第3回記者会見要旨:平成28年 会議結果

石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成28年3月11日(金曜日)19時24分~19時43分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

本日の経済財政諮問会議の議論を御紹介させていただきます。
まず、経済情勢について討議いたしました。日銀総裁からマイナス金利に関して、以下のような説明がございました。
「マイナス金利導入後、イールドカーブが低下して、社債や住宅ローン金利も大幅に下がっている。預金金利の低下は小幅にとどまっている。住宅投資や設備投資には大きなプラスで、ただ、実体経済への波及には若干時間がかかると考える。金融機関への影響については、マイナス金利がかかるのは10兆円から20兆円分くらいである。デフレ脱却こそが金融機関にとって一番の効果になる。」
民間議員から、「マイナス金利の導入は、経済全体に必ずプラスの影響がある。短期的には賃上げが重要。政府も即効性のある消費喚起策を検討すべき。長期的にはGDPを10兆円規模単位で引き上げるようなプロジェクトを官民で実施すべき。例えばブラックフライデーの一斉導入などがある。」
財務大臣から、「住宅ローンの借り換えなどは相当の効果がある。」
私からは、マイナス金利の影響については、これからも分かりやすく説明をしていってほしいという話をさせていただきました。
続きまして、消費についてでございます。
民間議員から、「消費については、可処分所得の上昇が重要。社会保障負担の軽減に取り組むべき。」
民間議員から、「消費の戻りが遅い点については、内閣府でしっかりと分析してほしい。」
財務大臣から、「中古住宅のマーケットがないことが、資産の目減りを招いている。」
民間議員から、「税制のみならず、立地規制なども含めて、パッケージで、住宅価格が上がるよう、骨太で取り上げてほしい。」
また、民間議員から、リフォームにより空き家を若年世代に貸すことで、可処分所得を増やすべき、との発言がありました。
続きまして、今日の二つ目の議題でございます。成長と分配です。
いわゆる130万円の壁の問題について、官房長官や民間議員から、「人手不足が極めて深刻であり、介護や保育に人が集まらない、現在予定されている措置では足らない心配があるという指摘があり、必要があれば充実すべき」となりました。その際、民間議員からは、「待機児童と介護難民への対応を特に重視する必要があり、迅速かつ継続的な対応が必要である。そうした対応にアベノミクスの成果を活用すべき」という意見がありました。
総務大臣から、労働環境ですけれども、「売り手市場なのに賃金が上がっていないことについて、その分析が必要である。」
総理大臣から、「待機児童については、さらに具体的な対応を進めていきたい。」
また、クルーズ船について、民間議員や財務大臣から、「インバウンドなど大きい需要が見込まれ、規制改革やバースなどのインフラ整備が必要」との意見がありました。
加藤一億総活躍担当大臣から、「一億総活躍社会の実現に向けた対話や懇談を重ねてきており、保育や介護について切実な話を伺っている。
保育については、待機児童の解消に向けて保育の受け皿の整備の目標を40万人から50万人に拡大しており、9万人の保育人材の確保に向けて、一億総活躍プランの中で具体的な方向を示したい。
介護についても、介護の受け皿の整備量を38万人分から50万人以上に上積みしており、これに伴う25万人の介護人材の確保などについて、一億総活躍プランで具体的な方向性を示していきたい。
130万円の壁、103万円の壁についても、しっかり議論していきたい。」
ここで、総理から御発言がございました。ポイントを御紹介させていただきます。
「「戦後最大のGDP600兆円」の実現に向け、3巡目の賃上げの流れを着実に進めることにより、家計の可処分所得を増やし、消費の拡大につなげていく。
その上で、「成長と分配の好循環」のため、子育て支援を抜本強化し、多様な働き方を可能とすることにより、働き手の質・量ともに充実させていく。
その際、一つ一つの施策について、効果がしっかりと現れるよう、きめ細かな対応を行う必要がある。
具体的には、いわゆる130万円の壁について、来年度予算に短時間労働者の就労を促すための対応策が盛り込まれている。これが十分に活用されるよう、周知徹底するとともに、人手不足の状況などを注視し、必要に応じて充実・強化していただきたい。
また、建設分野を含め、外国人材の受入れが進んでいないという指摘があった。
東京オリンピック・パラリンピックに向け、我が国の労働市場を活性化する観点からも、問題の所在を明らかにし、外国人材の活用をしっかりと進めていただきたい。
関係大臣においては、現場の状況をつぶさに把握した上で、政策効果がしっかり上がるよう、課題解決に向け、大胆に取り組んでいただきたい。」
このような内容でございました。私からは以上でございます。


2.質疑応答


(問)今日、経済界に賃上げを求めるようなお話はありましたでしょうか。

(答)先ほど総理の御発言を紹介させていただきましたとおり、総理から、「戦後最大のGDP600兆円」の実現に向け、3巡目の賃上げの流れを着実に進めることにより、家計の可処分所得を増やし、消費の拡大につなげていくことが肝要というような発言がございました。

(問)それは経済界への要請というように捉えてよろしいでしょうか。

(答)そうです。これまでも、前回も、総理がおっしゃっていますし、今回も重ねておっしゃりました。


3.前川内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

最初の議題の「最近の経済情勢について」ですが、まず、民間議員から日本銀行総裁に対して、マイナス金利の影響について伺いたいと質問がございまして、黒田総裁から以下の説明がございました。
「本日の内閣府からの資料1にあるように、マイナス金利の導入後、イールドカーブが低下して、社債や住宅ローン金利も大幅に下がっている。預金金利の低下は、小幅にとどまっている。住宅投資や設備投資には大きなプラスである。ただ、実体経済への波及には若干時間がかかろう。金融機関への影響については、日銀当預は三層構造でマイナス金利が掛かるのは、10~20兆円分くらいである。残りの210兆円にはマイナス金利はかかっていかない。デフレ脱却こそが金融機関にとって一番の効果になる。また、2014年、2015年と金融機関の収益は良く、貸し渋りとか貸出金利の上昇は考えられない。」
民間議員から、「世界経済はリスクオフに向かっているが、これはアベノミクスによるものではない。慌てずデフレ脱却を目指すべき。まず手をつけるべき施策は、可処分所得の上昇であり、賃上げしても社会保障負担の上昇で相殺されないようにするなど、20代から40代の世代が消費の主体となれるようにすべき。団塊の世代が通り過ぎても、空き家といった資産は活用出来るし、年金や医療という面でも心配ないということを若い人に理解してもらう必要がある。」
民間議員から、「金融政策には、①期待に働きかける効果と②貨幣が実際に増加する効果という2つの効果がある。マイナス金利については従来の政策と少し異なる部分があるかもしれないが、内容をしっかり伝えることによって期待面でさらにプラスに働くのではないか。」
民間議員から、「マイナス金利の導入は、資金の調達コストを引き下げるなど、経済全体に必ずプラスの影響がある。消費税率引き上げを受容できるGDPの底力が必要であり、特に、300兆円程度に踏み留まっている個人消費を上方トレンドへ上げていく必要がある。短期的には、賃上げが重要であり、年収ベースでの賃上げが実現できるよう強力に呼びかけていきたい。政府も即効性のある消費喚起策を検討してほしい。中長期的には、GDPを10兆円規模で引き上げるようなプロジェクトを立ち上げ、官民のリソースを結集すべき。例えば、ブラックフライデーの一斉導入、観光、農業、健康長寿、オリ・パラなど、具体的なプロジェクトが必要である。」
民間議員から、「消費税率引上げ後、消費の戻りが遅い点について、年齢階層別に分析するなど、しっかりと要因を分析した上で対応策を検討する必要がある。内閣府には、要因分析をして諮問会議に報告してほしい。」
石原大臣から、「マイナス金利の影響は、わかりやすく説明してほしい。」
財務大臣から、「住宅ローンを借り換えればローンが安くなり、また、借り手だけでなく銀行も手数料収入が入るから良い話だ。日本にだけ、中古住宅マーケットがないのは問題である。中古市場があれば家の手入れをして、資産がずっと残っていくということになる。」
民間議員から、「ドイツでは、税制だけでなく立地規制等も含めパッケージで住宅価格が上がるように取り組んでおり、今年の骨太でも検討すべき課題だ。」
民間議員から、「企業としては持家取得を促進してきた。今あるものにいかに価値をつけていくか。リフォーム産業を育成していく必要がある。」
2番目の議事として、「「成長と分配の好循環」の拡大に向けた分配面の強化について」の議論をいたしました。まず、民間議員より次のような御説明がありました。
高橋議員から「アベノミクスの成果の活用等を図りつつ、一億総活躍社会の構築に向けた構造的課題への対処等に向け、「家計の可処分所得の拡大」「多様な働き方を可能とする環境整備」「子育て支援の抜本強化に向けた異次元の取組」等の政策を講ずるべき。」
伊藤議員から、「「成長と分配の好循環モデル」を構築し、政策の在り方とそれに伴うマクロ面からの経済財政効果を明らかにすべき。政策コメンテーターから、「NISAの恒久化等を通じ、「貯蓄から投資へ」を推進すべき」「クルーズ船の寄港可能な港の整備が喫緊の課題」といった提案が寄せられた。」
民間議員から、「若い世代が消費を伸ばしていける環境が重要だ。持ち家である必要ない。中古で十分。中古流通市場やリフォーム産業を育成する。そうすれば消費が喚起される。」
官房長官から、「人手不足が極めて深刻であり、介護や保育に人が集まらない。女性の就労促進のためにも130万の壁について、思い切った形での対応が必要である。」
総務大臣から、「女性の就業調整については、しっかり対応が必要だ。売り手市場なのに賃金が上がっていかないことについて、その分析が必要だ。40代、50代の賃金、消費等が悪い印象だ。国際人材活用について、JETプログラムの終了者が、国内で活躍いただけるよう、経済界とも連携していきたい。」
民間議員から、「女性の活躍促進策は、昨年の対策は不十分だ。1回限りで上限額も低い。更なる検討が必要だ。外国人の活用も、永住権を取得しやすくするなど、もう一歩踏み込んだ対策が必要だ。」
民間議員から、「人手不足は深刻だ。技能実習と入管の改正法案の早期成立をお願いしたい。」
民間議員から、「待機児童と介護難民への対応は特に重視する必要。迅速かつ継続性の見通しが持てる対応が重要だ。」
財務大臣から、「海外からの観光客は、リピーターが多く、日本には有利な点が数多くある。学校に観光学部をつくって、積極的な人材投入をしていくべきだ。」
民間議員から、「福岡市のクルーズ船について、岸壁が足りず貨物ヤードで対応している。様々な規制も関係しており、官民連携でしっかり取り組んでいくべきだ。」
総理から、「待機児童については、さらに具体的な対応を進めていきたい。」
以下は、先ほど石原大臣から御紹介いただきました一億総活躍担当大臣の御発言と総理の御発言でございますので、省略させていただきます。私からは以上です。

(問)民間議員から話があった、消費の戻りが遅いというのは、消費税増税以降の話をしているのか、足元の消費のことを指摘しているのか、どういったことを話しているのか。また、諮問会議で報告とされていましたが、時期はいつまでかを教えていただけますか。
(答)前者については、特にどちらである区別はありませんでした。どちらであるかわかりません。また、いつまでにという話も民間議員からございませんでした。
(問)いつ頃までに報告できると考えていますか。
(答)それはこれから検討します。
(問)資料3で、マクロ面からの経済財政効果を明らかにすべき、とありますが、内閣府でデータが出るのですか。
(答)民間議員の提案を受けて、内閣府でそういった分析手法を開発していこうということです。
(問)総理が、税収の底上げをどう捉えるかを、経済財政諮問会議で議論するよう指示をしていたかと思いますが、この指示とこの分析はリンクしてくるのでしょうか。
(答)これは、その指示のために分析する、というものではありません。本日の民間議員からの提案にもあるように、一億総活躍の議論で子育てや介護の問題が出ており、それが第二、第三の矢となっているわけですね。それと第一の矢がどういった関係にあるか。私たちは言葉では好循環をしていくと言っていますが、それが具体的に数値的な関係がどうなっているかを分析してほしいということで、モデルつくってやってみよう、ということです。

(以上)