第1章 大震災後の日本経済

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2011年3月11日、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が日本を襲った。地震は太平洋岸の広い範囲に大津波を引き起こし、震災の被害規模は近年の先進国に例のないほど甚大なものとなった。また、今回の震災は被害規模が甚大であるだけでなく、サプライチェーンの寸断や電力供給の制約、原子力災害等を通じ、被災地域以外にも広く経済的な影響を及ぼしており、その結果、我が国の景気全体に弱い動きが目立つようになった。こうした状況を受け、官民が短期、中長期の対応を適切に行っていくためには、震災後の日本経済の現状の把握、整理とともに、震災が経済に及ぼす影響のメカニズムの理解が必要である。一般に、震災は「供給ショック」の典型とされるが、同時に需要面の影響も発生する。また、ショックそのものは一時的だが、中長期的な成長にも影響を及ぼす可能性がある。さらに、今後の対応の前提として欠かせないもう一つの作業として、デフレ体質や財政悪化など震災前からの課題の点検がある。

こうしたことを踏まえ、本章では、次のような論点について検討する。第一に、震災の実体経済への影響である。震災前後の景気動向を振り返り、供給面、需要面からの影響を整理するとともに、潜在GDPや中長期的な成長力への影響についても考察する。第二に、物価と金融資本市場の動向である。その際、特に震災前からのデフレ状況の背景を改めて検証しておくことが有用である。第三に、財政・社会保障に関する課題の抽出である。震災に対応した財政出動が求められる一方、財政再建への努力も進めていく必要があり、その検討に資するような分析を行う。

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