第3章 人口・経済・地域社会をめぐる現状と課題

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第1節 人口をめぐる現状と課題

Q1 現在の日本がかかえている人口問題はどのようなものですか。

A1

●急速な高齢化の加速

2014年における65歳以上の高齢者人口は過去最高の3,300万人、高齢化率(総人口に占める割合)は26.0%と過去最高となっている。

65歳以上の高齢者人口は、1950年には総人口の5%に満たなかったが、1970年には国連の報告書において「高齢化社会」と定義された水準の7%を超え、1994年にその倍の水準である14%を超えて「高齢社会」といわれ、さらにその後も上昇を続けている。2005年には20.2%と20%を超え、2013年には25%を超えた。

また、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位(死亡中位)推計によると、高齢化率は2024年に30.1%となる予測であり、20%から30%へ上昇する期間(19年間)は10%から20%まで上昇した期間(20年間)よりもさらに短くなる見込みである。

高齢化社会と言われ始めた1970年以降、高齢者人口は年々増加を続けてきたが、死亡数も増加することから、2020年以降になると高齢者人口は、約3,600~3,800万人の間でほぼ横ばいで推移する。ただし、総人口の減少が進むため、高齢比率は長期にわたって上昇を続ける。

図表3-1-1-1 高齢化の推移と将来推計

●生産年齢人口の減少

日本は、1974年に出生率が2.05と人口置換水準である2.07を下回り、その後も出生率の低下傾向が続き、生まれる子どもの数が減り続けたため、全人口の年齢構成が変化することとなり、0~14歳の年少人口の割合は徐々に減少し、65歳以上の高齢者層の割合が増加してきた。その結果、1990年代半ばには、15~65歳の生産年齢人口が減少に転じ、2008年からは総人口が減少することとなった。

1990年代に出生率が1.5を下回るなど厳しい少子化により、生産年齢人口減少が加速化し、2013年には前年に比べて116.5万人減少しており、32年ぶりに8,000万人を下回った。国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位(死亡中位)推計によると、生産年齢人口は2013年から2020年までには約50万人、更に2030年までは約100万人も減ると推計されている。また、2040年以降は高齢者人口も減少に転じ、年少人口は1,000万人を割るとも推計されている。

図表3-1-1-2 人口構造の推移と見通し

●少子化の流れ

一般に将来推計人口として利用されている中位推計(出生中位・死亡中位)では、合計特殊出生率は、2010年の実績値1.39から2014年まで概ね1.39で推移し、その後2024年の1.33に至るまで緩やかに低下し、以後やや上昇して2030年の1.34を経て、2060年には1.35になると仮定している。その後もほぼ横ばいで推移されるとみられ、人口置換水準の2.07にはかなりのかい離がある。

現状のまま推移した場合は、年少人口や生産年齢人口の割合が低下し続け、こうした人口減少・超高齢化により、経済や社会にひずみが生じてくるおそれがある。ただし、今後は高齢者人口の増加が小さくなると推計されており、少子化の流れが変われば、子どもの数が増え、社会全体が若返り、人口構造が変わる可能性はある。

●平均寿命と健康寿命

2013年の日本人の平均寿命は男性が80.21年、女性が86.61年であり、また、健康寿命(日常生活に制限のない期間)は、男性71.19年、女性74.21年となっている。平均寿命と健康寿命の差は、2001年は男性8.67年、女性12.28年、2013年は男性9.02年、女性12.4年とその差は広がってきており、平均寿命の延びほど健康寿命が延びていないことがわかる。

図表3-1-1-3 健康寿命と平均寿命の推移

●子どもを持ちたいという希望

2010年「出生動向基本調査」では、夫婦にたずねた理想的な子どもの数は2.42人、夫婦が実際に持つつもりの子ども数は2.07人となっているが、1970~90年代の理想子ども数は約2.6人でほとんど変化がなく、1990~2000年代に若干下がっている。実際、合計特殊出生率は1.3~1.4であり、理想の子ども数との差が大きく、かつ開いていることから、子どもを持ちたいという希望がかなえられることが大切である。

図表3-1-1-4 平均理想子ども数と平均予定子ども数の推移
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