第8回記者会見要旨:平成28年 会議結果

石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成28年5月11日(水曜日)19時09分~19時40分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・S103会見室

1.発言要旨

第8回経済財政諮問会議の概要について説明させていただきます。
本日の議事は3件です。まず、四半期に一度の金融政策、物価に関する集中審議。
黒田総裁から、金融市場や物価等の動向についての説明がありまして、続いて事務方から、デフレ脱却と経済再生に向けた進捗状況について説明がありました。
引き続きまして、民間議員から、個人消費の喚起に向けて、①働き方改革、②子育て世代への支援、③社会保障負担の軽減等が必要との発言がありました。また、伊勢志摩サミットに向けた国際協調の在り方などについての発言もありました。 2番目の議事ですが、経済・財政一体改革についての議論をいたしました。
まず、事務方から経済・財政一体改革推進委員会の報告があり、その後、新浪議員から、資料4で、経済再生と財政健全化の二兎を追う改革であり、①子育て分野への安定財源の確保、②健康長寿の実現、③コンパクトシティの推進等についての提言をいただきました。
続きまして、伊藤議員から資料5で、社会保障関係費の自然増を深く検証すべきである、介護・医療を統合した「見える化」を進め、地域差の分析を行うべきである、との提言がありました。
続きまして、塩崎大臣より、資料6に基づきまして、医師の地域偏在・診療科偏在の解消に向けた取組の推進、医療・福祉人材の養成課程の見直し等につきましてお話がありました。
続きまして、馳文科大臣より、資料7で、教育政策におけるエビデンスに基づくPDCAサイクルの確立に向けた取組等についての説明がありました。
その後ですが、マイナンバーカードの普及について、保険適用外分野のヘルスケア産業化について、現下の経済状況における対応策の在り方について、検診率の向上や終末医療の在り方について、ふるさと納税などについての議論がありました。
3番目の議事ですが、骨太方針の骨子案について議論を行いました。
事務方の説明の後、麻生大臣から、資料9に基づきまして、財政制度等審議会による財政健全化等に関する議論の方向性についての紹介をいただきました。
その後、研究開発投資の促進について、これは大変重要なことだと私も思っています、アベノミクスの成果の活用について、これも重要です、外国人材の活用の在り方について議論がありました。
この後ですが、総理の発言です。総理の発言については、ポイントを要約して紹介させていただきたいと思います。
本日、歳出改革の重点事項である①社会保障、②社会資本整備、③地方行政財政について議論を行うとともに、「骨太方針」の骨子を決定した。今月中に「骨太方針」を取りまとめられるよう、具体化の作業の加速を指示されました。
社会保障についてですが、塩崎大臣に対しまして、医療や介護のレセプトデータを全国的に連結して、社会保障給付費を効率化していくための具体案を諮問会議で報告するよう指示がありました。
次に、私への指示ですが、先進事例の横展開については、各省庁が自治体の立場に立って、しっかりサポートし、大きく展開する必要がある。自治体の具体的な行動につなげるよう取り組み、諮問会議で議論した上でメリハリある予算につなげてほしい、ということでした。
私からの報告は以上です。




2.質疑応答


<消費増税>
(問)今日は、消費増税について、発言や議論はあったのでしょうか。

(答)消費増税については、どなたからも、発言や説明は一切ありませんでした。


<アベノミクスの成果の活用>
(問)アベノミクスの成果の活用について、税収の底上げなど歳入面の成果を一億総活躍で使うかどうか、今、議論がまさにされているところだと思うのですが、現時点での大臣のお考えはいかがでしょうか。

(答)質問されましたとおり、まさに議論がされており、これは歳入面、歳出面の両方あると思います。前々回の諮問会議で、その歳出面での改革による成果といったお話を財務大臣からいただきましたし、これから議論を深化させていく、という段階だと承知しております。


<600兆円経済>
(問)「骨太方針」の骨子にも盛り込まれた600兆円経済について、600兆円経済に向けた様々な施策が今月末を目途に取りまとめられていくと思うのですが、600兆円という具体的な数値の根拠を確認したいのです。政府として名目で年率3.0%成長させるという試算を設定しているから、数年後には600兆円になる、という理解でよろしいのでしょうか。

(答)それだけではなく、アベノミクスというのは、やはり経済を成長させてデフレを脱却させることによりまして、これまでとは違う成長過程に日本の経済を乗せます。安倍政権の3年間は、おかげさまで雇用と総所得のところで見ますと、ベースアップについても3年連続で上がっています。ただ、それは更に続けていかないと経済が失速してしまい、その目標をなかなか達成しませんし、また、経済再生なくして財政再建はなかなかできないわけです。そういうことをしっかりとやっていく。その上で、2020年代の初頭には600兆円経済を確立することができる。もちろん歳入改革、歳出改革ということも併せて行うことによって、この目標達成に向けてやっていく、ということで御理解いただきたいと思います。



3.前川内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明


それでは、補足の説明を行います。
最初の議事、「金融政策、物価等に関する集中審議」につきましては、黒田議員から資料1、内閣府事務方から資料2について説明をし、その後、意見交換を行いました。
主な御意見等を紹介いたします。
民間議員から、「黒田議員の資料のCPIでは、コアコアが1.1%になっていることが重要である。」
これは最低賃金のことだと思いますけれども、「個人消費については、加重平均で1,000円に引き上げるロードマップが必要ではないか。消費を決めるのは女性である。働き方改革を進めるべき。有給休暇の取得を促進すべきである。」
別の民間議員から、「目に見える、手応えのある消費喚起策を早急に講じるべき。特に、現役世代への支援が必要。4月の民間議員ペーパーの着実な実現を求めたい。現役世代の将来不安を払拭するためにも、持続可能な社会保障制度の構築が不可欠である。全体を抑制しながら、給付を思い切って子育て世代に回していくべき。」
同じ民間議員から、「4月21日のG7ビジネス・サミットの総意として、金融政策に加え、機動的な財政政策、大胆な構造改革の断行が、世界経済の持続的成長に不可欠と提言し、総理に提出した。総理がG7各国との政策協調に向けて、周到な対応、準備を進めておられることに経済界として敬意を表する。来る伊勢志摩サミットでは、総理のリーダーシップの下、世界経済の安定的かつ持続的成長に向けて、けん引役を果たすメッセージを発信することを期待したい。」
別の民間議員から、「伊勢志摩サミットでは、健康・医療、環境、高齢化の下での人材育成という先進国共通の課題に連携して取り組み、需要を底上げすることに、構造改革と財政政策の両面から推進すべき。」
別の民間議員から、「個人消費の低迷には、社会保険料などの国民負担の増加が背景にある。賃金の継続的引上げとともに、負担に見合う給付の充実、特に若い子育て世代への支援が重要である。高齢者には、年金受給年齢の引上げが効いていると考えられ、働き方改革が必要である。すなわち、①賃金引上げと多様な働き方、②保険料増加の抑制、アベノミクスの効果を子育てに回すこと、こういう抜本的な支援が必要である。」
次に、2番目の議事ですが、塩崎厚生労働大臣、馳文部科学大臣にも御参加いただきまして、「経済財政一体改革について」の議論です。
事務方から資料3、新浪議員から資料4、伊藤議員から資料5、塩崎臨時議員から資料6、馳臨時議員から資料7について説明があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見等です。
総務大臣から、「総務省においても、改革工程表に沿って地方行財政改革を進めている。その中で、地方団体に内容を十分説明し、理解と納得を得ながら進めることが重要である。下水道事業への公営企業会計の適用については既に要請しており、6月にも状況を公表したい。トップランナー方式についても3月に法改正をしており、しっかり取り組んでいく。見える化について、住民1人当たりのコストについて、試行的なフォーマットを作り、取り組んでいく。」
民間議員から、「総務大臣には、マイナンバーの一層の普及、活用の促進に御尽力いただきたい。厚生労働大臣には、保険外サービスの拡大推進を是非お願いしたい。マクロ的に、2点申し上げたい。デフレ脱却にとって、胸突き八丁の状況にあるので、必要なら財政出動の検討も必要だ。一方、財政健全化にもコミットするべき。また、子ども子育てのような重要課題については、安定財源を確保して、対応することは再生計画の考え方でもある。アベノミクスの成果を活用して、追加的に措置する方向で検討するべきだ。」
別の民間議員から、「検診率の向上の取組が重要だ。終末期医療の在り方の検討も積極的に取り組んでいただきたい。総務大臣には、ふるさと納税は評判が良いので、もっと使われるように対応をお願いしたい。」
厚生労働大臣から「保険外サービスの市場拡大について、よく考えていきたい。終末期医療については国民的議論が必要である。しっかり議論していきたい。検診率については、保険者にしっかり取り組んでもらうことが必要であり、国保など市町村の健診率、また二次検診の問題などしっかり考えていきたい。医療と介護を統合した見える化について、バラバラなシステムとなっているため、どう統合しているか議論を始めている。」
総務大臣から、「マイナンバーは住基カードよりも利便性が高く、また商店街などでも利用できるよう「マイキー・プラットフォーム」の構築を進めており、カードの普及に努めていきたい。また、カードの交付について市町村で速やかな交付ができるよう今月中にマニュアルを作成してお示ししたい。ふるさと納税は私も賛成であり、地場産業振興にもなる。」
3番目の議題ですが、塩崎厚生労働大臣、加藤一億総活躍担当大臣に御参加いただき、「骨太方針の骨子案について」議論を行いました。
事務方から資料8、麻生大臣から資料9について説明があり、その後、意見交換です。
民間議員から、「イノベーション推進のため、第5期科学技術基本計画に沿って、対GDP比1%、5年間総額26兆円の政府研究開発投資を実現してほしい。骨太方針にこの旨を反映してほしい。民間企業も2020年には、17兆円から18兆円までR&Dを増やす取組を進めたい。
政府と民間を合わせてGDP4比%を達成する。これによって、日本が最もイノベーションに適した国を実現する。
別の民間議員ですが、財務大臣の説明に関して、「想定以上の税収増は貯金に回すという外国の例は私も重要だと思う。ただし、日本はデフレ脱却の途上であることが違う。アベノミクスで底上げされた税収は成果として子育て支援や好循環の拡大に使うべき。」
別の民間議員から、「外国人の高度人材の定義を見直して、職業訓練学校の単位も対象にするなどの検討をするべき。JETプログラムを見直して、拡大促進するべき。地方の国際化にも役立つ。」
ここで総理からの発言でございます。
「「600兆円経済」と「2020年度の財政健全化目標の達成」の双方を実現するためには、経済再生に向けた取組と併せて、聖域なく歳出改革を行わなければならない。
本日は、歳出改革の重点事項である①社会保障、②社会資本整備、③地方行財政について議論を行うとともに、「骨太方針」の骨子を決定した。
今月中に「骨太方針」を取りまとめられるよう、具体化の作業を加速していただきたい。
社会保障については、医療・介護分野における徹底的な「見える化」を行い、給付の実態や地域差を明らかにすることにより、より効果的で効率的な給付を実現していく。このため、塩崎大臣におかれては、医療や介護のレセプトデータを全国的に連結し、社会保障給付費を効率化していくための具体案を諮問会議に報告していただきたい。
社会資本整備については、人口減少に対応したまちづくりのコンパクト化と併せ、必要性の低下した社会インフラの統廃合を進めていく。
地方行財政については、窓口業務の民間委託や業務のIT化を加速していく。
いずれの改革も、先進事例の横展開が何より重要である。各省庁による単なる情報提供に終わらせてはならない。
各省庁が自治体の立場に立って、先進事例の導入をしっかりサポートし、大きく展開する必要がある。自治体の具体的な行動につながっていくよう、石原大臣を中心に取り組み、諮問会議でも御議論いただいた上で、メリハリのある予算につなげてほしい。」
私からは以上です。


(問)総理の発言の中で、「骨太方針」の骨子を決定したとありますが、骨子は示すものではないかと思うのですが「決定した」でよろしいでしょうか。
(答)総理がそのようにおっしゃりました。
(問)資料8では骨子案となっていますが、これはこの時点では案は取れて、骨子という扱いにしてよいということですか。
(答)そういうことです。
(問)2点お伺いします。1点目は消費税率引上げですが、これは健全化計画と600兆円経済、両方相互に大きく関わるところだと思うのですが、今のままでいけば、来年4月に10%に引上げということですが、総理が様々な状況を踏まえて判断をされると思います。その然るべき時期に行うであろう判断に向けて、内閣府として財政試算、例えば消費税を引き上げないかわりに、2020年度なりに向けて、財政がどうなるのかといった総理の判断に資するような財政試算を提示されるお考えがあるのかどうか、それとも、既にそういった試算を検討されて、既にお持ちなのかどうか、お伺いします。
もう1点は、先ほど大臣にお伺いしたところで恐縮ですが、600兆円という大胆な数値目標を具体的に掲げられていて、その数値目標に向けて成長戦略始め様々な取組をされて、それで600兆円経済を目指すということは十分理解しているのですが、具体的に600兆円という数値を政府として掲げられている以上は、何らかの数値の積上げなりがあって、600兆円を目指すという金額を設定されているのかと思うのですが、今のところ試算の方で年率3%の成長を目指すので、政策を進めていけば、いずれ600兆円に到達するというようにも思われるのですが、そういったことではなくて、より具体的に成長戦略のこういった分野を進めることで、何兆円の積上げができるとか、若しくは、例えば、ネット通販の消費の反映といったGDP推計の基本的な見直しを行うことで、何兆円とか、そういった詳細な金額の積上げをお持ちなのか。それとも、今後、「ニッポン一億総活躍プラン」なりで、そういったものを提示されていくお考えがあるのかどうか、お伺いします。
(答)1点目については、そういう中長期の財政試算を、内閣府が行っているとか、行うという予定は、少なくとも現時点では、私の承知している限りではありません。
2点目につきましては、少なくともGDP推計の見直しによって、600兆円をどうするということはありません。
(問)具体的な内訳の数値がないとなりますと、試算において名目で年率3%成長するというように設定しているから600兆円になると言っているようにも聞こえて、国民からすると、説得的でないのかという気もするのですが、いかがでしょうか。
(答)その点については、去年の11月末に、「希望を生み出す強い経済実現に向けた緊急対応策」を諮問会議で取りまとめた時に、600兆円の掲げる意味についても書いております。確かに、デフレの時には600兆円という数値を示しても、国民にとって信頼性に欠けるでしょうが、デフレではないという状況になっており、600兆円は不可能な数字ではない今こそ、そういう目標を掲げることが、そういう達成のためにも寄与するのだ、というような表現を去年11月末の諮問会議の取りまとめでしております。
(問)消費増税に関して、試算は少なくとも現時点ではない、と言われましたが、総理が消費増税を判断するにおいては、何らかの試算なり、判断材料が不可欠かと思います。現時点でしないにしても、総理が最終的な判断を行うに際しては、そういった試算を示されるというお考えがある、というように理解してよろしいでしょうか。
(答)その点に関しては、現時点ではありません。
(問)今回の骨子で、攻めの農林水産業という小さな項目を作られていますが、今、産業競争力会議が議論している農業資材の改革は、盛り込まれないのでしょうか。それとも、今後盛り込まれる予定もあるのでしょうか。
(答)確かに今日の骨子の中で、攻めの農林水産業の展開は2ポツの(2)にありますが、中身はこれからですので、現時点では何とも申せません。

(以上)