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第1節 景気の基調と消費税率引上げの影響

本節では、我が国の景気の現状と展望を整理する。特に、2014年4月の消費税率引上げが景気に与えている影響について、前回1997年の消費税率引上げ時との比較などを通じて、その特徴を明らかにする。また、今後、消費税率引上げによる影響が落ち着き、景気が着実に持ち直していくための条件を、内需・外需、家計・企業のそれぞれの分野について確認する。

1 景気の現局面

はじめに、景気の全体像を概観した上で、駆け込み需要の反動減により下押しされている景気が着実に持ち直していくための条件を検討する。

消費税率引上げに伴う駆け込みと反動の影響を受ける景気

2012年末以降、持ち直しに転じた我が国経済は、総じてみれば、堅調な内需に支えられる中で、企業収益や生産が回復してきた。やや長い目で、今次景気回復局面1を振り返ると、設備投資が低調に推移する中で、個人消費や公共投資などが、景気回復を主導してきた(第1-1-1図(1))。個人消費では、株高による資産効果やマインドの改善が、また公共投資では経済対策2を受けた平成24年度補正予算の執行が、それぞれ増加の背景にあった。この間、雇用所得環境や企業業績は改善が続き、2013年後半になって、力強さを欠いていた設備投資にも持ち直しの動きがみられるようになった。このように、所得から支出への前向きな循環がより確かなものとなる中で、景気は緩やかな回復局面へと移行した。

2013年末頃からは、我が国の景気は、2014年4月の消費税率引上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けている。消費税率の引上げをめぐっては、2012年8月10日に成立した「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」等に基づき、2013年10月1日に、経済状況等の総合的な勘案を経て、当初予定どおり2014年4月に消費税率を5%から8%へ引き上げることが確認された。これにより、消費税率引上げによる物価上昇が事前に予想されることから、駆け込み需要とその後の反動減(異時点間の代替効果)が生じる。また、価格上昇に伴う実質可処分所得の減少は、継続的な消費の押下げ要因(所得効果)となり得る。ただし、社会保障制度の持続可能性に対する不安感を低減することで、予備的貯蓄を減少させ、消費の押上げに寄与することも期待される3

実際に、駆け込み需要が景気に与えた影響についてみてみよう(第1-1-1図(2))。GDPの需要項目の動きをみると、個人消費は、2014年3月にかけて広範な品目で駆け込み需要が顕在化したことから、2014年1-3月期の実質GDPを大きく押し上げた。また、住宅投資も、寄与は小さいながら、2013年9月までの駆け込み受注が着工に移されたことに伴い、増加を続けた。この間、輸入4は、2013年後半から駆け込み需要の影響を受けて家電など耐久財を中心に増勢を強め、上述の駆け込み需要によるGDPへの押上げを一部相殺した。

さらに、4月以降の動きを月次統計指標で確認しよう(第1-1-2図)。まず、個人消費の動きを示す消費総合指数は、4月に大きく落ち込んだ5。また、住宅着工戸数は、2014年に入って減少に転じ、その後も減少が続いている。この間、公共投資については、平成25年度補正予算の執行を受けて3月頃から受注が増加する中で、工事の進捗を示す出来高は高水準で推移している6。設備投資の一致指標である資本財総供給は増加傾向にある7ほか、先行指標である機械受注も持ち直している。また、輸出は2013年後半から総じて横ばい圏内の動きが続いている。以上のことから、個人消費や住宅投資では駆け込み需要の反動減が確認されるが、設備投資や公共投資が需要の減少をある程度相殺している。

このような最終需要の動きを反映して、2013年に入ってから増加傾向にあった生産は、自動車生産の影響を強く受けるかたちで2014年2月に減少に転じ、その後は幅広い消費財や関連する中間財の生産が弱めとなっている。3月までの駆け込み需要によって減少した在庫を復元する動きが生産を下支えする効果はあるものの、前回に比べると、輸出向けの弱さを背景に減少幅は大きい。

設備投資関連指標は堅調、雇用者所得には更なる改善が必要

消費税率引上げに伴う駆け込み需要とその反動減により、景気の基調が見えにくくなっているが、当面の景気を支える要因として、内需をどのように評価できるだろうか。

まず、民需の自律的な回復の観点からは、設備投資の動向が鍵となるが、設備投資は、2013年末頃から徐々に持ち直しの動きが明確化してきた。最近の設備投資関連の指標を確認すると、日銀短観における設備過剰感は、製造業ではリーマンショック前(2008年6月調査:2)、非製造業ではバブル期直後(1993年2月調査:▲2)以来の低い水準となっており、消費税率引上げ後も過剰感が高まるとはみられていない(第1-1-3図(1))。また、機械受注を業種別にみても、製造業が増加を続けているほか、駆け込み需要の反動減によって内需の減少の影響が懸念される非製造業でも緩やかな増加傾向が維持されている(第1-1-3図(2))。

次に、消費税率引上げ後の個人消費を支える重要な要素である雇用・所得環境を確認しよう。実質雇用者所得をみると、前回は、消費税率引上げ前に、物価上昇の影響を相殺できるような高い伸びがみられたのに対し、今回は相対的に弱めとなっている(第1-1-3図(3))。前回と比べた実質雇用者所得の伸び悩みの背景を検討すると、まず、雇用者数の増加はプラス寄与となっているが、中長期的に労働力人口が減少する中で、増加幅が小さくなっている8。次に、パート比率の上昇や労働時間の短時間化の影響が大きく、また、長引くデフレを背景に賃上げが行われづらかったことから、所定内給与を中心に一人当たり名目賃金が伸び悩んだ。最後に、2012年秋以降の為替の円安方向への動きもあってインフレ率が早いペースで上昇してきた。

4月に入ってからは、消費税率引上げに伴う物価上昇を主因に、実質雇用者所得はマイナス幅を拡大している。ただし、近年にない賃金引上げの動きを反映し9、名目値である所定内給与のマイナス幅はやや縮小した10。今後、春闘の妥結が遅い企業での賃金引上げの動きが徐々に反映されていくことで、所定内給与への押上げ寄与が高まっていくことが期待される11。さらに、物価安定目標である2%のインフレ率の達成に向けて、好循環を波及・持続させていくためには、継続的な名目賃金の上昇が重要な課題である。

アジア新興国における設備投資の鈍化が輸出を下押し

もう一つの景気を支える要因として、外需はどのように評価できるだろうか。輸出の動きを振り返ると、2012年秋以降、為替が円安方向に推移したことを受けて、価格競争力の向上による輸出増加が期待された。実際、2013年前半は、日本からの輸出は他国対比で強めの伸びをみせたが、年後半以降は伸び悩んだ(第1-1-4図(1))。地域別にみると、アメリカ向けは2013年末から2014年初にかけて寒波の影響で一時的に伸び悩んだものの、その後は持ち直している。中国向けは、2013年に入って、総じて緩やかな持ち直し傾向を維持してきたが、2014年に入ってからはやや弱含んでいる。中国以外のアジア向けは2013年央から弱めの動きが続いている(第1-1-4図(2))。

輸出を取り巻く環境を確認すると、2013年以降、海外経済は、新興国が減速する一方、アメリカを中心とした先進国の成長率が高まる下で、緩やかな成長が続いている。もっとも、日本の輸出シェアが高いアジア新興国をみると、総じてみれば堅調な成長が続く一方で、総固定資本形成の伸び率が縮小し、輸入の増勢鈍化が顕著である12第1-1-4図(3))。中国でも、成長が鈍化する中で、鉄鋼など素材産業などにおいて設備が過剰になっているほか、シャドーバンキングに対する規制強化が過熱していた不動産投資を抑制するなど、全体として設備投資への下押し圧力が高い。このように、アジア新興国において、設備投資の伸びが鈍化していることが、我が国が他国対比で強みを有している資本財等の輸出に対して、下押し圧力をもたらしている。

先行きの海外経済を展望すると、新興国からの先進国向け輸出が増加する動きも一部にみられることから、基本的には、アメリカを中心とする先進国の景気回復が、世界経済の緩やかな回復基調を支えていくものとみられる。こうした中で、日本からの輸出は緩やかに増加していくと考えられる。ただし、アメリカの量的金融緩和政策の「出口」をめぐる国際金融資本市場の動揺への警戒感がなお根強いこと13、中国のシャドーバンキングが同国の金融システム上の大きな問題となるリスクがあることなどを踏まえると、新興国の経済成長が鈍化し、日本からの輸出が伸び悩む可能性がある。さらに、製造業の海外生産移転の進展や企業の価格設定行動の変化などの構造的な要因により、輸出が伸びづらくなっている点にも留意が必要である14

輸入は堅調な内需や駆け込み需要の影響を受けて増加した後、減少

我が国の輸入は、2013年前半に下げ止まり、2013年後半には徐々に増勢を強めてきた。輸入の動きを要因分解してみると、2013年後半には、我が国の経済活動の活発さを示す景気要因が増加に大きく寄与する一方、円安方向への動きを背景に相対価格要因が減少に寄与していたことが分かる(第1-1-5図(1))。財別の輸入動向をみると、駆け込み需要の影響もあって個人消費が増勢を強めていく中で、電気機械や加熱用・冷却用機器(エアコン等)が大きく増加したほか、事務用機械(パソコン等)も一部OSのサポート切れの影響もあって増加した(第1-1-5図(2))。こうした耐久消費財の輸入増加の背景には、テレビや携帯電話などの家電を中心に耐久消費財の輸入浸透度が高まっていることも指摘できる(第1-1-5図(3))。これは、東アジアを中心とする分業体制を中長期的に構築してきたことから、完成品を輸入する傾向が一般的になっているためである。

また、2014年春先以降は、駆け込み需要の反動減がみられる中で、耐久消費財の輸入が減少している。

2 家計部門の動向

2014年4月の消費税率引上げを受けて、個人消費や住宅投資などでは大きな変動が生じている。ここでは、個人消費と住宅投資の動きを確認し、駆け込み需要とその反動減の動きを検証する。また、消費税率引上げによる家計負担の増加の度合いと、それによる個人消費への影響を検討し、増税後の個人消費の先行きを考える。

耐久財を中心に消費には駆け込み需要と反動が発生

2014年4月の消費税率引上げ前後の個人消費の動向を形態別にみると、耐久財が前後の数か月にわたって大きく変動している一方、その他の財・サービスの振れは短期にとどまっており、振れ幅も相対的に小さい(第1-1-6図(1))。駆け込み需要は、より耐久性の高い財に大きく生じることから、耐久財における変動が大きくなった。

前回、1997年4月の消費税率引上げ時と比べて、今回の個人消費の動きには、どのような特徴がみられるだろうか。消費総合指数によって個人消費全体の推移をみると、今回は2月中旬の大雪の影響から消費が一時的に落ち込んだものの、前回と同様、3月にかけて大幅に増加した後、4月に大幅減となった15(前掲第1-1-2図)。形態別にみると、駆け込み需要の影響が大きい耐久財は、2013年秋口から自動車の販売増加を受けて大きく増加した後、2014年初から3月にかけては家電の販売が大きく伸長したことから、前回よりもかなり高い伸びとなった。主たる構成品目である自動車と家電16を個別にみてみると、共に前回よりも高い伸びとなっている(付図1-1)。半耐久財では、衣料品が2月中旬の大雪の影響もあってやや伸び悩んだものの、化粧品や食器類が前回よりも高い伸びとなった(付図1-2(1))。非耐久財やサービスにおいても、駆け込みが生じやすい品目では、前回よりも高い伸びがみられた(付図1-2(2)(3))。個人消費全体への寄与度をみると、秋口から耐久財が全体を大きくけん引したほか、3月には他の財・サービスも押上げに寄与した(第1-1-6図(2))。このように3月までの増加が前回よりも大きかったことから、耐久財、半耐久財、非耐久財では、4月の減少も前回より大きかった。

個人消費の基調からの上振れは前回と比べて大きめ

それでは、今回の消費税率引上げに伴う駆け込み需要は、個人消費全体をどの程度押し上げたのだろうか。最終的な評価は、反動減の動きを慎重に見極めた上で行う必要があるが、ここでは、マクロの消費関数や財別の消費動向からみた消費のトレンドと比較して、実際の消費がどの程度かいりしているかをみることによって、暫定的な評価を試みる。試算によると、個人消費のトレンドからのかいりは、2013年10月以降、2兆円台半ばから3兆円程度(個人消費を0.8~1.0%程度押上げ)となっている(第1-1-7表)。前回の消費税率引上げ時の駆け込み需要の規模は2兆円程度(同0.7%程度押上げ)と推計されている17ことから、駆け込み需要の規模は前回より大きめとなった可能性が高い。また、形態別にみると、耐久財が基調からの上振れ分のうち4分の3程度を占めている。

なお、今回は、駆け込み需要と反動減を平準化させるための施策がとられた。具体的には、自動車販売に係る平準化措置として、消費税率引上げ後に自動車取得税の引下げやエコカー減税の拡充等の施策が実施されたが、前述のとおり、自動車販売の伸びは前回よりもかなり大きかった18。これは、既に取得税が免税・減税となっているエコカーの割合が自動車販売全体に占める割合が高かったことや19、エコカー減税の拡充等による負担軽減分が、消費税率引上げによる負担増加分に比べてかなり小さかったことから、平準化の効果が発揮されにくかったためと考えられる。

上記のとおり、駆け込み需要は前回よりも大きかった可能性が高いが、異時点間の代替効果(駆け込み需要)の規模を左右する要因を確認しておこう。まず、税率の引上げ幅(価格変化率)が大きいほど、異時点間での相対価格の変化が大きいことから、駆け込み需要は大きくなる。また、耐久性が高くなるほど、財から得られる効用が長期にわたるため、消費税率引上げ前に購入するメリットが大きくなる。さらに、実質金利が低いほど、駆け込み需要は大きくなる。これは、名目金利が低いほど借入をして消費をするコストが小さくなるほか、先行きの物価上昇が予想される場合には、駆け込みのインセンティブが大きくなるためである。

今回の消費税率引上げについて、これらの点を検討してみよう。税率の引上げ幅については、今回のほうが前回よりも1%ポイント大きいことから、駆け込み需要の規模を大きくする要因となっていたと考えられる。耐久性についてみると、耐久性が相対的に低い情報・通信機器の耐久財支出に占める割合が増えたことから、耐久財全体の耐久性は低下しているとみられる。この点は、駆け込み需要を抑制する要因となっていた可能性がある(第1-1-8図(1)(2))。実質金利は、名目金利が低下する中で、最近では耐久消費財の価格が上昇に転じていることから、大きく低下している20。1997年と比較すると、実質金利はやや低い水準にあり、駆け込みを促進する要因となっていた可能性がある(第1-1-8図(3))。また、各要因の1%ポイントあたりの変化が駆け込み需要の規模に与える影響をみると、消費税率の変化の影響が最も大きく、減耗率の変化の影響がそれに続いており、実質金利の変化の影響は大きくない21第1-1-8図(4))。これらの結果からみると、耐久財については、耐久性が相対的に低い耐久財の購入が増えてはいるものの、消費税率の引上げ幅が大きかったことが、駆け込み需要を前回に比べて大きくした可能性があると考えられる。

以上を踏まえると、4月以降の個人消費は、駆け込み需要の反動減によってある程度下押しが残るとみられる。実際、4月においては、広範な財で消費が落ち込んだ。ただし、飲食料品では4月下旬から持ち直しの動きがみられはじめ、衣料品でも5月に入ってからは持ち直しを指摘する声が増えている。ただし、駆け込み需要の影響が性質上大きい耐久財では、4月に大きく落ち込んだ後、6月にかけては一部家電において持ち直しの兆しがみられるものの、回復の足取りは他の財に比べて相対的に遅い。今後、耐久財についても、反動減による下押し圧力が薄れる中で、消費の持ち直しの動きが明確化していくことが期待される。

家計負担の増加は一定程度軽減されているが、雇用者報酬の増加も重要

次に、消費税率引上げによる所得効果はどのように考えられるだろうか。消費税率引上げに伴う実質可処分所得の減少は、当期の消費を減少させる効果があるほか、貯蓄を通じて、将来の消費も減少させる効果を持つと考えられる。消費税以外の公的な受益と負担も含めた制度改正要因等について機械的に試算すると、2014年度の実質可処分所得は前年度対比0.7%程度押し下げられる見込みである(第1-1-9図(1))。これは、消費税率引上げに伴う物価上昇による押下げ要因が、高齢化や社会保障の充実を背景とした社会保障給付の増加などの押上げ要因を上回るためである。ただし、前回1997年の消費税率引上げ時と比較すると、上述のような社会保障給付の増加を主因に、今回の方が消費税率の引上げ幅が大きいのにもかかわらず、家計の実質可処分所得への影響は軽減されている。

消費への影響を考えてみると、消費は、当期の所得だけではなく、先行きの所得見通しやマインドにも左右されると考えられる22。また、所得が減少したとしても、必需品などの消費は減らしづらいことから、消費に慣性効果(ラチェット効果)が働く可能性もある。このように、所得効果の程度は現時点では見極め難いが、今後、個人消費が力強く回復していくためには、雇用者報酬の着実な増加が重要である。雇用者報酬とその他所得(社会移転など)が個人消費に与える影響をみると、前者が後者をはっきりと上回っている23第1-1-9図(2))。政府では、デフレ脱却に向けた経済の好循環を実現させていくために、政労使での議論を重ねてきた24。今後、具体的な取組の成果が現れてくることが期待される。

住宅投資では持家を中心に駆け込み需要の反動減が続く

住宅投資においては、個人消費よりも早く駆け込み需要の反動減が現れている。2013年9月までに請負契約を締結した場合には、住宅の引渡しが4月以降となっても、旧税率である5%が適用されるため、2013年9月にかけて受注が大きく増加した。住宅着工は、こうした受注の動きがラグをもって反映されることから、2013年中は増加していたが、2014年に入って減少に転じている(前掲第1-1-2図)。利用関係別に1997年増税時との共通点・相違点を整理すると、(1)持家では前回と同様に消費税率引上げ前の年末を境に増減、(2)貸家では前回と異なり堅調な動き、(3)分譲では前回と異なり増減が発生、という特徴がみられる(第1-1-10図(1))。着工の先行指標である受注の動きをみると、戸建注文住宅(持家)は前年比で大幅な減少が続いている一方、低層賃貸住宅(貸家)は前年並みとなっており、総じて堅調な受注状況が続いている(第1-1-10図(2))。これらの背景として、以下の要因が考えられる。

第一に、貸家の需要が底堅い動きとなっているのは、2015年からの相続税の課税強化(基礎控除の引下げ)を見越して、相続対策としての貸家建設需要が増加していることなどが影響している。

第二に、貸家を中心に、受注残高が高水準となる中で、施工能力の制約などから着工がならされて顕在化している。受注から想定される着工の推計値と実績を比較してみると、特に貸家では、2013年に入ってから実績が推計値を下回って推移してきた(第1-1-10図(3))。堅調な需要を背景に受注が増加する中、建設労働者の不足によるボトルネックを指摘する声も聞かれており、受注残高が積み上がっているとみられる。この点は、先行きの着工の下支えに寄与するものと考えられる。

第三に、分譲住宅では、駆け込み需要による着工の前倒しが一部で生じた可能性がある。デベロッパーには、消費税率引上げに伴う9月までの駆け込み販売を見込んで、着工の時期を夏場に集中させる誘因があったと考えられる25

以上のとおり、利用関係別には前回とは異なる動きとなっていることからより詳細な検証が必要であるものの、住宅着工戸数全体としてみると、これまでのところ前回と同様の動きとなっている(前掲第1-1-2図)。ただし、住宅投資における駆け込みが前回と同程度と仮定しても、住宅投資がGDPに占める割合は前回に比べて低下していることから、景気全体に対する影響は小さくなっていると考えられる26。また、消費税率引上げによる負担軽減のために講じられた住宅ローン減税制度等の拡充やすまい給付金には、住宅需要を下支えする効果があることにも留意する必要がある。

一方で、住宅投資の先行きについては、建設労働者の需給の引締まりが継続する下で、建築コストの上昇が続いていることが、先行きの着工を抑制するリスク要因として指摘できる(第1-1-10図(4))。建築コストが上昇する下で、雇用者所得の改善スピードが先行きの見通しも含めて相対的に緩やかなものにとどまる場合、(1)消費者の住宅取得能力や意欲の低下、(2)住宅の販売価格が抑制されることによる住宅事業の採算悪化が、事業者の供給スタンスを慎重化させる可能性に留意が必要である。

3 企業部門の動向

駆け込み需要とその反動という最終需要の不規則な変動は企業部門にどのような影響を与えたのだろうか。ここでは、生産や雇用面での企業の対応状況や企業の売上・収益の動向を整理する。また、景気回復の基調を評価する上で重要な設備投資の動向を確認し、先行きを展望する。

製造業では慎重な生産姿勢を背景に在庫が減少

駆け込み需要とその反動に対して、企業はどのような行動をとったのだろうか。まず、製造業における生産・出荷・在庫の動向をみてみよう。生産は、2013年初に持ち直しに転じた後、2014年初にかけて次第に増勢を強めた(第1-1-11図(1))。この間、出荷の伸びが生産の伸びを上回り、在庫は緩やかに減少、在庫率は大きく低下した27。前回と同様、企業は、最終需要の不規則な変動に対して、慎重な生産計画の下で、在庫によって需要の増減を吸収しようとしたと考えられる。

4月以降の動きをみると、輸出向け出荷がおおむね横ばいとなる中で、国内向け出荷が減少したことから、出荷全体も減少した(第1-1-11図(2))。前回と比べると、輸出向け出荷が国内向け出荷の減少を相殺する力は弱かった。ただし、前回と同様、減少した在庫を復元する動きもあって、生産は出荷に比べると小幅な減少にとどまった。

一方、非製造業では、製造業のような在庫による調整が困難であるため、生産活動は最終需要の変動の影響をより強く受けた。非製造業の生産活動指数をみると、総じて製造業よりも消費税率引上げ前後の短期間での変動が大きい(第1-1-11図(3))。特に、駆け込み需要の影響を強く受ける小売では、変動が大きくなっている。ただし、駆け込み需要の影響が小さいと考えられるその他の主要業種をみてみると、今回は、宿泊業や建設業が高水準を維持するなど堅調な動きが目立っている。今回は、サービス消費の底堅さや建設需要の堅調さが、非製造業全体の生産活動を支えている。

在庫調整圧力は高まっていない

国内での財・サービス需給についての企業の判断は、日銀短観(2014年6月調査)によると、駆け込み需要の反動減からやや過剰方向へと変化した。もっとも、製造業・非製造業ともに、前回の消費税率引上げ時の水準を大きく上回った状態にある(第1-1-12図(1))。また、製造業の在庫判断をみると、前述のとおり、駆け込み需要の一部を在庫の取り崩しで対応したこともあり、「不足」超方向へと推移している(第1-1-12図(2))。以上のことから、今のところ、企業部門では在庫調整圧力は高まっていないと評価できる。今後は、駆け込み需要の反動減が薄れ、需要が回復を続ける中で、企業の生産活動も次第に高まっていくものと見込まれる。

求人には駆け込み需要の影響が一部にみられるが人手不足感は強い状態が続く

先にみたような生産活動の振幅は、企業の求人動向にも影響を及ぼしていると考えられる。新規求人の動きを業種別に確認しよう(第1-1-13図(1))。まず、前回は、製造業・非製造業ともに、4月の消費税率引上げ後もしばらくは増加基調が続いた。その後、夏頃からは、アジア通貨危機や国内における大型倒産が企業の雇用スタンスを慎重化させたことなどから、減少に転じた。今回は、製造業では前回に比べて高い伸びが続いた後、3月以降はやや弱めの動きとなっている。非製造業でも、製造業と同様、伸びが鈍化している。

以上のように、求人動向には駆け込み需要の影響が一部にみられている。ただし、基本的には、強い人手不足感を背景として、前回のような外的ショックに伴う需要の大幅かつ継続的な落ち込みがなければ、企業の堅調な雇用スタンスは維持されるものと考えられる。日銀短観(2014年6月調査)の雇用人員判断DIをみると、特に雇用吸収力の大きい非製造業で人手不足感が高い状態にある(第1-1-13図(2))。こうした中で、雇用・所得環境が改善し、消費や住宅投資を支えていくと期待される。さらに、女性や高齢者の活用による労働力の拡大や産業間の労働移動がスムーズに行われることによって、人手不足による供給面の制約を解消し、雇用者数が増加していくことが期待される。

収益は好調な内需や円安方向への動きを背景に増加、先行きも売上には底堅さ

企業の売上や収益の動きを振り返ると、2012年末以降、製造業・非製造業ともに、増収・増益傾向で推移してきた(第1-1-14図(1))。非製造業よりも製造業の伸びが大きかったが、これには、2012年秋以降の円安方向の動きも影響しているとみられる。売上に対して、為替がどの程度の押上げ効果を持っていたのか、その他の要因はどの程度寄与しているのかを検証するために、大企業・製造業の売上高(前年比)を、国内要因、為替要因、輸出要因(為替の影響を除く)に分解した(第1-1-14図(2))。これによると、為替要因が2013年度に入ってから前年比の押上げに寄与している。一方、輸出要因はほとんど寄与していない。さらに、海外現地法人(製造業)の売上高をみると、ドルベースの売上高がほぼ前年並みにとどまっている一方、円ベースでは増収となっている(付図1-3)。以上のことから、日本企業の海外事業の収益は、法人の所在地にかかわらず、海外経済減速の影響などを受けて為替の影響を除いたベースでは総じて伸び悩んでいた。他方で、年後半以降は、駆け込み需要の影響もあって国内需要が堅調さを増していくにつれて、国内要因のプラス寄与が拡大している。

企業の先行きの収益見通しについて、日銀短観の2014年度の収益計画をみると、製造業、非製造業では、前年度に比べてそれぞれ▲3.4%、▲6.8%の減益が見込まれている。また、売上高を国内向けと輸出向けに分けてみると、業種・規模によって、輸出比率の違いを反映してばらつきがみられるものの、輸出売上高がプラスに寄与する点は共通している(第1-1-14図(3))。企業の想定為替レートは、前年度に比べて大きく変化していないことから、先行きの輸出売上高の増加には、為替以外の要因が寄与していると考えられ、輸出数量の増加などへの期待があるとみられる。また、内需売上高をみると、増収を見込む先が多い。この背景としては、消費税率引上げによる影響を除いた販売価格の上昇28や、売上数量の増加が見込まれていると考えられることから、一定の底堅さもうかがわれる。ただし、中小非製造業では、小売や建設業などで内需の減少が大きく、相対的に収益環境が厳しいとみられる。

予想成長率は増税後の持ち直しを示すが、中期的な水準引上げには課題

企業の設備投資は、リーマンショック以降、総じて低水準で推移してきた。所得から支出への波及という自律的な回復を展望する上では、設備投資の力強い回復が重要な課題である。設備投資は、駆け込み需要とその反動減といった短期的な変動よりも、より長い期間にわたる成長期待に影響されることに鑑みれば、企業の中期的な予想成長率がどのように変化しているかが重要である。

まず、資本ストック循環図を用いて、設備投資の実績から企業の予想成長率を確認してみると、非製造業では下げ止まりの動きが明確化し、足下ではやや上昇している。一方、製造業では景気回復に伴って循環的な左上方向への動きを示しているものの、予想成長率はなお低めである(第1-1-15図(1))。もっとも、日銀短観(2014年6月調査)によると、2014年度の設備投資計画は、製造業では前年度比+10.1%、非製造業では同▲2.4%となっている。いずれも6月調査結果の過去の平均値(それぞれ同+1.0%、同▲3.5%)を上回っており29、先行きの設備投資には一定の底堅さもうかがわれる。

次に、企業の抱く予想成長率(業界需要の成長率)を内閣府「企業行動アンケート調査」(各年度1月時点調査)によってみると30、2013年度調査結果のうち中長期の期待成長率(今後3年間及び5年間の見通し)は前年度比上昇しているが、企業収益が大幅に回復している割には予想成長率が高まっていない(第1-1-15図(2),(3))。ただし、次年度の見通しが前年度比横ばいとなっていることからも見てとれるように、2014年度については、消費税率引上げの影響を勘案して、企業が慎重な見通しを持っている可能性が高い。そこで、予想成長率を期間によって分解すると、以下のような特徴がみられる(第1-1-15図(4))。

第一に、2013年度調査においては、2014年度(次年度)に比べて、2015年度以降の予想成長率は高まっている。業種別にみると、製造業は緩やかな成長率上昇を見込んでいるほか、非製造業は公共投資が好調である建設業を除いたベースでも見通しの後半にかけて成長率が大きく上昇すると見込まれている。短期的には消費税率引上げに伴う反動減による一時的な成長鈍化はあるものの、その後は成長率を高めていくという企業の見方が確認できる。

第二に、企業の予想成長率の水準は、中長期的に低下する傾向がみられた31が、2013年度調査においては製造業と非製造業で区々の動きとなっている。製造業については中長期の見通しの水準が過去平均に比べて小幅低下する動きが続く一方、非製造業では低下がみられない。この結果、製造業と非製造業の中期的な成長率見通しの格差も縮小しており、相対的に非製造業における成長期待の強さがうかがわれる。内訳をみると、製造業では加工業種の予想成長率の水準が大きく切り下がっており、これまでの輸出の伸び悩みや、国際的な競争環境の激化などを反映している可能性がある。一方、非製造業では、サービス業や陸運業などが成長率見通しを高めている。この要因としては、例えば、中期的な経済のサービス化やアウトソーシング拡大の流れ、最近の非製造業の海外進出の活発化によって、内外の市場拡大への期待が高まっている可能性がある。以上のことから、製造業など一部の業種では、中長期的な予想成長率を高めるような取組がなお求められているといえよう。

今後の設備投資を展望すると、消費税率引上げ後に成長率の持ち直しが見込まれていることは、2013年度における大幅な企業収益の改善とあいまって、設備投資の増加に寄与すると考えられる。リーマンショック後の円高方向への動きを受け、為替変動への対応として急速に進んできた海外設備投資を見直す動きもみられている32

長い目でみれば、我が国の持続的な成長に向けて、海外需要の取り込みや国内の潜在需要の掘り起しを進め、企業の成長期待を高めていく必要がある。また、リーマンショック以降の設備投資の低迷によって我が国の設備資本は低下してきたほか、先行きも労働力人口の減少傾向が続くことを踏まえると、需要に見合って供給能力が拡大していくための環境整備が重要である33。内外の企業による投資の促進に向け、世界で最もビジネスがしやすい環境を整えていかなければならない。


(1)今回の景気回復局面について、内閣府経済社会総合研究所は、暫定的に、2012年11月(四半期では10-12月期)を景気の谷と設定している。
(2)「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(2013年1月11日)。
(3)このほか、財政健全化が個人消費を増加させる可能性もある。詳細は内閣府政策統括官(経済財政分析担当)(2009)。
(4)2014年1-3月期においては、推計に用いられる国際収支統計が、IMF国際収支マニュアル第6版(BPM6)へと移行したことに伴い統計上の不連続が生じており、輸入の伸びは実態よりも押し上げられているとみられる(GDPに対してはより押下げ)。輸出においても同様に統計上の不連続の問題がある。詳細は、第1-1-1図の備考を参照。
(5)5月の消費関連指標をみると、家計調査の実質消費支出(除く住居等)は前月比+0.6%、商業販売統計の小売業販売額は同+4.6%となっている(4月は、それぞれ同▲13.8%、同▲13.6%)。
(6)政府は、平成26年度当初予算の早期執行にも注力している。
(7)資本財総供給の増加には、一部のOSのサポート切れに伴うパソコンの需要増加や、法律改正による建設機械等への需要増加(「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律」(オフロード法)の省令改正により、特定の建設機械等への規制が順次強化されることを見越した需要の前倒し)が寄与している面もある。
(8)なお、堅調な内需を背景として、雇用創出力の大きい非製造業を中心に雇用不足感が強まっていることから、過去の景気拡張局面の初期と比べれば、雇用者数の伸びは大きい。詳細は第2章第2節参照。
(9)賃金引上げをめぐる動向については、第2章第2節を参照。
(10)4月における名目雇用者所得の増加には、東日本大震災の復興財源確保などのための公務員の給与引下げが終了した影響も含まれているものとみられる。毎月勤労統計調査の調査対象に含まれる地方公務員(公立学校の教員など)の割合や、各自治体における給与引下げの状況などを勘案して試算すると、名目雇用者所得への寄与度は、0.1%台半ば~0.2%程度となる。なお、国家公務員は毎月勤労統計調査の調査対象に含まれないため、給与引下げ終了の影響は統計上、反映されない。
(11)消費税率引上げは社会保障の充実・安定化につながることから、公的な受益と負担を含めてみれば家計負担の増加は軽減されること(2.家計部門の動向を参照)、社会保障制度の持続可能性に対する人々の不安感を軽減させ得ることにも留意が必要である。
(12)タイでは、2012年12月の自動車購入支援策の終了によって、自動車販売が大きく減少したことが、日本から同国向け輸出を大きく押し下げていた。また、政情不安の高まりが成長を抑制する懸念が強い。
(13)金融面の動向については、第1章第2節参照。
(14)詳細は第3章第1節参照。
(15)4月の消費は、前回よりも低い水準に落ち込んでいる。これは、サービスにおいて、携帯電話の普及期であることなどから通信料の増加が顕著であった前回に対し、今回はトレンドが弱めであることなどによる。
(16)なお、消費税率引上げの前年半ばまでは、前回がパソコンの普及期であったことなどから、今回の方が家電販売のトレンドは弱めで推移していたが、消費税率引上げ直前になって、今回の方がより大きく増加した。
(17)経済企画庁調査局(1998)、経済企画庁(1998)。
(18)なお、駆け込み需要により増加する需要の取り込みや、その反動による需要減少の緩和を企図して、自動車メーカー各社は新型車の投入を行った。こうしたメーカー側の取組の結果、新型車の販売が1-3月にかけて大きく増加し、全体の販売台数をけん引した。一方、新型車以外の販売はほぼ横ばいであった。
(19)2013年度における新車販売台数のうち、免税(非課税)対象車は53.7%、75%軽減(減税)対象車は10.1%、50%軽減(減税)対象車は18.6%を占めている。
(20)家計が実際に直面する金利や、耐久財についての価格予想を直接観察することは難しいため、ある程度幅をもってみる必要がある。また、安全資産志向の強い国民性などを背景として、日本では実質金利と消費の関係が希薄との指摘もある(中川・大島(2000)、内閣府政策統括官(経済財政分析担当)(2005))。
(21)脚注20に記載のとおり、耐久財の実質金利が直接観察できないことなどから、試算結果は幅をもってみる必要がある。なお、第1-1-8図(3)では、消費税率引上げ直前の実質金利は前回と比べて今回は6%程度低い。実質金利が6%下落した場合に駆け込み需要の規模に与える影響は、税率を1とした場合に、0.5超まで上昇する。
(22)内閣府(2011)では、実証研究のサーベイの結果、流動性制約下にあり、当期の所得によって消費水準を決定する、いわゆるケインズ型の消費関数が当てはまる消費者の割合は2~4割程度としている。
(23)その他所得(社会移転など)が短期的な個人消費の変動に与える影響が相対的に小さい要因としては、社会移転の増加はいずれ社会保険料や税の負担の増加となると予想されることが考えられる。
(24)「経済の好循環実現に向けた政労使会議」。詳細は第2章第2節参照。
(25)分譲住宅の購入においても、売買契約で建物の内装・外装・設備などに注文工事を伴う場合には、2013年9月までに契約を締結すれば、請負契約と同じく、引渡しが2014年4月以降となっても5%の税率が適用されるため、9月までに駆け込み販売が生じることになる。また、建築確認を取得した後、分譲住宅の販売広告が可能となるため、おおむね着工と同時期に販売をすることができる仕組みになっている。なお、前回において、今回のような駆け込み着工が生じなかった理由としては、在庫の高止まりが指摘されている(近藤ほか(2012))。
(26)前回においては、駆け込み需要は1996年の住宅着工戸数をベースライン対比6%程度(約9万戸)押し上げたと試算されている(経済企画庁(1998))。今回も同程度の押上げ効果があったと仮定すると、民間住宅投資のシェアは約5%から約3%に低下していることから、GDPへの押上げ寄与(年率)は約0.3~0.4%から約0.1%台後半~0.2%台に低下していると試算される。
(27)2014年3月には在庫及び在庫率が上昇しているが、これは輸送機械工業において、(1)2月中旬の大雪の影響から生産が停止したことから、3月には挽回生産による在庫復元の動きがあったほか、(2)輸出に係る船待ちが生じたためとみられる。
(28)日銀短観では、原則として、消費税抜きの計数を回答することとなっている。
(29)非製造業の設備投資計画が平均的に前年比マイナスとなるのは、特に中小企業において、期初時点では設備投資計画が具体化しておらず、低めの数字となる統計のクセの要因が大きい。なお、過去の平均値は、製造業では1975年以降、非製造業では1984年以降の平均値。
(30)本アンケート調査は、東京及び名古屋の証券取引所の上場企業(第一部、第二部)を対象としており、主に大企業が対象となっていることに留意が必要である。なお、法人企業統計調査の設備投資に占める大企業(資本金10億円以上)の割合は約5割(2012年度)。
(31)企業の予想成長率(業界需要の実質成長率)の低下は、我が国の経済成長率の見通しの低下と同時にみられている(付図1-4)。
(32)日本貿易振興機構(ジェトロ)によるアンケート調査(各年度11~12月調査)では、海外進出をすると回答する企業の割合が小幅減少している(2011年度:73.2%→2012年度:69.2%→2013年度:64.9%)。また、海外進出理由として「為替変動の影響回避」を挙げた企業の割合は、2011年度:24.1%→2012年度:17.4%→2013年度:9.4%と低下している。
(33)労働力人口の減少への対応として、省力化投資の重要性も増していくと考えられる。
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