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第4章 識者の意見

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松田 茂樹
中京大学現代社会学部教授

「地域に応じた幅広い少子化対策メニューを」

少子化の主な要因は、未婚化と夫婦が産む子ども数の減少の2つである。雇用状況の悪化や出会いの場の減少により、結婚したくてもできない人が増加している。一方、結婚した夫婦は、育児コストや教育コストの高さから、欲しい数だけ子どもを産むことができない傾向にある。

少子化対策に特効薬はないと考えているが、これまでの政策は、ワーク・ライフ・バランスや保育事業が中心で、その恩恵を受ける対象が限定されてきた感が否めない。待機児童ゼロの取組が代表例である。待機児童はもっぱら首都圏等におり、地方にはほとんどいない。また、この取組の恩恵を受ける夫婦は、育児期の夫婦の4分の1しかいない正規雇用者同士の共働き夫婦に偏る。今後、取り組むべき課題は、結婚対策、三人目の出産促進ではないか。

結婚対策としては、職業訓練などにより若年層の雇用を改善すること、婚活支援、出産・育児に関する情報発信を行うことが重要である。特に、若い人が自らライフプランを考えることができるよう、きちんとした教育を行い、知識を身につけることが必要である。就職すること、結婚すること、子どもを産み育てることは連なっており、かつ、年老いてからではできなくなることが多いということをよく知ってほしい。

三人目の出産促進については、一人産む夫婦はほぼ二人目も持つ傾向にある。三人目の壁になっているのは、経済的な負担であり、そこを減らすことが大切だ。児童手当や税額控除なども有効である。その他、三人目に対するそれ以外の経済的・非経済的支援も手厚くすれば、政府として多子世帯を支援する、というメッセージにもなる。

留意しておきたいのは、少子化の要因は地域によって異なるということだ。東北や近畿では、地域雇用の悪化、特に若年層の非正規雇用者数が多い現状があるし、大都市圏では親からの支援が少ないといった影響がある。一方で、九州・沖縄では、出産・子育てに価値を置く規範意識が強く、出生率は高い傾向にある。したがって、少子化対策はそれぞれの地域に応じた取組を行うことが重要で、全国共通部分(1階)と地域ごとの課題に応じた部分(2階)の2階建てで実施するのが有効だろう。

自治体の協力を得てヒアリング調査とアンケート調査を行った結果、出生率が上昇している市区町村には次の特徴がみられた。第一に、そうした自治体は、自らの地域経済に活力があり、雇用状況が良好であるか、またはそのベッドタウンである。こうした地域では若者が地元に定着し、結婚して子どもをもうけることができる。企業誘致は、その自治体における出生率の上昇、転出者の減少に寄与する。これら自治体において良質な雇用を多数生んでいる産業は製造業である。この結果は、国全体および地方における産業振興、特に製造業の振興が大切であることを示唆する。

第二に、市レベル以上では、結婚・出産・子育て支援のメニューを幅広く実施してきた市区町村において、出生率が上昇し、転出者も抑制されていた。ただし、個別施策の効果はみられないため、特徴的な個別施策を行うことよりも幅広い若者・子育て世代の結婚・子育てを支援するような政策パッケージが大切であるといえる。

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