第6回記者会見要旨:平成29年 会議結果

石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成29年4月25日(火曜日)18時27分~18時56分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

第6回経済財政諮問会議の概要を申し上げます。
本日は、「人材投資と文教分野の在り方」、「地方創生と社会資本整備の在り方」、2つのテーマを議論しました。
民間議員から、「居住地や所得に関わらず高等教育へのアクセスが確保される制度整備を加速すべき」「大学が教育の質を引き上げるためのインセンティブとなるよう私学助成の配分を見直すべき」「ガバナンスの強化や組織再編といった大学改革に取り組むべき」ここまでが文教関連です。次に、社会資本整備に関連して、「所有者の所在の把握が難しい土地に関する今後の検討方針を速やかに明らかにすべき」等々の提言がありました。
これに対して、所管する松野文科大臣、山本地方創生大臣、山本農水大臣、石井国交大臣も交えてそれぞれ意見交換しました。
最後に総理から、人材への投資、教育の質の向上は、労働生産性を上げる上で重要であり、関係大臣には議論を深めていただきたい、土地利用の再生については、官房長官及び関係大臣が連携し、速やかに成果を上げていただきたい、との指示がありました。
私からは以上です。詳細については、後ほど事務方から説明させていただきます。



2.質疑応答

<大学改革と地方創生>

(問)配付された資料を見ると、まち・ひと・しごと創生担当大臣からの報告文書なども出ていますが、大学改革と地方創生というところで議論はありましたでしょうか。

(答)地方には総定員が1,500人を切ってしまっているような総合大学のようなものがあり、本来ならば、そこの大学で学生が卒業すればその地元の企業がそういう人たちを採用するということがあるべき姿ですが、現状ではそのようになっていない。あるいは、県によって人口構造が大分違います。若年人口の減少率の高いところに、例を出すとあれですが、北海道ですと37大学もあるそうです。秋田県でも7大学あります。そうすると、オーバーカレッジのような状態で、それが実は地域の拠点であると誇りに思っているようなところもあるわけですから、これをどうするのかという議論はありました。

<人材への投資>

(問)人材への投資のところで、高等教育へのアクセスの機会均等が今回一つの柱としてあります。その中で、教育費の負担を軽くするという話があると思いますが、これは実際の制度設計や財源をどうするのかなど、実際に検討しようとすると考える項目は非常に多いと思うのですが、骨太方針までにどの程度まで具体的なイメージとして見えるようになるのかを教えていただけますか。

(答)今日は、閣僚全員がこの教育のところで発言されました。それに対して、第1回目ということで松野文科大臣が答えられる範囲でお話をされました。今日は色々と問題点が出てきて、松野大臣からプレゼンテーションもあって、こういうところを変えますよ、というようなことがありましたが、それはこれまで中教審等々でも既にラインナップはされているわけです。ただ、どう実現するのかというところが一番難しいわけですし、言及されたとおり財源論の議論は、財務大臣が釘を刺した程であり、本当に有意義なものでなければ無駄になってしまいますので、今日の議論はキックオフです、という形で引き取らせていただきました。

<経済財政諮問会議と未来投資会議>

(問)今の大学改革の点ですが、かなり未来投資会議の議論と重なってきているような感じがするのですが、経済財政諮問会議と未来投資会議とがどう棲み分けていくのか、最終的に両方とも提言が出ると思うのですが、どういう形の違いが出てくるのかを教えてください。

(答)これは何度も言っていることですが、経済財政諮問会議はマクロ経済の司令塔で、未来投資会議はこれからの日本に必要な具体策を提言するところです。今日の議論は、大学改革を巡っては、ざっくりした、具体的な話ではなくて、キックオフという形で引き取らせていただきました。当然密接に関係していますし、議員にオーバーラップしているところもありますし、互いに連絡を密に取り合うということは当然だと思います。


3.新原内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

第6回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
最初に、松野文部科学大臣、塩崎厚生労働大臣、山本まち・ひと・しごと創生担当大臣に御参加いただき、人材投資と文教分野の在り方についての議論を行いました。事務方から資料1、伊藤議員から資料2について説明、問題提起があり、その後、意見交換を行いました。主な御意見を御紹介いたします。
文部科学大臣から、「教育の質を向上していかなければならないという問題と、教育費の負担を軽減していかなければならないという問題は、両輪の問題である。高等教育は「システム改革」、「質の向上」、「アクセス格差の是正」を一体に、将来ビジョンを策定していくことが急務だ。18歳人口の減少の中で、大学の枠を超えた連携、統合、経営力強化、円滑な撤退手続等を検討していかなければならない。東京の大学の新増設については、まち・ひと・しごと創生担当大臣とも連携して検討する。社会人・女性の学び直しの支援に取り組んでいきたい。高等教育の負担軽減のために、給付型奨学金や授業料減免の充実に取り組んでいきたい。」
まち・ひと・しごと創生担当大臣から、「地方大学の振興のため、「特色」を出した優れた大学を作っていかなければならない。そういうプロジェクトに支援をしていく。東京23区の大学の学部・学科の新増設を抑制して、地方のサテライトキャンパスを推進していきたい。」
総務大臣から、「地方大学が数値目標を持って雇用創出と若者定着の取組を進めており、これを支援していく。」
経済産業大臣から、「セキュリティー、データサイエンティスト、AI、IT人材が不足していて、これを求められているので、ミドル層がスキルを身に付けられるよう、厚労省と連携して、講座認定制度に取り組んでいく。大学のガバナンス改革が非常に大切で、自分で経営した経験から言うと、会計が通常の企業とかなり違っているので、もう少し大学の会計も企業会計に近付けていくべきだ。」
厚生労働大臣から、「大学のガバナンスはとても大切であって、学長が学部長を選んでいく形にしないといけない。」今、選挙で選んでいる訳だが、そういうことではないのだということです。
財務大臣から、「私学の半数が定員割れしている状況にあり、各地方大学は学生のニーズに応えられているのかよく見ていかないと、財政支援ということにはならないのではないか。」
民間議員から、「教育改革では、これまでエビデンスベースの取組が欠如してきていた。ガバナンスも含めて、成果を踏まえた改革を進めていくべきである。資料2-2の図表3を見ると、地域によって教育に対する行政サービスの格差がある。これについてどうしていくかというような問題がある。資料2-2の図表10で、大学の東京集中の問題だけでなく、地方の問題もあり、過剰に大学があるから再編が必要なのではないか。」
別の民間議員から、「地方大学が特色を出していかなければならないが、そのためには場合によって、国立といわず、自治体の方で県立の方がやりやすいのかもしれない。」つまり、資金の提供元とガバナンスの方向性というのは通常は一致しているものということです。「リカレント教育は非常に重要なため、新卒の人は減ってくる訳だから、やはり再教育をしていくというところを地方の大学も取り入れていくべきだ。」
文部科学大臣から、「ガバナンス改革については、学長を中心として経営意思決定ができるように検討を進めていきたい。経済産業大臣が言った会計の在り方も課題であると思っている。リカレント教育に関しては、企業が学位を評価することも大切かと思う。学位を評価しないから、なかなか進まない。教育無償化のレベル感の問題は、やはり首長の考えや地方財政の充実度に左右されているところがあるので、検討が必要だ。」
官房長官から、「どうやってやるかというのは難しいが、あまり差が出てくるというのは、放置しておいていいような課題ではない。」
次に、石井国土交通大臣、山本農林水産大臣、塩崎厚生労働大臣、山本まち・ひと・しごと創生担当大臣に御参加いただき、地方創生と社会資本整備の在り方についての議論を行いました。高橋議員から資料3について説明、問題提起があり、その後、意見交換を行いました。主な御意見を紹介いたします。
国土交通大臣から、「三大都市圏の環状道路や拠点港湾など、生産性向上につながるプロジェクトを推進していきたい。社会資本のストック効果の最大化に向け、渋滞対策や既存施設の有効活用等に取り組んでいきたい。ICT、AIを活用して、社会資本整備におけるイノベーションを推進していきたい、働き方改革を推進していきたい。」
農林水産大臣から、「農地中間管理機構の実績は、初年度の3倍に拡大した。所有者不明の農地に関し、全農地の約2割が相続未登記及びそのおそれのある農地であった。これらが農地集積の障害にならないように、新たな措置を検討したい。所有者不明森林も増え、施業に支障が出ている。民有林の所有者情報を林地台帳として整備する制度を創設したので、その進捗を把握していきたい。」
まち・ひと・しごと創生担当大臣から、「研究機関の地方移転を着実に進めていきたい。中央省庁のサテライトオフィス設置については、内閣府業務の実証実験を予定している。空き店舗活用の支援のため、地方創生交付金等の活用を検討したい。」
民間議員から、「不動産は重要な資産である。所有者不明の資産について、早急な対応が必要だ。小中学校の遊休化について、閉校になった学校の校舎のPPP/PFIを通じた有効活用を進めていくことが重要である。
別の民間議員から、「PPP/PFIの20万人以上の自治体の優先的検討規程策定比率が目標100%に対して実績3分の2ということで、目標に達しなかった。なぜできなかったのかを見える化していくべきだ。」
別の民間議員から、「公的不動産について、国土交通省が推進しているコンパクト・アンド・ネットワークを加速する上でも、情報を集約して進めることが重要である。」
総務大臣から、「公共施設総合管理計画については、自治体の策定・公表の取組が相当進んでいる。PPP/PFIについても、引き続き積極的に推進していきたい。地方交付税は使途限定できないが、時代の要請を踏まえた算定の工夫を行ってきている。」
文部科学大臣から、「文教施設のPPP/PFIは、周知に取り組んでいきたい。廃校した学校や余裕教室の利用は、優良事例の紹介などに取り組んでいる。」
国土交通大臣から、「所有者不明土地について、法務省と農林水産省の両省と協力して取り組んでいる。引き続きしっかりと進めていきたい。」
最後に総理から発言がございました。
「本日は、第一に、人材投資が文教分野の在り方について議論した。人材への投資や教育の質の向上は、労働生産性を上げ、成長と分配の好循環を加速させる上で重要である。民間議員からも大学改革を中心に意見をいただいた。関係大臣におかれては、民間議員の意見も踏まえ、議論を深めていただきたいと思う。
第二に、地方創生と社会資本整備の在り方について議論した。民間議員からは、PPP・PFIの推進や土地利用の再生を通じて、地域の生産性が上がる社会資本整備を実現していくことが大切との意見があった。PPP・PFIについては、石原大臣が中心となって実行していただくとともに、土地利用の再生については、官房長官及び関係大臣が連携し、速やかに成果を挙げていただくようお願いをする。」
以上でございます。


(以上)