記者会見要旨

三村会長記者会見要旨(第1回「選択する未来」委員会後)

  • 日時:平成26年1月30日(木曜日)11時12分~11時35分
  • 場所:中央合同庁舎第4号館 620会議室

1.発言要旨

 まずうれしかったのは「選択する未来」というのはちょっと分かりにくいのですけれども、これを聞いてぞくぞくするほどうれしかったという委員が数名おられたことは非常に良かったことだと思っております。
 ただ、要求されているアウトプットは極めて明快で、しかもそれを達成するために、2020年までにどういう政策を打ち立てたらいいのかと。こういうことも非常に明快なのですが、さて「選択する未来」というけれども、どういう未来を我々として選択するのかということ。それから、それにどうアプローチしたらいいのかというアプローチの問題。この2つについては、まだクリアではありません。
 1つだけはっきりしているのは、今日の議論の中でも、まず人口動態を絶対踏まえなければいけないということ。しかも、その人口動態というものは日本全体の人口動態であると同時に、各地方にまでこれを広げて、例えば二重の意味での人口減少が各地方では起こるわけですけれども、それが日本全体として、このまま行ったらどういうことになるのか。こういうことをまず踏まえなければいけないということ。それから、未来を考えるときには、国全体と同時に地方の在り方も考えなければいけないという意見は一つの共通的な意見として出てきたと思っております。
 あとは、まず今後のことを考えるときに、やはり未来を選択するにしても、今のまま行ったら、要するによく言われるアズ・イット・イズ・プランというわけですけれども、今のまま行ったら日本というのはどういう国になってしまうのか。ややこれを強調し過ぎると悲観的な状況になるのですが、それは踏まえなければいけない。と同時に、日本にはこういう明るい未来があり得るのだということも、結果としてはそういうものを何とか提示しようではないかということで、若者が元気になって、日本に住むことを非常に幸せと思えるような、そういう未来を提示しようではないか。しかし、それも現実とのつながりというのはある程度担保しないと、これは政策にはつながらないと。
 今日はこういう行きつ戻りつの議論でして、本委員会のテーマを踏まえると、これは当たり前の話だと思っております。したがって、第1回としましては、皆さんの意見を率直に伺い、今後、どういう形でこれを進めるかということを考えてみたいと思います。
 以上が概括であります。

2.質疑応答

(問)人口減少に対する対策がメインになりそうだというお話がございましたけれども、これから具体策を詰めていくと思うのですが、どういうものを出していかれたいかという現時点でのイメージをお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。
(答)イメージはまだないです。ただ、人口減少がやはり大きな課題になってくると思いますので、それに対してはどういう対策があるのか。それから、東京一極集中というものをもう少し抑えるとか、こういうものとしてどういうことがあるのか。こういうことはまず間違いなくテーマになっていくのではないだろうかと思っています。
(問)事務的なことかもしれないので、お聞きするのは適当かどうか分からないのですけれども、資料4で、ワーキング・グループができているではないですか。それで、ワーキング・グループで、主査は委員の方がなられているのですけれども、その中に当然、また民間の委員の方とかを入れられると思うのですが、これはいつぐらいまでにどういう形で示されるのかということ。あと、スケジュールが、4月以降で中間整理して、年内に最終報告ということで、諮問会議の絡みなので「骨太の方針」に反映してからというのがあると思うのですけれども、下半期のイメージとかも、もしあれば教えてください。
(答)事務局から答えてください。
(事務方)まずはワーキング・グループですけれども、今、主査の方々とも御相談しながら人選を進めていますので、近々、固まれば発表させていただきたいと思います。
 あと、今後の流れとしては、年末までに最終報告ですけれども、まず「骨太の方針」に向けて中間整理を出していただいて、それを踏まえて、ただ、三村会長もいろいろな角度からじっくり議論したいということですので、引き続き議論していって、年内に報告をまとめていくということだと思います。
(答)これは急いでということではないと思うのですよ。今日の委員の意見でも、まだ相当幅が広いし、私自身の将来の方向についてもまだ固まっておりませんから、まず各ワーキング・グループを開くにしても、方向性はある程度はっきりして、それで宿題・課題をワーキング・グループに下ろすことが必要だと思いますので、すぐということはないと思っております。
(問)今、三村会長のお話の中で、人口の動態をきちんと踏まえる必要があるというお話がありました。その問題意識から派生して、やはり労働人口が減っていくことをどうやって抑えていくかという話に必ず行き着くと思うのですけれども、それへの対策の一つとして、女性の就業に関して中立的な制度の構築ということが年末の諮問会議の資料にも出ているのですが、このあたりの配偶者控除ですとか、第3号被保険者制度といった制度についても、この中で取り上げて議論していかれるお考えはありますか。
(答)私の委員会で具体的な制度設計まで提案することにはならないのではないかと思います。むしろ女性の参画は絶対必要だと思いますから、これについて非常に強力に提案するということはアウトプットとしては考えられますけれども、それが制度設計そのものにつながることは、私はないと思っております。もう少し大きな枠組みを提案することになると思います。
(問)では、個別の制度について取り上げるというのは余り考えていらっしゃらないということでよろしいのですか。
(答)考えていませんというよりも、恐らくそういう議論になるのではないかと思っています。我々の答申というものは経済財政諮問会議に対する答申になるわけです。したがって、具体的な制度設計まで立ち入るかどうかというのは、例えば例示的に、こういうことも含めて是非とも考えていただきたいということは答申できると思いますけれども、具体的な答申内容まではまだ議論に至っていません。
(問)今後半世紀を見据えた課題を議論していくということですけれども、現在、政府が公式に出している成長率であるとか財政の見通しというものは、大体20年とか23年ぐらいまでがマックスで出ていたと思うのですが、50年までの先とか、あるいはもう少し、30年とか、そのぐらい先までの未来を少し考えていく必要もあるかなと思うのですけれども、そういうシミュレーションなんかを、専門家の方もいらっしゃるということで、この専門調査会なんかでやっていくお考えはあるのでしょうか。
(答)これは未来をどう設計するかというのがまず先に来るわけですけれども、そうすると、現実からそこに至るつなぎというものは経済成長率でつながざるを得ないことになりますね。ですから、それはその先に足元の成長率がこうで、成長限界がこうだから、したがってという発想ではなくて、望ましい未来というものを我々としてこのように設定した場合には、どういう成長率が必要なのか。要するにそれを実現するためには、例えば現在の潜在成長率に比べてどういう制度設計を変えなければいけないのか。恐らくそういうアプローチになっていくのではないかと思います。
 幾つかの試算は出ているわけですけれども、その中で例えば、女性の労働参加を更に求めることはどういう意味を持つのかなど、いろいろなことが論点として出てくるのではないだろうかと思います。したがって、足元は踏まえなければいけないけれども、我々としてはこういう世界になってほしいというところからバックフィットするということになっていくと思います。
(問)会議の冒頭の挨拶で、甘利大臣からも、人口減少とそれに対する危機感みたいなお話もあったかと思うのですけれども、労働人口という意味ではもっと減少のスピードが速いというふうに、今、見られているかと思うのですが、経済界を代表するお立場として、ニュートラルにこの会議に臨みたいというお立場はあるかと思うのですけれども、現状の認識をお聞かせ願えればありがたいのですが。
(答)まず、ニュートラルに行きたいと思っています。もちろん、経済界としていろいろこういうことを思っていることはありますけれども、それ以上に、やはり50年後の日本をどうするのかということは経済界だけではなくて、日本人全体の大きな課題であると思います。
 成長率の規定の仕方としては、潜在成長率というものは資本蓄積と、労働人口と、それから、労働及び資本の生産性と、この3つの掛け算で表されるというふうに言われます。したがって、労働人口の減少というものは日本の成長率そのものに大きく影響する問題であると思っております。したがって、これに対してどう対応するのかということは、これは我々だけではなくて、日本全体の大きな関心であると思います。
 これは今後の議論ですけれども、例えば労働人口の定義をどうしたらいいのかということも議題になるかもしれません。今の定義は、15歳から64歳ですか。70歳ぐらいの人はみんな働きたいということも含めて、先ほどの成長率を高めるためにどうしたらいいのかということも一つのアウトプットになるかもしれません。
(問)まずは基本的なところなのですけれども、この資料4のところの3つの作業部会に分かれてやっていくということは、今日は委員の方々の間で合意したと。
(答)それはそのとおりです。
(問)この資料にもありますけれども、大体それぞれどんなイメージで、どんなことがテーマになるかということを会長の言葉でお聞かせ願えればと思います。
(答)まず第1に、今日は発足したばかりですから、しばらく時間をいただきたいと思っております。
 それから、この会議の特徴というものは、どんな審議会でもそうですが、アウトプットは大体、どういうふうに、何をアウトプットとするのかということは目に見えているのですけれども、この委員会の場合は何をアウトプットとするかということが見えていないわけですよ。海図なき航海とは言いませんけれども、それがゆえに自由度は大きいし、柔軟な発想で、しかも私は楽しくと言ってしまったのですが、本当に将来のことを考えるのだったら、余りしかめっ面をしないで、やはり自由な発想で対処する。こういうことが必要だと思っております。
 したがって、ワーキング・グループの人選というものは、先ほど申し上げましたけれども、これは合意されております。その方向でいきますが、ただ、先ほど申し上げましたように、ワーキング・グループをスタートさせるにしても、例えば今日の議論だって、人によって「選択する未来」というイメージは違うわけですし、アプローチも違うわけですから、この辺についてはもう少し議論を踏まえた上で、例えばあと1~2回ぐらいは今の本委員会で議論した上でワーキング・グループに下ろしてみたいと思っております。
 我々の一つの喜びといいますか、救いは結局、今回はただ単にバラ色の将来を描くだけではなくて、これを具体的に2020年までの政策に転換する、政策に実現するところが我々の委員としては非常に励みになるところでありまして、そのためには、結果としてはある程度の実現可能性ということも踏まえなければいけないかと思っております。プロセスとしては、その辺はぜひとも大胆にやりたいと。こういう委員の意見も今日はありましたので、それは大事にしたいと思います。
(問)経済財政諮問会議の議論との関係についてお伺いしたいのですけれども、例えば「骨太の方針」をつくったり、年末の予算編成の方針をつくったりというところに、こちらの委員会の議論の何かが反映されることもあり得るのか。それとも、余りそれを考えずに、本当に大きなグランドデザインを描くということなのか。その辺の見通しをお伺いしたいのです。
(答)これは経済財政諮問会議の民間議員の方々とも下打ち合わせをいたしました。我々の理解は、これは言ってみれば経済財政諮問会議から依頼された内容だと思いますので、我々の出したアウトプットは、例えばあるものは「骨太の方針」に入る。これは今年の「骨太の方針」に間に合うかどうかというのは分かりませんけれども、あるいは予算につながると。こういう担保がなければ、この委員会を一生懸命やることは余り意味がないと。このように思っていますので、それは担保されていると私は理解しております。
(問)では、考えるイメージのレンジは違うにせよ、ある程度、諮問会議の議論にも。
(答)レンジが違うのではなくて、これはタイムレンジが違うだけであって、50年後のことを考えるときに、今からの連続性を考えなければいけないわけで、50年後にいろいろな政策を考えてもしようがないわけです。例えば人口減少への対策は今からやらなければいけないわけです。こういった課題については、足元の政策として相当程度のものが位置づけられなければ50年後の日本は、未来は描けないということですから、決して諮問会議の議論と矛盾するものではないと私は思います。
(問)足元の個別の政策も、この委員会で議論されたりもするということでしょうか。
(答)私たちは、先を見据えて今からやるべきことについても議論します。その中に、それは経済財政諮問会議で取り上げられているものもあるかもしれません。それについては協議しますし、まだ取り上げられていないものがあるとすれば、それはそれとして我々の提案を真剣に議論していただくということになると思います。
(事務方)補足させていただきますと、諮問会議はこれから「骨太の方針」、それから、年末の予算編成に向けて進んでいきますけれども、新しい年が始まってやっていく中で、やはり当面の政策、いろいろ課題が諮問会議にありますので、それだけではなくて、中長期のビジョンに立った提言なりなんなりをしていくときに、そこはこちらの委員会でそういう大きなバックグラウンド、グランドデザインを描いていただいて、それに基づいて諮問会議の方もいろいろな政策を考えていく。そういうリンケージがあるということでございます。
(答)私どもは矛盾するものではない。そういう意味では、完全に諮問会議と一心同体でやっていきたいと思っております。
(問)あと、これは会長でも事務局の方でも構わないのですけれども、きょう各委員からどんな発言があったか、主なものを御紹介いただけるとありがたいのですが。
(事務方)後ほど御紹介します。
(問)三村さん、御多忙な中でこの会議の長を、結構回数もありますし、丸一年に及びますけれども、この会議体の長をなぜお受けになられたのか。その辺の思いを教えていただければと思います。
(答)なぜかといいますか、こういうものが今、日本にはないと思っていることと、それから、やはり自分としても短期的な、アベノミクスが非常に効果を上げていると思います。経済界としても全面的にこれを評価するものでありますけれども、それと同時に、さて将来、アベノミクスが成功した段階でどういう方向に日本が進むのかということについては、必ずしもみんなの合意が得られていないといいますか、姿がよく分かっていないと。こういうことで、これ自身は今回の甘利大臣の話にも当然あったわけですけれども、私も個人的にはそうだと思いますし、お話があったときには、若干考えましたけれども、非常にやりがいのあるものだと思って、その場で引き受けさせていただきました。
(問)ちょっと趣旨が外れるのですけれども、三村さんがトップでまとめ上げられたものでエネルギー基本計画があるのですが、なかなか閣議決定もされないまま、政府は何が怖いのか、分からないですけれども、ずるずると行っていますが、その辺のお考えがあれば。
(答)そんなにずるずるというよりも、これから2月には閣議決定されるというふうに私は聞いております。
 私の役割はエネルギー基本計画を経産大臣に提出することでとりあえず終わっておりますので、あとは政府も含めて、これをどのようにハンドリングするのかということに一切お任せしたいと思っております。全然、質問もしておりませんし、整々粛々と事態の推移とともに物事が決まっていくのではないだろうかと。このように思っています。
(問)今のハンドリングという中には、文言の修正等も含めて粛々と進めていただくしかないということでしょうか。
(答)文言の修正などということはこちらの方からは要求もしていませんし、希望もいたしておりません。それは政府の中でどのように扱われるかということでありまして、これは私の関与するところではない。
 しかし、大幅な修正があれば何らかのことは来ると思いますけれども、まだそういうことはありませんので。
(問)50年後の未来を考える上で、日本の財政をどうしていくかというのも大きな視点で、それはなかなか2020年のプライマリーバランス黒字化というところまでは現状で描けていないと思うのですが、委員のペーパーからも消費税を25%に引き上げるですとか、そんなシナリオも書かれているものもあるのですが、今後、財政をどうするですとか、国民負担率をどうするかとか、税制構造をどうしていくか。そういった議論も長期的な視点でこの委員会の中で行っていく考えはあるのでしょうか。
(答)迷うところですけれども、まず恐らくやらないと思います。我々はやはり人口動態を中心に、経済構造としてどうなるのかということをベースに取り扱いたいと思っています。もちろん、日本にとって財政健全化ということが絶対必要な項目であることは、そのように理解いたしますけれども、それを我々の委員会で取り上げることは恐らくしないと思っております。

(以上)