第13回記者会見要旨:平成29年 会議結果

茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成29年9月25日(月曜日)15時23分~16時13分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

まず、「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要について報告いたします。
景気の現状についての総括判断は、緩やかな回復基調が続いているとして、先月から据え置いております。先行きについては、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって緩やかに回復していくことが期待されます。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
政策の基本的態度については、人づくり革命について「人生100年時代構想会議」を立ち上げたこと、年内に中間報告、来年前半には基本構想を取りまとめるため検討を進めることを新たに記述しております。
また、今月のポイントとして私から2点申し上げました。
1点目は、景気回復の長さについてです。
景気の山谷の判断は、データの更なる蓄積と専門家による事後的検証を最終的には待つ必要がありますが、2012年11月の景気の谷以降、本年9月までで景気回復の長さは58か月となり、戦後2位のいざなぎ景気を超える景気回復の長さとなった可能性が高いと考えられます。
今回の景気回復では、4年半にわたりますアベノミクスの推進によりまして、名目GDPの伸びが実質GDPの伸びを上回っております。また、就業者数が2012年と比べて185万人増加と倍増するなど、雇用・所得環境が改善し、経済の好循環が実現しつつあると考えております。
2点目は、企業収益と設備投資、人件費の動向比較です。
企業収益は過去最高となり、5四半期連続で増加しました。一方、労働分配率については、景気回復期に低下をして景気後退期に上昇する傾向はあるものの、足下では過去20年の景気回復期と比べても最も低い水準となっております。さらに、営業利益は2012年10-12月期以降で25.2兆円の増加となる中で、設備投資は6.6兆円、人件費は3.1兆円の増加にとどまっております。
ここまでが「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要です。
もう1つ、「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」に続いて、経済財政諮問会議を開催し、「安倍内閣に期待すること」というテーマで、「人づくり革命」と「生産性革命」を中心に意見交換を行いました。
民間議員からは、「人づくり革命」では、幼児教育の無償化に最優先で取り組む一方、高等教育における公的支援の対象を限定すべきである。また、将来世代に負担を先送りすることのないよう安定的な財源を確保すべきである。「生産性革命」では、イノベーション力を強化するとともに、生産性向上と賃金引上げに向けた環境をしっかりと整備すべき。そして、財政健全化目標達成のための課題等を年内、早急に洗い出すべき、といった提言がありました。会議の詳細については、後ほど事務方から説明させます。
そして、会議の最後に総理から私に対して指示がありました。その内容については、既に会議の最後でカメラ入りでしたので、聞かれた方もいるかと思いますが、改めて申し上げます。
「本日は、新内閣で取り組むべき課題、特に、人づくり革命と生産性革命について議論した。私としては、以下のとおり進めていきたい。
この内閣の経済政策の最大の柱は、人づくり革命であり、安倍内閣が目指す一億総活躍社会をつくりあげる上での本丸。もう一つの柱は、生産性革命であり、力強い賃金アップと投資を後押しするため、2020年度までの3年間を集中投資期間と位置づける。この2本の柱の施策を具体化するため、内閣をあげて、年内に新しい政策パッケージを策定する。
その中で、「人づくり革命」に関しては、第一に、真に支援が必要な、所得が低い家庭の子供たちに限って、大学などの高等教育無償化を実現する。このため、経済的に恵まれない若者が勉学に専念できるよう、必要な生活費をまかなう給付型奨学金や授業料減免措置を大幅に増やす。
第二に、幼児教育無償化を一気に加速する。すなわち、3歳から5歳まで、全ての子供たちの幼稚園・保育所の費用を無償化するとともに、0歳から2歳児も所得が低い家庭では無償化を実施する。
第三に、待機児童解消を目指す「子育て安心プラン」を前倒しし、2020年度末までに32万人分の受け皿整備を進める。
第四に、介護離職ゼロに向けた介護人材確保のため、他の産業との賃金格差をなくしていくよう、更なる処遇改善を進める。
第五に、何歳になっても学び直しができるリカレント教育を推進する。
第六に、社会人の多様なニーズやIT人材教育など実践的な教育ニーズにも応えられるよう、大学などの高等教育改革を進める。
これらで2兆円規模の大胆な政策を実行したい。
財源がなければ、これらの政策は絵に描いた餅である。他方、安定的な財源を確保するとともに、財政健全化も着実に進めていかなければならない。バランスをいかに保っていくかは重要な課題である。人づくり革命の財源についても、しっかりと結論を出していく。この際、2019年10月に引き上げる予定の消費税による財源をしっかりと活用する。同時に、財政再建も確実に実現していく。保険方式などの制度改革についても、与党の議論を踏まえつつ、検討する。
「生産性革命」に関しては、中小企業の生産性向上への投資促進や、大企業・中堅企業の過去最大の収益を賃金・設備に向かわせるため、賃金アップと投資を後押しする予算・税制・規制改革による環境整備について検討する。」
政策パッケージの取りまとめは、私が行うよう指示がありました。麻生大臣と相談しつつ進めていきたい、林、加藤、世耕大臣を始めとする関係閣僚にも全面的に協力を仰いでいきたい、このように思っております。
今日の会議のポイントについて、私からは以上です。


2.質疑応答

<政策パッケージ>

(問)経済財政諮問会議で、総理から、消費税の財源も活用されて政策パッケージ2兆円規模のものをやっていくように、という指示があったと思いますが、この2兆円規模という政策パッケージのうち、いわゆる消費税の財源をどの程度活用するというようなお考えでしょうか。
総理もおっしゃられた財政健全化とバランスをとるということであれば、消費税は2019年10月の引上げですが、2018年度予算の分は、どのように手当てされていきますか、というのが2つ目です。
3つ目が、2020年度の黒字化目標との整合性をどのように考えるかという点もお願いします。

(答)今日、まさに先ほど指示をいただいて、具体的な検討はこれからということになってくるわけですが、基本的な考え方を申し上げます。消費税率の2%の引上げによりまして、およそ5兆円強の税収増となります。社会保障と税の一体改革では、この税収の5分の1である1兆円余りを社会保障の充実に使い、残りの5分の4である4兆円余りを赤字の穴埋めという形で、社会保障の安定化に使うこととなっているわけでして、具体的見直し案は正にこれから検討することになるわけですが、例えば、消費税率2%の引上げによる税収増のうち、概ねその半分程度を充実分に充てるとすると、新しい政策パッケージについて、新たに2兆円に近い財源が生まれるのではないかと思っております。
確かに、この引上げそのものは2019年10月でして、その間の財源をどうするかという問題もあります。それから、高等教育無償化をスタートしますと、その年の対象になる人、恐らく例えば大学であれば、全体で4年間で完成ということにもなってきますので、その政策に必要な財源が初年度幾らになっていくか、その部分をどう確保していくか、まさに今後しっかりと検討していきたい、このように思っております。
もう1つ、プライマリーバランス黒字化を実現するという財政健全化目標は堅持しております。年末に向けて、徹底的な重点化、効率化など歳出削減に取り組み、最大限の努力は図ってまいります。その上で、これまでもお話をしているとおり、目標の在り方については、来年の中間評価でしっかりと検証します。
消費税の増収分の使途の見直し行うとしますと、プライマリーバランスの黒字化目標の達成時期に影響が出得ると、そのように考えられますが、プライマリーバランスの黒字化を目指す、こういった目標自体は、しっかりと堅持し、歳出・歳入両面から改革を続けていきたい、このように思っております。


<月例経済報告>

(問)月例経済報告で、先ほど大臣が会議の中で、いざなぎ景気を超えた可能性が高い、という発言をされたというお話がありましたが、これだけ好景気が長くても、もともと安倍政権が発足したときに脱デフレという大きな目標に向けて動いたわけですが、なかなか物価が上がってこない現状をどのように御覧になりますでしょうか。

(答)確かに、この景気回復の長さという点においては、いざなぎ景気57か月を超える景気の長さとなった可能性が高い。そういった中、前回と比べてみても、前回は確か就業者数の増加は77万人だったと思います。今回は185万人ということですから、倍増している。こういった雇用の環境、そして所得の環境が改善しているということは確かだと思っております。
その一方で、今後、経済成長を更に持続させる、そして景気回復の実感を広げる。このためには、サプライサイドの改革による潜在成長率の引上げが必要でして、人材の質を高める「人づくり革命」と、成長戦略の核を担う「生産性革命」に重点的に取り組んでいきたい。そして、その「生産性革命」の中では、しっかりした賃上げを図っていく。また、企業の収益が設備投資に向かう、生産性向上に向けた設備投資に向かうような環境整備、こういったものも税・予算も含めて検討してまいりたいと思っております。


<政策パッケージ>

(問)「人づくり革命」で、2兆円規模という額ですが、幼児教育の無償化だけでもそれに近い額が必要というようなこともありまして、総理が多岐にわたりおっしゃいましたが、これら全てが2兆円規模でできるのでしょうか。
また、総理は、細かく幼児教育、高等教育、リカレントなどおっしゃいましたが、もし、それぞれの積算といいますか、半分程度が幼児教育になりそうだ等、数字がありましたら教えていただけませんでしょうか。

(答)まさにこれから検討していくことになるわけですが、幼児教育についても、先ほども申し上げた、また、総理からも指示があったのは、3歳から5歳児について幼稚園・保育園の完全無償化と、0歳から2歳児について所得が低い家庭での無償化という形でして、この所得が低い家庭、ここは所得制限をどう設けるかによって当然変わってくることはあると思いますが、恐らく、その部分が大半になるということには試算的にはならないのではないか、そのように思っております。
いずれにしても、先ほど申し上げた6つの施策について、消費税の使途の見直しを中心にして財源を確保していくという方針です。

(問)諮問会議の民間議員は、どちらかと言えば幼児教育の方をまずやるべきだというような、今日も提言はそうだったかというように思いますが、そこに総理の指示と齟齬はないのでしょうか。諮問会議としては、どのように進めていかれるのでしょうか。

(答)総理も、優先順位で高等教育が高いということをおっしゃられたのではないと思っておりまして、恐らく、この高等教育については、幼児教育よりも比較的新しい議論ということもあって、第一義で高等教育から入られたということであるのではないかと思っております。決して、幼児教育より高等教育を優先しているということではないと考えておりますし、さらに、その指示の内容を見ましても、大学等の高等教育については所得が低い家庭の子供たちに限ってということでありますし、一方、幼児教育、特に3歳から5歳については全ての子供たちということでありますから、力点の置き方というものは、順番とはまた違ってくる部分もあるのだなと思います。いずれにしても、どちらもしっかりやっていきたいと思っています。


<社会保障の考え方>

(問)消費税増収分も含めて、これまでは社会保障に全て使うとなっていました。子育ても入っていますが、今回は教育も入ってくる。幼児教育も含めてですが、ここら辺の考え方をどう整理されるのか。また、その手続的には、例えば、党内でもこういう合意は、まだできていないと思いますが、政府内あるいは自民党内、与党も含めて手続的にはこれからどうなっていくのか。

(答)今日、総理から、政策パッケージを年内にまとめてほしい、こういう指示がちょうど40分前にありましたので、まさにこれからそういった議論を進めていくということに当然なっていく、このように考えておりまして、当然そういったものがまとまってきたら、来年度の予算編成であったり、税が絡む問題であれば税制改正と、与党手続も経た上で決定していく、こういうことになると考えております。


<消費税引上げ分の使途>

(問)消費税は、そもそも導入の経緯から社会保障に全額充てる、三党合意でもそうなっていたと思います。そこから転換する、例えば教育以外にも使う可能性はあり得るのか、教育だけに限るのか、その社会保障に全部使うという前提が変わると思いますが、その点についてはどうですか。

(答)この消費税の使途につきましては、もともと三党合意を踏まえ、この配分比率は決めたものです。国会への提出等々においては、当時の民主党は消費税の引上げについて反対されたわけでして、基本的には関係6大臣会合での決定を見た上で、この配分比率、配分割合というものは決めたものだと、このように思っております。
その配分を今後見直していくということを検討するわけですが、最終的にはそういった閣内の手続、党内の手続、そういったものも踏んでいくと思っております。今回、我々が進めておりますのは、人生100年時代を迎えると、こういった中で、高齢者給付が中心になっていた社会保障を全世代型社会保障に変えていく、こういう一環での様々な施策ということであります。
ただ、社会保障について申し上げたように、充実と安定化ということで、全部使うといっても、この充実と安定化の比率ということでありますし、今後の議論にはなってきますが、これまで充実の範疇で取り扱うと思っていた項目をバーターにして教育に使うという性格ではないと思っております。


<消費税引上げ>

(問)消費税の増税に関して、消費税を引き上げるときには、いつも消費が冷やされるという指摘もあると思いますが、今回、教育に回すことによって、そういうマイナス効果を補うような効果、あるいは循環で続けていて中長期的に効果があるというように見ていらっしゃるのか。
また、先ほどおっしゃっていたように、いざなぎ景気を超えたかもしれないという時期の中で、政権としては、消費税を上げても良い経済情勢にあると見ていらっしゃるというお考えでよろしいんでしょうか。

(答)2019年10月から引き上げるという予定に変更はありません。しっかりと景気にも目配りをして、引上げ可能な経済状況を創るために、経済運営に万全を期していきたい、そのように思っております。
その上で、全世代型社会保障への転換などの「人づくり革命」の大胆な政策の実行は、消費税率を10%に引き上げることを前提にしていると、ある意味でそう考えられるのではないかと思っております。


<プライマリーバランス黒字化>

(問)財政健全化で2点お伺いします。先ほど、大臣は、消費税の使途を見直せばプライマリーバランスの黒字化目標達成時期に影響があると見られるというようにおっしゃっていました。この言葉は、総理御自身が諮問会議でここまで踏み込んではおっしゃっていないということでよろしいでしょうか。

(答)総理はそのようにはおっしゃっていないと思います。ただ、一般論として、当然、増収分をいわゆる赤字国債を発行しない部分から違う部分に振り分けるということであれば、時期に影響が出得る。先ほどは、できません、と申し上げたのではなくて、影響が出得るということを申し上げました。そういうことで、できません、と言っているわけではありませんので、達成に向けて最大限の努力を図っていく。同時に、来年の中間評価でしっかり検証していく。そのことについて変わりはありませんし、黒字化を目指す、この旗を、目標を下ろすことはないということです。

(問)関連で、時期に影響が出得るということですが、時期を、例えば2020年度ではなくて、後になってしまうとしたら、その時期を明示するのというのはいつ頃になるのでしょうか。

(答)決まっていませんが、1つの時期的な目途としては、来年の中間評価でしっかりと検証するということでありますから、そこが1つの時期になってくる可能性はあるのではないかと思います。


<政策パッケージ>

(問)2兆円規模の大胆な施策の財源に関して、先ほど大臣も、消費増税分の使途の見直しを中心に検討していくとおっしゃいましたが、先ほどの質問にも出ましたけど、増税は2019年10月なわけであって、その間に企業側の負担というか、保険制度の改革等にも言及されましたが、その辺でまかなうという選択肢はあり得るのでしょうか。

(答)まず、先ほど申し上げたのは、例えば、給付型の奨学金を導入するということでも、やり方というものは色々あると思いますが、いつを初年度にして始めるかということについて、例えば今在学している大学の3年生・4年生を対象にするのかどうするのか、こういったことによっても当然変わってくるということで、例えば来年新しく大学に入る人を対象にするということであれば、4年になってある意味フルということもありますので、どういったスキームをつくるかによって財源の捻出の仕方も変わってくると、このように考えているところです。
先ほど、こういった消費税の使途の見直しを中心にということを申し上げたわけですが、それ以外にも、併せて保険方式などの制度改革についてもこれまで与党の議論もあるわけでして、それを踏まえつつ、検討していきたいと思っております。



3.新原内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

大臣に質問をいただいた点を補足すると、消費税は、各種施策に要する経費に充てるとされています。その中の少子化対策と呼べるかなと思っていますが、これから年末までに中身を詰めていく話です。今子供を持ちたくない最大の理由というのは教育費になっていて、それはどのアンケートでも出ています。だから、一定の教育費について、特に今回の場合だと明らかな貧困層に限定する。これから中身を検討した上で、法律との関係は議論していかなければいけない。個々の政策の中身というのは今決まっているわけではないので、総理の今日の指示も、年末までにパッケージを取りまとめてくれということです。
それから、税収等のラグの議論については、これからの問題です。奨学金の設計はかなり複雑なので、これまでの経緯を見ても文部科学省はそれなりに時間がかかっています。年末にまとめてすぐ4月からということにはならない。その状況も見つつ、財源との関係は整備していくことになると思います。
では、第13回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
本日は、林文部科学大臣と加藤厚生労働大臣にも御参加いただき、安倍内閣に期待することについての議論を行いました。
榊原議員から資料1、高橋議員から資料2、伊藤議員から資料3について説明、提案があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見を御紹介します。
野田総務大臣から、「少子化による人口減少や、未来を担う人材への投資不足は日本にとって「最大の危機」である。女性活躍を成長戦略の中心に位置づける必要がある。待機児童の解消、幼児教育の無償化や義務化、働き方改革などのために政府は新たな役割を果たしていくべきである。その財源は、国民の支え合い・負担によって賄われるべきであって、国民の理解と協力を求めることは政府の責務である。」
世耕経済産業大臣から、「経済の好循環を実現するために、まず需要サイドでは賃上げが大事である。特に、子育て世代に重点的に配分をするなど、メリハリを付ける必要がある。また、その環境整備として、中小企業の下請け取引の条件の改善が必要である。供給サイドでは、生産性革命に向けて施策を総動員していく。人材育成については、人生100年時代を踏まえて、「学ぶ」と「働く」を一体としていくべきである。」
林文部科学大臣から、「初等中等教育においては、幼児教育無償化の加速、高校段階での低所得世帯の負担軽減を求めていく必要がある。高等教育では、給付型奨学金、授業料の減免措置などの拡充・強化などを推進していく必要がある。実践的職業教育、リカレント教育などを整備していく必要がある。国民の幅広い理解を得るために、教育の質の向上、とりわけ大学改革と一体となった取組を進める必要がある。」
加藤厚生労働大臣から、「3年間で1.5兆円程度の目安の達成に向けて取り組んでいく。データヘルス改革、予防、重症化・重篤化防止などにも取り組んでいく。高齢期と比較して相対的に手薄だった子育ての不安、仕事と育児の両立困難といった、現役期のリスクへの対応を強化していく必要がある。子育て安心プランの安定財源確保について、しっかりと議論していきたい。」
民間議員から、「賃上げについて、これまで物価の動きは鈍かったが、アベノミクスの成果によって賃上げの兆しが出てきている。社会の満足度も過去最高となっている。デフレ脱却が大きな課題だが、ゴールが見えつつある。賃金を上げていくことは財政再建にも大事なことである。歳入歳出改革について、社会保障費の年5,000億は、もっと抑制をしていかなければいけない。そのためにイノベーションをかけていかなければいけない。地方交付税交付金について、効用・効果が見えるように総務大臣にお願いをしたい。」
別の民間議員から、「賃上げはディマンドサイドの改革の最優先課題である。企業のお金と賃金上昇、投資の増加、下請け企業の価格引上げに結び付けるような政策のパッケージをまとめていくべきである。PB黒字化については、空白期間を作ってしまうと目標に緩みが出てしまう恐れがあるので、PBの目標値については、来年の中間評価で目標の在り方を検証する、それまできちっと維持していくべきである。消費税の使途変更については、消費税の引上げを確実にできる環境づくりをしていかなければならない。そのためには併せて歳出減の改革、社会保障を始め、歳出改革をしっかりとしていかなければいけない。」
別の民間議員から、「社会保障については、改革工程表の44項目全てを実現する気概でやっていくべきである。全世代型社会保障を打ち出しているわけだが、この財源については、社会全体で支えるように消費税などの税財源を確保することを考えるべきである。中小企業の生産性向上については、投資促進策の思い切った形での導入をお願いしたい。生産性向上に向けた国民運動は効果が上がっているので、一層推進すべきである。」
別の民間議員から、「賃上げは、今年から来年にかけて最大のポイントである。アベノミクスの成果が出ている中、世の中の関心事項は中長期の課題に移ってきている。その典型的なものが人づくりであり、あるいはこの未来への投資である。歳出面では、社会保障改革に重点を置くべきである。」
最後に、総理から発言がありました。「本日は、新内閣で取り組むべき課題、特に、「人づくり革命」と「生産性革命」について議論をした。私としては、以下のとおり進めていきたい。この内閣の経済政策の最大の柱は、人づくり革命であり、安倍内閣が目指す一億総活躍社会をつくりあげる上での本丸。もう一つの柱は、生産性革命であり、力強い賃金アップと投資を後押しするため、2020年度までの3年間を集中投資期間と位置づける。この2本の柱の施策を具体化するため、内閣をあげて、年内に新しい政策パッケージを策定する。「人づくり革命」に関しては、第一に、真に支援が必要な、所得が低い家庭の子供たちに限って、大学などの高等教育無償化を実現する。このため、経済的に恵まれない若者が勉学に専念できるよう、必要な生活費をまかなう給付型奨学金や授業料減免措置を大幅に増やす。第二に、幼児教育無償化を一気に加速する。すなわち、3歳から5歳まで、全ての子供たちの幼稚園・保育所の費用を無償化するとともに、0歳から2歳児も所得が低い家庭では無償化する。第三に、待機児童解消を目指す「子育て安心プラン」を前倒しし、2020年度末までに32万人分の受け皿整備をすすめる。第四に、介護離職ゼロに向けた介護人材確保のため、他の産業との賃金格差をなくしていくよう、更なる処遇改善を進める。第五に、何歳になっても学び直しができるリカレント教育を推進する。第六に、社会人の多様なニーズやIT人材教育など実践的な教育のニーズにも応えられるよう、大学などの高等教育改革を進める。これらで、2兆円規模の大胆な政策を実行したい。財源がなければ、これらの政策は絵にかいた餅である。実現できない。他方、安定的な財源を確保するとともに、財政健全化も着実に進めていかなければならない。バランスをいかに保っていくかは重要な課題である。人づくり革命の財源についても、しっかりと結論を出していく。この際、2019年10月に引き上げる予定の消費税による財源をしっかりと活用する。同時に、財政再建も確実に実現していく。保険方式などの制度改革についても、与党の議論を踏まえつつ、検討する。「生産性革命」に関しては、中小企業の生産性向上への投資促進や大企業・中堅企業の過去最大の収益を賃金・設備へ向かわせるため、賃金アップと投資を後押しする予算・税制・規制改革による環境整備について検討する。政策パッケージのとりまとめは、茂木大臣にお願いする。麻生大臣と相談しつつ進めていただきたい。林、加藤、世耕大臣をはじめとする関係閣僚は、全面的に御協力いただきたい。」
以上です。


(以上)