第15回記者会見要旨:平成29年 会議結果

茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成29年11月16日(木曜日)18時30分~19時04分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

第15回経済財政諮問会議の概要について御報告を申し上げます。
今日三つのテーマがありまして、最初に「金融政策、物価等に関する集中審議」、2番目に、総合科学技術・イノベーション会議との合同会議として「生産性革命に資する科学技術イノベーション」について、最後に地方行財政と社会資本整備について意見交換を行いました。
民間議員からは、政府の研究開発では出口戦略を明確にして取り組むと共に、手続を簡素化し、厳格な評価とマネジメントを徹底すべき。ガバナンス改革や若手研究者の活躍促進など大学改革を強化すべき。歳出効率化に成果を出した自治体への支援を強化すべき。第三セクターの経営健全化方針を早急に策定すべき。上下水道などの分野でPPP/PFIなどの利活用を拡大すべき。広域的な社会資本の利活用に向けて関係省庁がしっかりと連携すべき。といった提言がありました。
詳細については、後程、事務方から説明いたします。
最後に、総理から発言がありました。その内容は、既に会議の最後でカメラ入りで聞かれた方もいるかと思いますが、概要を改めて申し上げます。まず、我が国経済の持続的な成長のためには、イノベーションの強化が不可欠であり、松山大臣、林大臣をはじめ関係大臣には、具体的な政策を早急に策定し、その実現に取り組んでほしい。地方行財政改革について、野田大臣には、地方での持続可能な財政構造に向けて改革を加速してほしい。生産性を大きく押し上げる物流ネットワークを整備することが極めて重要であり、石井大臣をはじめ関係大臣には社会資本の質を高める取組をしてほしい、との指示や発言がありました。
本日の会議のポイントについて、私からは以上です。


2.質疑応答

(問)デフレ脱却に向けた現状の検証という資料について、事務方から説明があったかと思います。この中で、デフレ脱却に向けた局面変化の状況にあると、現状を捉えられていますが、今後、実際にデフレ脱却に向けてどのような運びとなるのか、現状で大臣のお考えをお聞かせください。

(答)物価動向の背景をみると、長期にわたる景気回復により、需給キャップはプラスに転じています。さらに企業収益は過去最高の75兆円を記録しました。さらに人手不足感は1992年以来、四半世紀ぶりの高水準となるなどの局面変化もみられます。賃金についても、中小企業を含め、2%程度の高い賃上げが4年連続で実現しており、デフレ脱却に向けた改善は続いていると認識しております。
そうした中で、今、デフレ脱却に向けた様々な取組、生産性の向上、「生産性革命」も必要です。さらに、更なる賃上げを実現していくために、「人づくり革命」もしっかりと進めていきたいと思っています。
こういった賃上げができるような環境、デフレから脱却できるような状況を一日も早く作り出していきたい。政府、日銀がしっかりと連携しながら、あらゆる政策を総動員して、デフレ脱却、そして力強い成長を目指していきたいと思っています。

(問)総理の指示の中で、三つ目に物流ネットワークの整備とあります。これは道路についてのことかと思うのですが、補正へ盛り込むことも想定している指示ととっていいでしょうか。

(答)今日の指示について、具体的に補正の話かどうかは分かりませんが、例えば今の超低金利といった状況において資金調達も、より長いスパンで考えられるようになります。そうなると、様々な形で社会資本整備をすることが必要な分野については前倒しで行いたい、といったことも生まれてきます。例えば環状線の整備、4車線化を進める、また、2車線区間の工事を加速する、こういったことも含めた対策をとっていきます。補正でどこまでのことができるか、また、来年度以降どうしていくか、という話は出てきますが、必ずしも全部が予算措置ということにはなってきません。いずれにしても、そういった対策を加速する、こういう趣旨であると思っています。

(問)となりますと、最初の指示の、例えばイノベーションの指示に関しても、「生産性革命」というかパッケージなんかに必ずしも完全にリンクするものでもないということでよろしいでしょうか。

(答)イノベーション力の強化については、例えば大学改革といった問題も出てくるわけであり、恐らく大学改革が、直接、補正予算と結び付くという話ではないと思っています。これも経済財政諮問会議でも今後議論していきますが、人生100年構想会議でも議論をする中で、当然やはり社会のニーズに応じた大学のあり方、そして講座のあり方、こういったものも考えていかなければなりません。今いる先生が何を教えられるか、こういったことでカリキュラムが決まるのではなく、今社会が必要としている、そして人材がスキルを身に付ける上で必要なカリキュラムはどうか、こういった観点から様々な改革であったり運営システムといったものも考えていかなければいけないと思っています。

(問)デフレ脱却の議論のところなのですが、今日の現状の分析でも、コアコアがなかなか上がっていないということが示されております。日銀などはデフレ脱却の指標としてコアコアを重視しておりまして、大臣としても、やはりコアコアの動向を重視して今後デフレ脱却の議論をしていきたいというふうにお考えでしょうか。

(答)必ずしも全てがコアコアだと、こういう問題ではないと思っておりますが、日銀がコアコアを使っているのは確かであり、様々な指標を総合しながらデフレ脱却ができるような環境が整っているかどうかというのは見ていくことになると思っております。

(問)今回、民間議員の方からの提言で、地方には財源が増えると期待される地方消費税の見直しの話がありました。また一方で、歳出特別枠の廃止も提言されたというふうに聞いておりますが、総理から野田大臣に、地方での持続可能な改革を加速してほしいとの指示があったと先程御紹介されました。こうした民間議員からの提言について、総理の指示も踏まえまして大臣のお考えをお願いいたします。

(答)今日、それぞれ民間議員からいただいた内容を踏まえて総理の方から、まず、野田大臣に検討してほしいというお話でありました。恐らくこの話ですが、地方の行財政改革を進めるということになると、当然、地方交付税の話も出てきます。総務省において、また総務省、財務省において、まず様々な議論を行う。その上で最終的な判断をしていくということになると思っています。

(問)今回、「生産性革命」については、総合科学技術会議との合同開催だったと思うのですが、このように科学技術政策と経済財政が一体的にやることのメリットについてどのようにお考えでしょうか。

(答)今日は、「生産性革命」について、「生産性革命」を議論するので経済財政諮問会議と、科学技術・イノベーション会議が合同会議をやったということではなく、合同会議の中でこのテーマを扱ったという整理が正しいのだろうと思っていす。当然接点というのは出てきます。ただ、例えばイノベーションを進めるということになると、「生産性革命」を実現していく中で幾つかの大きな固まりはあると思うのですが、一つは、やはり中小企業、そして小規模事業者も含めて、生産性を上げるためのIT投資であったり、様々な業務システムの改善であったりといった、一つの大きな分野があります。
それからもう一つ、大企業も含めた設備投資をどう促していくか。過去最大となっている収益、これを更なる賃上げであったり、設備投資に回す、こういう議論が二つ目にあります。
そして三つ目に、現在進んでいるIoTであったり、ロボット、人工知能、こういった第4次産業革命、この技術革新、イノベーション、これをいかに社会実装し、それを経済の成長につなげていくか、こういう大きな三つのテーマがあると思いまですが、この三番目のテーマにつきましては、正におっしゃったようなラインで連携しながら議論していくということになるのだと思います。


3.新原内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

本日は最初に、金融政策、物価等に関する集中審議を行いました。黒田日本銀行総裁から資料1、事務方から資料2について説明をし、その後、意見交換を行いました。
主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「物の物価は上がっているが、サービス物価の上昇率が低い。サービスは賃金上昇率とすごく強くリンクしているので、致し方ないこともあるのかもしれないが、人づくりへの投資、生産性の上昇が重要である。」
別の民間議員から、「TPP11の大筋合意について、経済界として大いに歓迎したい。」
別の民間議員から、「製造業の生産性は上昇しているのに、賃金は上昇していない。デフレ脱却を確実にするためにも、賃上げと生産性の上昇が重要である。来年春の3%程度の賃上げは必要だと考えている。」
別の民間議員から、「サービス産業の生産性が上昇していない。サービス産業の振興に結びつくため、法人の交際費の是正についても、配慮をお願いしたい。」
次に、総合科学技術・イノベーション会議との合同会議に移り、生産性革命に資する科学技術イノベーションについて議論を行いました。経済財政諮問会議の榊原議員から資料3、総合科学技術・イノベーション会議の上山議員・久間議員から資料4について説明があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見を紹介いたします。
松山科学技術政策担当大臣から、「真の生産性革命の実現には、破壊的なイノベーションを起こし、生産性を飛躍的に高めていくことが必要である。若手研究者の活躍促進、先端的技術開発や優れた人材の供給を実現する大学改革を断行したい。総合科学技術・イノベーション会議の司令塔機能を抜本的に強化して、経済財政諮問会議や関係省庁と連携して、科学技術イノベーション政策を主導したい。」
林文部科学大臣から、「生産性革命の実現には、科学技術によるイノベーションと人材の力が不可欠である。若手研究者の研究開発の環境整備、国際化の促進に取り組みたい。大学においても、経営と教学の機能分担など、ガバナンスの抜本的強化に取り組みたい。」
世耕経済産業大臣から、「産業技術総合研究所では、民間企業からの資金獲得額を5年間で3倍にする目標を掲げて取り組んでいる。」
総合科学技術・イノベーション会議の民間議員から、「我が国の大学や若手研究者育成は、グローバルスタンダードから乖離をしている。教授の持つ既得権にメスを入れるべきである。世界に飛び込む若手研究者の挑戦を後押しすべきである。」
経済財政諮問会議の民間議員から、「破壊的イノベーションのためには、危機感を共有することが重要である。総合科学技術・イノベーション会議の司令塔機能の強化に向け、社会の大きな課題に対して大きな目標を設定することが必要である。課題に対して、いかに社会実装をしていくのかを前提として取り組むべき。STEM人材の育成が必要であり、特に、地方において重要。」
最後に、石井国土交通大臣、PFI担当の越智内閣府副大臣に御参加をいただき、経済・財政一体改革についての議論を行いました。高橋議員から地方行財政に関する資料5、社会資本整備に関する資料6の説明があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見を紹介いたします。
財務大臣から、「自治体の基金の調査結果について、平成18年度までに積み上げた基金の額の分析がなされていない。リーマンショック後に地方税収が大幅減となった時期でさえ、基金は増加していたということから、必要な額とは思えない。年末に向けて議論が必要である。
基金が増加する中で、地方の財源不足の半分を、赤字国債を発行して、国が地方交付税を手当てしている現状を踏まえれば、資金の効率的配分について議論が必要である。
公共事業については、日本の成長力を高める事業、防災・減災・老朽化への重点化を徹底することが重要である。大都市圏環状道路等への重点投資については検討したい。近年の災害で、都道府県管理の河川で大きな被害が出ており、積極的対応をする地方を重点的に支援できるように工夫する。」
民間議員から、「総務大臣から回答があったが、頑張る自治体を支援していくことが大事である。引き続き、経済財政諮問会議で議論をさせていただきたい。」
ここで、総理から発言がありました。
「第一に、科学技術イノベーションについて、民間議員から、政府の研究開発では出口戦略を明確にして取り組むとともに、手続きを簡素化し、厳格な評価とマネジメントを徹底すべき。ガバナンス改革や若手研究者の活躍促進など大学改革を強化すべき、といった御意見をいただいた。我が国経済の持続的な成長のためには、イノベーションの強化が欠かせない。松山大臣、林大臣をはじめ、関係大臣におかれては、本日の議論を踏まえ、具体的な政策を早急に策定し、その実現に取り組んでいただきたい。
第二に、地方行財政について、民間議員から、歳出効率化に成果を出した自治体への支援を強化すべき、各自治体において第三セクターの経営健全化方針を早急に策定すべき、といった御意見をいただいた。
野田大臣におかれては、本日の議論を踏まえ、地方での持続可能な財政構造に向けて改革を加速していただきたい。
第三に、社会資本整備について、民間議員から、上下水道などの分野でPPP/PFIなどの利活用を拡大すべき、人口減少に対応した広域的な社会資本の利活用に向けて関係省庁が連携すべき、といった御意見をいただいた。
また、生産性を大きく押し上げる物流ネットワークの整備については、私としても、極めて重要と考える。石井大臣をはじめ関係大臣におかれては、社会資本の質を高める取組を強化していただきたい。」
以上です。



(以上)