平成18年度

年次経済財政報告

(経済財政政策担当大臣報告)

−成長条件が復元し、新たな成長を目指す日本経済−

平成18年7月

内閣府


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第1章 新たな成長を目指す日本経済とその課題

第1章のポイント
第1節■長期化する景気回復の背景と今後の課題

●2005年央に踊り場を脱した日本経済は、その後、消費、投資、外需のバランスがとれた景気回復を続けている。景気回復長期化の背景には、企業と家計部門の健全化に加えて、世界経済の回復、為替レート等安定的な金融状況の推移が寄与。
●原油価格の高騰はかく乱要因ではあるが、世界経済の成長が続き、悪性のインフレ圧力が封じ込まれているため、今のところ影響は限定的である。ただし、今後の世界経済の動向や世界的な金利上昇の動き等には注意が必要である。
 
第2節■デフレ脱却に向けた展望と課題
●景気回復が続く中で長期にわたって下落が続いていた物価状況にも変化が見られる。物価の状況を示す経済指標の中でも消費者物価をみると、原油価格の上昇などの要因を除いた部分は前年比でほぼ同じ水準にまで持ち直している。
●今後経済が物価安定のもとでの持続的な成長を実現していくため、引き続き政府・日本銀行が一体となって取組を行い、先般公表の「新たな金融政策運営の枠組み」に基づき、適切な金融政策運営が行われることが期待される。
 
第3節■回復する金融・資産市場
●2006年に入ってからの金融市場を概観すると、実体経済の回復を反映した動きがみられる。株価や金利は上昇し、銀行貸出や地価が持ち直しつつある。金融市場における国際的な連動性が強まりをみせており、世界的な貯蓄超過が各国の長期金利に影響を与えている。
●これまで日本経済の家計、企業、財政などの各部門は長期間にわたりゼロ金利の環境での経済活動に適応してきただけに、今後の金利上昇など経済環境の変化にも留意が必要である。
 
第4節■財政政策の動向
●国と地方の基礎的財政収支赤字は、公共投資の削減や景気回復による歳入増加等もあり、2002年度のGDP比5.7%から2006年度には2.8%程度まで低下が見込まれる。ただし、高齢化によって社会保障費等の経費が増加していくことが見込まれる中で、基礎的財政収支を黒字化させるためには、歳出歳入両面において相当の政策努力が必要であるとともに、潜在成長率を高めていくことが重要である。
 
第5節■まとめ
(略)


第1章 新たな成長を目指す日本経済とその課題
 2002年初めから始まった今回の景気回復は、2006年で5年目を迎えている。現在の日本経済の状況をみると、企業部門、家計部門、海外部門がバランスよく回復し、景気回復の基盤はしっかりとしたものとなっている。こうした中、これまで経済の重石となってきた構造的な問題、つまり、企業部門の雇用・設備・債務の過剰が解消し、1990年代末から続くデフレ状況にも改善がみられる。政策面についてみると、財政政策については歳出改革を中心に財政構造改革を進めていることに加え、景気回復の影響もあって財政収支の赤字幅は縮小に向かっている。金融政策についても、日本銀行は2001年3月から続けてきた量的緩和政策を2006年3月に解除した。
 こうしたことを踏まえ、第1章では、日本経済の現状及び財政・金融政策の最近の動向について様々な視点から包括的な分析を行っている。第1節では、景気の現状を概観した後に、景気回復が長期化している背景について、やや中長期的な視点から分析を行う。第2節では、改善がみられるデフレの状況について詳細に分析した上で、金融政策について論じる。第3節では、景気回復を反映して動きがみられる金融・資産市場の動向を概観した上で、金利上昇が経済に与え得る影響について検討する。第4節では、厳しいながらも改善がみられる財政収支の動向を分析する。第5節では、1節から4節までの議論を整理し、今後の景気をみる上での重要な論点を提示する。


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