第17回記者会見要旨:平成26年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成26年10月21日(火曜日)19時05分~19時33分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

私から二つ報告がございます。
まず、「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要を報告申し上げます。
景気は、「このところ弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている。」といたしまして、先月から下方に修正をしております。これは、個人消費の持ち直しの動きに足踏みがみられることに加えまして、生産についても消費税引上げに伴う駆け込み需要の反動の影響もあって、このところ減少していること、などを踏まえたものであります。ただし、雇用情勢が着実に改善していることなどから、景気の緩やかな回復基調は続いているものとみております。
先行きにつきましては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もありまして、緩やかに回復していくことが期待されます。ただし、駆け込み需要の反動の長期化や海外景気の下振れなど、我が国の景気を下押しするリスクに留意をする必要があります。
政府といたしましては、いわゆる「骨太方針2014」及び「『日本再興戦略』改訂2014」を着実に実行してまいります。また、産業競争力会議や政労使会議での議論などを通じ、好調な企業収益を、設備投資の増加や賃上げ・雇用環境の更なる改善等につなげることにより、地域経済も含めた経済の好循環の更なる拡大を実現してまいります。
日本銀行には、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを期待いたします。
続きまして、第17回経済財政諮問会議について概要を申し上げます。
本日の議題の一つ目は、「女性の働き方に中立的な税制・社会保障制度等」であります。塩崎厚生労働大臣、有村女性活躍担当大臣、一宮人事院総裁に御参加をいただきました。
まず伊藤議員から資料1について説明、問題提起がありまして、その後意見交換を行いました。
議員の方々からいただいた主な御意見を御紹介申し上げます。
まず厚生労働大臣から、「1号被保険者でも100万円前後に壁がある。また、事業主に聞くと、短期雇用の理由の2割は社会保険料負担がかからないということ。収入調整は「被用者保険の適用の壁」があると考えられる。平成28年10月から25万人の適用拡大が行われるが、民間議員からスピードが遅いとの指摘があった。提案のあった段階的保険料も、給付の上乗せのためには厚生年金に入っていただくことが必要である。負担に応じた給付が実感できるように、との指摘はもっともである。平成28年10月以降、一歩でも前に進めるために、今できることは何か前向きに議論していきたい。」
続いて有村女性活躍担当大臣から、「女性が輝く社会の実現に向けた総理の強いリーダーシップを大変ありがたく思う。今月10日には、「すべての女性が輝く政策パッケージ」を決定。17日には「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」を閣議決定した。民間議員から提案のあった、働きに応じて世帯収入が増加する公平な制度づくりは重要な課題と考える。制度の見直しによって起こり得る所得の変動にも十分配慮しながら、フェアな社会づくりに向けて議論が進められることを期待している。」
続いて民間議員から、「中立的な税制・社会保障は、男女の固定的役割分担を払拭する象徴的な意味があり、パッケージで見直し、早期に結論を得る必要がある。一方、配偶者手当は、103万円、130万円と年収上限が様々である。年収との関係をなくした企業も、既に廃止した企業もある。今後、政労使の場で検討されるべきと考えるが、こうした多様な在り方を踏まえ、税・社会保障の改革の後に、個別労使の交渉を行うのが現実的だと思う。」
同じく民間議員から、「中立的な制度の構築は、広い視野から行うのは当然である。ここで2点申し上げる。まず1として、女性の活躍は成長戦略の目玉である以上、制度改革にはスピード感が重要である。年内にも何らかの結論が出ることが望ましい。2点目として、家計の負担増にならないような見直しをお願いしたい。」
同じく民間議員から、「130万円については、事業者側の調整もあるが、やはり配偶者が保険に入りたいというベネフィットがないのが問題。現状の仕組みはベネフィットが認識されていない。認識されれば入るようになる。」
ここで総理から発言がありました。ポイントは次のとおりです。
「安倍内閣は、女性が輝く社会を目指し、子育て支援、女性の再就職支援等を強力に推し進める。女性の就労拡大を抑制する効果をもたらしている仕組みや慣行等についても国民的な議論を進め、見直していく。本日の議論を踏まえ、関係大臣が協力し、女性の活躍に向け、総合的に具体的取組の検討を進めてほしい。また、人事院総裁におかれても、国家公務員の配偶者手当について、こうした観点から検討を行っていただきたい。」
次に、本日の二つ目の議事として、塩崎大臣に引き続き御参加をいただき、「歳出の重点化・効率化(社会保障改革の在り方)」について議論をいたしました。伊藤議員から資料2について説明、問題提起がありまして、その後意見交換を行いました。
議員の方々からいただいた主な御意見を紹介いたします。
まず塩崎厚生労働大臣から、「医療については、入院医療の適正化と医療の質の向上へのインセンティブの検討、予防・健康づくり、後発医薬品の使用を促進する。
薬価については、医薬品取引の実態調査について、前向きに検討をしたい。
介護報酬については、27年度改定は骨太方針に沿って今後検討。社会福祉法人と保険者、両者のガバナンスを強化したい。
生活保護については、受給者の増加防止に取り組みたい。切れ目のない就労・自立の支援、医療扶助の適正化に取り組む。住宅扶助、冬季加算の見直しを検討する。」
宮下財務副大臣から、「介護報酬改定について、メリハリが必要であり、介護職員の処遇改善を行う一方で、収支状況や法人の内部留保等を反映した、全体ではマイナスの改定が必要。報酬改定の外枠での充実を含めて議論すべきである。」
続いて民間議員から、「入院日数、病床数の地域差の是正を行うべき。アメとムチを使って、改革の目玉として厳しく取り組むべきである。」
同じく民間議員から、「社会福祉法人のガバナンス、国民健康保険の保険者によるガバナンスとしてのレセプト審査の強化などに取り組むべきである。」
同じく民間議員から、「税・社会保障一体改革では、消費税率引上げに際して社会保障費の拡充に3.8兆円を充当しつつ、重点化・効率化を1.2兆円行うと言っていたと思うが、重点化・効率化の方が曖昧化していないか。給付の抑制、適正化を徹底すべき。」
次に官房長官から、「社会保障は、なかなかメスを入れられないが、都道府県ごとの差をなくしていく。他県でできているならできないはずがない、というアプローチは大変わかりやすい。積極的に取り組んでいくべき。」
塩崎厚生労働大臣から、「県ごとに差がある問題については、これから地方で地域医療構想をつくることになっており、医療費適正化計画の改定も行っていただく。厚生労働省としても、地方にお任せではなく、適正化・効率化が一層進むよう、何ができるか検討したい。」
ここで総理から発言がありました。ポイントは次のとおりです。
「国民の社会保障に対する関心も強い。本日は、医療費の見える化を含む医療保険制度の改革、薬市場の実態の早急な把握を始めとする薬価制度の見直し、メリハリの効いた介護報酬の適正化などについて御議論いただいた。本日の議論を踏まえ、塩崎大臣には社会保障の効率化・重点化により、質を維持しつつ、国民負担を軽減していくよう、諮問会議とよく調整をしながら議論を進め、年内を目途に諮問会議に報告していただきたい」
3つ目の議事といたしまして、骨太方針・予算の全体像フォローアップにつきまして、高橋議員より資料3について説明、問題提起がありました。今回、御説明、問題提起をいただいたことを踏まえた議論につきましては、今後議論を行う歳出各分野の審議の際等に行うということとしております。
関連して、民間議員より発言がありましたので、紹介いたします。
「天候不順もあって、景気は厳しく、腰折れする懸念もある。消費税を上げるかどうかの決定の前にも、景気を刺激することを考えるべきではないか。PB半減の重要性は理解するが、デフレ脱却が最重要課題である。諮問会議で議論をしたい。
別の民間議員から、「景気に弱い動きを感じているが、一方で大局的には景気は改善をしている。短期的な景気浮揚策をとるのか、成長率を高める政策をとるのかをよく考える必要がある。歳出にメスを入れることは極めて重要だ。財政健全化に軟弱な態度を示すべきではない。」
私から、「ただ今の民間議員の御提案については、スピード感を持って対処してまいりたい。」
最後に、総理から、先に御紹介した第1の議題及び第2の議題に関する総理発言に加えまして、第3の議題に関する発言がございました。ポイントを御紹介申し上げます。
「民間議員から、昨年度の骨太方針・予算の全体像についてのフォローアップ及び問題提起をいただいた。歳出改革のため、歳出の重点化・効率化を一層進めるため、その仕組みを含めて引き続き議論を深めてほしい。」
最後に私から、「本日の総理からの指示を踏まえ、関係大臣と調整をしながらしっかりと歳出改革に取り組んでまいりたい。」
以上です。

2.質疑応答

<国家公務員の配偶者手当について>

(問)諮問会議ですが、民間議員から国家公務員の手当てのところで、来年度の人事院勧告で反映、見直し検討すべきではないかという提案があったのですが、これについては、どうしていく方針なのかというのは話に出たのでしょうか。

(答)人事院勧告は、民間準拠です。公務員が労働権の権利の一部を制約されている、その代償行為であります。ですから、民間が上がれば上がるし、民間が下がれば下がるものであります。この民間準拠がどれくらい正確かという議論は、検討の余地はあると思いますが、民間準拠に反するということは本来の趣旨から離れるということでありまして、より正確に民間準拠になっているかどうかについては、検討の余地はあろうかと思います。


<民間議員の発言について>

(問)三番目の議事の民間議員の二人の意見は対照的な意見だと思うのですが、一人が景気刺激を考えるべきであると、一人が短期的なものではないと。大臣はどちらの意見のほうが正しいとお考えですか。

(答)両方とも大事だと思いますが、まず、第一の発言者は、このアベノミクスはデフレから脱却をして健康体の経済に戻すということであると。現状では風邪をひいているような状態ではないか、やはり風邪のまま健康体に戻すような作業を強いるのではなくて、つまり財政再建というのは、運動等による絞り込みみたいな話ですから、風邪の状態で表を走らせるとかえって害になってしまわないか、だからまず風邪を治そうという発言だと思います。もし風邪をひいている状況がそうであるならば、それに対する処方箋は考えていいのではないかなと思います。
ただ、後者の民間議員の発言は、大局を見失ってはいけないと、その本末転倒になるようなことは決してよくないし、日本国の財政の信頼性を失ってしまう。流れとしては回復に向かっている。だから、その一時的なものがどれくらいのものであるかという評価と、それに対する処方箋をどうすべきか。後者の民間議員も、そこに大量に財政出動をして本旨が見失われるようなことはいかんのではないかと、つまり風邪の処方箋を否定しているわけではないのだと思います。
ですから、風邪の事態をしっかり見きわめるということが第一だと思います。

(問)そうすると現段階では、その風邪というのは補正予算とかそういったことは必要な状況の風邪なのか、それとも葛根湯を飲めば治るような風邪なのか。その辺りはどうお考えでしょうか。

(答)これはまず経済状況の分析、7-9月期がどう回復しているのかということが、まず一番だと思います。
その時点、もちろん7-9月期の一次QEだけではなくて、そこまでに揃うデータがあると思います。そうしたものをみながら、政府として最終的に総理がどう判断をされるか。それはまさに純粋にアベノミクスが順調に展開しているかどうかの判断で、ここは消費税とは関係しない別の判断を総理が検討されるのではないかと思います。この程度なら何とかいけるとか、多少の環境整備はすべきだとかですね。まだ今、完全にデータが揃っていませんから。
一番目の民間議員の方はできるだけ早い対処が必要じゃないかということでしたが、現状分析をする客観的データが揃っていないというところがありますから、それが揃った時点で総理が内閣、政府としてどうされるのかを判断されるのが最初だと思います。


<月例経済報告について>

(問)月例経済報告ですけれども、今までの諮問会議の質問とも少し被るのですが、2カ月連続の下方修正ということで、かなり株の動きが弱いのかなという印象ですけれども、これに対する大臣の御感想というか受けとめと、これを踏まえての消費税の引上げに対するお考えを聞かせてください。

(答)2番目の民間議員がおっしゃったように、全体の流れとしては回復基調にあることは間違いないと思います。ただ、その風邪かどうかを分析する必要はあると、若干その消費と生産が弱含みになっているのは事実でありますから、悲観的になる必要はないと思いますけれども、なめてかからないというところかなと思います。
消費税については、これは私が今ここで言う話ではないので、この7-9月期の一次QE、あるいはそれ以降のデータも、できるだけとれるものは取り揃えるということで、総理が御判断をされるというふうに思っております。

(問)今の質問に少し重なるかもしれませんが、今回引き下げつつも緩やかな回復基調は維持されているとされていますが、ただ、おっしゃったように消費の弱さが生産にも波及しているような格好で、なおかつ、今まで好調だった雇用も新規求人などで伸び悩みがあると思います。市場や有識者から、実質的に景気は足踏み状態ではないかというような声も出ているのですけれども、その辺りはどう受けとめていらっしゃいますでしょうか。

(答)実質的に足踏みかどうか、まあ若干その景気を構成する要素の一部に足踏みがあるということは、そのとおりです。ただ、景気判断全体として完全にブレーキがかかったかというと、そこまではいっていないと思います。この悲観的にならずに、そしてきめ細かい目配り、気配りをしていきたいと思っています。


<日本メガネベストドレッサー賞受賞について>

(問)今日、朝から何か眼鏡が違うなと思うのですが。

(答)よくぞ聞いてくれました。昨日夕刻、日本メガネベストドレッサー賞をいただきました。政界から一名、各界から受賞いたします。政界からは昨年が稲田大臣、今年が私であります。第1回目の受賞者は総理のお父様、安倍晋太郎先生が第1回目、今年が27回目であります。政界の歴代受賞者を見ますと、それぞれお似合いだと思います。

(問)御自分でもお似合いかと。

(答)ええ。新しい自分を発見したような気がいたします。


(以上)