第15回記者会見要旨:平成27年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成27年9月11日(金曜日)19時04分~19時29分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

第15回の経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
本日の議題の一つ目は、「好循環拡大・深化に向けて」であります。
内閣府事務方から資料1、麻生大臣から資料2、伊藤議員から資料3について説明、問題提起がありまして、その後、意見交換を行いました。 主な意見を紹介申し上げます。
まず、総務大臣から、「通信費の家計支出に占める割合は、特にスマートフォン等もあって上昇していることから、低廉に利用できるような方策を検討したい。外国人材の積極的活用は、地方大学の関係がある。テレワークについて一歩進めた、ふるさとテレワークの充実に努力をしたい。」
続いて、官房長官から、「情報通信の家計に占める割合の引下げを支持したい。」 民間議員から、「レジリエントな経済づくりが大切である。生産性の高い分野が産業化できるよう、障害を取り除いていくべきである。また、就業者数の増だけではなく、働きたい人の労働時間が増えることも大切である。」
続いて、民間議員から、「家計を元気にするため、賃金、最低賃金、この両方の引上げのコンセンサスづくりが必要である。また、いわゆる103万円の壁など早期に検討してほしい。さらに、インバウンドだけではなく国内観光も重要である。秋にプラチナウィークを設けるなど、休暇改革もしっかり考えてほしい。」
同じく民間議員から、「足元の経済はやや伸び悩みも見られるが、経済の基調は変わってはいないと認識する。経済界としては、バラマキでない成長に資する投資などにも期待をしたい。また経済界としても、前向きな投資に努めていきたい。」 続いて、塩崎厚労大臣に御参加をいただき、2番目の議事、「経済・財政一体改革の具体化」に向けての議論を行いました。
新浪議員から資料4について説明、問題提起がありまして、その後、意見交換を行いました。 主な御意見を紹介いたします。
厚労大臣から、「地域医療構想は、3年かけて策定することとなっているが、できる限り加速させるなど、効率的な提供体制の整備に取り組んでいく。薬に関しては、調剤報酬の見直し、価格形成の適正化などに重点的に取り組む。診療報酬改定については、前回改定の検証を示した上で適切に進めていきたい。」
続いて、総務大臣から、「トップランナー方式の基準財政需要への反映については、早急に制度設計に取り組みたい。28年度予算で実現できるよう努力したい。地方財政の「見える化」については、地方公会計の浸透を促進したい。」
続いて、財務大臣から、「年末までに策定する改革工程表が実効性の高いものとなるよう、「経済・財政一体改革推進委員会」の検討にしっかりと連携・協力していく。それを踏まえて、28年度概算要求の精査を進めていく。」
続いて、民間議員から、「財政健全化の取組は最初が肝心である。その意味でも、「優先課題推進枠」でエビデンスが明確でないものは採択しないといった対応が徹底されるように、ぜひお願いしたい。」
続いて、民間議員から、「社会保障関係費は、向こう3年間1.5兆円の増加に抑制するのが一つの目安。28年度予算から緩むことがないようにお願いをする。」
同じく民間議員から、「社会保障改革は、2025年頃までを念頭に置いた改革が多いが、2018年、2020年までの時間軸が入った改革工程が策定できるよう、厚労大臣には前向きな検討をお願いしたい。」
次に、塩崎厚労大臣、下村文科大臣、有村少子化担当大臣に御参加をいただき、3番目の議事といたしまして、「子育て支援・少子化等」についての議論を行いました。
高橋議員から資料5、有村臨時議員から資料6、塩崎臨時議員から資料7、下村臨時議員から資料8について説明、問題提起がありまして、その後、意見交換を行いました。
主な意見を紹介申し上げます。
まず、麻生財務大臣、「ひとり親家庭・多子世帯支援の充実の財源については、税収増については、中長期試算に織り込み済みであり、保険料なども含めて幅広く検討すべきである。」
民間議員から、「子どもは社会の活力であり、少子化対策には最優先で取り組むべきである。同時に少子化対策にも民間の工夫・ノウハウを活用できるよう規制改革などに取り組むべきである。」
民間議員から、「歳出効率化などの財源確保策を検討し結論を得るまでには時間がかかるので、それまでのつなぎとしてアベノミクスの成果の還元を提案したものである。」
同じく民間議員から、「財源は社会全体で、税財源で賄うべき。企業の賃上げ、投資拡大を妨げてはいけない。」
次に私から、有村大臣、塩崎大臣、下村大臣に対し、「子育て支援、少子化対策について結婚、妊娠、出産、子育てというライフステージで見て、どこかに切れ目などがないのかどうか、どこに切れ目があるか整理してほしい」とお願いをいたしました。
ここで総理から発言がございました。ポイントを御紹介いたします。
「経済最優先で完全にデフレから脱却し、未来に向けて力強く経済を成長させていく取り組みを、経済財政諮問会議を中心に進める。
最近の金融・資本市場には変動も見られるが、回り始めている経済の好循環を民需主導で拡大・深化させていくことが肝要である。そのためには、過去最高水準の企業収益にふさわしいように賃金の継続的な引上げや正社員化の推進とともに、民間投資の拡大を実現することが必要不可欠である。こうした考え方を各方面としっかり共有したい。
また、携帯料金等の家計負担の軽減は大きな課題である。高市総務大臣には、その方策等についてしっかり検討を進めてもらいたい。
平成28年度予算は経済・財政再生計画の初年度予算であり、各府省は既存施策を含め、聖域なく改革を根付かせていくとともに、公共サービスの在り方を抜本的に変えていく改革、歳出抑制につながる制度改革をしっかりと進展をさせていただきたい。まずは優先課題推進枠について麻生財務大臣には甘利経済財政政策担当大臣と協力をして、各府省に9月末までに改革の効果の明示を求めた上で各府省の歳出改革の取組を採否に反映させてほしい。これを初めとして、予算全体について改革効果の曖昧な要求には厳しく対応してほしい。
子供たちの未来は日本の未来そのもの。民間議員からは子育て支援、少子化対策は社会的問題であると同時に、経済の問題であるとの御指摘もあった。まずは年末に向けてひとり親家庭・多子世帯への支援策などをまとめていくこととなる。
本日は財源について社会保険財政を含めたアベノミクスの成果の活用などの議論があったが、これらの議論を踏まえ、関係大臣には安定的な財源確保策と一体となった政策パッケージを検討していただきたい。」
最後に私からです。「本日の総理からの指示を踏まえ、経済の好循環の拡大・深化のため、関係大臣とともに賃上げ、正社員化、民間投資等の課題に取り組んでまいりたい。「経済・財政再生計画」については、民間議員や関係大臣と協力をしながら実効性のある改革を実現するための工程表及びKPIを作成するため、精査をしてまいりたい。また、「優先課題推進枠」での予算要求への対応については、取組状況を経済財政諮問会議に報告することとしたい。」
以上です。

2.質疑応答

<子育て支援、少子化対策について>

(問)少子化のところですが、総理が「財源について、社会保険財政を含めたアベノミクスの成果の活用などの議論があったが、これらの議論を踏まえ、安定的な財源確保策と一体となった政策パッケージを検討していただきたい。」とあるのですが、この社会保険財政というのは、具体的にどういうものを指すということなのでしょうか。
それから、アベノミクスの成果というのも書かれているのですが、これは恐らく税収増みたいなものだと思うのですけれども、年末に向けてこの辺の議論が諮問会議でなされるという理解でいいのでしょうか。

(答)財務大臣と民間議員の財源の在り方については、若干の温度差があります。どちらで検討せよということではなく、今日出た意見全体を含めていろいろと議論、検討してほしいという意味だと思います。

(問)麻生大臣が3番目のテーマの最初のところでおっしゃったことと、それからまた違う 意見を検討するということでしょうか。

(答)アベノミクスの成果という部分もここでは否定せずに、両方を含めて適切な議論をしてほしいということだと思います。

(問)いわゆる税と社会保障の一体改革の充実分ではない、更に踏み込んだことをやってほしいということが民間議員の要望だと思うのですが、その辺のところについては、一応やろうということで総理の御指示があったという理解でよろしいですか。

(答)厳密に言いますと、社会保障制度改革で財源が出てくると、その一部も財源になるかもしれないですし、いわゆるアベノミクス効果で上振れした一部も財源になるかもしれない、あるいは財務大臣のおっしゃった企業側の対応ということもあるかもしれない。それぞれどれを採用し、どれを否定するということではなくて、出た財源を、全体を含めて議論をしてほしいということだと思います。

(問)財源の話ではなくて取組のほうなのですが、今までパラパラと一人親世帯の話とか多子世帯の話とか出てきたのですが、もっと包括的なものとして示したいということを今後議論していくということですか。

(答)総理が秋の陣で恐らくある種、政策パッケージで国民に向けて発信をされるのではないかと推測いたします。


<家庭の情報通信費の引下げについて>

(問)家庭の情報通信費に関して官房長官が引下げを指示したという御説明がありましたが、もう少し具体的にどのような内容の趣旨だったのか教えていただきたい。
また、総理も問題意識を持っていらっしゃるようですが、総務大臣から何かございましたか。

(答)厳密に言えば総理指示です。総理から引下げについて検討せよという指示が出ました。総務大臣は事前にこの指示が出るということを承知して前向きな姿を事前に示されたということであります。

(問)これは携帯の通話料や通信料を引き下げるように指示したということでいいのかというのと、その方策としてどのようなことを通じてそういったことを実現するのかというのを今念頭に置いてらっしゃるのか。あと、今後の議論としては、高市大臣が総務省に持ち帰って検討するということなのか、引き続きまた諮問会議でもやるということなのか。その3点をお願いします。

(答)携帯通信料が家計支出に占める割合が拡大をしていると、それだけいろいろなアプリの開発等々あるのだと思いますが、それに対してある種、三社体制で固定化してしまっていて競争政策が働いていないのではないかという指摘もあります。それを含めて総理は料金引下げについて対応せよということを総務大臣に指示をされたわけであります。総務大臣はこれを受けてきちんとした回答を持ってくると思います。


<少子化対策の経済に対する効果について>

(問)少子化対策が経済対策にもなるというところ、消費とかですね、その辺のお考えをちょっと伺えますでしょうか。

(答)経済の3要素は、投入される資本と労働力と、そして生産性の改善であります。日本は人口が減少いたしております。これは長期的には経済成長を阻害する最大の要因になります。ですから、少子化対策は一方で経済対策の側面を持っているということは正しい指摘だと思います。
そこでこの結婚、妊娠、出産、子育てなどに、ライフステージを通じて切れ目のない政策支援があるかどうかという議論があったわけであります。切れ目がないように、もちろんどこまでいけば万全かということはなかなか議論があるところでありますけれども、少なくともどこかで切れ目があって対応できないということがないようにしようということであります。
各省ごとに、各ステージでの認識があるわけでありますから、厚労省、文科省そして少子化担当の3者で、ライフステージの時間軸のどこに欠落があるから、思うような少子化対策ができないのかということを含めて、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに従って、現状としてどういう政策があるのか。また、どういう政策が関係各省で連携がとれているのか。あるいはどこが薄いのかということについて、精査をしてもらえないかということを私からお願いしたわけであります。


<生産性向上に向けた外国人材の活用について>

(問)民間議員の提案で、生産性の向上に向けた取組強化の中に外国人材の滞在期間を最大8年にしてはどうかという提案がありましたが、これについて出席者の方から何か御意見があったのかということと、大臣御自身のお考えをお伺いしたいので、お願いいたします。

(答)この提案については特に反対も、あるいは追加の賛成もありませんでした。恐らく、皆さんは好意的に受け止めているのではないかと思います。
この枠組みについてはいろいろと今、広範に議論をされているところであります。特定の業種の業務体制以外にも、高度人材とかいろいろあります。それを総合的に移民政策と捉えられてしまわないような方策で、より外国人材を活用する。あるいは外国のいろいろな人材が自由に活躍できる日本の経済市場をつくっていくということで、広範な議論をしていくということだと思います。


<携帯電話の負担の引下げについて>

(問)先ほど携帯電話の負担を引き下げてほしいという官邸の意向を先取りして高市さんが持ってきたというお話をされていましたが。

(答)いえ、官邸や総理からそういう指示が出るということを総務省に全く話を入れず、いきなり会議で取り上げるというわけにはいかないですから、官邸、総理の方からこういう問題意識を持っているという話が総務省に当然行っていると思います。それで先に総務大臣が発言されたのだと思います。


<今回の諮問会議のテーマ設定について>

(問)それに絡んでなのですけれども、今回の諮問会議のテーマ設定というのは、10月にも行われるとされている内閣改造後のアベノミクス第2幕といったものを意識したテーマ設定を官邸、または大臣がされたという理解でよろしいのでしょうか。

(答)ということは、それによって人事がどうなるのかという質問ですか。

(問)その点も若干含んでいますけれども。

(答)それはわかりませんけれども、とにかく、総理はアベノミクス秋の陣は再び軸足は経済ということをもう既に宣言をされていますから、恐らくそれのスタートアップは総理がパッケージ政策を発表されるところから始まるのかなと推察をしています。


<国家公務員の配偶者手当見直しについて>

(問)国家公務員の配偶者手当のことに関してお伺いします。
以前の会議では、見直しについての言及があったようですけれども、今回は言及があったのかどうかお願いいたします。

(答)民間準拠とは公務員のいろいろな報酬に関わる体系の基本ではありますけれども、安倍政権としては、やるべき方向についてむしろ率先して取り組んでもいいのではないかという議論はあります。
ですから、従来であるならば、過半数の民間企業がそういう取組をしたら公務員もそれに合わせると言うのかもしれませんけれども、そうではなくて、民間で始まっていたら、それを理解するような取組があってもいいという議論は政府内にはかなりあります。


(以上)