第8回記者会見要旨:平成26年 会議結果

西村内閣府副大臣記者会見要旨

  • 日時:平成26年5月19日(月曜日)19時18分~19時49分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・S103会見室

1.発言要旨

第5回経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議、それから第3回産業競争力会議課題別会合が終了いたしましたので、その概要を甘利大臣に代わりまして御報告いたします。
本日は菅官房長官が会議の進行をされ、最初に、諮問会議と競争力会議の合同会議として、「地域経済構造」を議題として、「地域活性化」と「PPP/PFI」の2つについて議論を行いました。
まず、「地域活性化」についての議論であります。ここでは、人口減少下でも持続可能な地域経済社会を維持するとともに、地域が自らの創意工夫で活性化を実現していく観点から、公共サービス、都市機能、産業・雇用の集約化による成長の核となる中枢都市の形成や周辺地域とのネットワーク化、地域の特色を活かした戦略産業などの育成を通じた「地域経済社会構造の改革の必要性とその在り方」について議論がなされました。
まず、諮問会議の高橋議員から資料1に基づきまして、人口の減少、厳しい財政状況のもと、地域の今後の発展の方向性について、「集約」と「活性化」をキーワードとした総合的ビジョンを提示すべきという説明がありました。
続いて、私から甘利大臣の代理として、資料2に基づいて、9つの地方ブロックの「地方産業競争力協議会」において取りまとめられました地方の成長戦略に関する報告を行いました。
続いて、競争力会議の坂根議員から資料3に基づいて、見える化と民の力の活用による本気度の高い地域の支援・思い切った集約化の推進など創意工夫による活性化の実現に向けた御提案がありました。
その後、茂木大臣から資料4に基づき、地域の戦略産業の育成や地域を支える企業の支援策について、また麻生大臣から資料5に基づいて、企業の生産性向上の重要性と金融機関の役割について、新藤大臣から資料6に基づいて、地域活性化のモデルケースづくりの取組等について、最後に太田大臣から資料7に基づき、国土のグランドデザインについて説明がありました。 続いて、地域経済の活性化につながる大きな潜在力を有する「PPP/PFI」についての議論を行いました。
まず、競争力会議の竹中議員から資料8に基づいて、今後3年間の「集中強化期間」での数値目標の前倒し実現、運営権を取得した民間企業への公務員派遣の法的根拠の整備等の御提案がありました。
その後、私から甘利大臣の代理として、民間議員の御提案を踏まえ、コンセッションの事業規模について、10年間で2~3兆円という目標をできるだけ前倒しできるよう検討しているところであり、各省庁と連携しつつ積極的に取り組んでいく旨を発言しました。
その後、意見交換を行い、議員の方々からいただいた主な御意見を御紹介いたします。
民間議員から、「日本の公共投資は分散されており、社会資本ストックは伸びているものの国際競争力はなく、利用効果もばらつきが大きい。一方で、更新・維持費用は莫大なものとなる。少子化の状況を勘案して廃止すべきもの、強化すべきものを徹底的に選別し、選択と集中を図るべき。コンパクトシティ構築に向けた支援を検討すべき。また、地方行政サービスの重点化、地方財政制度の改革を行うべき。」
民間議員から、「人口減少は避けられない。単なる減少を超えた人口急減を避けるため、出生率の引上げは然ることながら、同時に、人口の社会移動による東京一極集中を見直し、拠点に機能を集約するための国土政策の展開が不可欠。地域資源の活用や、きらりと光る中小企業の支援、地域におけるイノベーション創出などに向けて、各省による投資と施策を集中させるべき。このため、綿密な分析を行い、時間軸を明確にした政府として整合性のとれた総合戦略を策定していただきたい。やる気のある地域を支援するものにしてほしい。」
最後に総理から御発言がありましたので、御紹介いたします。
「景気が回復しつつある中で、次の課題はアベノミクスの暖かい風を日本全国の津々浦々に広げていくと同時に、地域の産業においても新陳代謝を通じた生産性の向上を図り、賃金の上昇、雇用機会の拡大につながる好循環を実現していくこと。本日の議論を踏まえ、1点目は、人口減少下でも持続可能な地域経済構造を実現するため、地域の中枢都市に、公的サービス機能と産業・雇用を集約化していくこと、あわせて、社会インフラや土地利用の在り方、行政サービスの提供体制、政策手段等を大胆に見直すこと。2点目は、周辺地域において、ふるさとの特色のある地域資源を活用して、活力を維持していくこと。3点目は、大都市圏、中枢都市、周辺地域の間の人や情報の交流を拡大し、機能補完ができるようにネットワークを強化すること、といった3つの視点から、思い切った改革を進めたい。実行可能な政策から具体化するとともに、中長期的な観点から総合的な構想を進めていく方策を検討してもらいたい。また、民間にインフラ事業の運営を委ねる運営権方式のPFI/PPPは、地域の民間の事業機会の創出や、国・地方の公的部門の効率化に資することから、劇的に拡大していきたい。平成34年までの10年間で実施することとしていた運営権方式の事業目標を、向こう3年以内に前倒しで達成するため、関係閣僚には、自治体の協力も要請して、具体案件の創出に努力してほしい。なお、麻生副総理から御意見があった、コーポレートガバナンス強化の取組の重要性についても、今後しっかり議論していきたい。」との御指示がありました。
合同会議については以上です。
続いて、産業競争力会議課題別会合を開催し、農林水産業の成長産業化に向けた改革について議論を行いました。
まず、新浪議員から資料1に基づいて、農林水産業の成長産業化に向けて、6次産業化の推進、輸出の促進、経営力のある担い手の育成に向けた諸改革の着実な実施、酪農改革等の提案がありました。
次に、岡議員及び規制改革会議農業ワーキング・グループの金丸座長より資料2に基づいて、先日同ワーキング・グループで取りまとめられた農業委員会、農業生産法人、農協等の改革に関する意見について御説明がありました。
その後、林大臣から資料3に基づき、新浪議員の提案についての農水省の現時点での考え方の説明とともに、規制改革会議の御提案について農水省として問題意識を共有しているが、これから検討していく旨の発言がありました。
その後、意見交換を行い、議員の方々からいただいた主な御意見を御紹介いたします。
民間議員から、「本日、農政改革の全体像が示されたが、今後の課題は実現のスピード感。年央の成長戦略には具体の目標、方法論、スケジュールが入るように進めていただきたい。農業生産法人の出資条件の緩和など、改革のスピードを加速していくことが必要。輸出拡大のためには、国際規格取得の促進が必要。「ガラパゴス化」とならないように、グローバルスタンダードに合致した規格の取得を進めるべき。国内の規格の統一と国際調和を進めていくべきではないか。EUのHACCP(ハサップ)については、水産庁も認定することとなったことは評価するが、5年で100件などの具体の目標を挙げて進めていくべき。日本の食品添加物を海外でも認めさせることにより、日本の食品が海外に出られるようにしていくべき。」
稲田大臣から、「今回の意見は、競争力ある農業を作るべく、農業関係者からのヒアリングを踏まえ、現場視察などを丁寧に行い、真摯な議論で取りまとめられた。本改革案は、3つの改革を一体的に進めていく必要がある。6月に向け議論し、改革の実現を図る。」
林大臣から、「規制改革会議の提案については、稲田大臣とも相談しつつやりたい。」 麻生副総理から、「農業の成長力強化のためのものであり、経営感覚を取り入れてもらう必要がある。ないものは外から経営感覚のある人を入れていくべき。」
最後に、総理からの御発言を御紹介いたします。
「農業を競争力ある魅力ある産業につくりかえ、自律的に発展して地域経済を牽引する、新たな成長産業にしていかなければならない。このためには、経営マインドを持つ意欲ある新たな農業の担い手が、続々と農業に積極的に参加し、活躍できる環境を整備していくことが重要。地域の農業の担い手の経験と企業の知見が結合し、農地が最大限有効に活用されて、力強い農業活動が展開されるように制度改革を進めたい。このため、農業委員会の見直し、農地を所有できる法人の要件見直しについて具体化を図る。また、農業協同組合の在り方について、地域の農協が主役となり、それぞれの独自性を発揮して農業の成長産業化に全力投球できるように、抜本的に見直したい。以上の3点の改革をセットで断行していく。そして、日本の農業の付加価値を高め、その市場を大きく広げていきたい。そのため、次の3点に取り組みたい。まず1点目に、6次産業化を加速するため、農林水産業成長化ファンドを使いやすくし、企業のノウハウを積極的に導入する。2点目に、酪農家が創意工夫を活かして、付加価値の高いビジネスができるように、指定団体との取引の見直しなどを通じて取引の多様化を図る。3点目に、国際規格認証体制の強化を行うとともに、品目別輸出団体を整備してオールジャパン体制でのブランド強化を図り、農水産品の輸出拡大を実現する。林農林水産大臣には、今が農政転換のラストチャンスとの認識のもと、以上の改革について菅官房長官と調整し、実行していただきたい。」以上の御指示がありました。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)1点だけ、農協の件については、規制改革会議とかからもかなり具体的な中央会制度の廃止とかあったのですけれども、その点について例えば、農協の見直しについて具体的にどうあるべきとか、その中身について参加者からの発言というのはあったのでしょうか。
(答)先ほど御説明したとおり、農政改革の全体像について民間議員から、実現のスピード感が大事だと、それから年央の成長戦略に具体的な目標、方法論、スケジュールをしっかり書き込んでいただきたいというお話がありました。改革のスピードを加速していくことが必要というお話がありまして、それを受けて稲田大臣、林大臣からは、連携しながら対応を進めたいというお話があり、総理から最終的な御指示があったと、3点セットで断行していくという御発言と、農林水産大臣に対する指示があったということです。
(問)資料の中で「農業輸出モデル地区」というのが出てくるのですけれども、これは特区と似ているような形に見えるのですけれども、特区という名前ではないところについて、もし分かれば教えていただけますか。
(答)地名ですか。
(問)地区という名前になっていると思うのですけれども。
(答)資料の参考2にイメージがありますとおり、どこの地域ということを特定して挙げているわけではなく、それぞれの地域がそれぞれの個性を活かしていろいろな取組を努力していくことと併せて、全体としてはジャパンブランドを掲げ、例えば何々牛といった分け方ではなく、品目別に団体をつくって、日本全体で進めつつ、地域でもそれをやってもらうということです。
(問)7ページに「農業輸出モデル地区」の創設を新浪議員たちが提案されているのですが。
(答)幾つか北海道とか例はありますけれども、今日は特段例を挙げて議論したわけではありません。4ページのこの図に基づいて説明されましたので、それぞれの地区で特性を出してということですね。
(問)それは、いわゆる今やっている特区とどう違うのかというところを教えてもらいたいのですが。
(答)特区は規制緩和のメニュー、農業委員会を初め様々なメニューを活用して地域の農業を活性化していこうと、そのモデルとなっていこうというわけですから、養父と新潟は選ばれていますけれども、それを活用してやるパターンもあれば、活用せずとも、既に潜在能力の高い北海道あるいは九州等は既に取組を行っており、特区のメニューを使わなくとも出来るところはありますので、そういった地域は独自に進めていただこうということです。今後、特区がどういうふうな議論になっていくかにもよりますけれども、今の段階で特区を使うところもあれば、特区を使わずに独自でやっていこうというところですね。
(問)それを支援していくということですか。
(答)そうです。ですから、特区に指定されていないから支援しないということではなくて、それぞれの取組を我々としては応援をしていく。ただ、全体としてはジャパンブランドを確立していこうということです。
(問)本日の会議の議題とは直接関係ないのですが、消費増税についてお伺いしたいのですけれども、年末にかけて10%への引上げをするかどうかの判断するタイミングが来るのですけれども、4月の増税後に判断の対象となる景気指標があまり無いということもあり、また足下では、今日の機械受注のように強い数字等も少しずつ出てきています。現時点で10%への増税についてどういうふうに見ていらっしゃるか、判断は1回目の時よりも慎重にすべきだとお考えかどうか、お聞かせください。
(答)まず、この4月からの増税、5%から8%の増税については、駆け込み需要とその反動減も今、足下で見られるところですけれども、その反動減の数字を見ている限り、私どもの想定をした範囲内で推移をしている。徐々にその減少幅も縮小してきている傾向にもありますし、設備投資は非常に強いものがある。あるいは賃上げもありましたので、中小企業も2%近い賃上げ、更に6月、7月に出るであろう一時金についても月数が増えていますので、そういう意味では、消費もある程度のところまで戻ってくるのではないかという期待をしているところです。
併せて6月の「成長戦略」、「骨太方針」で今後の政策の運営方針が出されれば、成長軌道に戻っていくということを期待しているところですけれども、次の10%の増税をやるかどうかの判断は、年末の時点で4~6月期の数字、7~9月期の数字を踏まえる必要がある。需給ギャップも見なければいけないでしょう。それからインフレ率もどうなっているのか、賃金もその後どうなっていくのか、様々な指標を見ながら総合的に判断をしていくことになると思います。
今のところ、この4月の増税を乗り越えて順調に推移していくことを期待していますけれども、この先、海外の新興国を中心にリスクはありますので、そのあたりをどう判断をしていくかということになると思います。
一般論で言えば、1年半の間に5%上げることになりますので、まず3%をクリアしたとしても、その後、更に2%上げるということには相当大きなインパクトがありますから、1回目の時以上に慎重な判断をしていくことになると思いますけれども、これは指標をしっかり見て、その時点で適切な判断をするということになると思います。
(問)2つお願いします。確認になるのですが、農協改革の件で林大臣が、規制改革会議と目的意識は共有しているというお話をされたとあったのですけど、他に具体的な発言は無かったでしょうか。
(答)林大臣からは、資料に基づいて今の取組について説明があって、その後の議論の時に、この農協の改革をはじめ、規制改革会議の提案については、稲田大臣とも相談しつつ進めたいということの御発言だけです。
(問)もう一つ、総理の発言で、「農協を抜本的に見直す」と、これは政治家の言葉としては結構強い意思と捉えて良いのでしょうか。
(答)これはもう相当強い決意で言われたものと思いますので、我々もそれを受けてしっかりと調整をしていきたいと思います。
(問)課題別会合の方で新浪議員が説明して、金丸座長が説明して、それに対して林大臣が「問題意識を共有している」とおっしゃったということでよろしいでしょうか。
(答)はい、そうです。林大臣から資料3に基づいて説明があり、金丸座長の提案について農林水産省として問題意識は共有している。これから検討していくという旨の発言があって、その後、意見交換に入って、先ほど申し上げたとおり、稲田大臣とも相談しながら進めたい、という発言がありました。
(問)金丸座長の「農業改革の3つの柱」という農業委員会、生産法人、農協に関する見直しについて、林大臣は「問題意識を共有している」とおっしゃったということですか。
(答)はい、そうです。
(問)合同会議の資料1-1の民間議員の御提案の最初のページ、地域経済の活性化のところですけれども、「人口減少下での総合的な計画ビジョン」とありまして、行政サービスや地方交付税の見直しとありますが、行政サービスを地理的に集約するという内容の御提言という理解でよろしいのでしょうか。地方交付税についても、そういう行政サービスの範囲縮小に伴ってメリハリをつけるという理解でよろしいのでしょうか。御説明いただけませんでしょうか。
(答)まず、行政サービスについては、ここにありますとおり、相当程度の自治体が公需への依存を強めると同時に、併せて人口急減の中でなかなか基盤が難しくなってきているという状況にありますので、ここで自律的な経済をどうやって確立していくかという中で、ある程度集約をしていく。そういったことも検討すべきだと、コンパクトシティ化と集約ということを進めていくという御提案が一つです。
それから、財政基盤については、全体として今日の多くの議員、あるいは各閣僚の意見もそうなのですけれども、意欲ある自治体、意欲ある地方、ここに資源をしっかり投入していこうということが大きなメッセージだと思います。そういう意味で、多くは厳しくなっていきますけれども、それぞれが地域の持っている特性、地域資源を見直して、それを活用して何ができるかということを考えていく中で、やる気のあるところにやはり限りある資源を重点的に配分していこうというメッセージだと思います。
(問)行政サービスは地理的な集約という理解でよろしいのでしょうか。
(答)そういうことも含めて全体としてサービスを集約化していくということだと思います。
(問)民間議員の提言の中に「地域金融の活性化」とございますけれども、何か具体的な議論があったのであれば紹介していただきたいのですけれども。
(答)この点については先ほども申し上げましたけれども、3人の方からこの点については触れられました。新藤大臣が、以前から言われている産学金官という金の役割を地域の活性化に生かしていくというお話。それから麻生大臣のペーパーの右上に書いていますけれども、金融機関の融資における事業性の評価、生産性向上の重視、すなわち担保に依存し、担保だけを見て貸す貸さないを決めるのではなくて、ちゃんと事業性を評価する、いわゆる目利き的な力をつけて融資を促進していく。それから、地域活性化につながる、生産性向上につながる融資を促進する、こういったお話がありました。
それから茂木大臣からも、まさに1ページ目のところの左下ですけれども、金融機関の目利き能力を高めて、中核企業を中心に効率的な資金供給、企業の事業性を高める機能を果たすということで、金融機関についてはそれぞれの大臣からも御発言がありました。
こうした方向性を踏まえて、地域の金融機関の在り方についてもぜひ議論を進めて6月の成長戦略に一定の方向性を出したいというふうに思います。
(問)地銀の再編についての何か御意見というのはあったのでしょうか。
(答)特段そのことについての議論はありませんでしたが、党でもいろいろと議論が進められておりますし、我々としても、地域の金融機関にしっかりとその役割を果たしてもらうべく必要な対応を議論していきたいというふうに思います。
(問)本日、新浪議員が示されていた内容は、例えば酪農に関して、農林水産省の林大臣が説明した参考資料の部分も含めて内容はほぼ一致するのですけれども、この内容に対して何か追加で指摘もしくは盛り込むべきとされるような意見があったのかどうか。あと、それは他の分野、他の部分に関しても無かったのかどうかということをお伺いしたいのですけれども。
(答)酪農については、先ほど申し上げた以上の議論はありませんでしたが、総理から明確に指示が出されましたので、酪農家が創意工夫を活かして付加価値の高いビジネスを出来るように、指定団体との取引の見直し等を通じて取引の多様化を図るということについて明確に取り組みたい。このことについて林農林水産大臣に、菅官房長官と調整をして実行していただきたいという指示が出ておりますので、基本的にそうした方向でこれから検討が進むということです。

(以上)