記者会見要旨

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨(今後の経済財政動向等についての集中点検会合後)

  • 日時:平成25年8月29日(木)18:12~18:26
  • 場所:内閣府本府仮設庁舎講堂

1.発言要旨

5回目の集中点検会合が終了いたしました。発言の概要について報告を申し上げます。
まず、景気の現状と見通しについてであります。
これに関して、景気回復は隅々まで及んでいるとは言えないものの、緩やかな回復基調にあるとおっしゃった方は、谷さん、古川さんであります。建設業界の青柳さんは、企業の規模によって景況感はばらつきがあるが、おおむね横ばいという趣旨のことをおっしゃっていました。また、労務単価の見直しは賃金の上昇につながっていきそうであるというお話もありました。
他方、岸さん、西田さんは、地方では景気回復の実感がないという指摘をされていました。
また、阿部さんでありますが、小都市の商店街は下げ止まっていないというお話でした。
それから、消費税率引上げについてでありますが、消費税は予定通り引き上げるべきであるという御意見は、青柳さん、立谷さん、谷さん、古川さんであります。また、状況は厳しいものの、引き上げざるを得ないという意見は、岸さん、西田さん、萬歳さんであります。理由としては、社会保障負担の財源確保、財政再建の必要性などを挙げられていました。
なお、阿部さんは、引き上げるならば2015年に一度に5%上げてもらいたいというお話でした。
これらの方々は、その際の対策として、経営が脆弱な中小企業への資金供給、農業・漁業従事者への生産コスト高騰対策等の支援、消費税引上げに併せた価格転嫁対策、そして、観光を含む地方振興対策、安全・安心のための社会資本整備などを挙げられていました。
その他の意見といたしましては、岸さん、萬歳さんが、農産物、水産物は価格転嫁が困難であって、軽減税率を適用すべきだという主張であります。
坂井さんが、鉄道などの公共交通運賃は10円単位であるので、消費税を小刻みに引き上げた場合、頻繁な料金改定は困難であるという趣旨のことをおっしゃっていました。また、システム変更の準備に時間を要するために、消費税率の変更はできるだけ早く決めてほしいというふうにおっしゃっていました。
そして、阿部さん、萬歳さん、谷さん、立谷さんも、1%ずつ段階的に上げるのは現実的ではないとおっしゃっていました。その理由として、価格転嫁が困難である、システム変更が頻繁である、それから、委託料やリース料が毎年変更されてしまう、と。こうした理由を挙げられて、現実的ではないという指摘をされていました。
立谷さんから、9月までに住宅着工の契約ができない被災世帯への配慮の希望がありました。
それから、古川知事から、つけの先送りの政治に終止符を打ち、我が国の将来への希望を取り戻す必要があるという主張がありました。
その後、出席者間の意見交換を行いました。主な論点として、外税方式について、それから、地域活性化策についてであります。
外税方式について、西田さんから、転嫁法は大変ありがたい、特に外税表示、今は時限の法律ですが、これを恒久化してほしいという要望です。
それから、阿部さんは、商品の価格と税額がわかる外税方式によって、値上げではないことがわかります、税の使い道を監視する意識の育成にもなるという発言をされていました。
萬歳さんから、農産物は工業製品と異なり、生産者に価格決定権がなく十分な転嫁ができない、外税で実施をしてほしいと。転嫁については、全漁連の岸さんも同趣旨の発言がありました。
それから、地域活性化について、谷さんから、地方を元気にする方策については、地方の企業の海外に向ける目が熱いと。特にASEANに対する進出が多いので、地方銀行も現地事務所を設けて情報収集や手続の手伝いなどのサポートをしていますとの発言がありました。最近は円安によって国内回帰の傾向も見られる、と。
それから、古川さんから、民主党時代の高速無料化は約2割の区間での実施だったと。航空、鉄道などを含めて何かインパクトになるような政策ができないものでしょうか、との発言がありました。また、一番経済が落ち込みやすいところを支えることで景気の下支えをすることが大事だとのお話がありました。
以上です。


2.質疑応答

(問)今日は、農業や漁業の方から軽減税率の導入を求める声が出たわけですけれども、これまでに軽減税率を導入すべきでないという意見も出ていましたけれども、大臣は、現時点で軽減税率についてはどういう考え方で臨むべきというふうにお考えでしょうか。
(答)まだ私の考え方が定まっているわけではありませんけれども、軽減税率については、事務手続上の煩雑さを指摘する人もかなりいらっしゃいます。それに代わるものとして弱者対策を、減税あるいは給付金等でやるべきという御意見がちらほら聞かれます。社会全体のコストを見つつ、それに代わる方法の方がいいのか悪いのか、いろいろ検討していく中で結論が出ていくものと思っております。
軽減税率導入についての発言者は、2けた以上になった時にはということをおっしゃる方がかなりあります。
(問)今日は、地方で頑張っていらっしゃる方や首長さんからのヒアリングということで、いろいろ地方経済の現状について厳しい指摘もあったと、まだまだアベノミクスの効果が波及していないというような声もあったというお話でしたが、大臣としての率直な受止めをお願いします。
(答)発言される方も、日本全国均一に景気が良くなっていると思われている方はいらっしゃらず、大都市から地方へ、大企業から中小企業へという景気の伝播に時差があるということはよく御存知のようであります。その上で、できるだけ早く地域隅々までアベノミクスの効果が行き渡るように、政府は政策努力で後押しをしてほしいというお話でありました。
何度も申し上げておりますけれども、企業の業績が、従業員、下請けに伝わっていく、あるいは大企業の業績が下請け企業に伝わっていく、あるいは大都市の回復が地方都市に伝播していく。この単なる景気の上昇の伝達を自然に待っているのではなくて、それを少し先取りする形で後押しをしていくという政策が非常に重要だと思います。
総理も、消費税の引上げあるいは物価安定目標、この2つで物価が上がっている時には、極力タイムラグを置かずに賃金がしっかりそれを超えていくように、そこに最大限目標を加えたいというお話もありました。
これからの秋、成長戦略実行国会の際に、恐らく消費税を判断される時には、総理は当然その種の経済の仕組みが回っていくのを後押しする、そういうプランをお考えになって、取りまとめを指示されるのではないかと思っておりますから、近々、総理にこの集中点検会合の結果をまとめてお知らせする時に、いろいろと総理の考えを伺いたいと思いますが、恐らく実施をするのであるならば、そういうただ景気伝播を待っているということではなくて、それを加速するためのプランもまとめていくということになるのではないかと推測をいたします。

(以上)