第17回記者会見要旨:平成28年 会議結果

石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成28年10月21日(金曜日)18時56分~19時25分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・S103会見室

1.発言要旨

第17回経済財政諮問会議について概要を説明させていただきます。
今日は議事が2つありまして、まず1番目の議事ですが、GDP統計を軸とした経済統計の改善について、伊藤議員から、内閣府、日本銀行、関係省庁が連携しながら、精度の向上といった諸課題を解決し、より正確で、ヘビーユーザーが内閣府と日本銀行だと思いますが、よりユーザー志向の経済統計システムを構築すべきである、また、統計の改善方策をできる限りプログラム化した基本方針を、年内を目途に、取りまとめるべし、との提言がありました。
これに関連しまして、これを受けた形で、中曽日本銀行副総裁から、日本銀行としても協力をしてまいります、という発言がありました。
続きまして、この件に関して、山本行政改革担当大臣、高市総務大臣から、それぞれ、統計改善に向けた現在の取組状況について説明がありました。
2番目の議事、経済・財政一体改革について、塩崎大臣から、社会保障改革の取組状況について説明がありました。
続いて、榊原議員から、給付と負担の適正化に向けて、薬価制度の抜本的改革、保険者や介護事業者のインセンティブ強化等による医療・介護の効率化や、世代間や世代内の不公平の是正が必要である、という提言をいただきました。
また、新浪議員から、一人当たり医療費の地域差半減に向けて、都道府県が責任を持って取り組む仕組みの構築、伸び率の大きい大都市圏による重点的な取組、個人へのインセンティブ強化による健康・予防の促進などを実行すべき旨の提言がありました。
民間議員からの、都道府県の取組をしっかりと評価していくべきではないか、といった発言に対しまして、塩崎大臣からは、正面から受け止めて取り組みたい、という発言がありました。
麻生大臣から、「経済・財政一体改革」の5,000億円の目安を達成すべし、また、社会保障改革を前倒しで実行すべき、という発言がありました。
ここで、総理から発言がありましたので、発言のポイントを要約して紹介いたします。
内閣府が、日本銀行や関係省庁と連携して、各種統計の改善方策やその工程などについて、年内を目途に、政府としての基本方針を諮問会議において取りまとめるよう、私と関係閣僚に指示がありました。
塩崎大臣に対して、本日の議論を踏まえ、改革の具体化に向けた検討を加速するよう指示がありました。
社会保障改革については、更に諮問会議の場で議論を行ってまいります。年内にあと2、3回ほど考えているところです。
私からは以上です。


2.質疑応答

<GDP統計の改善>
(問)今回、民間議員から、GDP統計の改善に関する提言があったわけですが、それに対する大臣の御所見はいかがでしょうか。また、結果的にこの改善がGDP600兆円の達成に向けて有利に働くのではないか、という指摘がありますが、それに対して大臣はどのようにお考えでしょうか。

(答)この統計のヘビーユーザーは、やはり分析官庁である内閣府、また各種金融政策を実行していく日本銀行であると考えています。ここが連携する。やはり政府・日銀は一体ですので、連携して各種統計の改善方策やその工程について、基本方針、どういう形でやっていくのかということをお示しすることによりまして、御質問いただいたような疑念や懸念に応えることになるのではないかと考えているところです。


<薬価制度改革の議論>
(問)薬価制度の抜本的な改革というお話がありましたが、高額薬剤が問題になっていると思います。今日、この辺りの議論はありましたでしょうか。

(答)前回に引き続いてオプシーボの話が出ましたが、民間議員の方から、これは一薬ではなくて、同じような問題がたくさんあるのではないか、そういうものについて取りまとめて、この諮問会議の場で、どういう薬が、どのようになっているか、といった具体的なことを厚生労働省に説明願いたい、という意見がありました。これに対して、厚労大臣の方から、それでは少し勉強させていただきます、というお話がありました。


<統計の見直し>
(問)統計の見直しについて、研究会、内閣府、総務省、また山本大臣が議論しているところもあり、多少それらが重なっている部分もあると思いますが、どういう形で集約して政府方針をまとめる予定ですか。

(答)内閣府と日銀との考え方に齟齬があるのではないかという御質問をいただいたことがありましたが、先ほど中曽日銀副総裁からも、伊藤議員の御説明を受けて、日本銀行も協力してこの問題に取り組んでまいります、という発言がありました。高市総務大臣からも、所管である家計調査の改革について言及がありました。各種改革を取りまとめ、また、先ほど質問いただいたような懸念を払拭するためにも、年内を目途に基本方針を取りまとめて、それに則って、政府全体で、日銀も含めて、この統計の精度を上げて、現代の時流に合っているものにする。麻生副総理が、昨年10月に、通販の数字が入っていないではないかといったことを問題提起していましたが、そういうものも入れられる、消費についても実態に合っているものにしていく、こういうことがこれから議論されるのではないか、と推測しているところです。


<社会保障>
(問)資料5の社会保障の給付と負担の適正化について、効率的な医療・介護の提供という話題があったと思います。これについて、今、特に医療・介護保険制度の見直しで、財務省が提案したり、厚労省の部会で議論したりしています。今日の議論で、これについての意見は、先程紹介された麻生大臣のもの以外はなかったのでしょうか。また、これについての石原大臣の御所見はいかがでしょうか。

(答)細かい部分については、事務方から説明させていただきます。

(事務方)麻生大臣以外から意見は出なかったのかという御質問がありましたが、基本的になかったと思っております。

(答)社会保障分野の集中的な議論は、前回も行わせていただきましたし、この後2、3回行わせていただくことになると思います。総理から塩崎大臣への、具体化の検討を加速化しろという指示を踏まえて、来年度の予算編成に反映させていく。これは、ある意味では、経済財政諮問会議のルーティン・ワークです。また、麻生副総理から、前倒しせよというお話もありましたので、そういう意見を中心に、これからあと2回、3回という中で、来年度の予算編成に対する基本的な道筋を模索していくことになると承知しているところです。


3.黒田内閣府参事官(総括担当)(政策統括官(経済財政運営担当)付)による追加説明

最初に、山本行政改革担当大臣に御参加いただき、GDP統計を軸とした経済統計の改善に向けた議論を行いました。伊藤議員から資料1について説明、問題提起があり、その後、中曽副総裁から「有識者の議員の御提案のとおり、日本銀行としても前向きの協力をさせていただく」旨、御発言がありました。続いて、山本大臣から資料2、高市大臣から資料3について説明があり、その後意見交換を行いました。
主な御意見等を御紹介いたします。
財務大臣から、「昨年10月に統計について申し上げてから、この1年で検討が進んできた。ビッグデータの利用など、精度向上に向けた議論が進むことを期待する。」
民間議員から、「経済統計の大きなユーザーである内閣府と日銀による改革により、統計の信頼性を高めることが大切。年内に方針をまとめるに当たっては、工程化や司令塔機能の強化などをプログラム化し、年明け以降、道筋を具体化すべき。」
次に、議題2として、塩崎厚生労働大臣に御参加いただき、経済・財政一体改革の各論として、社会保障改革についての議論を行いました。塩崎大臣から資料4、榊原議員、新浪議員から資料5、6、7について説明、問題提起があり、その後意見交換を行いました。
主な御意見等を紹介いたします。
まず、民間議員から、「介護納付金の総報酬割の移行については、まずは介護給付の抑制の改革を先行して実現すべき。」
また、別の民間議員から、「医療費適正化計画について、目標の設定や実行について誰が責任を持ってやるのか。ガバナンスが重要である。医療と介護を一体として考え、優良事例の横展開が必要である。調整交付金を活用して傾斜配分等を検討すべき。健康予防についてデータの連携を図り、産業として育成すべき。」
これらの指摘に対して、厚労大臣から、「オプジーボについては、価格面と使用の量の面から制約がかかるよう議論している。高額薬のガイドラインについて、無為に高価な薬が使われないようにしていきたい。支払基金改革はデータヘルス推進等と一体として進めていく。高額療養費は44項目の中にもあり、関連審議会で議論を進めている。医療費適正化計画の実行については、都道府県が責任を持って取り組み、厚労省もしっかり見ていく。医師の偏在については、直接的な規制を含めて取り組んでいきたい。大都市への目配りもしっかりやりたい。」
総務大臣から、「介護事業者にインセンティブを付与する取組をしている自治体があるので、厚労省には支援をいただきたい。」
財務大臣から、「平成29年度予算では、「経済・財政再生計画」の目安を確実に実行する必要があり、改革工程表をできるだけ前倒しで取り組むべきである。」
民間議員から、「内閣官房の医療・介護情報専門調査会と連携して、政府一体として取り組むべき。薬価については検討課題が多い、抜本的な取組が必要。」
また、別の民間議員から、「目標設定の在り方など、医療費適正化計画のPDCAサイクルをどのように回していくのか。保険者努力支援制度のインセンティブ付けから、糖尿病の重症化予防への取組状況は外すべきではない。」
ここで総理から発言がございました。私から発言のポイントを御紹介いたします。
第一に、本日は、GDP統計を軸とした経済統計の改善についての議論をいたしました。統計の精度や新分野の統計の充実といった課題が指摘される中、より正確で使い勝手のよい統計システムを構築することにより、統計への信頼を盤石なものにしていくことが重要です。
内閣府の石原大臣におかれては、日本銀行の黒田総裁や関係大臣と連携して、各種統計の改善方法やその工程などについて、年内を目途に、政府としての基本方針を諮問会議において取りまとめていただきたい。
第二に、本日より、経済・財政一体改革の各論の議論に入り、社会保障改革についての議論を行いました。
民間議員からは、大都市圏や一人当たりの医療費が高い都道府県から率先して改革に取り組むべき、保険者や事業者が給付の適正化に自ら取り組むインセンティブを強化すべき、内閣官房の医療・介護情報専門調査会とも連携して取組を進めるべき、などの指摘がありました。
塩崎大臣におかれては、本日の議論を踏まえ、改革の具体化に向けた検討を加速していただき、更に諮問会議の場での議論を行いたいと思います。
私からは以上でございます。

(以上)