第8回記者会見要旨:平成30年 会議結果

茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成30年6月5日(火曜日)18時08分~18時45分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

経済財政諮問会議の概要について御報告いたします。
本日は2点、一つは「新たな外国人材の受入れ」について、そしてもう一点が、いよいよ取りまとめに入ります「骨太方針の原案」について、議論を行いました。
「新たな外国人材の受入れ」につきましては、上川法務大臣から、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築するため、新たな在留資格を創設することについて報告がありました。
これについて総理から、菅官房長官と上川大臣に、与党と調整を進め、閣議決定に向けて尽力をしてほしい、と指示があったところです。
続いて、「骨太方針の原案」についてですが、今年の骨太方針では、持続的な経済成長の実現に向けて潜在成長率を引き上げるため、人づくり革命と生産性革命に最優先で取り組みながら、あらゆる政策を総動員することをお示ししたいと考えています。現在取りまとめ中の人生100年時代構想会議の「基本構想」、「未来投資戦略2018」の内容もこの骨太方針に反映をさせる予定です。
財政健全化については、「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針を堅持し、着実かつ景気を腰折れさせることがないようなペースと機動性をもって行います。そして、団塊世代の全てが75歳以上となるまでに財政健全化の道筋を確かなものとするため、2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指します。同時に、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すことを堅持します。
今後3年間、2019~2021年度を「基盤強化期間」と位置づけ、財政健全化目標と結び付いた予算編成を行います。また、目標年度までの中間年である2021年度に中間指標を設定し、目標達成に向けた取組の進捗を確認するメルクマールとします。
さらに、2019年10月の消費税率引上げに当たっては、経済変動を可能な限り抑制するため、臨時・特別の措置を2019年度と2020年度の当初予算において講ずることとします。
総理から、与党とも調整を進め、骨太方針として閣議決定できるよう尽力するように、と指示がありました。


2.質疑応答

(問)本日の諮問会議で、外国人材の受入れ拡大の必要について、安倍総理から発言がありました。骨太方針でも、外国人の受入れを進めるということで、多くのページを割いて記載されています。人手不足に対応するためということですが、改めて大臣から、ここまで思い切って外国人材を入れるということで、狙いをお願いします。


(答)骨太方針の2章の4.の中にしっかり書いています。これは、2月に総理から、検討を進めるようにと御指示をいただき、検討を進めてきたところです。日本は中小企業を含め、様々な分野で人手不足です。当然、女性、更には高齢者の活躍促進、また、様々な技術革新によって代替していく部分はありますが、一定の専門性・技能を有して即戦力となる外国人材に関し、就労を目的とした新たな在留資格を創設するということは極めて重要だと思っており、その方向で骨太方針に盛り込むよう、与党とも調整をしていきたいと考えております。



(問)社会保障費と非社会保障費について、前回と違って、今回は具体的な目安として数値目標が明記されておりません。考え方としては、これまでの取組を続けていくということですが、例えば社会保障で言えば、1.5兆円よりも3年間で増えないという理解でいいのでしょうか。非社会保障費についても、3年間で0.9兆円という数字があったと思うのですが、それを上回ることはないのか、大臣としてのお考えを伺えますでしょうか。


(答)新計画の「基盤強化期間」である2019~2021年度の3年間に関しては、これまでの3年間と違った要素が出てきます。その一つが75歳以上の人口の伸びで、これまでの3年間の伸びの半分以下に減少します。一方、賃金・物価の継続的な上昇が予想されます。具体的な数値による目安を記載することは、こういった変動要因もあり、難しいと思っています。
いずれにしても、毎年度の予算編成の過程の中で数値を明示することにしています。歳出改革の取組が緩むことはないと思っています。



(問)歳入改革について、本文の中で触れられていますが、脚注では目的税という形で限定されています。来年、消費税率引上げが予定されていますが、消費税率の更なる引上げではなく、目的税という形で限定して歳入改革について言及されている理由を伺えますでしょうか。


(答)目的税とは書いていません。二つの例示がしてあり、歳出改革だけでなく、いかに歳入を伸ばしていくかについては、当然経済成長と、これによる税収の拡大ということも必要であり、税制をどうしていくかも重要だと思っています。



(問)消費税率引上げは排除されるのでしょうか、されないのでしょうか。


(答)何年先のことまで全てこの骨太方針で書いてあるわけではありません。例えば、先程申し上げたように、今後3年間をどうしていくかということも書いてありますし、更に先まで踏み込んで書ける部分と、まだこれについては議論が必要なところというのがあるわけでありまして、この骨太方針をもって今後10年のことを全て書けということは、私は無理だと思います。



(問)今回、中間指標として、債務残高対GDP比の数値が設定されました。元々はPB黒字化後の目標とされていたと思いますが、昨年の骨太方針で、茂木政調会長の下で同時に引下げを目指すとされ、今回は更に数値が明記されました。総理が元々国会答弁でも重視する姿勢を示していると思うのですが、今回新たにこの中間指標として置かれた狙いを改めて教えてください。


(答)まず、質問に関連しまして、確かに昨年の骨太方針で、同時にといった形で債務残高対GDP比が記載をされることになりました。たまたまそのとき私は政調会長であったというのが正しい順番ではないかと思っております。
そして、できる限りこのメルクマールを作っていくという観点から、ある程度具体化できる数字を盛り込める部分は盛り込みます。ただ、今の段階で不確定な部分については、いろいろな議論も必要で、全てのことを数字で盛り込め、全てのことを方向として出せということは無理です。その中で、まずはPBです。これは、フローの概念です。一方で、債務残高対GDP比はストックの概念です。財政健全化を進めるということを考えると、確かにフローという意味で赤字を減らしていくことは重要ですが、同時に、日本の経済規模に合った債務がどこまで減っていくかも重要だと思っております。家計で言うと、毎月の出入りだけでなく、家計の稼げる額に対する借金の額がどうなっているか、住宅ローンがどうなっているか、ということです。
このストックの概念である債務残高対GDP比を下げていくためには、3番目のメルクマールとなる財政赤字対GDP比を減らしていくことが重要になってきます。



(問)同じく中間指標について、PB赤字対GDP比以外の二つは、既に試算の中でも達成できそうな数字になっていて、甘い設定になっているのではないかという指摘もあります。どのようにお考えでしょうか。


(答)決して甘いと思っていません。現実的に見た中で、達成すべき、日本が財政健全化を進めるために必要な一つの方向というのはどうなるか考え、決してゴールから逆算して達成しやすい数字を置いたのではなく、財政健全化を成し遂げるためにどうしたらいいのかということから設定しました。恐らく、もし達成しやすい数字を並べるのであれば、PBの方も1.5%ではない数字にした方がいいのではないかと思います。基本は、財政健全化を進める道筋をどう考えるかということなのだと思っています。




3.新原内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

平成30年第8回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
最初に、新たな外国人材の受入れについて、上川法務大臣から説明があり、その後、意見交換を行いました。
経済産業大臣から、「人手不足は産業界にとって成長のブレーキとなりつつある。IT活用などの生産性向上を徹底的に進めることを前提に、外国人材の受入れを進めたい。」
民間議員から、「新たな外国人材の受入れについて、特に介護分野に活用されることを期待している。外国人に対して、最低賃金違反などが生じないようきちんと対応を進めていただきたい。」
別の民間議員から、「今回の新たな外国人受入れ方針は時宜を得たもので歓迎をしたい。しっかりとコンセンサスづくりを進めてほしい。」
別の民間議員から、「外国人材を安い労働力として考えるのではなく、人として受け入れることがとても大切。企業任せにするのではなく、国としても外国人支援を検討すべき。外国人との共生社会の実現が適用されるようメッセージを出してもらいたい。」
別の民間議員から、「アジアでは、既に人材の獲得競争が始まっている。日本に優秀な人材を多く受け入れる仕組みを是非導入してほしい。今回の原案は5年間引き受けた後、能力の高い人については別の在留資格に移っていく制度が入っているが、高い能力を持つ人の在留延長の仕組みは大変重要。日本文化と親しみつつ、コミュニティとして受け止める仕組みが大事であり、外国人が多い自治体の好事例の横展開をしっかりと進めていただきたい。」
次に、骨太方針の原案について、私の方から説明し、その後意見交換を行いました。
主な御意見を紹介いたします。
経済産業大臣から、「社会保障については、一人一人が何度でもチャレンジでき、生涯現役でいられる社会を実現することが重要。そのためには、全世代型の社会保障を整備し、経済社会の構造をダイナミックに変えることで持続可能性を高めていくことが必要。」
財務大臣から、「前回の諮問会議で、2019~2021年度の期間内から社会保障制度をはじめとする改革を実行に移し、遅くとも2025年度までにPB黒字化を確保するべきと申し上げた。今回の原案はこうした趣旨が反映されており評価をしたい。これから党の意見も伺いながら成案を得て、経済再生と財政健全化の両立にしっかりと取り組んでいきたい。」
民間議員から、「原案については高く評価をする。成長戦略について、Society 5.0の社会実装は、成長の柱であると同時に社会課題の解決も図り、SDGsの推進にもつながるものと考えている。また、社会保障について現役世代の負担の軽減が消費の拡大にもつながるものだと考えている。政府が厳しい改革に取り組んでいることは明らかだが、一部には後退しているという見方もある。正確にこの骨太原案の内容を広報して、伝えていくことが大切。」
別の民間議員から、「経済再生なくして財政健全化なしという基本方針が重要。ベースラインケースを超える成長の実現のため、女性の就労促進、高齢者の就労促進、外国人の活躍、この3つが挙がっている。これを推進するとともに、生産労働人口を増やし、また、Society 5.0を通じた技術革新について供給サイドを強化し、生産性を上げていくべき。EBPMを通じて、効果のある政策に重点化し、単年度ではなく、3~5年を見据えた予算設計を進めるべき。」
別の民間議員から、「歳出改革だけでなく歳入改革も重要。デジタル経済化など、経済社会の構造変化に税体系が対応できていない部分について改革をしていく必要がある。また、地方独自の財源確保に前向きに対応していくべき。」
別の民間議員から、「成長と分配の好循環が重要。最低賃金の引上げについて、セクションを設けていただいたことに感謝する。賃上げの動きを継続していくため、最低賃金の引上げをしっかりと進めていくべき。消費税率引上げのためには実質賃金の引上げが大変重要。消費税率引上げに対する対策は明確に方針が出ているので、それを企業、国民にしっかりと伝えていく努力をするべき。」
最後に、総理から御発言がありました。
「本日は、第一に外国人材の受入れについて、菅官房長官、上川大臣に検討いただいた結果の報告を受けた。地方の中小・小規模事業者を初めとして人手不足が深刻化している。このため、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを早急に構築する必要がある。本日提示した骨太方針の原案において、移民政策とは異なるものとして、新たな在留資格の創設を明記した。両大臣におかれては、与党と調整を進めていただき、閣議決定に向けた御尽力をお願いする。
第二に、骨太方針の原案について議論した。今年の骨太方針では、持続的な経済成長の実現に向けて、潜在成長率を引き上げるため、人づくり革命と生産性革命に最優先で取り組みながら、あらゆる政策を総動員することを示したい。
また、2019年10月の消費税率引上げに当たっては、経済変動を可能な限り抑制するため、機動的な対応を図る。
さらに、引き続き経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針を堅持し、団塊世代の全てが75歳以上となるまでに財政健全化の道筋を確かなものとするため、2025年度の国・地方を合わせたプライマリーバランス黒字化を目指す。
茂木大臣には、与党とも調整を進め、骨太方針として閣議決定できるよう御尽力いただきたい。」
最後に、茂木大臣から、「次回の諮問会議においてこの骨太方針を取りまとめたい」という話がありました。
以上です。



(以上)