第3章 イノベーション・システムと生産性の向上

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人口減少・少子高齢化により人口構造が変化する中で、我が国が成長力の向上を図り、経済社会の活力を高めていくために、技術革新を含むイノベーションは生産性向上の源泉としてこれまで以上に重要な役割を担う。

イノベーションは、様々に使われる言葉だが、ここでは新たな製品・サービスの開発や生産・販売方法の導入、また経営管理方法の導入等を通じて新たな価値を生み出すことと定義しよう(コラム3-1を参照)。イノベーションの促進に向けては、企業、大学及び公的研究機関での研究開発だけでなく、研究開発を行うための人材・資金の供給、研究開発の成果の活用など、イノベーションを生み出しその果実を経済成長に結び付けていく経済社会全体を視野に入れた制度的枠組み(イノベーション・システム)が重要となる。そうした枠組みの中で、企業を中心にイノベーション活動への積極的な参加を促すことにより経済の生産性を高めていくことが期待される。

こうした問題意識の下、第3章では、我が国においてイノベーション活動を促進していくための課題について論じる。第1節で生産性及びイノベーションの動向を概観した後、第2節ではイノベーション・システムの改善に向けた課題を検討する。

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