第3章 人口・経済・地域社会をめぐる現状と課題

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第3節 地域社会をめぐる現状と課題

Q16 地域別の人口動向にはどのような特徴がありますか。

A16

●地域ごとの高齢化率・出生率

現在の日本の人口動向の特徴としては、高齢化が進行しており、平均寿命のさらなる延伸が続いていること、少子化の流れが止まらず、子どもの数の減少が続いていること、両方の要因から生産年齢人口が減少していることなどがあげられる。

2014年の人口推計によると、全国の高齢化率は26.0%、合計特殊出生率は1.42である。都道府県単位でみると、高齢化率が高い地域は秋田県32.6%、高知県32.2%、島根県31.8%、山口県31.3%、和歌山県30.5%などであり、低い地域は沖縄県19.0%、東京都22.5%、愛知県23.2%、神奈川県23.2%、滋賀県23.4%となっている。また、合計特殊出生率の高い地域は沖縄県1.86、宮崎県1.69、島根県・長崎県1.66、熊本県1.63などであり、低い地域は東京都1.15、京都府1.24、北海道・奈良県1.28、宮城県1.30などである。

このように、高齢化や少子化の状況には地域によって、大きな違いがある。

●自然増減・社会増減でみた特徴

地域における人口動向の変動要因は、出生・死亡による自然増減と転入・転出による社会増減があり、増減傾向や増減幅などは地域により違いがある。自然増減・社会増減を毎年見ることができる都道府県データについて、高齢化率と出生率が高い又は低い都道府県を組み合わせ、特徴的なところについて自然増減・社会増減の推移を見てみると以下のようになる。

図表3-3-16-1 人口増減と自然増減数・社会増減数の推移

例えば、秋田県は2014年に全国一高齢化率が高く、出生率は全国で10番目に低い。秋田県では1970年代以降1990年代末まで毎年数千人単位で社会減が続いた。これに伴って、自然増も減らし、1990年代半ばには自然増がなくなり、自然減に転じた。1990年代末以降は社会減が縮小しているが、自然減は収まらず、直近では約8,000人程度の自然減が生じている。その結果、1980年代前半から人口減少が始まり、2005年以降は年間10,000人以上減少している。

島根県は2014年に全国で3番目に高齢化率が高いが、出生率は全国で3番目に高い。島根県では秋田県ほどではないが小幅な社会減が1970年代から続いている。また、秋田県より遅れて1990年代前半には自然増がなくなり自然減に転じている。その結果1980年代前半から人口減少が始まっているが、2000年代半ば以降は5,000人程度の人口減少が続いている。

東京都は、2014年の高齢化率が全国で2番目に低いが、出生率は全国一低い。東京都の場合、1970年代は100,000人以上の自然増であったが年々その数は減少し、2012年からは自然減に転じている。逆に社会増減は1970年代には100,000人以上の減少しており、1985年に一度社会増に転じたものの、1986年以降は再度社会減となったが、1996年から2014年までは継続して増加している。その結果、1990年代半ばまでは人口増減を繰り返したが、それ以降は人口が増加しており、1990年代末以降は約50,000人から100,000人程度の人口増加が続いている。

沖縄県は2014年の高齢化率は全国一低く、出生率は全国一高い。沖縄県では、1970年代は15,000人以上の自然増であり、その数は減少しているものの、2013年でも5,000人の自然増をしている。社会増減は1990年代前半までは減少の傾向だが、それ以降は小幅ながら社会増の傾向が見られる。

高齢化率が低く出生率が高い沖縄県では、伝統的な相互扶助の文化が根付いており、親密な人間関係に基づいた地域の子育て力が確保されているほか、保育施設が充実し、特に認可外保育施設の入所割合が高いなど、働く女性の育児支援が整っているという特徴がある。

●市区町村ごとの高齢化率・出生率

市区町村ごとの高齢化率及び出生率を市区町村単位で見てみる。

高齢化率で最上位10位までの町村では50%を超えている。高齢化が進行している市区町村と、前章で見た普通出生率が低位の市区町村はほぼ一致する。

図表3-3-16-2 2010年の高齢化率 上位10市区町村

また、2010年で人口が1,000人を下回っている市区町村数は26であり、沖縄県が5、長野県が4、東京都・奈良県が3などとなっている。

図表3-3-16-3 2010年の人口 下位20市区町村

2010年で合計特殊出生率が1を下回っている市区町村数は12であり、東京都が9、埼玉県が2、大阪府が1となっている。

図表3-3-16-4 2008年-2012年の合計特殊出生率 下位10市区町村
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