10%への引上げについてでありますが、「引き上げるべきだが、それに伴う低所得者層対策等が必要である。」とおっしゃったのが、今村さん、大日向さん、吉田さんのお3方であります。他方、「引上げを当面見送るべきである」とおっしゃったのが、宍戸さんと吉川さんであります。そして「引上げを行うべきではない」とおっしゃったのが、山屋さんです。なお、白石さんは、「消費税率引上げの是非の判断は景気への影響を最重視して検討すべきである」というお答えです。
 対策の中身についてであります。先程申し上げた中で、「低所得者対策等を行うべき」とされた方の御主張を、もう少し細かく御紹介いたします。
 「給付付き税額控除や給付金などが必要」とおっしゃったのが、大日向さん、清原さん、山屋さん、吉田さんであります。「引上げと同時に軽減税率を導入し、新聞の購読料にも適用すべき」とおっしゃったのが、白石さんです。
 その他の意見でありますが、今村さんが、「医療機関における消費税負担問題の解決が不可欠である。健康寿命延伸、認知症対策、感染症対策のために医療充実の財源確保が必要である」という点も強調されておられました。そして大日向さん、吉田さんが、「『子ども・子育て支援新制度』の推進など少子化対策のために消費税率引上げは必要」ということでした。そして木暮さんが、「派遣労働者等の雇用安定化や、最低賃金の引上げが必要だ」ということでした。それから清原さん、木暮さんが、「子ども・子育て支援や高齢者支援などの社会保障施策を可視化し、引き上げた消費税はきちんと社会保障に使うことを周知することが必要である」また今村さん、大日向さん、白石さんが、「消費税率引上げの意義について国民の理解を得る努力が必要である」、そして宍戸さんが、「中期的なデフレ効果を有する消費税ではなく、乗数効果の大きい財政出動で社会保障財源の増収を目指すべきである」という御主張でありました。
 その後に出席者間の意見交換を行いました。主な論点を御紹介申し上げます。
 今村さんであります。「待つことのリスクは誰にも予想できないので、消費税を予定どおり引き上げるべきである。また、医療費抑制のためには、病気の予防に力を入れることが重要である」、大日向さんは、「少子化対策は、この一、二年が勝負であり、先延ばしするのは致命的になってしまう」、同じく大日向さん、「少子化対策の財源を予算の組み替えで対応することは困難である」、清原さん、「仮に消費税率引上げを延期することになっても、引上げの時期については明確にすべきである」、そして木暮さんでありますが、「正規、非正規とも人材確保が難しい。非正規の最低賃金を引き上げても、雇用への影響はないと考える」
 以上です。

2.質疑応答

(問)今、永田町では大変解散風が吹き荒れており、消費税率引上げの先送りもあるのではないかと言われている中でこういった会合をするというのは、非常に参加者の皆さんに、いろいろな思いがあったかと思うのですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)中国から帰って成田に着いたら景色が変わっていたわけでありますが、国境の長いトンネルを越えると解散風が吹いていたと。総理は、まだ何も公式におっしゃっておりません。ですから、基本的にはニュートラルな立場でお話を伺うということになっているはずですし、総理もそのために一切言及はされていないわけであります。何でこんなことになってしまったのかよくわかりませんけれども、あくまでも総理は各種指標、有識者のお話もろもろ把握した上で判断されるということに変わりはありません。まだ点検会合は何日間かありますが、出席者の方々は、いろいろな風に惑わされることなく御自身の見解をおっしゃっていただければと思います。
(問)消費税率引上げの、これも一つの判断材料になると思うのですけれども、その判断時期ですけれども、現時点で12月という御見解はまだ変わっていないのかお聞かせください。
(答)総理にその点はお伺いしておりません。TPPの報告とそれへの対処だけで終始いたしておりました。とにかく17日に7-9月期の一次QEが出ます。その翌日には点検会合も終了いたします。できるだけ総理に新しいデータをお示ししたいと思っておりますが、一次QEが出て点検会合も終わり、それから年内という範囲がどこまでかは総理が御判断されて、具体的な指示がなされるかと思います。でありますから、一次QEが発表され、点検会合が終わり、それ以降はいつでも総理の御判断をお待ちしようと思っております。
(問)確認ですけど、白石新聞協会会長は、読売新聞個社として来ているわけではないので、新聞協会としての見解を述べたのでしょうか。
(答)新聞協会の代表としておいでになっていますけれども、消費税率引上げについて、新聞協会として統一した見解はないので、読売新聞社長としてのお考えとのことです。
(問)先程の消費税の判断ですけども、7-9月期のQEが、民間の予想で2.47ですけども、どれくらいの数字であればアベノミクスが巡航速度にあると判断できるとお考えになっていらっしゃるのか、その辺を教えていただけますか。
(答)7-9月期のQE、つまりGDPの成長率の速報値も見なければならないということと、あと大事な点は、そのGDPを構成する要素の分析だと思います。総理が心配されるのは、アベノミクスの基調は順調に進んでいるけれども、消費税導入によってどこが傷んでいるのか。仮に消費が大きなダメージを受けているということであるならば、消費税による消費のダメージであるならば、ダメージ手当てをしなければならない。それをしながら次の増税につなげることができるのか、あるいはきちんと手当てして消費にてこ入れしてデフレに戻らないということを確認してからするのか。するとするならば、どれくらいの時期が必要かと、そういうもろもろの判断だと思います。経済全体の力強さ、その中で経済の成長、回復を構成する要素の分析、その分析に対してどういう手当てが必要かということであります。アベノミクス自身が失速しているというよりも、アベノミクスが基調としてはいい基調を示しているけれども、その中の構成要素で消費税による影響が過度に影響していないかどうかということ等を精査して、それに対する手当てが単発的なものでいいのか、全体的な設計をするのか、いろいろな判断を総理がされるのだと思います。
(問)政府側や民間議員から、主な意見とかあったのでしょうか。
(答)今日は有識者・専門家の方々が発言され、その後、他の出席者の発言を聞いて、追加的におっしゃりたいことはありますかということで、3名が発言された。その後、経済財政諮問会議民間議員からの質問に答えた。その主なものを紹介させていただきました。

(以上)