第1章 世界金融危機後の成長鈍化

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世界の景気は、全体としては緩やかな回復が続いているものの、中国を始めとする新興国等に加え、先進国の一部にも弱さがみられる。中国の実質経済成長率は2010年以降低下傾向にあり、中国経済減速の影響が中国依存の高まった新興国等に及んでいる。先進国では、世界金融危機後の成長は緩やかで、回復のペースにはばらつきがみられる。世界経済の先行きについても緩やかな回復が続くことが期待されるが、中国を始めとするアジア新興国等の経済の先行きに加え、英国のEU離脱問題に伴う不透明感の高まりによる影響等のリスクが懸念される。

本章では、最初に世界金融危機後の世界の経済成長や貿易の動向を振り返った上で、中国を始めとする新興国、先進国それぞれについて、成長が力強さを欠く要因について分析する。次に、今後の世界経済の見通しや、成長底上げに向けた方策について検討を行う。最後に、グローバル化の進展に伴う移民の増加や所得格差の現状について検証する。

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