第3章 人口・経済・地域社会をめぐる現状と課題
第1節 人口をめぐる現状と課題
Q8 人口の変動にはどのような要因がどのように関係しているのですか。
A8
●人口の変動の要因
人口の変動には死亡数と出生数の差による「自然増減」と、流出数と流入数の差による「社会増減」の二つの側面があり、出生数が多い場合は自然増となり、流入数が多い場合は社会増となる。社会増減は、地方自治体や地域ブロック単位の人口においては、住民の転入数と転出数の差を表しているが、総人口においては外国人と日本人の移動の差によるものである。
●自然増減の推移
戦後の人口転換で日本は低出産・低死亡の社会が形成されたことにより、出生数は全体的に低下する傾向にある中、死亡数は1980年代後半まではほぼ横ばいで、その後緩やかな増加傾向で推移している。1980年代頃から深刻になってきた少子高齢化により、生まれてくる子どもの数は次第に減少すると同時に、人口に占める高齢者の割合が増えてきたことから死亡数も右肩上がりの傾向となっている。2007年以降は死亡数が出生数を上回る自然減の状態となり、その差は拡大を続けながら現在に至っている。
●3大都市圏における社会増減の推移
東京圏への転入転出超過の推移は、1960年代、1980年代、2000年代に大きく波打っていることがわかる。大阪圏は高度成長期には東京圏に次ぐ転入超過があったが、それ以降は僅かながら転出超過が続いている。名古屋圏は転入も転出も必ずしも多くない。
●東京圏における出生率と社会増減の推移
東京圏における出生率について、1980年代以降、東京都は全国平均に比して0.25~0.3ポイント程度低位で推移しており、また、千葉県・埼玉県・神奈川県は、1980年代以前は全国平均を上回っていたが、その後は全国平均を下回って推移している。
一方で、東京圏に住む若年層(20~39歳)の総数に占める割合は、1990年初頭に男性30%超、女性28%超にまでたかまり、その後も漸増し、直近では、男性31.9%、女性30.9%に達している。
東京圏の出生率が一段と低下する中で、特に女性の東京圏への転入が進んでいることは、人口減少にマイナスに寄与している可能性が高いと推測される。