第3節 高齢化・人口減少に対応した公的部門の構築(48)

(48) 国民負担率の指標を用いる際には、間接税の転嫁の程度や課税ベースなどに留意する必要がある。例えば、間接税の転嫁の程度による影響について考えてみると、間接税が価格に全く転嫁されない場合には、要素費用表示の国民所得で測った国民負担率は、分母に間接税が含まれない一方で、分子には間接税が含まれることから、同額の税負担であっても間接税の割合の高い国は相対的に負担率が高く表される傾向になる。他方、間接税が価格に100%転嫁される場合には、間接税分だけ国内総生産は大きくなるが、要素費用表示の国民所得は影響を受けないことになる。したがって、この場合は、同額の税負担であっても間接税の割合が高い国ほど国内総生産で測った国民負担率は低く表される傾向になる。なお、日本の場合、平成元年度の消費税導入時及び平成9年度の消費税率引上げ時の消費者物価指数(持家の帰属家賃及び生鮮食品除く総合)の動向をみると、平成元年度で2.9%、平成9年度で2.2%上昇しており、かなりの程度転嫁されていると考える方が適切であると思われる。