第23回記者会見要旨:平成25年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年11月20日(水曜日)19時21分~19時42分
  • 場所:合同庁舎4号館2階220会議室

1.発言要旨

第23回経済財政諮問会議が先ほど終了いたしました。概要を御報告申し上げます。
本日は、社会資本、ナショナル・レジリエンス、教育関連施設等に関しまして、高橋議員から資料1について、佐々木議員から資料2について、太田臨時議員から資料3について、古屋臨時議員から資料4について、西川文部科学副大臣から資料5について、麻生議員から資料6についてそれぞれ御説明がありました。
その後、議員の方々からいただいた主な御意見を御紹介申し上げます。
まず、民間議員から、「来年度予算については、選択と集中がどのように効いているのか、近隣諸国をどう凌駕していくのか、定量的に示していくことが必要である。その上で、具体的な成果目標とロードマップに照らして定期的に検証していくという姿勢が不可欠である。」
続いて民間議員から、「ここ20年の公的債務残高の増加が我が国の財政運営上の最大のネックであるが、一方で、民間のバランスシートはきれいな姿になっている。したがって、いかに民間資金を活用するかが重要である。PPP/PFIにより民間投資を喚起するという面が重要だ。予算総額を抑制するということから出発することが重要。それによって選択と集中、メリハリを効かせることの両立が可能となる。社会資本整備のコスト構造の改善については、今後も数値目標を設けて不断に取り組むことが必要である。その際、これまでの延長線上でコストカットするのではなく、やり方を変えて生産性を高める方法で取り組むことが重要。」
同じく民間議員から、「レジリエンスの重要性は、グローバルアジェンダに上がってきている。国際的な共通認識、ダボス会議など国際的な場での情報交換、国際的な知見を踏まえたグランドデザインの策定が重要である。2050年も視野に入れた新たな国土のグランドデザインを直ちに策定していかなければならない。国土強靱化政策大綱との整合性、連続性もしっかり図ってもらいたい。」
同じく民間議員から、「3点を質問したい。1点目は、道路などのインフラのメンテナンスについて工程表を作成する際には、メンテナンスの優先順位を決めて取り組むべきではないか。2点目は、都市の集約化やネットワーク化を進める上では、学校や病院等の再配置など、国土交通省以外も関係することから、まちづくりの施策をパッケージ化したプラットフォームが必要ではないか。3点目は、公営住宅分野でユニバーサル・テスティングを導入すべきではないか。」
これらの点に答えて、太田国土交通大臣から「インフラのメンテナンスのコストを節約するためには、ローテクを含めたメンテナンスの普及と早めの予防措置により長寿命化することが大事である。箱物だけでなく土木分野でもしっかり考えなければいけない。2点目については、コンパクトシティ化を進めるには、病院や老人施設の再配置について自治体の中で知恵を出し、また参謀役が必要である。3点目については、公営住宅は自治体が持っているものが多いので、どうすればよいか研究していく。」
西川文部科学副大臣から、「人材確保法について教員の給与の優遇措置は、これまでにだいぶ縮減されて、月額ではほとんど変わらない。民間に賃上げを求めていることとのバランスもある。」
総務大臣から、「地域活性化に関して、予算のプラットフォーム化については是非やりたい。社会資本のデータベースは市町村でバラバラなので、号令をかけてすぐ統一化を図りたい。ナショナル・レジリエンスについては、センサーの活用が重要であり、電子化を徹底したい。省庁の事務については電子化で1兆円のコストカットが可能だ。」
最後に総理からの御発言であります。発言のポイントを御紹介します。
「東日本大震災からの復興の加速に向け、26年度予算においても、必要な予算をしっかり措置しなければならない。また、強靱な国づくりに向けた取組の加速が必要である。社会資本整備においては、「まず施設ありき、工事ありき」ではなく、国民が望むサービスを効果的・効率的に提供できるよう、新しい発想と仕組みで大胆に取り組んでいく必要がある。特に公共事業関連予算についても一層の重点化・効率化を図っていかなければならない。このため、社会資本マネジメントの推進、PPP/PFIの大胆な活用、地域におけるコンパクトな都市づくり・まちづくりのための関係府省の連携強化など、強力に進めてほしい。ナショナル・レジリエンスについては、民間議員の提案を踏まえて、国土強靱化政策大綱を策定し、これに基づき、優先順位や目的と成果、役割分担を明確にして、国民への説明責任をしっかりと果たしてほしい。国土交通大臣、国土強靱化担当大臣、総務大臣、財務大臣におかれては、本日の議論を踏まえ、更に議論を深めていただきたい。文部科学副大臣には、下村大臣に本日の議論を伝えてほしい。」
最後に私から、「次回の諮問会議では、引き続き、主要な歳出分野の審議を進めるとともに、予算編成の基本方針の事項案について御議論をいただきたい。」
以上です。

2.質疑応答

(問)民間議員から、来年度の予算で公共事業費について今年度よりマイナスにすべきだという意見が出ましたけれども、大臣のお考えを聞かせていただけますでしょうか。
(答)まず、来年度予算編成は、プライマリーバランスの赤字幅を半分にするという目標の最終年の前年になるわけであります。一般歳出につきましては相当厳しい姿勢で取り組んでいかなければならず、その際には、あらゆる分野を通じて聖域はありません。それこそゼロベースで見直すというつもりで、しっかり無駄を省いていくということでありますし、特に公共事業につきましては、PPP/PFIの手法を使うことをどこまで織り込むことができるかがとても大事なことだと思っております。今日の会議でも出ましたが、公共事業分野でまずPPP/PFIを活用できないか、というユニバーサル・テスティングの発想は大事だと思っております。
(問)今日の諮問会議で民間議員から出された、公共事業の総枠の抑制、実質的にマイナスにすべきだという意見について、総理、国土交通大臣、財務大臣から具体的な発言がございましたら御紹介いただければと思います。
(答)国土交通大臣の説明資料の説明以外では、国土交通大臣の応答は御紹介をさせていただいたことが全てであります。民間議員からは関係省庁に対して、聖域なく予算の無駄を省いていくということに関して、質問を出して、まだ回答がないものについては、今後とも文書でやりとりをさせていただきたい。必要があればまた諮問会議の場で議論をしたいという要請がありました。これについて私から、関係各大臣は全面的に協力してもらいたい旨要請いたしました。
(問)総理の方から特に御発言は。
(答)総理の方からの発言も、先ほど御紹介したとおりであります。特に公共事業関係予算についても、一層の重点化・効率化を図っていかなければならないという旨、発言をされています。
(問)国土強靱化も財政健全化もどちらも進めないといけないと思うのですけれども、そのバランスをどうとっていくか、今日の会議を踏まえて、大臣自身のお考えを教えていただけますか。
(答)社会保障予算についても、公共事業予算についても、プライオリティと無駄を省くこと。社会保障でいえば、例えば情報化を導入していって、国民に不利益を与えずに効率化を図る等、いろいろと手法があるわけであります。関係省庁も聖域化をせずに、無駄がないか、あるいは効率化が図れないか、プライオリティはどうか、民間議員の指摘のあらゆる点をまず無条件でやっていただきたい。その結果、本当に必要な予算の姿が出てくると思っております。特に、従来は、公共事業は国のお金、あるいは自治体のお金でやるものという常識がありましたが、PPP/PFIの手法によって、実は公共事業的なものも民間資金を投入してできる。そうしますと、総額に占める公的な資金と民間資金の割合により、事業量が増えても公的な資金が減るという場合も理論的にはあるわけであります。あらゆることを通じて、財政の健全化と必要な社会資本の整備・維持等を両立させていくことに挑戦してもらいたいと思います。
(問)この7-9月期のGDPを見ても、公共事業費に頼っている部分が非常に大きかったと思うのですけれども、公共事業費を減らしても経済成長を続けるためにやるべきことについて、改めて聞かせていただいてよろしいでしょうか。
(答)今までの経済成長は、金融政策と、財政出動がいわば牽引をしてきました。もちろんそれらを通じて為替の変動が起こり、株価の変動が起こり、資産効果が起こり、輸出ドライブがかかり、それが消費にはね返り、輸出にはね返るという部分はありました。いよいよ本命はこれからであります。つまり先ほど来言われているように、民間資金をあらゆる分野にどう投入していくかということであります。従来の常識を超えて公共事業まで含めて民間資金を投入していくというプランをどう描けるか、そして行動をどう起こせるかということだと思います。成長戦略を実行するためのツールがこの国会で次々と成立しつつあります。成長戦略による具体的な投資案件が続出していくような環境整備を一刻も早くしていくことであろうと思っております。
(問)公共事業について、PFIの活用ということはずっと前から言われていることですが、なかなかうまくいっていない。これについてどういう分析があって、今回の会議以外でも大臣がどのように考えていらっしゃるのかお願いします。
(答)PFI/PPPに関しましては、推進機構、いわば官製ファンドができ、民間投資を喚起する環境整備とツールを先の国会でも整えてきたわけでございます。あとは、具体的な事例が一つでも早く出てくることだと思います。成功事例が出てきますと、その横展開がなされるということでありますから、法律を作り、ファンドを組成し、そして実行例を一つでも早く作っていくことで、一点突破を全面展開のような形にしていくことが重要だと思います。
(問)公共事業に関連する労務単価の上昇で、なかなか入札がうまくいかないとか、公共事業が予算を組んでもうまく動いていないということについて、これは復興の部分でもあると思うのですが、これらへの言及や、来年度予算についてどうあるべきかというのはあったでしょうか。
(答)国土交通大臣から、再入札を行ってほとんど処理ができており、全く積み残しになってしまっているというのは誤解です、というようなお話がありました。それから、労務単価につきましても、適宜見直しが進んでいるかと思います。資材価格もそうだと思います。ただ、公共事業が急激に増えたり、急激に減ったりすると、それにまつわる人材や重機の確保等がなかなか追いつかないと思います。急激に減っていった中で重機を手放す建設事業者が多数あるという報告もありました。中長期的な見通しを立てて、平準化していく作業が大事というのは国土交通大臣からの話でもあります。
(問)今日は黒田さんや菅さんからは発言はなかったということでよろしいでしょうか。
(答)ありません。

(以上)