第9回記者会見要旨:平成25年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年4月22日(月曜日)19時07分~19時27分
  • 場所:合同庁舎4号館2階220会議室

1.発言要旨

第9回経済財政諮問会議が先ほど終了いたしましたので、概要を御報告申し上げます。
本日は冒頭に、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の概要につきまして、麻生副総理と黒田議員から御報告をいただきました。
その後、私のほうから、新たな交渉参加国として日本を歓迎する旨のTPP交渉参加国の発表について報告をいたしました。
その後、経済再生と財政健全化の道筋について御議論をいただきました。
まず、高橋議員から、有識者議員提出資料を御説明いただきました。
議員からいただいた主な御意見を御紹介いたしますと、民間議員から、「シーリングなしに財政健全化は難しい。」
続いて、「裁量的経費については、総額を抑制し、また聖域なく見直すべきである。義務的経費については現状を当たり前とすべきでなく、一から見直すべきだ。」
続いて、同じく民間議員でありましたが、「ナショナル・レジリエンスについては、スマート・レジリエンスの考え方でハード面だけでなくソフト面での充実を図るべきである。」
麻生副総理から、「財政健全化は、将来の課題ではなく、今このときから取り組むべき現在進行形の課題である。」
続いて民間議員から、「財政健全化について、フローのプライマリー・バランスの目標だけでなく債務残高などのストックベースの目標を設けること、また、財政健全化を法制化することについてどう考えるか。」
続いて、麻生副総理から、「財政健全化はこの内閣でしっかり対処していくので、今この段階で法制化しなければいけないということではない。ストックベースの債務残高対GDP比の改善は債務残高とGDPの比率の問題なので、GDPを伸ばしていくことが重要である。」
続いて黒田日銀総裁から、「1月の共同声明にも示されているが、金融緩和が財政ファイナンスだという懸念を招かないよう財政健全化の道筋を明確化していくことが必要。麻生副総理から財政健全化を進めるとの発言があったが、政府の取組に強く期待をする。」
民間議員から、「これからの2年は日銀の2%の物価安定目標だけでなく消費税を8%、そして10%にし、プライマリー・バランス赤字半減を達成することになる。平時とは環境がかなり違っており、しっかりと経済財政政策を行う必要がある。」
官房長官から、「2015年度のプライマリー・バランス半減まであと2年、これについては骨太の方針のときにしっかり考えるということでいいのか。」
民間議員から、「デフレ脱却に全力で取り組む。財政については、決して市場の信認を失ってはならない。両立は難しい課題だが、実体経済を見つつどちらの課題もきちんと見ていく必要がある。」
続いて私から、「財政再建の見通しが示せないと市場の信認を失う。決意を具体化し、経済を失速させないよう英知を集めて設計していくべきである。」
続いて、「人的資源について」というテーマであります。
臨時議員として、稲田再チャレンジ担当大臣、下村文部科学大臣をお呼びいたしまして御議論いただきました。
まず、伊藤議員から、有識者議員提出資料を御説明いただきました。
次に、稲田臨時議員から、我が国の人材育成強化に関する対応方針について御説明をいただきました。
その後、下村議員から、以下の発言がありました。
「文部科学省としても、大学等で多様な学び直しニーズに対応した実践的教育プログラムが開発・実施されるよう、関係省庁とも連携しながら、教育界と産業界との対話、協働を確立、促進する取組を進めてまいりたい。総理の経済界への就職・採用活動時期の後ろ倒しの御要請を受け、大学等に対しては、学生の学習時間の確保など今まで以上に教育の質の向上を図る取組を強力に推進するよう要請することとしている。」
その後、議員の方々から御意見をいただきました。主な意見を紹介いたします。
民間議員から、「産業界の求める人材と教育・労働市場から供給される人材の間にミスマッチが生じている。フレキシブルな労使政策、慣行が必要である。社内での労働再配置はもう限界に来ているので、競争力維持のためフレキシブルな市場とセーフティネットが重要である。」
同じく民間議員から、「教育では、ジェネラルアーツが大事。哲学、更には愛国心というもので日本を興すということが基本となる。」
麻生副総理から、「アベノミクスは賃金上昇と雇用拡大をもたらさないと国民に納得感が生まれないので、成功とは言えない。骨太方針の中に政府の決意と政策展開を示すべきである。賃金上昇と生産性の上昇を実現するためには、企業もやせ我慢の過当競争をやめる必要がある。そのために政労使で話し合い、決めていかないと納得感が出てこない。」
続いて民間議員から、「今後、輸出増から収益が増加をする。それを賃金に還元するルールを作るため、政府もいろいろ努力をして欲しい。人材活用のかぎは女性である。出生率の上昇、女性の労働参加率の上昇と成長率の上昇が相関しているのは現在では常識となっている。」
続いて、「規制改革について」ということで、臨時議員として、稲田規制改革担当大臣、岡規制改革会議議長をお呼びし、御議論いただきました。
まず、稲田臨時議員から以下の発言がありました。
「先週19日、金曜日の会見で総理が触れられた保育や再生医療、医療機器については、我々に対する御指示と受け止め、岡議長とともにしっかり取り組んでまいりたい。今後は、成長戦略等に重要項目を盛り込むべく、5月下旬には規制改革会議としての最初の答申をいただく予定である。」
そして次に岡議長から、規制改革の推進について御説明をいただきました。岡議長は、資料4に基づいて説明をされ、政治のリーダーシップが不可欠なのでお願いしたいということであります。
その後、議員の方々から御意見をいただきました。主な御意見を御紹介いたします。
麻生副総理から、「厚生労働省の話ではあるが、インターネットによる医薬品販売については、規制を緩和するのであれば、事故等があった際のインターネット業者や薬屋の責任を明確にし、政府に苦情が来ないようにすべき。」
岡議長から、「我々の目的は、あくまでも国民の選択肢を増やすということである。安全はもちろん大切であり、厚生労働省で安全基準について議論して欲しい。」
茂木経済産業大臣から、「石炭火力発電所のリプレースメントのアセスを現状の3年から1年程度にする方向である。」
民間議員から、「先端医療の開発促進の一方で、社会保障予算の中でも支出の多い医療費の無駄の抑制、効率化を打ち出すことが重要である。また安価で安定したエネルギー供給に資する規制項目を検討してもらいたい。成長に効果のある規制改革項目に優先順位をつけて取り組んで欲しい。」
同じく民間議員から、「次元の高い規制改革を是非打ち出して欲しい。」
新藤総務大臣から、「地域エネルギーを活用したまちづくりの項目を検討項目に入れて欲しい。」
最後に私から、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」の進捗状況について御説明をさせていただきました。加えて、お手元にお配りをしておりますように、前回の会合で設置することを議決いただいた、目指すべき市場経済システムに関する専門調査会の人選が決定した旨御報告させていただきました。
最後に、総理から以下の発言がございました。
「先般決定した日本銀行の金融緩和は、量、質ともにまさしく次元の違う大胆なものであり、まさに期待どおりの対応をしていただいたと思っている。先週末のG20の共同声明でも、『デフレを止め、内需を支えることを意図したもの』との国際的理解をいただいた。黒田総裁には引き続き2%の物価安定目標を2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するようしっかりとした舵取りをお願いしたい。
民需主導の持続的成長と財政健全化を両立することが重要課題。G20でも財政の持続可能性を維持することの重要性について確認された。諮問会議で議論を深め、骨太方針には経済再生の道筋とあわせ各歳出分野の取組など財政健全化の基本的方向を盛り込んでほしい。
人材こそ我が国の最大の資源であり、稲田大臣、下村大臣、茂木大臣は、関係大臣と連携をし、政府、経済界、教育界一体となって、人材の育成策の抜本的強化に取り組んでいただきたい。規制改革は、自律的な経済成長を実現するために不可欠。頑張ろうとする人や企業の芽を摘むような規制を改革し、その努力に報いることで我が国に新鮮な活力を蘇らせてまいりたい。岡議長と稲田大臣におかれては、引き続き審議を深めていただき、思い切った提案をお願いしたい。
緊急経済対策については、地方公共団体分を除き、既に6割の事業で契約が済み、着実に事業が動き始めている。引き続き各大臣が責任を持って効果の早期発現に努めていただきたい。
最後に、甘利大臣には急遽インドネシアに出向いていただき、日本のTPP参加について関係国の正式了承を取りつけていただいたことに感謝をする。茂木大臣も御苦労さまでした。」ということでありました。
最後に、私のほうからの発言であります。
「経済再生と財政健全化の道筋について本日御議論をいただいたが、今後、骨太方針の取りまとめに向け、財政健全化の大枠の方向性について検討を進めてまいりたい。次回以降、諮問会議で主要歳出分野における効率化、重点化について議論を深めていく。人的資源の活用や規制改革については、本日の議論を踏まえ、骨太方針の策定に生かしていきたい。」
私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)民間議員から、歳出の天井を設けるよう提案がありましたけれども、この歳出額の上限を設ける必要性についての大臣のお考えと、6月の骨太の方針にこれを入れるのかどうか聞かせていただけますでしょうか。
(答)骨太方針に向けて、今まで2015年度にプライマリー・バランス半減、2020年度に黒字化と大きな目標を掲げておりました。これから骨太方針でより具体化をし、そして中期財政計画で更に絞り込むという作業になっていくと思います。骨太方針ではその方向性、歳出分野の方向性について言及をしていくことになろうかと思います。
(問)1点目は、伊藤元重さんたちが出されたペーパーのところで、「一律の機械的な歳出抑制ではなく、予算編成において経済成長の実現等の重要課題への重点化を行う」べきと書いてございます。これは、個別の歳出にキャップをかけるというやり方ではなくて、全体の大枠の数字は縛るけれども、個別の政策項目については毎年度の予算編成でやることだという筋だというふうに、そういった方向で今後作業を進めていくというお考えかどうか確認させていただければと思います。よろしくお願いします。
(答)歳出については、成長分野、それからそうでないところ、いろいろメリハリをつけて、一律にカットということではなくて、成長を支える分野と、それから効率化が見込める分野等々でメリハリがついていくという形になろうと思います。具体化してフォーカスを絞っていくスピードは、中期財政計画あたりまでに少しずつ絞っていく。その途中過程にこの骨太方針があるのかなと思いますけども。
(問)重ねてなんですが、確認させていただければと思うのですが、中期財政計画自身は、これは参院選の後に作られるという認識でいいのかどうか確認させていただければと思います。
(答)そうですね、年央をめどに骨太方針を策定し、成長戦略がほぼ同じ時期になってきます。それらを精査しながら具体的な更なるフォーカスの絞り込みということになっていくと思いますので、中期財政計画は時期的には少しタイムラグが生じるかと思います。
(問)何度もすみません。今回の財政健全化についての有識者議員ペーパーにストックベースの目標についての記載がございます。これまで自民党政権、衆院選の公約を含めてプライマリー・バランスというフローベースを対象にしたものだと思うのですが、新しい中期財政計画では、ストックベースの累積債務残高が入ってくるというイメージで考えておけばよろしいでしょうか。
(答)過去にも2020年にプライマリー・バランス黒字化、それ以降は更に債務残高対GDP比を下げていく努力が必要、という程度の記載は過去にもあったんじゃないかと思いますが、それに関して麻生副総理からは、債務残高対GDP比を小さくするというのは経済規模、GDPの規模に対するということだから、GDPを大きくしていくという努力がそれに資するということも忘れてはいけないというお話がありました。これからそういう方向に向かっていくということを民間議員から提案をされたというところでありまして、恐らく歳出の効率化とあわせて経済規模を大きくしていく、成長戦略と、まさに財政の健全化の両立の中で、どういう案分でやっていくか、これからいろいろと知恵を出していく過程にあろうかと思います。

(以上)