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参考1 「選択する未来」委員会報告

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III 世界に向かう姿勢、新しい官民の関係等

(世界でのプレゼンス、世界への貢献)

世界のGDPに占める日本の割合は、1980年に9.8%だったものが、1995年には17.6%まで高まった後、2010年には8.5%になり、ほぼ30年前の位置付けに戻っている。現在のまま推移した場合には、国際機関の予測によれば、2020年には5.3%、2040年には3.8%、2060年には3.2%まで低下する。また、世界の総人口に占める日本の割合は、1980年に2.6%、1995年に2.2%、2010年に1.9%と低下してきている。国連の予測では、2020年に1.6%、2040年に1.2%、2060年に0.9%まで低下する28

こうした「現状のまま推移した場合」の予測を変えていくべく努力しなければならない。それとともに、世界に対して大きく開かれ、世界に貢献し、世界のなかで一流国としてのプレゼンスを保持していくとの姿勢を持ち続けることが重要である。

歴史や文化や地政学的な位置づけなど、日本には日本独自の存在感があり、果たすことができる役割がある。そうした存在感や役割を大事にしながら、日本全体の成長・発展に戦略的につなげていく。

また、国際金融面で積極的に役割を果たしていく。経済の成熟に伴って低成長に移行し、GDPで比べた場合には、新興国の成長との対比でプレゼンスは相対的に低下するとしても、長年にわたるストックはすぐに新興国に追随されるものではない。金融の技術面でのアドバンテージもある。アジアのインフラ投資などにおいて日本の金融が力を発揮できる場面は少なくない。

最も大きな世界への貢献としては、人口減少、高齢化を乗り越えた成長・発展モデルを提示することである。少子化、高齢化、低成長はいずれの先進諸国でも直面している課題であり、人口高齢化に歯止めをかけて人口構成の若返りに成功した国はまだない。世界に先駆けるモデルを提示していくことを目指す。

(日本・日本人らしさ)

一方で、経済成長、金銭的な価値に終始しない姿勢も必要である。四季に富んだ豊かな自然、地域に根ざした食習慣や匠の技などが織りなす多様な文化、健全な人と人とのつながり、きずなが保たれ、世界でも稀と言われる安全で安心なコミュニティ。次の世代においても、日本に生まれてよかった、日本人でよかったと思えるよう、それらを大切に受け継いでいかなければならない。新たなものにチャレンジしながら、一方で、長年かけて育まれてきたものを貴ぶことを忘れない。そのバランスを失ってはならない。

(2020年東京オリンピック・パラリンピックの成功とそれを超えた取組)

2020年までのジャンプ・スタートにとって、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックは有効に活かされるべき国家プロジェクトである。50年後の未来を念頭に置いた場合、このプロジェクトの遂行に当たって留意すべきことは、以下の3点である。

一つは、東京一極集中の更なる加速を招かないことである。すでにホストシティタウン構想などが動き始めているが、東京圏以外の地域での人的、経済的な交流を促進していく。第二は、2020年を境にして大きな経済のアップダウンを生じさせないことである。2030年代以降の人口減少に起因する経済への下押し圧力は不可避的であり、それに加えて強いマイナス要因を生じさせることは避けなければならない。第三は、新たな社会資本整備について、将来的な維持、利用を考慮して進めることである。エコ、コンパクト、長寿命に配意すべきである。

バブルの発生・崩壊を再度経験するだけの余力も時間も残されてはいない。2020年の後に失速を生じさせず、むしろその後の成長・発展につながっていくような準備を前もって仕込んでおくようなしたたかな周到さが必要である。

東京オリンピック・パラリンピックを契機として、外国人観光客の増加、文化・スポーツ分野の活性化、寄付文化の醸成など、経済社会に大きなプラスの効果が生ずることが見込まれる。日本の魅力を自ら再確認して世界に発信し、国内外のヒト・モノ・カネ・ジョウホウの往来の活性化を将来的に持続するものにしていく。

(社会保障・財政の持続可能性の確保)

人口急減を克服できたとしても、人口減少は続き、社会保障・財政の持続性については厳しい状況が続く。また、2030年代にかけて東京において超高齢化と介護人材不足が深刻化し、日本全体の成長・発展の隘路になる可能性があり、早期の対応も重要である。

経済や人口が、前述した目安に近い理想的な姿で推移したとしても、社会保障関係支出は名目GDP比で増加を続けていくと見込まれる。公債等残高がGDP比200%を超えるなど極めて厳しい財政状況の下、基礎的財政収支の黒字化や公債等残高対名目GDP比の安定的引下げは容易ではない課題だが、次世代につけ回しをしないよう、着実に財政健全化を推進する必要がある29。このため受益と負担のバランスの見直しを含め、再構築に向けた骨太な制度改革の検討が必要となる。その際、経常収支が赤字となることも考えられる中、金利上昇のリスクまで考慮した、より厳しい財政状況を見据えて検討していく必要がある。

ただ、前述した目安に近いところまで、人口急減・超高齢化の克服や成長力の強化が実現できた場合には、そうでない場合に比べて、社会保障・財政の持続可能性に関する見通しは、厳しいながらも改善する。そうした見通しを実現できるよう、国民各層のコンセンサス形成に努力していかなければならない。そうした観点からも、前章までに述べてきた人口、経済、地域社会を巡る課題への一体的な取組の推進が重要となる。

(官と民、国と地方の新しい関係-地域のことは地域で取り組む)

人口や地域社会を巡る課題や、イノベーションの創出には、市場原理に委ねられない課題が多くあり、政府部門が積極的に役割を果たすことが求められる。しかし、これら課題は、多層的、複合的で、解決に向けた取組も複雑さや繊細さをもつものであり、大括りな政策によって働きかけることができるほど単純ではない。地域の実情を把握することができる基礎自治体が中心的な役割を担うことが期待される。またその際、政府の役割は基本的に環境整備という考えに終始するのではなく、必要に応じて地方政府自身がイノベーターの役割を担っていく。

そうしたなかで、地方政府と企業、非営利組織や他の地域との連携・協力や協働・競争によって、きめ細やかで効果的な取組が推進され、地域のことは地域で取り組んでいく新しい地域のあり方が構築されていく。

国は、そうした現場の取組を正確に理解し、画一的でない支援措置を講ずることができるようになっていく必要がある。大括りな公共目的が前面に出過ぎると、新しい取組の芽を摘んでしまうこともある。

従前の官と民、国と地方の役割分担にとらわれることなく、新たな関係を模索し、政策の新たな展開、新たな基軸を立てていく、政策のイノベーションを創出していく発想が求められる。


28 参考資料集10「世界における日本の位置づけ(人口)(経済)」参照。
29 現状のまま推移すれば、2060年頃に高齢化がピークを迎えると予測され、社会保障制度改革と財政健全化が喫緊の課題との指摘もあり(財政制度等審議会「財政健全化に向けた基本的考え方」(平成26年5月30日))、人口急減・超高齢化の克服に向けて取り組んでいく必要がある。
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