第5章 地域別の人口・経済データ

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コラム(人口・経済データで特徴のある市区町村)

【山形県東根市】

東北地方における2010年時点の人口指標が9.0以上であり、なおかつ経済指標が60以上の市区町村は、青森県六ケ所村、岩手県滝沢市、宮城県大和町、宮城県富谷町、山形県東根市、福島県西郷村、福島県大熊町の7つである。これらの自治体のうち、山形県東根市は、1980年から2010年にかけての出生率の落ち込み幅が最も小さくなっている。また、2010年時点で東根市の普通出生率は9.6人であり、経済指標は62.1となっており、人口指標と経済指標がいずれも山形県内で最も高い市区町村となっている。

山形県東根市は、山形盆地の北部に位置し、山形市から北へ20km、車で約30分、東は宮城県仙台市に隣接し、車で約1時間の位置にある。1964年に山形空港が民間空港として供用開始され、東京など首都圏へも約1時間で行くことができる。また、1999年には山形新幹線のさくらんぼ東根駅が開業し、電車でも3時間ほどで東京など首都圏へ行くことができる。

交通機関が発達し、空港周辺に東根大森工業団地・山形臨空工業団地が立地し、電子及び精密機械等の企業が数多く集積したことで、他地域からの転入が増え、急速に工業都市として発展してきた。

一方で山形盆地は、全国でも有数の果樹生産が盛んなところである。中でも東根市はさくらんぼの生産では全国一の約22%を占め、ほかにも、もも、ぶどう、りんご、ラ・フランス(洋梨)など四季の果物が豊富である。特にさくらんぼの「佐藤錦」の銘柄の発祥の地として有名である。生産農業統計による農業産出額をみると1975年105億円、1990年173億円、2006年127億円と推移しており、1990年をピークとしてやや減少傾向にあるものの100億円以上を維持している。

2010年国勢調査における産業別就業者数及び構成比をみると、第一次産業3,212人(13.7%)、第二次産業7,463人(31.9%)、第三次産業12,749人(54.4%)であり、第一次産業の割合が全国平均と比べ高くなっている。

東根市は東根市総合計画(1973年~)を策定してから、区画整理事業をはじめとする定住人口の増加施策、高速交通網などの都市基盤整備、生産性の高い農業などの産業基盤強化等に取り組んでおり、子育て世代を含む生産年齢人口が増え、出生率が高くなっていることがうかがえる。

1 さくらんぼ
山形県東根市が生産量日本一を誇るさくらんぼ。(写真は高級品種「佐藤錦」)
佐藤錦
2 タントクルセンター
平成17年にオープンした子育て支援のシンボル的存在さくらんぼタントクルセンター内けやきホール。
さくらんぼタントクルセンター
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