付注1-1-5 (2) 耐久消費財需要の推計

1.構造式(ハウタッカ―・テイラーモデル)

  q(t)=α+βs(t)+γx(t)………(1)

   ただし、q(t) : 耐久消費財の需要量

   s(t) : 耐久消費財ストック量

   x(t) : 可処分所得

   t  :  連続的な時間

 ※ 「国民経済計算」で得られる耐久消費財ストック量は主要耐久消費財のみであるため、ここではハウタッカー・テイラーモデルに従い、s(t) を回帰方程式から消去して推計を行った。

2.式の変換

 耐久消費財ストックの減価率を定率と仮定し、δ(0<δ<1)とおくと、

     ds(t)/dt=q(t)-δs(t)となる。

 したがって、dq(t)/dt=β(ds(t)/dt)+γ(dx(t)/dt)

                =αδ+(β-δ)q(t)+γ(dx(t)/dt)+γδx(t)………(2)

 次に連続変数q(t),x(t),dq(t)/dt,dx(t)/dtを離散変数qt,xtによって次のように 近似する。

      q(t)=(qt+qt-1)/2

      dq(t)/dt=qt-qt-1

      x(t)=(xt+xt-1)/2

      dx(t)/dt=xt-xt-1

 これらを式(2)に代入して整理すると次式が得られる。ただし、utは誤差項である。

   qt=A0+A1qt-1+A2△xt+A3t-1+ut………(3)

   A0=αδ/ε

   A1={(1+(β-δ)/2}/ε

   A2={γ(1+δ/2)}/ε

   A3=γδ/ε

   ε=1-(β-δ)/2

 これらをα、β、γ、δについて整理すると

   α={A0(2A2-A3)}/{A3(A1+1)}

   β=(2A-1)/(A1+1)+2A3/(2A2-A3)

   γ=(2A2-A3)/(A1+1)

   δδ=2A3/(2A2-A3)

 となり、式(1)を識別することができる。

 なお、耐久消費財の耐用年数は単純に1/δで求めている。

3.式(3)の推計結果

a日本  ( )内はt値

推計期間

A0

A1

A2

A3

住宅投資

adj.R2

S.E.

1972-90年度

-3.791

(-4.921)

0.811

(11.493)

0.125

(6.339)

0.017

(3.627)

0.120

(2.731)

0.997

0.266

1972-98年度

-5.092

(-3.938)

0.773

(9.283)

0.094

(3.165)

0.009

(1.524)

0.283

(4.086)

0.996

0.558

bアメリカ

推計期間

A0

A1

A2

A3

adj.R2

S.E.

1960-90年

-12.85

(9.43)

0.683

(0.137)

0.047

(0.011)

0.009

(0.004)

0 .988

12.91

1960-98年

-1.55

(7.678)

0.667

(0.126)

0.049

(0.010)

0.010

(0.004)

0.992

14.88

97年度にダミーを追加している。

(参考文献)