第27回記者会見要旨:平成25年 会議結果

西村内閣府副大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年12月24日(火曜日)13時14分~13時44分
  • 場所:内閣府本府仮設庁舎講堂

1.発言要旨

本日行われました「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」及び「第27回経済財政諮問会議」の概要につきまして、御報告いたします。
まず月例経済報告ですが、景気の基調判断は、「景気は、緩やかに回復しつつある」と、先月から据え置いております。これは、個人消費をはじめとして、内需が好調であること、こうした中で企業の収益やマインドも、中小企業を含めて幅広く改善してきていることなどを踏まえて、引き続き経済の好循環があらわれてきているものというふうに判断をしております。
また、消費者物価のコアコアが前年比でプラスに転じるなど、物価は底堅く推移しており、デフレ状況ではなくなっています。ただし、デフレ脱却に向けて着実に前進していると言うことはできますが、デフレ脱却ということではありませんので、こうした動きが続いていくか、注視をしていく必要がありますし、全力でデフレ脱却に向けて取り組んでいくということです。
先行きにつきましては、輸出が持ち直しに向かい、各種政策の効果が発現する中で、家計所得や投資の増加傾向が続き、景気回復の動きが確かなものとなることが期待されます。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、消費税率引上げに伴う駆け込み需要及びその反動が見込まれます。政府としては、「経済財政運営と改革の基本方針」に基づく政策運営と、「日本再興戦略」の実行を加速化・強化するとともに、経済政策パッケージを着実に実行してまいります。また、日本銀行には、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを期待いたします。
続いて、経済財政諮問会議の概要を申し上げます。本日も菅官房長官が会議の進行をされました。
一つ目の議題に関し、私から資料1、資料2について、麻生議員から資料3について、高橋議員から資料4について、それぞれ説明がありました。議員の方々からいただいた主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「アベノミクスの正念場はこれからであり、これには二つの意味がある。一つは短期の3年程度、2度の消費税率引上げを乗り越えて好循環を実現すること。この展望は徐々に開けつつある。もう一つは中長期の経済成長率を政府は2%、民間では1%としており、この1%のギャップはどう埋めるか。このために改革の好循環をつくることが必要である。」
日本銀行総裁から、「政府と日本銀行の間で経済に対する基本的な見方は共有されている。この1年を振り返ると、2%の物価安定の目標の実現に向けた道筋を順調に辿っているとみている。2%の実現に向けて、量的・質的金融緩和をしっかり推進していく。」
別の民間議員から、「アメリカのFRBのテーパリングの動きに見られるように、海外の情勢をフォワード・ルッキングに見て、それを展望に反映させていく必要がある。将来像は、マクロは包括的に、ミクロは具体的に示す必要がある。海外展開を考える上で、OECDルールに縛られない非OECD国との競合が厳しくなっている中で、そうした国際ルールの見直しも進めてほしい。そうした政策展望があることで、民間が活性化される。」
別の民間議員から、「海外の論調にはアベノミクスに対して厳しい見方も出てきたが、そこには誤解や思い込みも多い。明るいビジョンを出していくことは必要であるが、一方で、人口や財政など、しっかりした議論を積み重ねる必要がある。」
別の民間議員から、「2月の諮問会議で政労使の提言をし、それが今般取りまとめられたということで、非常に意義深いと感じる。これは経済の好循環の出発点であるので、賃金上昇をよく見極めていきたい。今年2月には、若者、女性、非正規など、様々な労働市場の改革も提言しており、こうした改革に取り組んでいきたい。」
茂木経済産業大臣から、「民間議員御指摘のインフラシステム輸出については、経協インフラ輸出に関する閣僚会議があり、各国別の戦略を立てて、各種政府系金融機関で支援をしている。」
麻生財務大臣から、「年初には、アベノミクスで国債相場が暴落して金利が急騰するという見方・意見が多かった。しかし、こういう見方は全て外れた。財政健全化では、プライマリーバランス4兆円程度改善目標のところ、5兆円以上の改善を実現した。諮問会議の意見も参考に、社会保障をはじめ歳出改革も行った。見る人が見ればよくやっているということになると思うが、こういうことが国民にはあまり伝わっていない。中長期的には人口減少や原発エネルギーが大きな問題だが、財政はプライマリーバランスの目標に向かってしっかりやっていく。」
私から、「多様な働き方など、労働分野についてもしっかり方向性を出して取り組んでいきたい。政労使会議については、取りまとめの文書にその成果を確認するとある。賃金上昇について、この諮問会議の場でも定期的に確認していただけるように、御議論をお願いしたい。」
次に、二つ目の議題に関して、資料5について小林議員から説明があり、内閣府の事務方から資料6について説明がありました。その後の主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「日本の中長期的課題は、生産年齢人口の減少とエネルギーの安定供給に対する不安、この二つが重要である。出生率が回復したフランスでは、家族生活に対する政府支出も大きく、低所得者やひとり親家庭への支援など、子育てを社会全体で支える仕組みになっている。日本は、本丸である少子化問題にしっかり取り組むべきである。」 別の民間議員から、「短期の明るさと労働不足による暗い未来のギャップが大きい。本気で人口の問題に取り組んでいくべき。今やるべきことを先送りしないということと、数値を示して議論していくということが大事である。」
別の民間議員から、「人口減少やエネルギーの問題は、長期的な課題であると同時に喉元に刺さったとげのようなもので、緊急的な課題でもある。この1年を振り返っても、TPPへの参加や女性の活躍支援など、はっきりと打ち出した。これによって、アベノミクスで様々な政策的イノベーションがあった。人口減少問題については、例えば介護や子育てにアジアの人材を活用することなど、とげを抜くための政策的イノベーションを検討していくべき。」
茂木経済産業大臣から、「エネルギー問題は最悪の状態を脱出しつつあり、技術面やエネルギーの買い方を含め様々な改善の道筋が見えてきており、更に大胆に実行していく所存である。人口減少問題については、シルバー人材や女性の活用、IT化等による省力化に加え、中長期的には海外専門人材の活用についてどう考えるかということは重要。」
総理から、「人口減少問題についてどう取り組んでいくべきか、諮問会議においてもしっかり議論していただきたい。」
麻生財務大臣から、「内閣府の資料にあるとおり、日本の第二次産業の割合は1960年当時とあまり変わっていない。日本は世界最大の金融資産を持っており、これを有効に活用する一方で、この第二次産業を大切にしていくことが大事ではないか。正に瑞穂の国の資本主義として重要である。」
新藤総務大臣から、「20年後を見ると維持できなくなる自治体の問題など、多くの課題がある。本気度を上げてしっかり取り組むべきである。ICTによる電子政府を推進し、行政の効率化・高度化を進め、コストを削減する余地はまだある。」
民間議員から、「単なるものづくりだけではなく、サービスと融合した2.5次産業を我が国は大切にするべき。そのためにも理系人材の育成が重要。」
最後に総理から御発言がございました。詳細は内閣府事務方にお問い合わせいただければと思いますが、そのポイントを紹介いたします。
「本年1月9日に経済財政諮問会議を再起動し、間もなく1年になる。デフレ脱却・経済再生と財政健全化の好循環の実現は道半ばだが、光が見えてきた。民間議員から、今後2~3年程度の期間を視野に入れ、しっかりとした経済財政運営に取り組むべきこと、様々な中長期的な構造変化を直視した上で、少子化問題、女性の活躍、労働力と働き方の問題など、具体的な取組を2020年に向けて進めていくべきこと、といった大変貴重な提案をいただいた。まさに来年はデフレ脱却・経済再生と財政健全化の好循環の実現のための正念場の年。産業競争力会議とも連携を深め、分野を横断する課題にも一層切り込んでいただきたい。」
以上を踏まえて官房長官から、「来年も、引き続き活発な御議論をお願いしたい。」
諮問会議については以上です。
それから、本日の諮問会議の前に、諮問会議と産業競争力会議の有識者議員による懇談会を行いました。出席者は、諮問会議側からは伊藤、小林、佐々木、高橋の各議員が、競争力会議側からは竹中、新浪、長谷川、増田の4名の議員に御参加をいただきました。
懇談会の概要については、両会議で連携すべき戦略的課題やマクロとミクロの突き合わせといった観点から、活発に議論を行っていただき、2020年に向けて、人口減少社会とその中での地域や社会保障、労働力確保の問題、さらに産業の構造調整の加速等については戦略的課題として位置付けるべきということで、概ね認識が一致いたしました。また、今後もこうした連携の会議を適宜開催していくことでも一致いたしました。
これらの課題について、本日出席しなかった議員の了解も得た上で、戦略的課題として設定し、年明け以降の両会議の議論に反映してまいりたいと思います。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)デフレという文言はなくなりましたが、デフレ脱却宣言はまだというところは、なかなか素人には分かりにくいのですけれども、デフレは終わったというふうに考えてよろしいのか。副大臣御自身のお言葉で御説明いただけますでしょうか。
(答)物価の傾向は安定的に上昇に向けて推移をしてきており、0%を上回ってきておりますので、いわゆる物価が下落をしているという状況ではなくなってきているという意味で、デフレの状態ではないということです。
ただ、デフレ脱却については、政府としては過去に一度もデフレ脱却と言ったことはないのですけれども、デフレの状態に後戻りすることなく、経済が確実に成長し、物価がしっかりと安定的に、いわゆる2%物価目標の近傍で推移していくという状態を確認できないと、まだデフレ脱却とは言えませんので、いわばデフレ脱却は道半ばということだと思います。
そのために我々としては、常々申し上げていることですけれども、一つには賃金上昇が大きな鍵になるということで、政労使の会議に精力的に取り組んで、賃上げに向けて努力してきたところです。やや異例とも言うべき、政府が音頭を取った形をやってきたわけですけれども、この動きを更に加速させて、経済財政諮問会議の場でも定期的に確認をしていくということは是非実行していきたいと思っています。
それから、成長戦略を確実に、しかも中長期の成長率を実質2%、名目3%を目指してやるには、相当思い切った異次元の成長戦略も必要だということでありますので、我々としては全力で、これは経済財政諮問会議と産業競争力会議と、さらに規制改革会議も連動させながら、是非これを着実に実行していく。来年1月には、その検討方針を示して、通常国会に向けて、成立させるべき法律をしっかり通して実行していく。
この絵姿をしっかり描いて、成長の軌道がはっきり見えてくれば、やがてデフレ脱却ということがどこかで宣言できるのだと思いますが、今は、その物価の状況を見る限りは、物価が安定的に上昇し始めているということでありますので、全体としてはまだ道半ば。これからデフレギャップとか賃金の状況とか、そうしたことを総合的に判断して、やがてデフレ脱却と言えるように頑張っていきたいと思います。
(問)資料5の取扱いについて確認させていただきたいのですけれども、これは民間議員から提案があった後、何らかの意思決定のような形があったのでしょうか。
(答)資料5については、民間議員からの提案という形で受けまして、我々としてどういうふうに扱っていくかをこれから政府としても考え、また今朝の経済財政諮問会議と産業競争力会議との意見交換会でもこのような視点が取り上げられましたので、これから半世紀後を見据え、長期の姿を念頭に置きながら、当面は2020年を目標とした改革のプログラム等の道筋をどう描いていくのかをこれから両会議でもすり合わせながら、一定の方向性を出したいと思っております。
この民間議員の提案をベースにして、先程申し上げたとおり、来年1月に産業競争力会議としては検討方針を発表しますし、6月に「日本再興戦略」の改定版というか、バージョンアップをした第二弾をつくります。一方で、経済財政諮問会議は骨太方針を年央に作るための検討課題を1月にまとめるということになっておりますので、そこに向けて引き続き調整したいと思いますが、基本的には経済財政諮問会議も産業競争力会議も、50年後ぐらいを念頭に置きながら、そのためにやらなければいけないことを整理して、2020年に向けては何をやるのかということ、特にそのプログラムを作ろうという方向で議論をしております。
(問)月例経済報告について、デフレの判断を落としたことについて、日本銀行の黒田総裁は何かコメントをされていますでしょうか。また、デフレ脱却までは道半ばということですけれども、あとどのくらい道筋が残っているのか、例えて言えば何合目か、何が足りないのか、ということを教えていただければと思います。
(答)先程も申し上げましたけれども、黒田総裁からは、経済の見方については、政府と日銀は見方を共有しているという御発言がありましたので、我々としては政府、日銀が一体的に共有しながら、それぞれの立場でやるべきことをやっているという認識でおります。
デフレ脱却に向けてはまだ道半ばということですけれども、かつて甘利大臣は8合目半ばという言い方をされたと承知しております。そこから更に一歩踏み出し、大きな一歩を踏み出していると思います。ただ、何度も繰り返しますけれども、やはり賃金上昇がどうなっていくのか、政労使でまとまった合意をそれぞれの立場で、我々としても努力しますけれども、労使でこれからどのように議論がなされて、賃金上昇が実現されていくのか、というところが最も大きなポイントでありますので、この賃金上昇を注視しながら、我々としてやれることは全力で取り組んでいきたいと思っております。
(問)8合目半ばから更に一歩というのは、9合目か…。
(答)ここからがしんどいところではないですかね。もう物価も0%を上回って推移してきております。安定してきていますので、この動きを更に確実なものとして、後戻りさせないということですから、ここからがしんどいところだと思いますけれども、賃金と成長戦略について全力でやりたいと思います。
(問)賃金については来年の春闘の結果を見れば、ある程度大まかな傾向はつかめると思いますが、デフレ脱却の判断はその辺りで出来るのか、来年度中、もう少し遅くなって出し得るものなのか。もう少し見なければいけないのか。その時期に関して、今のお考えをお伺いしたいのですけれども。
(答)海外の経済動向や為替の動向等、いろいろなことが変動要因になりますので、今の段階でいつということは申し上げられませんけれども、しかし確実にデフレ脱却に向かって進んでいることは事実です。デフレギャップも1.6%、8兆円ぐらいまで少なくなってきていますので、このデフレギャップや、賃金の動向、物価上昇率、CPIとある程度連動するデフレーターの数字等も見ながら、総合的に判断していくということになります。
(問)産業競争力会議と経済財政諮問会議の協力について、具体的にはどういうイメージで協力・連携を進めることになるのか。もう少し具体的にイメージがあれば教えていただけますか。
(答)これまでも議論してきていること、あるいは今日も議論になったことでもありますけれども、ある意味で、マクロ的な基本設計が経済財政諮問会議、それから具体的な制度設計、分野あるいは産業ごとのミクロの政策・提言・提案、これが産業競争力会議という全体の位置付けがあります。例えば社会保障制度についても、マクロの視点で改革を行っていくには、民間活力を使っていくことが大事なわけですし、そのためには産業競争力会議側で個別に、予防のための民間企業の参入や、新しい事業等の提案を、規制改革まで含めて行っていくことが必要ですので、社会保障においても連動しています。また、地方については、地方産業競争力協議の場でいろいろ提案されていることを具体化することで地方の税収が上がってきますので、これは、例えば財政改革の面で経済財政諮問会議が提案している、地方交付税を平時ベースに戻していくこととの双方で連携していく話です。
そういう意味では、マクロでの全体の目標、財政再建に向けた目標とそれに向けた道筋、それからミクロでのそれぞれの分野での改革と合わせて、両方一緒になって全体が目標どおり進んでいくということだと思いますので、来年1月に出す中長期の経済展望についても、ミクロでのいわゆるKPI、分野ごとの目標は、2020年の目標が多いわけですけれども、これらを実現することによって、マクロ的にどういう影響があって、マクロで見ると経済展望はどういう形になっていくのか。補正予算と来年度予算案ができ上がったことを踏まえて、それを突き合わせながら整合的に中期の経済展望も示したいと思います。いわば政策面での分野ごとでの連携、マクロとミクロの連携、それを具体化していく数値面での連携について、定期的な会議を行いながら、意志疎通をしっかり図っていきたいと思います。あわせて具体的な規制改革を行っていく規制改革会議についても、産業競争力会議とは一定の連動をさせて動いていますけれども、さらに経済財政諮問会議、マクロ全体での立場から、もっと連動させていきたいと思います。今日、総理からもこうした分野に是非切り込んでいただきたいというお話もありましたので、経済財政諮問会議から出てくる提案も産業競争力会議、規制改革会議で受け止めていただいて、そうした方向性を出してもらうということになりますので、この3者の連動をより深めていくということになります。
(問)TPPについて、一部で、早期妥結を見送って、関税維持の方に重点を置くというような報道がありましたけれども、事実関係をお願いします。
(答)我々としては、方針は全く変わっていません。これは何度も申し上げておりますけれども、このアジア太平洋地域で、投資の保護や知的財産の保護、政府調達の開放のレベルが上がるということは日本経済にとって大いにプラスですので、我々としては早期妥結に向けて努力するという方針は全く変わっておりません。
それから、物品アクセスについても、高いレベルのものを目指して我々は交渉に参加しておりますので、もちろんこれまで以上に自由化度を上げた高いレベルのものを目指すというのは、これは全体で議論しておりますけれども、しかし一方で、譲れない一線があるのも、国会決議も含めてありますので、その中で知恵を出して、早期妥結に向けて引き続き努力したいと思います。
(問)クリスマス休暇が明けると、先方がまた動き出すと思うのですけれども、特に1月中に閣僚会合を開けるかどうかも含めて、日本政府としてはどのように対応していくか…。
(答)もう既に、事務的にはシンガポールの会合の終了後もいろいろなやり取りを行い、引き続き作業をしております。これが年末年始の休暇を挟んで年明け以降、更に活発化することになると思いますし、どこかで首席交渉官会合も開かれるでしょう。そこで具体的な日程も更に調整されると思いますが、来年の1月にやろうということが、あのときまとまっていますので、最後まで1月のどこかでできるかどうか、月末からは我々も国会が始まりますので、そうしたことを伝えながら日程調整を行っております。1月中にできればいいですし、難しいとしても2月のある程度早い段階でできるように、引き続き日程調整を努力したいと思います。
(問)昨日、総理が甘利大臣のところにお見舞いに行っておられますけれども、何かお聞きになっていらっしゃいますか。
(答)詳細は聞いておりませんが、年明けには元気なお姿で復帰をされるというふうに伺っております。
(問)TPPについて、機会がないのでお伺いしたいのですけれども、この農産品5項目の関税を守る意義について、西村副大臣御自身、党の決議、国会決議があることを拠りどころにされていますが、一方で、消費者にとってはある意味、高い関税により高いものを買わされているというイメージにもつながるのですけれども、この5項目を守ることの国民にとっての意義を改めて教えていただけないでしょうか。
(答)これはフローマン代表との交渉の中でも申し上げましたけれども、日本の農業の基盤を揺るがすようなことは我々としてはできない。もちろん、一方で高い自由化を目指して努力もするし、知恵も出していきたいということですけれども、日本の農業が全く駄目になってしまうようなことは、我々としても飲めないと申し上げました。そのことは承知をしているのですけれども、食料の安全保障ということもあります。それから、農業、地域社会ということもあります。いろいろなことを考えて、我々としては、国会の決議はもちろん決議として重く受け止めて交渉していますけれども、私自身としても地域の農業は最低限維持ができて再生産できる、地域社会を維持していく、そのためのぎりぎりの線というのはあると思いますので、そのことも頭に置きながら、しかし全体としては高いレベルのものを目指すという約束をしていますので、その中で具体的な着地点を探していくということです。いずれにしても、経済全体にとっては明らかにプラスでありますので、日本経済にとっては早く妥結すべきだと思っています。

(以上)