はじめに

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「選択する未来」委員会は、50年程度先の日本の経済社会のビジョン作りを行うため2014年1~11月に活動を行った経済財政諮問会議の専門調査会である。同委員会の活動は、政府において、人口問題を真正面から取り上げたことなどが反響を呼び、様々な場で引用されることとなった。特に、その取りまとめ報告のなかで「50年後においても1億人程度の規模を有し、将来的に安定した人口構造を保持することを目指すべきだ」とした提言が注目された。

現代の日本の少子化が極めて深刻な状況にあることは広く知られていることであり、同委員会が初めてその事実を指摘したわけではない。注目されたのは、人口問題を政策上の課題として取り上げて、1億人という数値目標を掲げた点にあった。結婚、出産に係る選択は、人生の最も基本的な部分での選択のひとつである。個々人の生活や基本的な権利に対して政府が極力介入しないことは自由主義をとる近代国家の大原則であり、そういう意味で、人口問題を政策上の課題として取り上げることには慎重な配慮を要する。その点に十分注意を払いながら、未来を描くためという視点から踏み込んだ提言を行ったことが広く注目を集めた理由であったと考えられる。

同委員会は、ワーキング・グループとあわせて、30名の各界の識者の方々に委員として参加いただき、合計37回に上る会議を開催し闊達な議論を行った上で、2014年11月14日に提言を取りまとめ、活動を終了した。

提言の主要なメッセージは、50年程度先の日本について明るいビジョンを描こうとするならば、縮小傾向にある人口、経済、地域社会のトレンドを反転させることが是非とも必要であること、そのためにはデフレ脱却が見えつつあるこのタイミングを逃してはならないということである。

諸課題への対処を先送りするほど反転が困難となり、極めて厳しい未来が到来することが避けられなくなる。この事実から目をそむけず、危機感を共有することが「反転」への出発点となる。

この提言を一つの契機として、幅広い国民各層において、明るい未来を展望しようとする問題意識の共有が進み、改革・変革のための諸努力の積み重ねがなされることを期待したい。

平成27年秋

「選択する未来」委員会会長 三村 明夫


「選択する未来」委員会の事務局は、内閣府政策統括官(経済社会システム)において担当した。経済社会のグローバル化、情報化や急速な技術革新、人々の価値観の多様化などの中で、将来展望を検討することはますます難しくなっているが、「選択する未来」委員会は、人口推計という比較的将来の見通しを得やすい指標を軸に置きながら、多様な分野の識者に様々な観点から御意見を出していただくことによって、蓋然性の高い将来展望を示しつつ足元の諸課題を多角的、説得的に指摘することに相当程度成功した活動であったと思われる。三村会長をはじめ、委員、協力者の方々の御尽力に記して感謝の意を申し上げる。

委員会の提言や議論の内容は、すべて内閣府のホームページから閲覧いただけるようになっている。本書は、委員会での御意見、審議の過程で収集、整理、分析したデータや事例等について、人口や地域をめぐる課題を検討するために有意義なものが多く含まれていると考えられることから、事務局を務めた当時のスタッフが中心となって、それらを再整理して解説を付して広く利用に供するために取りまとめたものである。様々な場での検討に資するものとなれば幸いである。

平成27年10月

内閣府政策統括官(経済社会システム担当)
羽深 成樹

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