第1章 景気動向と好循環の確立に向けた課題

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我が国経済の現状をみると、アベノミクスの取組の下、経済再生・デフレ脱却に向けた進捗がみられる。有効求人倍率は24年ぶりの高水準となり、地域ごとにみても、史上初めて全都道府県で1倍を超えている。また春闘の賃上げは、1990年代以来となる3年連続での高い水準となり、パートタイム労働者の時給は過去最高を更新するなど雇用・所得環境は改善しており、企業収益も高い水準にある。さらに、2015年度は、名目GDP、実質GDP、GDPデフレーターが、18年ぶりにそろって前年比プラスとなった。

一方で、実質GDP成長率は緩やかな伸びにとどまっている。雇用・所得環境の改善にもかかわらず、GDPの6割を占める個人消費は2014年の消費税率引上げ以降、力強さを欠いた状況にあり、所得から支出への波及に遅れがみられている。また、新興国・資源国経済の脆弱性や、金融資本市場の変動といった世界経済のリスクに加え、2016年6月に英国の国民投票でEU離脱が支持されたことにより、世界経済の先行き不透明感が高まっている。こうした中で、経済の好循環に向けた動きを途絶えさせず、経済再生・デフレ脱却を実現するには、様々な課題に取り組んでいかなければならない。

本章では、まず、最近の我が国の経済動向と先行きに対するリスクを確認する。その上で、現時点での経済の好循環の進捗状況を点検し、その進展の障壁となっている要因を整理することにより、更なる好循環の進展と成長力強化に向けた我が国経済の課題を明らかにする。あわせて、財政健全化の進捗状況と、デフレ脱却に向けた金融政策の取組及びその効果について確認する。

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