第18回記者会見要旨:平成28年 会議結果

石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成28年11月8日(火曜日)18時57分~19時21分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・S103会見室

1.発言要旨

経済財政諮問会議について概要を報告させていただきます。本日は議事が二つあります。 最初の議事、金融政策、物価等に関する集中審議については、中曽日本銀行副総裁から、経済動向や金融政策運営について説明があり、伊藤議員から、金融政策の新しい枠組みは、これまでのところ円滑に機能している、デフレから脱却していくためには、金融政策のみならず、財政政策も合わせたポリシー・ミックスで経済財政運営を行っていくべき、といった意見がありました。
来年度の予算編成に向けてですが、当初予算において、潜在成長率の引上げを目標とし、子育て・介護や研究開発に重点化するワイズ・スペンディングが重要、といった意見がありました。
麻生大臣から、2020年度のPB黒字化を堅持するため、来年度予算について、これまで維持してきた一般歳出水準の「目安」を外れないようにしたい、潜在成長率を高める分野に予算を重点化するという考え方には賛成、と発言がありました。
民間議員から、PB黒字化は成長なくしては不可能、「目安」はあくまで目安であり、必要な予算については当初予算から計上し、経済成長に資する分野に対して思い切って配分するなどメリハリのついた予算にすべき、当初と補正、国と地方とで全体のバランスが重要、などの意見がありました。
続いて、社会資本整備についてです。
民間活力を活かし、構造改革と一体となった社会資本整備を推進すべき、といった意見がありました。
新浪議員から、農地中間管理機構と土地改良事業の連携により農地集約化を加速すべき、といった意見がありました。
民間議員の意見が出た後ですが、石井国土交通大臣から、公共投資について、山本農林水産大臣から農地あるいは林業について、高市総務大臣から地方の取組、塩崎厚生労働大臣から社会保障について、世耕経済産業大臣からPFI等々について、それぞれ説明がありました。
ここで、総理から御発言がありましたので、発言のポイントを要約して紹介させていただきます。
9月に導入した金融政策の新しい枠組みは、これまでのところ、安定的に機能していることを確認。日本銀行には、物価安定目標の達成に向けて、引き続き適切な政策対応を期待。
経済政策のスタンスは、これまでにも増して、金融政策に財政政策をうまく組み合わせることが必要。
来年度の予算編成について、財政健全化への着実な取組を進める一方、足下の景気状況に配慮し、子育て・介護や研究開発など、メリハリの効いた予算編成を目指して議論を深めるよう指示が出されました。
石井大臣、山本大臣に対して、生産性や安全・安心の向上につながる社会資本を重点的に整備するため、改革を加速するよう指示がありました。
私からは以上です。


2.質疑応答

<来年度の予算編成>
(問)民間議員の予算編成に関する提言ですが、財政再建よりも景気への配慮に重点を置くような内容だったと思います。また、会議では、歳出の目安についても、「目安」はあくまで目安という発言もあったようですが、こうした提言の内容や民間議員の発言に対する大臣の受け止めや考え方、所感についてお伺いしたいと思います。

(答)まず、金融政策は、日銀から説明がありましたとおり、大規模な緩和を継続するとともに、構造改革はこれまでにも増してもちろんやらなければいけませんし、金融政策に財政政策を上手く組み合わせる、これはG7でも確認されていることですので、そういう点について留意する必要があると考えています。
来年度の予算編成に向けてですが、財政健全化への着実な取組を進める。これは総理も財務大臣もはっきりと申しています。足下の景気状況に配慮する必要がある。これも総理が明確にされています。その上で、子育て・介護が重要だと思いますが、やはり政策課題について必要な予算措置がしっかりとあって初めて政策は成就する、もちろん研究開発が潜在成長率を高める唯一と言って良いぐらいの道ですので、こういう予算措置にメリハリを効かせるべきである、ということが今日の諮問会議の全体的な意見ではなかったかと、感じたところです。


3.黒田内閣府参事官(総括担当)(政策統括官(経済財政運営担当)付)による追加説明

第18回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
最初に、金融政策、物価等に関する集中審議を行いました。日本銀行の中曽副総裁から資料1、事務方から資料2、伊藤議員から資料3について説明があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見等を紹介いたします。
民間議員から、「予算編成について、潜在成長率の引上げを目標とすることに予算を配分するべき。当初予算で、子育て・介護や研究開発の促進などへのワイズ・スペンディングが重要。規制改革について、農業、観光、介護、医療分野の改革を徹底すべき。賃金について、春闘に向けて、また、働き方改革について粘り強く進めるべき。」
別の民間議員から、「デフレ脱却に向け、内部保留や貯蓄をフロー化していくことが必要。IoTや第4次産業革命、働き方改革への道筋を明らかにし、新しい財・サービスを拡大していくことが重要。」
また、別の民間議員から、「賃金引上げについて、企業はしっかり取り組むべき。」
経済財政政策担当大臣から、「民間議員からも発言があったが、私も、当初予算で子育て・介護、研究開発等にしっかり取り組むことが重要と考えてきたところだ。」
次に、石井国土交通大臣、山本農林水産大臣に御参加いただき、経済・財政一体改革の各論として、社会資本整備等についての議論を行いました。高橋議員から資料4、高橋議員、新浪議員から資料5、石井大臣から資料6、山本大臣から資料7について説明、問題提起があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見等を紹介いたします。
総務大臣から、「地方の財政調整基金の積立については、税収が好調な時に将来に備えて行っているものであり、個々の自治体がおかれた状況に応じて、慎重に財政運営を行っているものだ。」
厚生労働大臣から、「医療、介護における都道府県の役割の強化については、国民健康保険の運営を都道府県が行う制度ができた。また、全ての県で保険者協議会ができており、県と保険者が協議を行う場ができている。介護は、来年に向けた法改正を準備しており、市町村の支援を県の役割とする。厚労省としてもしっかりと取り組んでいく。」
経済産業大臣から、「PPP/PFIでは、海外に先進的な事例もある。PPP/PFIの担い手となる産業の育成も大事である。」
財務大臣から、「「経済・財政再生計画」に基づいて、一般歳出の目安を5,300億円の増加に留めることを基本として予算編成に取り組む。来年度予算においても、成長力を高める歳出予算が重要だと認識しており、しっかりと取り組む。」
民間議員から、「ワイズ・スペンディングが大切。「見える化」により、不必要な歳出は削減しつつ、経済成長に資する予算に思い切って配分すべき。コンパクト・プラス・ネットワークは失敗例も多いのではないか。総括的な検証が必要。成功するよう、国交省、総務省のリーダーシップを期待。」
別の民間議員から、「財務大臣のおっしゃった、一般歳出の目安を年5,300億円の増加に留める、というのはあくまでも目安である。歳出を削減して、その分を歳出に回すという考えではない。必要な予算は当初から積んでおく一方で、無駄の削減もしっかりやるべき。薬価の見直しや優良事例の横展開により、徹底的な歳出の見直しが必要。」
また、別の民間議員から、「当初予算と補正予算のバランス、国と地方のバランスを見ていく必要がある。石井大臣には、ストック効果が働いていない事例も見せてほしい。」
議論の最後に、石原大臣より、来年度予算編成の基本方針について諮問会議で議論を行うため、経済・財政一体改革推進委員会において案を作成していただきたいと発言がありました。
ここで、総理から発言がございました。私から発言のポイントを御紹介いたします。
「金融政策、物価等に関する審議において、9月に導入した金融政策の新しい枠組みは、これまでのところ、安定的に機能していることが確認されました。
日本銀行には、物価安定目標の達成に向けて、引き続き、適切な政策対応を期待します。
経済政策のスタンスについては、民間議員からも指摘がありましたが、これまでにも増して、構造改革は無論として、金融政策に財政政策をうまく組み合わせることに留意する必要があります。
来年度の予算編成に向けては、財政健全化への着実な取組を進める一方、足下の景気状況に配慮する必要があります。その上で、子育て・介護や研究開発など重要な政策課題について、必要な予算措置を講じるなど、関係大臣におかれては、メリハリの効いた予算編成を目指して議論を深めていただきたいと思います。
第二に、社会資本整備の在り方について議論しました。
民間議員からは、構造改革を後押しする事業への重点化に向けて、民間活力の活用や農地中間管理機構と土地改良事業の連携といった提案がありました。
石井大臣、山本大臣におかれては、民間議員からの提案も踏まえ、生産性や安全・安心の向上につながる社会資本を重点的に整備するよう改革を加速していただきたいと思います。」
私からは以上です。

(以上)