第10回記者会見要旨:平成26年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成26年6月9日(月曜日)19時51分~20時09分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・S103会見室

1.発言要旨

第10回経済財政諮問会議が先ほど終了いたしました。その概要を報告申し上げます。
一つ目の議題として、東日本大震災からの復興に関し、根本大臣から資料1について説明がありました。その後、議員の方々からいただいた主な御意見を御紹介いたします。
まず、民間議員から、「震災から3年が経ち、被災者の意識にも変化が生じている。そういう変化をフィードバックして、施策を見直していく必要がある。「新しい東北」で掲げている5項目については、ぜひ定量化をしてKPIを設定し、ロードマップを示してほしい。」
同じく民間議員から、「被災地はまさに成長戦略の実践の場として大胆な政策を進める必要がある。二つのキーワードがあり、それは省庁横断的ということと、官民連携である。司令塔機能を発揮して頑張ってほしい。」
同じく民間議員から「福島の廃炉には50年かかるかもしれず、風評被害など様々な問題が生じてくると考えられる。こうしたことを、骨太方針にも盛り込んでいってほしい。」
続いて茂木大臣から、「被災地の復興については、単なる復旧にとどまらない「新たな産業・雇用」の創出が重要である。特に原子力災害により甚大な被害を受けた福島県の産業復興は重要だ。福島県浜通りの新産業創出を目指したイノベーション・コースト構想の検討や、「産総研福島再生可能エネルギー研究所」の今年4月からの開所をはじめとする成長産業の拠点づくりを集中的に進めており、こうした施策により、どの地域よりも魅力ある産業の復興の実現を目指してまいりたい。」
民間議員から、「地域の再生の程度を測るものさしは、人の流出が抑えられているか、流入しているかということである。人の動きをKPIに入れて、全体の成果を見ていくべきではないか。」
根本大臣から、「住宅再建については被災者の意向をよく踏まえながら進めているところである。KPIとロードマップについては、地域の状況をよく踏まえる必要があるものの、将来の目標を明示するというメリットもあるので検討をしていきたい。司令塔機能についてはよく発揮をしていきたい。除染・風評被害にもしっかり対応したい。人口の動きは重要であり、だからこそ「産業復興創造戦略」によって雇用の場を増やしていきたい。」
続いて、二つ目の議題として少子化対策について、森大臣から資料2に基づいて説明がありました。その後、議員の方々からいただいた主な御意見を御紹介申し上げます。
まず、民間議員から、「人口目標の在り方について、森大臣から示された三原則は理解できるが、国力を衰退させないという観点も重要であり、その点について柔軟な対応をお願いしたい。財源については、高齢者への給付から少子化対策へのシフトが重要である。」
同じく、民間議員から、「国として人口目標は必要である。個々の女性へのプレッシャーと受け取られないような工夫をしつつ、目標を明確にすべきである。」
同じく、民間議員から、「政策のプライオリティとして、人口政策は極めて重要である。押し付けになることがないような政策上のブレーキ、安全弁を作りながらアクセルを踏むときである。」
民間議員から、「婚姻率、出生率の低下はこの20年の経済的な不調が背景の一つとしてある。そういう意味で、アベノミクスの成果が出つつある今は、少子化対策を打つ好機でもある。総合的、戦略的に進める本部を設置することを検討していただきたい。その上で、働き方改革、女性の活躍や教育コストなど、関連する課題を幅広く検討していくことが重要だ。」
茂木大臣から、「東京圏と地方の中核都市、地方ではそれぞれ課題が異なる。全体として1億人を目標とし、さらに三つに分けて目標を設定することを検討してはどうか。」
麻生大臣から、「非正規職員の正規化に取り組んだ企業では、出生率が急上昇した、宮若市の事例もある。経済面での妊娠・出産の支援が重要である。」
菅官房長官から、「これだけ少子化が深刻なので、従来の少子化対策を超えてもっと大括りに取り組む体制を考えなければならない。」
森大臣から、「「選択する未来」委員会の中間整理は高く評価をしている。出生率は一人の女性が生涯に生む子供の数という意味でもあるので、強制にならないようメッセージの出し方には十分な配慮が必要だ。財源確保は高齢者への給付からシフトすることが基本だと考える。日本の少子化対策予算は国際的に見て明らかに小さい。結婚、出産しない最も大きな原因は経済的理由と、出会いの機会がないこと。後者への政策対応も重要である。」
民間議員から、「GDP比で2%と言うが、予算の規模感を考えるべきだ。」
森大臣から、「歳出のほかにも、N分のN乗などの税制もある。GDP比2%というのは、政府のやる気を示すというメッセージ性が大事である。茨城県では、県がお見合いに積極的に取り組み、認知度が高まっている。今は出生率が2に上昇しても、人口が安定するのには90年かかる。長期的な視野を持って取り組むことが必要である。」
続いて三つ目の議題として、骨太方針の骨子案について、内閣府事務方から説明をいたしました。その後、議員の方々からいただいた主な御意見を紹介いたします。
まず、民間議員から、「今回の骨太方針では、成長戦略を充実させていくことと、財政健全化を確保していくことの両立を図る決意を示すことが重要である。2020年度のプライマリーバランス黒字化実現のためには、伸びていく海外マーケットの取り込みを図り、国際競争力を強化することが必要だ。そのためにも、海外に劣後する法人税改革は必須であり、早期にネットでの減税を行うべきだ。最終的には法人実効税率25%を目指し、まずは早期に20%台に引き下げていくという決意を示すべきだ。」
茂木大臣から、「第2章の2の(1)について、イノベーションとコーポレートガバナンスはいずれも重要な課題であるが、やるべき中身はそれぞれ異なるので、両者を分けて書くべきではないか。」イノベーションとコーポレートガバナンスが一つの項に入っているというのは意味合いが違うから別に書くべきであるということです。
安倍総理から、「分けて記述すべきだと思う。」
民間議員から、「コーポレートガバナンスの重要性は認識しているが、既に多くの企業で社外取締役の導入は進んでおり、我が国の企業の次の躍進にどの程度寄与するのか。また、現行の社外取締役の要件も厳しすぎるところがある。何をどういう方向でやるのか、明らかにすることが重要。」
私から、「諸外国から必ず指摘される問題でもあり、政府としてこの問題に対してしっかり対処していると打ち出すことが必要だ。」
民間議員から、「現行の社外取締役の要件では、実態として弁護士などしか選定されない状況であり、ルール変更が必要だ。」
民間議員から、「第2章の2の部分は、「民間投資を喚起する」、「民需主導の経済再生」というのがポイント。そうした観点から構成を考えるべきだ。」
民間議員から、「イノベーションとコーポレートガバナンスだけではなく、エネルギーコスト高への対応も重要だ。」
ここで総理から発言がありました。ポイントを御紹介いたします。
「根本大臣には、「新しい東北」の創造に向け、住宅再建・まちづくりの加速化、なりわいの再生、被災者の健康生活支援の取組をしっかり進めてほしい。
「人口急減・超高齢化」への流れを変えるため、従来の枠組みに捉われない抜本的な取組により、結婚、妊娠、出産、育児への切れ目ない支援を行っていくことが重要である。また、親の経済力や養育環境と関わりなく、子供の能力を伸ばせるよう、多様な機会が確保された社会とし、子供を取り巻く貧困をなくしていくことが必要だ。森大臣には、こうした対策をしっかりと体系化し、強力に推進してほしい。
女性の活躍の更なる促進に向け、税制、社会保障制度、配偶者手当について、諮問会議で総合的に議論をしてほしい。甘利大臣には、関係大臣等と連携をしつつ取り組んでほしい。
デフレからの脱却を確実なものとし、持続的成長を実現するため、予算・税制、規制改革などの環境整備に政府を挙げて取り組む。甘利大臣には骨太方針の取りまとめに向け、よろしくお願いしたい。」
最後に私から、「本日の骨子案に沿って、与党とも御相談をしつつ、骨太方針を取りまとめてまいります。」と発言いたしました。
以上です。

2.質疑応答

(問)法人税改革について、民間議員のほうから、「法人税改革は必須で、ネットで減税」という御説明がありましたけれども、それ以外で法人税改革について御議論はございましたか。
(答)特にありません。
(問)骨太の骨子案ですけれども、茂木大臣がイノベーションとコーポレートガバナンスを分けるべきと言って、総理も分けるべきだと思うということですけれども、それは基本的には、そこ以外はこの骨子案の目次で、次の原案の段階でそこを少し分けて構成していくという取りまとめ方になるということでよろしいですか。
(答)そうですね。法人税はまだ(P)のままですから、これから党税調等々とすり合わせをしていかなければなりません。それについて特にどうこうという話は、先ほどの民間議員の発言以外には出ておりません。
(問)骨太の骨子案の3ページ目、社会保障改革のところで薬価の適正化という文言が入っているのですが、これは以前、民間議員から提言のあった、薬価の毎年改定を意味するものということですか。
(答)そうです。
(問)それを盛り込む方向で今進められているという。
(答)はい、そうです。
(問)少子化対策、人口減対策に、重点的に予算を付けてやっていこうということだと思うのですけれども、森大臣は高齢化対策の予算からシフトしていくことが基本だというふうにおっしゃったということでしたけれども、甘利さんはこの財源の捻出について、どういうふうにお考えでしょうか。
(答)財政再建の中で、やはり予算のメリハリというのは大事だと思います。やはり日本にとって最大の課題というのは、少子化をどう克服していくかということであります。その中で、予算全体について、それに資するような配分にしていく。固定しているものではなくて、時代の要請に応えてメリハリを付けていくものであると。これはいつの時代でも、諮問会議の予算編成に向けての基本的な考え方です。
(問)先ほどの質問の関連で一つ確認ですが、薬価の話ですけれども、いろいろと反対意見等々もあるように聞きますけれども、大臣としては、今のところ民間議員から御提案があった内容を盛り込みたいというお考えでよろしいでしょうか。
(答)市場価格に公定価格をできるだけ早く近づけるということは、大事なことであります。もちろん、関係団体からの反対意見も出されているようでありますが、取り組んでいかなければならないと思っています。
(問)諮問会議から少し離れてしまうのですけれども、今朝、1-3月期のGDPの改定値が出ました。底打ち段階から大分改善しましたけれども、大臣の受け止めと4-6月期の見通し、また冷夏が懸念されます7-9月期の見通しも含めて教えていただければと思います。
(答)1-3月期が年率換算で5.9%から6.7%に大幅に変更されました。アベノミクスが順調に進んでいるという面と、駆け込み需要が非常に強かったという両面があろうかと思います。肌感覚でこの駆け込み需要と反動減の調査をしていますと、駆け込み需要は想定を超えて、反動減は想定の内側という反応が返ってきています。その駆け込み需要が想定を超えていたという感覚と、数字がなかなか付いてこないなという感じがいたしましたけれども、今回の改定を見て、確かに相当大幅な駆け込み需要だったと思います。
ただ、駆け込みが大きければ反動はその分大きいですから、肌感覚としては、反動減は想定の内という回答が返ってきていますけれども、そして、反動減の終息も始まっているようでありますが、山が高い分、谷が深いということでしっかり注視をしていかなければならないと思います。

(以上)