第2章 人口・経済・地域社会の将来像

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(7)財政と社会保障

●財政の将来見通し-人口安定・生産性向上の場合には財政の悪化も緩和

日本の財政状況は、人口高齢化等の要因によって歳出の増加が続く中、リーマンショック後の経済危機対応とそれに伴う税収減、東日本大震災への対応等が重なり、著しく悪化しており、累積債務残高の対GDP比は2倍程度に達するなど、非常に厳しい状態にある。

今後についても、医療、介護といった社会保障費を中心に歳出増加圧力が続く見込みである。特に、2020年代後半には、団塊の世代が後期高齢者と呼ばれる年齢に達し、医療・介護費が一段と増加することが見込まれている。社会保障分野は歳出に占める割合が圧倒的に多く、今後も財政状況を左右する重要な要素となる。

財政の将来見通しにあたって、人口構成と生産性は重要な要素となる。経済成長の場合と同様に、4つの場合分けによって試算を行ってみると、人口減少が続き生産性の向上が停滞した条件の悪い場合においては、2020年代以降に基礎的財政収支赤字は急拡大し、それに伴い公債等残高対GDP比は拡大していくこととなる。機械的な試算では、借金の大きさが年収の5倍に達するといった持続不可能な将来像が描かれてしまう。

一方で、生産性が向上し、人口が安定した場合には、基礎的財政収支、公債等残高対GDP比はかなり安定化する。経済が成長続ける、税金を納める働き手が減少しない、高齢者向けの歳出の増加がおさまる、といったことによって、持続可能な将来像が描かれる。

図表2-7-1 中央・地方政府の基礎的財政収支(PB)
図表2-7-2 中央・地方政府の公債等残高

●社会保障関係支出の将来推計-人口安定・生産性向上の場合には過度の増加回避

国民所得に対する租税や社会保障負担の比率を表したものを一般に国民負担率と呼んでいる。社会保障制度が充実している欧州諸国では50~60%程度、日本は35%程度である。租税負担率が過去20年程度横ばいで推移する一方、社会保障負担率がこの20年間で上昇してきている。

日本の人口構成は現状のまま推移すると、2060年には高齢化率が40%まで上昇する見込みである。この場合、社会保障を支えるための家計の潜在負担割合は現状から2060年までに、35%弱から50%程度まで、社会保障関係支出の対名目GDP比は、23%程度から、33%程度まで上昇することとなる。こうした推移にあわせて、社会保障制度や税制を改変させていくことが課題となる。

一方、人口が1億人程度で維持され、さらに労働生産性が向上するケースにおいては、社会保障を支えるための家計の潜在負担割合は現在と同程度の35%程度で抑えられ、社会保障関係支出対GDP比も25%弱に抑制される可能性がある。また、生活水準の目安となる現役一世帯あたり実質消費増加率についても、生産性と人口構成によって大きく左右される。

図表2-7-3 社会保障を支えるための家計の潜在的負担割合
図表2-7-4 社会保障関係支出対名目GDP比
図表2-7-5 現役一世帯あたり実質消費増加率
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