第11回記者会見要旨:平成29年 会議結果

石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成29年7月14日(金曜日)17時22分~17時48分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

第11回経済財政諮問会議の概要について説明申し上げます。
本日は、内閣府年央試算について説明がありまして、平成30年度、来年度ですが、予算の全体像について議論しました。
民間議員からは、来年度予算の基本的考え方としまして、生産性や成長力の向上に向けて、「人づくり革命」の実現等に向けて施策に重点化を行うことや、予算編成上の諸課題について御意見をいただきました。
最後に、総理から、平成30年度概算要求基準につきまして、予算の重点化を進めるため、「人づくり革命」の実現に向けた人材投資や地域経済・中小企業・サービス業等の生産性向上に資するための施策などについて、要望枠を設けること、また、骨太方針で検討を進めるとされている、幼児教育・保育の早期無償化や待機児童の解消、高等教育を含めた人材投資の抜本強化のための改革の在り方といった事項については、財源とあわせて、別途、予算編成過程で検討できる枠組みとすること、を基本方針として、概算要求基準案を準備するよう、財務省に対して指示が出たところです。
次回の諮問会議においてですが、本日いただきました御意見を踏まえて、概算要求基準について、今後、更に議論を行う予定です。
私からは以上です。詳細は後ほど事務方から説明させていただきます。



2.質疑応答

<名目GDP600兆円に向けて>

(問)年央試算に関して、平成29年度1.5%、平成30年度1.4%と実質成長率は成長が続きますが、一方で名目GDP600兆円に必要と言われている年2%の実質成長率にはまだ届いていないような状況だと思います。これを引き上げていくには、どういうことが必要だと大臣はお考えになるか、よろしくお願いします。

(答)これは総理も申されていますが、やはり、一つは生産性の向上です。そして、人材投資というものは時間がかかるわけですが、その人材が活躍する場が出てまいりますと、効率化もなされ、長い目で見れば、GDPを押し上げていきます。そういう諸々の施策を積み重ねていく。そして、もう一つ、今日の議論には出ていませんでしたが、イノベーション、あるいは科学技術分野といった日本の強いところに予算を集中的に投入して、そこに大きな花を咲かせていく、こういうことに尽きるのではないでしょうか。これによりまして、潜在成長力が伸びていくということになると思います。残念ながら人口ボーナスがなく、人口オーナスが効いているわけですので、日本はそういう形で取り組んでいくことが望ましいのではないかと考えています。


3.新原内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

本日は、塩崎厚生労働大臣に御参加いただき、平成30年度予算の全体像についての議論を行いました。木原財務副大臣から資料1、事務方から資料2、伊藤議員から資料3について説明、提案があり、その後、意見交換を行いました。
意見交換の概要を御説明します。
厚労大臣から、「国民に効率的・効果的なサービスを提供できるよう、持続可能な社会保障を目指したい。人材育成と生産性向上が重要である。最低賃金をしっかりと上げていくという方針とあいまって進めていきたい。」
総務大臣から、「平成28年の地方税は、平成27年の地方消費税の特殊要因を除けば、過去最高と見ることができる。人づくり革命、Society 5.0の実現は地域経済へのインパクトが大きいので、是非重視をして進めていきたい。」
民間議員から、「平成30年度予算は、潜在成長率の引上げ、デフレ脱却に向け、成長戦略の中核であるSociety 5.0を推進する予算としたい。社会保障関係費については、5,000億円に抑制していくだけでなく、更に努力をしていくという改革を進めるべきである。」
別の民間議員から、「経済運営について、アベノミクスの成果は明らかに出ていて、企業収益も上昇し、賃金も上がっているという評価ができる。それでも、まだ労働分配率は低下しているので、賃金上昇の余地があるはずである。そのためには、第一に最低賃金の引上げについて、今年も昨年並みの上昇率を担保していくべきである。春闘については、企業収益が上がっているので、来年の賃上げに向けたソースがまだあると考えており、賃上げが進むように努力すべきである。所得拡大促進税制を来年度、継続拡充ということを検討してもらいたい。一般に民間議員の間では、岩盤規制の排除ということを言うが、最近は民間の「岩盤慣行」といったようなものが問題になっている。最近報じられることのある下請いじめは、民間の「岩盤慣行」の最たるものであり、こうしたものを是正していくような対応をとるべきである。財政運営について、政策経費、つまり非社会保障経費を拡充すべきである。理由は2つ。1点目、供給サイドの強化への重点化。今、アベノミクスの結果として景気が良くなってきて、需要が供給に随分追いついてきている。その結果、需給ギャップがなくなってきている。日本経済の供給能力のところまで需要が追い付いてきているという状態なので、これ以上成長率を上げていくためには、供給サイドの強化に政策経費を充てていかなければならないという問題意識がある。2点目は、非社会保障経費。今、財政再建の中で、社会保障経費については、高齢化の分だけ伸ばしていっているが、非社会保障経費についてはフラット、つまり止めている。これだけで問題は解決しないわけで、なぜならば賃金がアベノミクスの分も上がっていっているからである。すなわち、研究者の賃金であれ、その分だけ賃金が上昇しており、名目横ばいということは、実質は下がっているので、潜在成長力を強化するという観点から、いろいろと問題になり得る。財政健全化は重要だが、それだけにとらわれ過ぎて、成長の種を潰すことはよくない。」
別の民間議員から、「民間企業の役割として、賃上げをしっかりとやらないといけない。賃上げをすることによって、生産性向上のための投資が起きる。賃上げが起きなければ、生産性向上への投資をするインセンティブが起きないわけで、逆に賃金が上がるからこそ、それに合うようなビジネスモデルをつくって、生産性向上のための投資が起きるため、アベノミクスではやはり賃上げを粘り強くやりぬかなければならない。セーフティーネットについて、子育ての安心感などを加速させていくことはとても大切。医療については、ワイズスペンディングに取り組んでいただいている。介護については、人手不足、イノベーションに取り組んでいかないと不安感が解消しないのではないか。賃金が上昇し、介護の不安をなくしていくことが消費を活性化していき、経済を成長させるカギとなる。」
別の民間議員から、「成長力強化に向けて取り組み、国民や企業の成長期待を上げていくことを考えていかなければならない。大胆な規制改革が重要であり、生産性が上がるような政策に重点的に資金を配分するなど、政策経費の使い方について諮問会議で今後とも議論していきたい。」
最後に、総理から発言がありました。
「本日は、平成30年度予算の在り方について議論した。民間議員からは、歳出・歳入改革の推進、予算編成のポイントについて、多くの御意見をいただいた。
次回は、概算要求基準などについて、議論したい。本日の提言・意見を踏まえ、平成30年度概算要求基準については、第一に、予算の重点化を進めるため、人づくり革命の実現に向けた人材投資や地域経済・中小企業・サービス業等の生産性向上に資する施策などについて、要望枠を設けること、第二に、骨太方針で検討を進めるとされた、幼児教育・保育の早期無償化や待機児童の解消、高等教育を含めた人材投資の抜本強化のための改革の在り方といった事項については、財源とあわせ、別途、予算編成過程で検討できる枠組みとすること、を基本方針として、財務省には、概算要求基準案を準備いただきたい。
一億総活躍社会の日本をつくるため、人づくり革命の実現に向けて、歳出改革を含めて、しっかりとした予算編成を行う。」
以上です。


(以上)