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第3章 人口・経済・地域社会をめぐる現状と課題

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第3節 地域社会をめぐる現状と課題

Q20 国土政策・地域政策はどのように変遷してきていますか。

A20

●国土政策・地域政策の変遷

戦後日本の国土政策・地域政策は、国の主導による「国土の均衡ある発展」、「地域間格差の是正」を基調とした、5次に渡る全国総合開発計画(全総)及びその具体施策としての地域振興、産業立地・振興、大都市圏・地方圏の社会資本整備等により実施されてきた。政策の大きな流れは、戦後復興期から高度成長期にかけて、まず大都市圏への投資を集中的に行い、その後地方圏への投資を行うというものであった。そして、近年では地方分権の進展などにより、地域の自主性に基づく、地方の主導による国土政策・地域政策が指向されている。

戦後の地域開発の最も主要な柱は地域間格差の是正であったが、地域間格差が生じた大きな要因は、高度成長期に生じた地方部から都市部への人口移動であったと考えられる。戦後復興期に大都市圏を中心とする地域への産業基盤整備が重点的に行われた結果、企業や行政機関、教育機関などが大都市圏に集中し、特に、地域間の成長・発展力に格差が生じ、若年層を中心として地方から都市に流入する。そうした生じた地域間格差と都市の過密化、地方の過疎化に対処するために、その後、地方部の産業基盤整備が進められることとなった。

図表3-3-20-1は1960年以降の都道府県別1人当たり行政投資の中から、三大都市圏の中心である東京都、大阪府、愛知県と地方圏の例として鳥取県と青森県の5都府県の推移を、全国平均を100とした指標で表したものである。行政投資とは国、地方公共団体等が行う道路や上下水道の整備など、社会資本への投資であるが、指標が100を上回っていれば、全国平均よりも大きな行政投資が行われたことを示している。この図からは以下の3点を読み取ることができる。第一に、三大都市圏においては、1970年代初め頃までは、大きな1人当たり行政投資が行われたが、その後は1980年代後半からのバブル経済期の一時期などを除き、全国平均を下回っていることである。第二に、鳥取県と青森県の1人当たり行政投資が1970年前後に増加に転じ、バブル経済の一時期を除き、全国平均を上回るようになったことである。第三に、東京都と大阪府、愛知県の1人当たり行政投資は概ね似たような軌跡を辿っているものの、大阪府と愛知県が概ね全国平均以下であるのに対し、東京都は1980年代半ばと2000年代半ばに1人当たり行政投資が増加傾向に転じ、全国平均以上となっている点である。ここから、近畿圏、中京圏では起こっていない東京独自の一極集中の動きを読み取ることができる。

図表3-3-20-1 1人当たり行政投資の推移

全国総合開発計画に基づく地域開発施策などにより、工場・教育機関等の地方分散、中枢・中核都市の成長が進展し、社会資本も整備され、長期的にみれば、大都市圏への急激な人口流入は収束に向かい、地域間の所得格差もかなり縮小に向かった。さらにその後、個性豊かな地域社会の創造に価値を置く考えや、地方にできることは地方に任せるべきとの考えなどが重視される傾向が強まり、地域政策の方向性は地域の主導へと転換してきている。

●地域経済の課題

しかしながら、「国土の均衡ある発展」と「地域間格差の是正」が一定程度達成され、これからは地方主導の時代であるとされる一方、地方では少子高齢化と人口減少による自治体財政の悪化と地域経済の衰退に直面している厳しい現状がある。

図表3-3-20-2 市区町村の高齢化率と財政の関係

図表3-3-20-2は横軸に市区町村の高齢化率を、縦軸に住民1人当たり歳出と税収を示し、両者の関係を表したものである。この図からは、少子高齢化が進み、高齢化率が高い団体ほど、1人当たり税収は少なくなる右下がり傾向が読み取れる一方、高齢化率が高い団体ほど、1人当たり歳出は多くなる右上がりの傾向を示している。例えば、高齢化率が全国で最も高い群馬県南牧村(57%)や、高知県大豊町(54%)、徳島県上勝町(52%)では、1人当たり歳出に占める1人当たり税収の割合が1割にも満たない。同様の団体(岩手県、宮城県、福島県を除く)は南牧村などを含めて217団体があり、1743団体の約12%を占めている。今のままで高齢化がさらに進行していけば、1人当たり税収はますます減少していく一方で、1人当たり歳出はますます増加していく。すなわち、地方の財政的自立性は失われ、国からの交付金や補助金への依存度が高まらざるを得ない状況にある。

2000年の地方分権一括法施行により、国と地方の役割分担は大きく見直され、地方の自立が制度的にも担保された。平成の市町村大合併、国庫補助負担金、地方税財源、地方交付税の三位一体改革が行われるとともに、規制改革による特区制度などの地域活性化施策が推進されている。しかしながら、地方分権改革により基礎自治体への権限委譲、財源移譲が進められたとしても、少子高齢化と人口減少への対策を早急に講じなければ、基礎自治体が自主性を発揮するための体力そのものが衰退することは避けられず、地域経済活性化の担い手としての基礎自治体の自立は困難と言わざるを得ない。国土政策・地域政策は人口に対する視点とこれに基づく取組を基調とすることがますます重要になってくると同時に、各自治体の政策においても同様の視点、取組が強く求められる。

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