第5回記者会見要旨:平成29年 会議結果

石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成29年4月12日(水曜日)18時29分~18時50分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

第5回経済財政諮問会議の概要を説明させていただきます。
本日の議題は2つありまして、消費の活性化と社会保障改革についてです。
民間議員の発言を紹介させていただきます。「可処分所得を継続的に拡大するとともに、潜在需要を顕在化すべきである」「一人当たりの医療費が高い地域は介護費も高くなる傾向にあり、健康増進や予防の推進とともに、医療と介護を一体的に改革していくべき」等々の提言がありました。
社会保障改革についてですが、塩崎大臣から、「データの利活用やインセンティブ改革を通じて保険者機能や都道府県の保健ガバナンスを抜本的に強化する」旨の発言がありました。
総理の御発言は皆様聞かれていたと思いますが、総理から塩崎大臣に対して、この3月までに全都道府県において策定された地域医療構想の具体化に向けて、実効的な施策をスピード感を持って実施するよう指示がありました。
私からは以上です。



2.質疑応答

<社会保障改革>

(問)社会保障改革について、総理指示並びに議論の中では、今後は都道府県が主体となって医療・介護の改革に取り組んでいく、そういう場を設けていくという認識でよろしいでしょうか。

(答)はい。今日グラフが提示されましたが、医療費の差が都道府県で顕著にあります。それで、医療費の少ない県を見れば、本当に皆さんが、うちは医療費が少ない、と宣伝しています。そういうことで、これをトップランナーの方に合わせていくことは重要であるという提言を民間議員からもいただきまして、その対応についても、塩崎大臣は、しっかりやっていく、というような話をしていました。


3.新原内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

第5回経済財政諮問会議について、概要を御説明します。
本日は、塩崎大臣に冒頭から御参加をいただいて、最初に、消費の活性化について議論を行いました。事務方から資料1、高橋議員から資料2について説明、問題提起があり、その後、意見交換を行いました。
経済産業大臣から、「消費の伸び悩みは、家計の可処分所得の伸び悩みと社会保障の将来不安等が背景にある。社会保障の将来不安払拭と子育て世代の支援が重要である。」
民間議員から、「ヤマト運輸のケースで見るように、値上げについて、あと一歩のところまで来ている。消費は心理面が大きい。値上げが受け入れられるには、企業も商品開発投資をして付加価値を上げていく努力をする必要がある。」
別の民間議員から、「消費は大きな割合を占めているので、経済にとって極めて重要である。王道としては可処分所得を増やすことである。最低賃金の継続的な引上げと、働き方改革、同一労働同一賃金による所得増を進めていくべきだ。」
別の民間議員から、「若者の節約志向が顕著である。経済界としては、賃金の引上げと、不本意非正規雇用者の正規化について、本年強力に進めていきたい。特に、本年度は不本意非正規雇用者の正規化に的を絞っていきたい。また、プレミアムフライデーを過去2回行ったが、消費拡大の効果が見られていると計測している。ただ、地方にも浸透させていきたいので、さらなる御協力をお願いしたい。」
次に、経済・財政一体改革の各論として、社会保障改革について議論を行いました。榊原議員から資料3、塩崎議員から資料4について説明、問題提起があり、その後、意見交換を行いました。
主なご意見をご紹介させていただきます。
財務大臣から、「歳出改革の44項目の実行が重要である。特に医療、介護。診療報酬、介護報酬の適正化を始め、多岐にわたる取組が重要である。自治体のガバナンスが発揮できるよう、インセンティブなどの手段を整備することが必要である。薬価も革新的医薬品の見きわめも大切である。集中改革期間の最終年度であるので、しっかりと取り組んでいきたい。」
民間議員から、「後期高齢者支援金の加減算率を最大で法定上限プラスマイナス10%まで引き上げる、との厚生労働大臣の発言に感謝をしている。是非とも来年度から実現してほしい。
民間議員ペーパーの中の胃ろう造設術のレセプト出現比の地域差や、内閣府の資料の人工透析の地域差など、経済・財政一体改革推進委員会の委員の努力によって、「見える化」が進んでおり、こうした結果も用いながら、厚生労働省が都道府県にガバナンスを効かせていくべきである。
塩崎大臣はガバナンスが非常にお得意だが、ガバナンスだけではなくてこのインセンティブ改革は一体として進めていくべきである。調整交付金をインセンティブ改革として使うべきだ。」
経済産業大臣から、「インセンティブの仕組みを、地方だけでなく、企業や保険者にも適用すべきである。また、会社員の健康増進には、保険者だけでなく、企業の経営者にも関与してもらうことが大切である。新たなヘルスケア産業の育成にも取り組んでいきたい。」
民間議員から、「医療費の地域差が非常に大きい。都道府県で関係者の協議の場を設けて、行動変化を促していく必要がある。来年度は医療・介護の診療報酬と介護報酬の同時決定の年に当たっている。これまで残念ながら適正価格になっていない。適切な対応が必要である。 医療は地域差の半減目標があるが、介護も目標、工程を決めて踏み込んでいく必要があるのではないか。」
別の民間議員から、「病院の外来受診の定額負担を拡大するべきである。病院の収入ではなく保険給付を減らす方に使うべきである。薬剤の適正使用のため高額薬剤からの処方が見られるものは是正するべきである。後期高齢者支援金の加減算率のプラスマイナス10%での引上げは、保険者のガバナンス強化に向けて有効である。」
別の民間議員から、「終末期医療について、意思表示をする方法について、厚生労働大臣に検討をいただきたい。」
厚生労働大臣から、「地域差については、加減算制度などを活用して県ごとにコントロールしていただく必要があって、情報、権限、予算、それから人材の充実に取り組んでいきたい。厚生労働省としてもしっかり取り組みたい。
また、地域差に関して、全国統一的な審査ができるように取り組んでいきたい。
介護については、データプラットフォームをつくって、データに基づいて効率的、効果的な介護を進めていきたい。
経営者のリーダーシップも期待したい。
終末期に関しては、方法はいろいろ出来ようが、普段から家族で話し合っていただくことも大切である。
加減算率のプラスマイナス10%は、来年度から始めて、32年度に到達する。」
別の民間議員から、「健康経営が大事であって、個別企業の情報を公表、「見える化」して、意識を高めることが大事である。」
官房長官から、「薬価や医療費を決める委員会を強くするために、第三者の目を入れていくことが大切である。」
厚生労働大臣から、「全国統一的な基準で審査できるよう、データヘルス改革を進めていきたい。」
総理からの発言が最後にございました。
「第一に、消費の活性化について議論した。消費動向の変化には、若年層の所得の不安定化や消費の構造変化などの影響も考えられ、民間議員からは、可処分所得を継続的に拡大するとともに、潜在需要を顕在化すべきといった意見があった。
このため、経済界には、引き続き処遇の改善をお願いするとともに、最低賃金の引上げや、同一労働同一賃金の実現のための法案の提出などの働き方改革を進めることで、消費の活性化につなげていきたい。
第二に、社会保障改革について議論した。民間議員からは、一人当たりの医療費が高い地域は介護費も高くなる傾向にあり、健康増進や予防の推進とともに、医療や介護を一体的に改革していくべきという意見があった。
これに対して、塩崎大臣から、データの活用やインセンティブ改革を通じて、保険者機能や都道府県のガバナンスを抜本的に強化するとの発言があった。
2025年には「団塊の世代」が全て75歳以上となり、医療・介護ニーズも大きく変わっていくことが見込まれる。あと残り8年となるが、それぞれの地域で、どの患者も適切な医療や介護を適切な場所で受けられるようにしていく必要がある。
その第一段階として、この3月までに、全都道府県において、地域ごとの将来の病床数を盛り込んだ「地域医療構想」の策定が完了し、目指す将来像は明らかになった。今後は実行段階であり、構想の具体化に向けた工程と手段を決定していく必要がある。その際、第一にデータを最大限活用する、第二に中長期的に持続可能で効率的なものとする、第三にアジア諸国の模範になるようにする、といった視点で、取組を進めることが重要である。
民間議員の意見も踏まえ、塩崎大臣を中心に、自治体の先進事例の横展開や、病床のスムーズな転換方策等、実効的な施策を、スピード感を持って検討・実施していただきたい。」
以上でございます。


(以上)