第13回記者会見要旨:平成25年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年5月28日(火曜日)19時24分~19時48分
  • 場所:合同庁舎4号館2階220会議室

1.発言要旨

第13回経済財政諮問会議が先ほど終了いたしました。概要を御報告申し上げます。
本日は、議題の一つ目として、これまでの諮問会議で総理から御指示のありました「検討課題の状況について」議論いたしました。
ここでは、臨時議員として、山本IT政策担当大臣、太田国土交通大臣、古屋国土強靱化担当大臣をお呼びいたしまして、御議論いただきました。
山本大臣から、資料を御説明いただきました。その後、自由討議といたしました。ITに関して、議員からいただいた主な意見を紹介します。
民間議員から、「マイナンバー、クラウドを活用して行政サービスの高度化を着実に進めてほしい。その際、システムがブラックボックスにならないようにロードマップを策定して強靱なものにしてほしい。各省の縦割りの中に落ちてサイバーセキュリティに問題が生じないようにしてほしい。成長戦略につながるように、シナジー政策について検討してほしい。」
麻生副総理から、「ヒト・モノ・カネに加えて情報が重要である。」
民間議員から、「日本の場合、政府調達がアンフェアだという指摘がされないように気をつけてほしい。そのためには、機能は良くて安いというクライテリアをしっかり持つことが重要である。」
麻生副総理から、「こういうルールだからしようがないと言えるようなルールをしっかり作ることが大切だ。」
民間議員から、「KPIの一つに、人件費の削減を長期的には入れてほしい。医療・介護のIT化についても、IT政策担当大臣のリーダーシップを期待している。」
山本IT政策担当大臣から、「サイバーセキュリティについても協力してやっていきたい。政府調達も重要だし、人件費についても検討していきたい。医療・介護のIT化についても、難しい面はあるが、検討していきたい。」
その後、山本臨時議員が退席される前に、総理から以下の御発言がありました。
「効率的・効果的な財政を実現するためには、政府の業務の見直しを踏まえたITの抜本的活用が不可欠である。山本大臣には、新設される政府CIOを中心とした電子行政に関するPDCAサイクルを確立し、強力に推進してほしい。」
次に、太田大臣、古屋大臣、西村副大臣から資料を御説明いただきました。その後、自由討議を行いました。
主な意見を紹介いたします。
民間議員から、公共投資に関して「メンテナンス元年ということだが、DFM(デザイン・フォー・メンテナンス)の考え方を導入して、将来のメンテナンスコストを考慮してほしい」、次にナショナル・レジリエンスに関して「運用面での問題についても、解消するための連携の仕組みについても検討してほしい。」
同じく民間議員から、「首都高でまず成功事例を作って各地に広げてほしい。21世紀の産業を考える上でシナジーが重要との指摘をハーバード大学の教授が指摘しているが、そのときの都市の役割が極めて重要である。」
これに対して古屋大臣から、「脆弱性評価のプログラムを設計する際に、縦割りの余地が生じないようにしっかり精査していきたい。」
続いて民間議員から、「ナショナル・レジリエンスの中で連携に民間も入れた形でのアクションプランをしっかり作ってほしい。」
古屋大臣から、「御指摘をしっかり踏まえて検討していきたい。」
議題の二つ目といたしまして、「グローバル化について」御議論をいただきました。
まず、小林議員から資料を御説明いただき、その後、議員の方々から御意見をいただきました。
主なものを紹介いたします。
民間議員から、「ボーダーレス経済の中で、日本に投資したいと思われないといけない。シンガポールの取組が参考になる。対内直投の対GDP比は、2010年で3.9%であり、これをOECD各国並みの20%から40%にすれば140兆円になる。NEXI(日本貿易保険)などの公的支援を拡大してはどうか。」
財務大臣から、「資源を外国に頼らないといけないので、稼げる分野を確保する必要があるのはそのとおりである。そのための経済連携や日系企業の海外展開の推進に財務省も協力している。」
続いて私から、「かつて外国に行ったとき、現地の日本法人から、大使館が冷たいという話を聞いたことがある。大使館も現在は企業に協力的になってきたと思うが、ジェトロと大使館の関係にはまた改善の余地があるのではないか。」
経済産業大臣から、「日本への投資が少ないので、呼び込むためにジェトロでは企業のOBを数百人採用するなど努力をしています。」
財務大臣から、「外国では、一企業のために大使館を使わせており、日本でも徐々に使えるようになってきた。また、ジェトロとの関係も良くなってきている。」
総務大臣から、「ジェトロ、JICA、大使館という、このトライアングルが大事だ。」
私から、「そうした各機関の連携について、官房長官から促してはどうか。」
官房長官から、「しっかりやります。」
総理から、「現在では、政府専用機に民間の方が30人も乗っているのだから、大使館だって変わらなくてはいけない。」つまり、総理が海外展開される際に、専用機に民間の関係者を30人乗せて行きました。これは極めて珍しいことなのでしょう。私が海外に行ったときの日課として、現地の日本法人企業の代表者と話を交わしていますけれども、「競争先の企業は本国が丸抱えで応援しているのに、我々は孤軍奮闘で戦わなければならない」という声を随分聞きました。そこで、随分前ですけれども、日本に帰って、「大使館の仕事は、在外邦人の保護というのはもちろんだけれども、在外日本企業の支援というのも使命の一つである」ということを言い続けてきましたが、ある段階で、大使が赴任するときには、そういう訓示を出しますということを私のところに報告に来たことがあります。それに関連して、例えばイタリア大使館ではフェラーリの新車発表会を開催したり、ドイツ大使館ではBMWの発表会を開催したりしているのですけれども、日本はそのようなことはしたことがないということで、孤軍奮闘の戦いになっているわけです。そこはやはり日本の製品を売り込むには、少なくとも日本の公的機関は在外企業の支援をして当然ではないかという議論からこういう話になってきたわけであります。
官房長官から、「一つ一つ戦略的にやっていきます。」
経済産業大臣から、「大使館や領事館で企業がイベントを行った実績について報告を求めるようにすれば効果的ではないか。」
議題の三つ目としまして、「今後の経済財政運営方針について」御議論いただきました。
まず、伊藤議員から有識者議員提出資料を御説明いただきました。次に、麻生大臣から資料を御説明いただきました。また、最近のマーケットについて黒田総裁と民間議員に御意見を伺いました。
主に交わされた意見を紹介します。
まず、黒田日銀総裁から、「このところ、株式市場では不安定な動きが見られている。もっとも、この間に内外経済の変調をうかがわせるような経済指標は必ずしも出ておらず、日本経済は順調に回復への道筋をたどっている。もちろん市場の動向は注視していく。日本銀行としては、量的・質的金融緩和を着実に進めることを通じて日本経済をしっかり支えていきたい。この点は抜かりなくやっていきたい。」
民間議員から、「最近の市場の動きは、株価の上昇ペースが早かったことにもよると思う。金利の動きも、デフレマインドが変わり始めたことを反映するものである。政府は、市場の動きに一喜一憂せずに、決めた方針を着実に実行すべきである。そうすることにより安心感が生まれる。ただし、外需にはリスクがある。このため、成長戦略で国内投資を喚起することや、海外での収益を国内に還元させることが重要である。」
経済産業大臣から、「1-3月期は3.5%の成長であった。機械受注も良くなっている。全体的に順調に回復しているという認識である。」
麻生副総理から、「放っておいても賃金が自然と上がってくるわけではない。物価だけ先に上がるのではなく、賃金がきちっと上がるようにすべきだ。」
民間議員から、「業種によって違うが、中国経済がどうなるかというリスクはあると思う。」
同じく民間議員から、「生産性が低く、賃金を上げられないところをどうするか。対象を絞って対応すべきである。」
私から、「思わず投資をしたくなるような環境整備をしていきたいと思っています。」
財務大臣から、「ヘッジファンドなどの金融関係者の日本への訪問がすごく増えているのは事実。」
民間議員から、「まだ残っている問題は、エネルギー、労働法制、CO2など。恐らく最後に残るのはエネルギー問題ではないかと思う。」これは六重苦とか七重苦に関連して、もう三つも四つも解決してきたけれども、まだ残っているのがそれらだという御指摘です。
最後に、私の方から以下の発言をいたしました。
「我が国の景気は着実に持ち直してきており、マーケットの動きに関しましては、冷静に対応していくことが重要であることが共通の認識でありました。政府といたしましては、今後の金融資本市場の動向と、その影響を注視するとともに、引き続き、『三本の矢』に一体的に取り組むことにより、早期のデフレ脱却と民需主導の持続的な経済成長を目指してまいります。こうした取組は、市場の予見可能性を高めることにも資すると考えております。」
最後に、「骨太方針策定に向けて」ということで、骨太方針の目次案を御提示させていただきました。
まず、内閣府事務方から骨太方針の目次案を説明させました。
それに対して、民間議員から、「骨太については、長期政権を連想させる継続性を求めるものにしながら、単年度のことは定量化するなどして、できるだけメリハリをつけてほしい。」
麻生副総理から、「この種のものは、漢字4文字で『所得倍増』のように目標をうまく表現できると良い。」
最後に、総理から以下の発言がありました。
「民間議員から、『グローバル化』が進展した世界における新たな経済財政運営の方向性等について、また、回復の10年シナリオとその後に目指すべき経済社会の姿について、それぞれお考えを示していただいた。本日の議論を可能な限り『骨太方針』に反映をしてほしい。現下の最優先課題は、デフレから脱却し、経済再生を実現することである。その際、経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与するという好循環を目指し、経済再生と財政健全化の両立を図ることを明確にしてほしい。
いよいよ本日から骨太方針の取りまとめに向けた議論が始まった。これまでの『三本の矢』の取組により実体経済も変わりつつある。デフレ脱却に向けた好ましい変化を、より確実な景気回復につなげていくため、本日の山本大臣、太田大臣、古屋大臣の報告の趣旨も踏まえ、『回復の10年に向けた基本戦略』となる、まさに骨太な方針をしっかり取りまとめてほしい。
西村副大臣の報告については、全国各地の声や共助社会づくりに向けた熱意を伺うことができた。地域経済が再生してこその日本経済の再生。集めた声や意見を骨太方針に活かしてほしい。」
以上を踏まえまして、私の方から以下の発言をいたしました。
「グローバル化や各検討課題については、本日の議論を踏まえ、骨太方針の策定に活かしていきたい。本日の目次案に沿って、与党とも御相談させていただきながら、骨太方針を取りまとめてまいりたい。地方には、アベノミクスの効果が十分に波及していないという声があるので、西村副大臣、山際政務官には引き続き直接地方の声を聞いていただくとともに、私の下に地域経済の状況を検討するための場を設けることを検討したい。」
以上です。

2.質疑応答

(問)民間議員のペーパーで、社会保障費など踏み込んだ見直しですとか、地方財政の抑制も図るべきというような文言がありますけれども、これらは骨太方針に盛り込むというお考えでよろしかったでしょうか。
(答)聖域は作らずにしっかりとメリハリを効かせたものにしていきたいと思います。定性的な表現から、予算編成に向かって次第に定量的な表現に変わっていくのかなと考えています。
(問)「義務的経費を含めて踏み込んだ見直しを行う」ですとか、「地方財政についても抑制を図るべき」とか、そういう文言は入るのでしょうか。
(答)表現はどうなるか分かりませんけれども、最終的にきちんと濃淡がつくようなものにはしていきたいと思っています。
(問)最後に大臣がおっしゃった、地方経済を検討する場を設けたいということについて、もう少し具体的に、いつごろから、どのような場を作るのかを教えていただけますか。
(答)総理指示で、地方の声をよく聞いてくるようにという指示がありました。もちろん地域経済について統計上の数値は上がってくるわけでありますけれども、肌感覚で地方の声を拾ってくるようにという総理指示があって、私も東京で地方の方に来ていただいて話を聞きました。今、西村副大臣と山際政務官を地方に派遣しております。これからもまだ回ってくるところもあろうかと思います。一通り回りましたところで、どのような形でそれを反映するか少し考えてみたいと思っております。まだ具体的な設計はいたしておりません。
(問)今日のお話の中で、グローバル化の対応だとか、あるいは外国からの投資をどうやって呼び込むかという議論があったかと思うのですが、その一方で、法人税を引き下げるかどうかという議論が何か煮詰まっていないのがすごく不思議な感じがするのですが、どうしてでしょう。
(答)成長戦略の中で産業競争力を高めていく、あるいは投資を拡大していく等々、今検討しているところです。今最終的な詰めをしております。成長戦略が6月中旬に取りまとめられる中で具体的な表現ができると思っています。
(問)大臣としては、成長戦略、骨太の中で、やはり法人税の引下げの話というのはきちっとやる、書き込むべきだというお考えですか。
(答)法人税全体については、前にも少しお話ししましたけれども、東日本大震災からの復興支援の2年間が終わると、法人税引下げ効果がそのまま出てくるわけであります。それ以上のことをやる、やらないについては、財政再建との兼ね合いもあります。投資をした人に対して減税をするという政策減税は、実際に投資を誘発するわけです。投資とは無関係に、何の行動も起こさずに減税という恩恵が得られるようにするというのは、やはり財政的な余力があるときになろうと思います。ですから、日本の競争力強化に資するような研究開発や設備投資については大いに検討していいのではないかと考えておりますが、自動的に2.5%下がること以上については、財政余力との相談になろうかと思います。

(以上)