第4節 デフレ克服への展望(11)

(11) 低インフレ下において、商品価格や賃金の名目硬直性が強くなり、実体経済の動きと比べてインフレ率の変動が少なくなるとする説には、(i)価格の付け替えにかかる「メニュー・コスト」があるために低インフレ下では頻繁に価格が改訂されないとする説(Ball et al.(1988))、(ii)名目賃金の引下げは、労働者のモラルを引下げるので、あまり行われないとする説(Akerlof et al.(1996))、(iii)合理的な価格・賃金設定を行わないことのコストは一定以下のインフレ率では小さいとする説(Akerlof et al.(2000))、などがある。