付注2-2-2(3) 最適な資本蓄積経路を達成するための財政収支
中立命題が成立しないことを前提に、民間貯蓄が近視眼的に決定されると仮定すると、政府は間接的に財政変数を選択することによって資本蓄積の経路に影響することができる。以下では簡単化のために、効用関数と生産関数をコブ=ダグラス型で次のように定式化する。
ただし、c:消費、g:政府支出、f:一人当たり生産量、k:一人当たり資本量、α:政府支出からの投資性向、β:資本分配率
また、政府投資は民間の資本形成と完全代替であり、等しく資本ストック増加させる。
すると、ここでの最適化問題は以下のように定式化できる。
制約条件 C = f(k)-nk-(1-α)g
k = k(g, t)
すると、仮定されたコブ=ダグラス型の生産関数、消費関数の下で、長期均衡における最適条件式である消費の部門間での最適配分式とオイラー条件式は、次のようになる。
上記2つの式から最適な資本蓄積経路を達成するための財政赤字の対GDP比率φ*は、以下のように表される。
ただし、n:人口増加率、ρ:時間選好率、σ:貯蓄率、ω*:経常収支黒字率、λ:民間消費対GDP比率、γ:政府支出対GDP比率
ここでは、a=0.85、ρ=0.02を仮定し、あとの変数については、現実の値を挿入して、理論値を求めた。